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鬼畜の鄴攻め 官渡の戦い④


 リョフとの対戦にあたって、まずは裁定の神「GYO・U・ZI」を召喚する必要がある。


 召喚方法は至って簡単。褌一丁の筋肉自慢達を十人を集め、手を繋がらせて輪を作り、花いちもんめを歌いながら輪の中心へ歩いていく。

そして肉々しい絵面が出来上がると同時に全身全霊を込めた右足を蹴りだし、ガツン!!! と爪先を負傷すれば成功。その痛みは天空に居座る神々にまで伝わり、誰が原因で負傷したのかを裁く為に神が降臨する。


「儂を召喚する凡愚は貴様らか。この忙しい時に呼び出しおって……犯すぞ!!」


 天が裂けると同時に漆黒の天が広がって結局元の天気のままだが兎に角なにかが降臨した。

大事な部分を神の光で隠した、基本全裸な裁定の神・禰衡(デイコウ)だった。


「裁定の神っつうか最低な神だな、あれは」


 神ながら公然わいせつ罪に当たる過ちを犯す男は、三国志好きなら誰しもが知っているスーパー毒舌家にして、変人倶楽部の管理人たる禰衡正平(デイコウ・セイヘイ)である。

※禰衡……後漢末の名士。並外れた才能の持ち主だったらしいが、それ以上に傲慢不遜な言動や奇行が有名になりすぎて、もはやネタ扱いされt「儂の概要を読むな貴様。犯すぞ」。


「えぇい、儂は百合画像の検索で忙しぃんじゃ。貴様らの陳腐な嘗め合いにこの身を晒す暇などない。さっさと始めるがよい」


 愚痴愚痴言いながらも、禰衡は股下の神の光を手にとって軍配代わりとし――やめろ取るな。見かねた丁封(テング)が自らの扇子を貸して司会を執らせる。


「ひがーしー、リョフ・ホゥーセン! 貴様には風呂掃除が似合っておるーー!

にーしー、陳……陳陳陳陳陳陳陳陳…………陳なんとか! 貴様にはぁー、燈籠倒しで充分よーー!」


 あぁ、なんかもう……とにかくヒデェなあの行司。ヤりたい放題だ。


「見合って見合ってぇ……ハッケヨーイ…………目と目が逢う 瞬間好きだと気付いたぁ~♪」


「そんなこと当たり前でござる! 陳めはお仕えした時からリョフ殿の瞳に恋焦がれ――」


「ジョウジョジョージ」


「アヒィィーー(°Д°)!? クリティカルヒットでございますゥゥーー!!」


「轢き逃げぇぇーー!! リョフ・ホゥーセン! 一本っ!!」


 陳宮隊の通常攻撃が504ダメージに対し、リョフの反撃ダメージは1,693だった。アヒィィーー(°Д°)!? 三倍の被害になって返ってきたでござる!!

っていうか戦法P切れたからって通常攻撃でリョフに当たるなよ……。陳宮さん、あんた武力64だろ。軍師の中じゃ高い方だけどさ。


「続けてひがーしー、リョフ・ホゥーセン! 風呂掃除は慣れてきたか? クエン酸と激おち君のコンビで、大抵の水垢は落ちるぞい。

……西、朱桓休穆。評価するでもなく貴様は詐欺師じゃ。この年齢詐欺め」


 陳宮隊を援護するべく、やむを得ずリョフと対峙した朱桓隊。

彼等も戦法Pに枯渇しており、攻撃手段としては通常攻撃のみだった。


「まともにぶつかれば朱桓と言えどもタダでは済まない。どうするんだ……って、ん?」


 よぉく見れば、朱桓隊はリョフと隣接していなかった。

未だ存命の「あ……兄上……(絶命)」のコウソンエツ隊とは接しながら、リョフとの距離を僅かに詰めただけのようだった。


 そして当の朱桓は、リョフを前にして一人ほくそ笑む。


「“詐欺師”……か。フッ、褒め言葉だな。謀なしでは国を守れん」


 朱桓隊は離れた場所からゴキブリ団子をばら蒔いた。

計略の《混乱》だ! スキル《混乱》があれば、戦法Pなしで使用無制限な妨害攻撃だ!


「ジョ……ジョウジョウ……ジョウジョウ……ジョージ……?」


「むむっ! これは……なぁげぇだぁんんごぉぉーーー!! 朱桓、一本!」


 低知力のリョフは混乱した! 効果は大!! 甚だ大なり!!


「1ターンで切れるだろうが、攻撃の隙は作ったぞ。私はコウソンエツの相手に戻る故、後はお任せ致す」


 そう言い終えるや否や、朱桓先生は颯爽と意識を入れ替え、再びコウソンエツと対峙した。

朱桓先生ェェーー!! 惚れてまうやろ!! この愛国の詐欺師め!!


「よぉっしゃあぁぁ!! 今だ甘寧、魏延、丁奉、凌統、凌操!! まな板の上のゴキに、思いっきりぶちかましたれェェーー!!」


「「「おおおぉぉぉーーー!!!」」」


 計略の《混乱》《挑発》は、スキルさえあれば無制限に連発できる。


 然し、その効果は大概1ターンで切れてしまう為、戦法などによって付与された混乱や恐慌状態には一段劣るのだ。

……が! 俺達にはその1ターンで充分すぎる。何せ俺達は、「ウホッ! 素敵な漢だらけでウホウホ!!」だ。平均武力が桁外れに高い武闘派集団。混乱した相手に通常攻撃を叩き込むだけで普通に撃破する自信がある!!


「お、おおぉっ! これはまさか……「相撲しようぜ! ピシャリ! なるほど、そうか!!」じゃな!? 薄い本が売れるわ売れるわ!! ヤリ逃げぇぇーー!! 放浪軍に一本!!」


「違ぇよバカ行司。夢みんなよ」


 屈強なゴキブリマッチョを、筋肉自慢の漢達が責――攻め立てる図。

みんなで回せば恐くないとでも言いたいのだろうか、あの行司は。


 兎に角、そんなんじゃないからな。普通に5部隊でリョフを囲んで攻撃しまくってるだけだ。


「ジョージ!! ジョウジョージ! ジョジョーージジ!!」


 10ターン目に突入すると同時、HP2,440にまで減ったリョフが混乱から自己回復した。

そんでもって凄い怒ってる気がする。


「……やれやれ、完全にテラ○ォーマーだっていうかこれ、“武将” って言っていいのか? 昆虫人間(テラフォーマー)と書いて三国志最強(リョフ)って読むのはちょっと無理があるぞ」


 俺の番になったが、正直言ってリョフと正面きってぶつかるなんて事はしたくない。


 然し、後に続く怜華の安全を確保する為だ。仕方なかろう。


「珍獣捕縛の為に潰れ役になるのはいつもの事だが……今回はことさらヒデェな。……まぁやったるか。女の為に体張るなんて、真の漢にしかできねぇしな」


「にぃーしぃー、殿路秋渓ー! 貴様には牧場主がお似合いよぉーー!」


「うっせぇよ最低行司! いくぜぇ!! リョフゥゥーーー!!」


「ジョウジョウ、ジョウジョウ、ジョージ!」


 殿路家秘伝体術「漢は黙って拳一本」。俺は全身全霊を込めた武力100の拳を繰り出した。


「ぬっ……!? くぅおぉ……おわあぁっ!?」


 されど、リョフの武力値は特別扱い。奴はデフォルトで武力120近くに設定されており、専用アイテム《方天画戟》の効果も上乗せして武力128といったところ。

どう足掻いても真っ向勝負では勝てないのだ。


 俺は奴の黒光りする鋼の肉体に跳ね返され、持て余した衝撃波が反撃ダメージとなって1,400近い兵力を減らす。因みに俺が与えたダメージは900程度だった。


「いってぇぇ……。……でもま、上出来か。後は任せたぞ、撹乱二人組」


「オッケー秋渓! 後は任せなさい! この珍獣研究部々長と!」


「陳めがっ!」


「「ここで決める!!」」


 元から戦法Pを温存していた怜華と、先のターンで通常攻撃に徹して戦法Pを回復した陳宮。

軍師武将にして低武力の二人が連携して、得意の《撹乱》を叩き込む。


「ジョウジョウ……ジョージ」残りHP345(混乱)


「うっそ!? まだ耐えるの!? これはますます欲しくなったにゃあぁ(ФωФ)……!!」


「怜華さん、ヨダレヨダレ。……だが、さしものリョフもこれで終わりだ。後は朱桓先生に……」


「……フッ! 私に華は似合わぬ。我が隊はコウソンエツに止めを刺す故、暴勇の化身は甘寧殿にお譲りしよう」


「いいぜぇ、最高の瞬間だぁ!! オラァァーー!! リョフ野郎! くたばりやがれェェーー!!」


 怜華と陳宮が連携したならば、朱桓と甘寧もまた、当面の敵に全力を叩き込む。


「押ぉし出ぁしぃぃーーー!! 甘寧、一番っ!!」


 結果、朱桓の宣言通りにコウソンエツ隊は壊滅し、甘寧の一撃を受けたリョフもHPを0にして敗走した。


 「野戦ならば避けるべし」と言われたこのゲームの三国志最強(リョフ)を、公式チートが過ぎる戦闘特化型の怪物を、放浪軍の絆で打ち破ったのだ!!

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