人材大量get ただし基本的に飼い殺す
陳留攻略戦の後、今は戦後処理を行っている最中だ。
「名族が捕虜になるなど、あり得ん! これは夢! 夢なのだ! ……お休みなさいなのだ(-.-)Zzz」
縄目にある現状を理解できないエンショウは、夢の中の出来事だと現実逃避した。
目は白目を剥き、涎を垂らしながら頬を染めている。普段からどんな寝方をすれば、こんな寝顔になるんだこいつは。
「君主は登用できないし処断する気も無いから解放で」
「…………( ゜д゜)ハッ! 陳留が攻撃に曝されている……! ガンリョウ、ブンシュウ、デンポウ、トウガイ! このエン・ホンショに続け! 陳留へ出陣だ!!」
『エンショウは解放されました』
「……寝惚けてあんなこと言ってるけど、君らはどうする? また俺達と戦うか?」
ガンリョウ・ブンシュウ・デンポウ「軍門に降りまする」
「よし来た! そうこなくちゃな!」
君主の頼りない一面に失望したのか何なのか、エンショウ軍の武の双璧を担う顔良 と 文醜に加え、大参謀の田豊までもが仲間になった。
これはエンショウ軍の戦力を半減……いや、八割方消失させるほどの大収穫だ。
「………………」
「おぅトウガイ。こうして会うのは二回目だな」
方や、旧ソウソウ軍として一度戦った事があるトウガイは、登用の誘いを前に沈黙していた。
だが、やがて意を決したように瞑っている目を開け、俺に一言だけ問い質す。
「…………殿路殿に、私を飼い慣らせますかな?」
「……旅行好きだろトウガイ。俺らと一緒にくれば、大陸中をくまなく旅行できるぞ? 巨大勢力が拮抗し合って戦線が膠着し、前線都市でひたすら守備に徹するなんて事は絶対ない」
「……ふむ、今までは地図でしか感じれなかった場所が、実際に見て感じれるようになると……。それは興味深いことだ」
地図マニアなトウガイは、地図をなぞって戦略を打ち立てる事は勿論、実際に現地へ赴いて調査する事も大好きな筈。偏に軍略家特有の趣味と言える。
そんな彼には放浪軍がピッタリ。仮に各地を転戦しなくても外交戦略だけで大陸中を横断可能な上、その時の気分で国取り合戦を行える。好きな場所に行って好きなように戦い、美味しいものを食べながら仲間を増やし、己の戦略眼に磨きをかけていく。
「こんな自由、正規勢力に所属していたら味わえねぇぜ。いつだって大勢力の主力となるトウガイなら分かる筈だ。どの勢力でもそう、能力のあるお前は前線に固定配置され、何度も何度も同じ戦場で同じ敵と戦うんだ。戦略眼なんて磨けるかってんだ」
このゲームに於いて、大勢力が拮抗すると戦線はまるで動かなくなり、有力武将は君主や都督の一存で前線に留め置かれる事が多い……リアルに考えたら当然と言えば当然だが。
先月の戦で捕虜にした直後に解放した敵がまた攻めて来て戦ったり。今度は自分が捕虜になって敵の一員として登用され、元居た都市の隣に引っ越してそこで永い時を過ごしたり。プレイヤー武将の場合は、最終的にイベント発生で守護神扱いされたりする(金2,000貰えるが、それより異動させて)。
……特にお前だよ、諸葛亮の友達第1号・徐庶。毎回のごとく長安に赴任して司馬懿の軍師になるや、元気に諸葛亮の北伐を邪魔しやがって。せめて対呉戦線に留め置かれろよ。蜀軍の人材不足なめんじゃねぇぞ。こちとら初期知力76の王平将軍を限界突破させて96にまで成長して漸く対抗できるんだよ。
※徐庶……字を元直。劉備の初代軍師にして、諸葛亮の数少ない友達の一人。優れた戦略眼で曹操軍を退けるが、彼の存在を知った人材ハンター・曹操が徐庶の母親を人質にとり、引き抜き工作を仕掛けた為、劉備の下を去る事になった。徐庶は去り際、「曹操には絶対に献策しない」と劉備に約束した…………が、ゲームではそんなの関係ありません。
もう完全に曹操様信者となって劉備や諸葛亮の天下統一事業を阻止してきます。《義理》が12(最大15)なので捕虜にしても登用に応じず、初期知力が96と化物級なので離間工作も通用しない。間違いなく魏国の決戦兵器です。母親をプリーズギブミー。
話を戻して、要は自分を飼い慣らせないCPU君主の下は飽き飽きしているんじゃないか? という揺さぶりだ。才能ある武将は、一ヶ所に留まっていちゃいかんのだ。だから徐庶、お前は早くどっか行け。
「…………うむ、殿路殿!」
「んぅー?」
「仲間となりましょう。以後、宜しくお願いします」
「おぅ! 此方こそ宜しく頼む、鄧艾! これから毎月城を落とそうぜ!」
「いえ、爆破です!」
やはり自由度の高さは、厭戦気分に辟易としている名将達には魅力的に映るのだろう。
鄧艾は自慢の爆弾片手に、放浪軍へ加入した。
「よっしゃ! それでは次にカシン軍の武将達だが、君達はどうする?」
「……拙者はブン一族の当主・ブンキン。お助けいただくならば降伏致します」
「長男・ブンオウです。殿路殿の武力に負けました。御味方に加えて下さい」
「どーも、次男のウンコです。間違えましたブンコです。絶賛思春期につき、JK(大軍師怜華様万歳)の生足が見たいので降伏しま――ブフゥオッ!?」兄の正拳が炸裂した!!
「オウキョウと申します。悪名高いカシン様には従えませぬ。何卒、末席にお加え下され」
「戦ある所にカンキュウケンにあり。某は戦えるなら何処の軍でも構いませぬ」
「どうやら、先に父上や夏侯恵が仲間になっておるようだ。二人と共に戦うのも悪くはない。それに、カシンは弟の威を楽屋裏送りにした張本人。仇をとらせてくれ」
「よし! 一人だけ不純な動機の奴がいるが……これから宜しく頼む!」
「…………ねぇ秋渓、ブンコ殿は外そうよ」
文一族のウ◯コはさておき、王匡・毌丘倹・夏侯覇も仲間になった。
夏侯四兄弟の長男・夏侯覇に至っては、父の夏侯淵が既に仲間におり、陳留攻略戦の前に三男の夏侯恵も仲間にしていた(諸葛誕が登用)。そればかりか、次男の夏侯威はソウソウ軍滅亡の折り、カシンによって楽屋裏へ送られている。
(史実でも司馬懿憎さで蜀へ降ったぐらいだ。夏侯覇が仲間になるのは自然の様に思えるな)
「……さて、残ったのは、そのシバイとカキだが……」
「フン…… “残った” とはなんじゃ、“残った” とは。“その” とはなんじゃ、“その” とは。貴様がわざとらしく残したのであろうが、儂ら二人を」
「不貞腐れたからって首を後ろ向きにしなさんな。絵面的に悪いって」
魏国最強の軍師・シバイ。万能な器用貧乏・カキ。
大兵力を指揮する事ができれば、この二人は相当厄介な存在である。
故に、是が非でも仲間にしたかった。
「……お姉様、ご覧下さい。お父様が首領・殿路に捕まっています。盟友のカキ様までご一緒です。どうしまショウ?」
「お父様、見て下さい。遺影。ほら、遺影」
「叔父上。師と昭は降伏しないと、楽屋裏送りに処されると申しておりますぞ。……かの大軍師・司馬懿も年貢の納め時か!? 次回! 「八面六臂の大活躍、司馬望自慢のカイゼル髭! 唸る唸る唸る!!」。絶対見て下されよな!!」
「……子初(司馬望の字)。ちっとばかし子元の方を黙らせぃ。遺影でイエーイて洒落にならぬわ。そしてその後はお前だ。腹切れぇい」
許昌攻略戦で仲間になった司馬師と司馬昭の機械人形姉妹。陳留攻略戦前の軍議で司馬昭によって登用された、姉妹の従兄・司馬望。
司馬師は精巧に描かれたシバイの遺影を掲げて無機質にはしゃぎ、司馬望は遂に自分の時代が来るのでは!? という淡い期待から早くも叔父を見捨てている。哀れなりシバイ。
「……フン……まぁ、カシンに忠誠を誓う必要もないしな。師と昭がここに居るなら居るで、仲間になるを拒む理由もない。……だが、謀られた感が否めんわ」
「いいんでないの? たまには謀られる側になっても?」
司馬昭曰く「シバイの盟友」であるカキは、とても楽観視していた。
彼は渋々感満載なシバイを宥めるかの様に、ある人物を指し示す。
「それに見てみなせぇ、あの青狸。姉妹に似合いそうな洋服売っとるぞ」
「…………本当じゃな。……あぁ、確かにあれは良いかもしれんなぁ」
俺と怜華の視線が、今しがたカキの指差した方へ向く。
なんと! “コヨエモン” こと服職人・顧雍が、さも見せびらかすかの様に露店を広げているではないか!? いったい何時の間に……そして凄い営業スマイル。普段の寡黙さが嘘のようだぜ。
「こちらの「ロリータウェディング OPドレスフローラルプリントライトグレーフラワーボウロリータワンピースドレス」は、先日入荷したばかりの新商品にございます、はい!!」
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「……ふむぅ……! とても良い品だ。2着、頂こう。金はお主の言い値で結構」
「こちらの品、只今「お仲間特典」をやっております」
「お仲間特典……それや如何に?」
「お仲間一人加入につき、1着無料とさせていただいております。ですので、シバイ殿加入で1着無料。そちらのカキ殿加入でもう1着無料とさせていただきます、はい!」
「よし、カキ。お主も放浪軍に加入せぃ」
「あぁ、構わんぞ。(上手いこと謀られとるがな、こいつ)」
こうして、司馬懿と賈逵も放浪軍に加入した。
顧雍に関しても、念願の固定客を獲得したようで上機嫌極まりない。この大陸に於いて、漸く彼の商品を認める武将が出現したのだ。
(さすがは顧雍だ!! ナイス勧誘だぜ!!) グッ!!
(つきましては殿路殿、この陳留の市場を仕切らせて頂いても?)
(存分にやりたまえ!!)
(ありがたき幸せ!!)
俺と顧雍は、アイコンタクトによる談合を済ませた。
何やら怜華から冷めた視線を感じるが、司馬懿と賈逵を仲間にできるなら安いものだ。
最後の最後に余談だが、今戦の戦功第1位は俺(5,804)。第2位は朱桓(4,603)、第3位は太史慈(4,022)だった。




