サクッと片付ける陳留攻略戦⑤ 決着の時
「落ち着きなされシバイ殿。取り敢えず絵面的に悪いから、首を回しなさんな」
「……すまぬ。そなたの行動を無駄に使わせてしまうとは……儂としたことが抜かったわ」
朱異の《反計》によって混乱状態に陥ったシバイ。
彼は次の行動順に当たるカキの《沈静》によって、早くも状態異常から脱した。
然し、それによって攻め手を担うカキ隊の行動は済に。
エンショウ軍の姿も確認されないまま、8ターン目が終了した。
そして9ターンに突入するや、俺はカキ隊に通常攻撃を仕掛ける。
小細工を弄さない正々堂々とした攻撃手段と言えば聞こえは良いが、単純にさっきの《奇襲》で戦法Pが少なかったのだ。
一応、《猛攻》を仕掛ける程度の戦法Pは残っているが、山に向かっての《猛攻》は成功確率が低いので、ここは通常攻撃が無難だろう。
※《猛攻》……消費戦法P30
《乱撃》……消費戦法P40
《奇襲》……消費戦法P45
《群石》……消費戦法P70
「くっ……!? 放浪軍頭領・殿路秋渓! なんという馬鹿力だ……!」
残兵数が2,000を下回ったカキは、俺と朱桓による波状攻撃に痺れていた。
俺の奇襲に続いた朱桓の攻めだけでも辛いだろうに、武力100が大きく影響する俺の攻撃力はそれに勝り、通常攻撃という形で安定した大ダメージを与えていたのだ。
「ハッハッハ!! カッキーよ、俺は “馬鹿” ではなく “アホ” だ! そこを履き違えないように宜しく頼みた……おぉ? 何だあれは……」
俺の行動が済むや否や、次の走者が現れた。
陳留太守にして、守備隊の総司令官。そして連合軍の総大将でもあるオウキョウだ。
5,700の重装槍兵を率いるオウキョウは、シバイの背後に回る形で移動距離の限界を迎え、行動を終了して次の走者へ順番を回す。
その次の走者はというと、我等が軍師・怜華様万歳だ。
「漸くのお出ましだぜ、怜華。どう動く?」
「総大将・オウキョウが最前線に現れた……か。…………ねぇ秋渓。経験則でいいから教えて。同盟国ならずとも、援軍部隊ってこういう場面で砦に入ったりする?」
「入らんな。侵攻側の大半が補給限界線を越えている場合、援軍部隊は防衛側総大将の後に続くか……城の防衛に回ったりする。それを駆使して、何度も敵の大軍を翻弄した挙げ句、各個撃破してやったもんだ」
「だったら……砦は今、無人って事でOK?」
「間違いない。一番砦に近い朱異を突撃させれば、一発占拠だろうな」
「……っていう訳で朱異殿。宜しくお願いします」
「任されよ。疾風迅雷を以て砦を制し、我が軍の補給線を確保してみせよう!」
「他の人は陳留守備隊をあの山に足止めして! 朱桓殿と張郃殿が要となってシバイの牽制を! 甘寧殿達は反転して、陳留守備隊を囲う様に布陣をお願い!」
怜華の指示が飛ぶと、仲間達は迅速かつ的確に布陣を改める。
陳留守備隊の籠る山を中心に、怜華と朱異を除いた各隊が東・南・西の三方向を押さえ、先に交戦していた朱桓と張郃は変わらぬ攻勢を見せた。
「これで最後っ! 朱異殿、お願いします!」
「オオォォッ!!」
最後の走者に当たる朱異は、シバイ等を無視して一気に北上した。
一点狙いの彼が目指すべき場所は、無論、敵の砦である。
「朱異隊突撃! 一気呵成に敵前線を突破するぞ!」
普段からクールな朱桓と朱異の親子だが、朱異の方が僅かに情熱的。
その情熱が今、疾走する朱異を、いつにない激しさで燃やしていた。
「敵の砦ェ! この朱異が制圧したァァ!!」
「「「ウオオォォォーーー!!!」」」
そして彼は、オウキョウ不在によって空となった砦の占拠に見事成功した。
これによって放浪軍は補給線を確保し、11ターン以降の戦線を、戦場全体に広げる事が可能になったのだ。
それだけに留まらず、朱異が制圧した砦はシバイ等の背後に当たる為、怜華が敷いた包囲陣の北側を担う事となり、陳留守備隊は完全なる死地に陥った。
「…………オウキョウの馬鹿者が出てきよったせいで、余計に戦況が悪化したわ」
「……シバイ殿。如何なさる?」
「フン、如何も何もないわ。こうなってはもはや、我等の負けは覆らぬ。……やれる事と言えば、馬鹿みたいに無様な抵抗を示すだけよ」
「では、やれる所までやってみますか!」
数手先を読んだであろうシバイは、自軍の敗北を断定した。
カキはそれを聞きつつも、武将として最後まで全力を尽くすという。
シバイはそんなカキの反応を前にして、ただただ言葉を詰まらせた。
この後の動きを簡潔に述べれば、俺達は3ターンの内に総大将・オウキョウ隊と参謀・シバイ隊を撃破。敵連合軍の士気は著しく低下し、エンショウ軍に至っては脱走兵(やる気を無くして帰宅した兵)まで現れる。
尚、オウキョウは太史慈が、シバイは朱桓が撃破した。
陳留守備隊最後の将となったカキも奮戦虚しく、陳宮の《撹乱》によって長時間の混乱状態を余儀なくされた上、俺達が陳留城へ進軍した事で山中放置プレイに処されてしまった。
一転して標的を変えた俺達は、陳留城の道すがら、エンショウ軍約2万と遭遇。
本来25,000だった彼の軍は、士気の低下に伴ってボロボロだった。
「見ろよ怜華。エンショウ・ガンリョウ・ブンシュウ・デンポウ・トウガイ。普段なら厄介過ぎて白目を剥きたくなるような難敵ばかりだぞ。……だが……」
「うん、またとない好機だね。サクッと片付けちゃおう」
俺達はエンショウ軍を容易く撃破した。
尚、エンショウは俺が撃破し、ガンリョウは魏延が、ブンシュウは丁奉が、デンポウは甘寧が、トウガイは朱桓が撃破した。
こうなっては河北の強雄・エンショウも、無様なものだった。
さてさて、突然だがここで一つ問題でござる。エンショウ軍も撃破してやることがなくなった俺達は、その後どうしたか……。
答えは「やれることは全部やる」だ。
即ち、残っている敵側の “もの” を徹底的に叩く。
「よぉぉーーし! 城壁殴り大会始めェェーー!!」
放置プレイされているカキ隊に止めを刺すと思ったかい? 残念。カキの他にも残っている敵側の “もの” があるじゃないか。
「それは城壁!! 城壁に通常攻撃かますだけで、安全に武力経験値(獲得値5)が手に入るのだ! 皆、さらなるマッスルを目指して城壁をひたすら殴れ! 今夜も耐久値ギリギリまでいくぞォォーー!!」
「「「ウオオオォォォッ!!!」」」ボコボゴボコボコボコ!!!
カキ隊を放置して、俺達は遊びだした。
一定獲得値が手に入る城壁殴りは、武力育成にもってこいなのだ。
「ドーモコンバンワ。張郃儁乂です。カキ死ねェェェーーー!!」
「ぐっ……どうやらここまでか……!」
ギリギリまで城壁耐久値を削った俺達は、混乱から自己回復したカキ隊を探して反転。
丁奉隊の移動で視界に入った彼の部隊を、最終的には張郃が撃破した。
こうして、今回の陳留攻略戦は俺達の圧勝に終わったのだ。
「次回! 『筋肉武将伝 ウホッ! 良い漢だらけでワロス』
第九十五話 「人材大量get ただし基本的に飼い殺す」
いざ行かん、筋肉の為に!!」




