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サクッと片付ける陳留攻略戦④


 シバイ・カキ隊が布陣した山の麓で、張郃隊は《足止》という文字通りの状態異常になり、士気も5減少してしまった。ナンテコッタイ(/´△`\)

※足止……移動不可。それ以外の行動は実行できる為、相手から隣接してくれば攻撃も可能。弓兵部隊の場合も、射程内に敵が居れば攻撃可能。


 受けたダメージは残兵数の10分の1。元々が万を超す大兵力ではなく、洛陽軍との交戦の被害もあった為、400程度の被害で済んだ事が不幸中の幸いだろう。


 だが、この程度で許してくれないのがシバイである。

ソウヒと並んで魏のドSコンビの片翼を担うだけあり、彼の追撃には容赦がなかった。


「不用意に近付きおって。この愚か者が。……張郃よぉ、お主にはまた、戦のなんたるかを教えてやらねばなぁ。

――岩を落とせぇ! 奴等の行動を完全に封印せよ!」


 岩罠とはまた違う落石(美味しそう)が、張郃隊に雨あられと降り注ぐ。

《火殺》や《水禍》と同じく、地形別に発動できる戦法《群石》だ。美味しそう。


 移動を封じられて避ける事もできず、知力も大きく劣る張郃に防ぐ術はなく、《群石》をまともに喰らった彼の部隊は混乱状態に悪化した。


「うっ……ぐわっ!? し、死ぬゥゥゥーーー!!?」


 いや綿菓子だよ。豆腐より柔らかいアフロだよ。あるかどうかも分からない角で頭ぶつけても絶対に死なねぇよ。糖尿病になって脳梗塞でぶっ倒れるぐらい食わなきゃ死なねぇよ。


「……でもまぁ、落石は張郃殿にとってトラウマの一つではあるよね」


「そうだな怜華。なんと言ったって張郃の最期は、蜀軍を追撃中に木門道へ誘い込まれ、退路を塞がれた後に矢の雨を浴びて針鼠だからな。……横◯三国志では、その時に岩や木で退路を断たれていたな。断道の計・伏兵・矢の雨、恐い恐い」


「「ぐわっ!?」って言って針鼠になったけど……次のコマでは倒れてる張郃殿の体に3本の矢しか刺さってないんだよね、あれ」


「あれ絶対抜いたぞ。伝説通り股関に刺さったから、やべぇやべぇって側近が慌てて抜いて、その後に死んだフリして「カット! 収録お疲れ様ー!」……てな感じだろ」


「或いは毛利元就の逸話 “三本の矢” かも知れないよ? 一本の矢では張郃将軍を討てなくても、三本撃てば討ち取り可能! ……的な」


 シバイに続くカキ隊の通常攻撃により、張郃隊の被害は甚大に。残兵数は3,000を切った。


「中々と物騒な団結力だな。そんな毛利三兄弟とか嫌だ」


「そんな秋渓にオススメなのが、広島県防災キャラクターの『タスケ三兄弟』。筋トレが趣味で脱ぐと結構すごい長男のコウスケ。散歩と救急箱の整理が趣味の次男・キョウスケ。かけっこと非常備蓄品の収集が趣味のジスケ」


 依然として姿が見えないエンショウ軍も、行動を終了した様子。

これにより、8ターン目に突入する。


「筋トレは元より、防災グッズの収集なんかも俺は好きだな。最近は美味しい非常食がどんどん開発されてて、『醤油ラーメン』とか『きつねうどん』とか『おでん』とか……『缶ベーカリー』の味も以前に比べて格段と美味しくなったし、おかずも充実してて……果ては『あんこ餅』とかもある」


「もはや『乾パン』の時代は終わったって感じよね。パッケージとかもお洒落なものがあったりして……これからは非常食も、インテリアの一部として飾られるようになるんじゃない?」


「…………あの、お二人とも? 張郃殿の救援、この陳めが行いましょうか?」


 雑談に耽る俺と怜華を見て、陳宮は張郃隊の救援に気乗りがしないと感じたのだろう。


「……否ッ! 仲間の危機に駆けつけぬは大将に非ず! ここは俺が行くのが道理だ! 怜華と朱桓と朱異は続いてくれ。残りは洛陽軍に止めを刺し、陣形を整えた後に攻め上がってくれ」


 毛利やタスケ三兄弟に負けず劣らず、俺も男だ。仲間を見捨てるような事は断じてしない。


 俺は崩壊寸前にまで陥った洛陽軍の横を素通りし、甘寧率いる北側部隊の背後に移る形で、先ずはカキ隊と肉薄した。


「行くぞ皆! これぞ殿路流奥義! 先頭ステルス百足行進!!」


 山中に布陣するカキ隊へ奇襲を仕掛ける。

その方法は至って簡単。全員が百足の様に一列に並び、後ろの兵士は前の兵士の筋肉体に身を隠し、前の兵士は更に前の兵士の筋肉体に身を隠す。

そして最後に、最先頭を進む俺がステルス状態になれば、理論上は全員が隠れた事になる。


「カキちゃんのバカァァーー!!」


 ステルス状態を解除し、突如としてカキ隊の前に姿を現した俺達は、カキの幼馴染になりきったつもりでビンタを食らわせる。

即ち、カキ隊への奇襲に成功した訳である。


 だが、流石は隠れ名将・カキ。此方の奥義を受けて尚、逸早く冷静を取り戻して混乱状態だけは阻止した。


「……相も変わらず訳わかんない奥義を……。取り敢えず私は《沈静》しようか」


 怜華の《沈静》により、張郃隊は混乱状態を脱した。

こうなれば元々が高武力の張郃だ。残兵数が3,000を切ったとは言え、武力に劣るシバイやカキの攻撃で部隊が壊滅する事はない。


 後は一旦後方に下げて、改めて怜華の《治癒》で兵力を回復するだけだ。

※沈静……状態異常の味方部隊が周囲にいる際、スキル関係なしでどんな武将でも行える《計略》。知力やマスクデータの《冷静》が高ければ高い程、成功しやすい。

怜華は武将タイプが「軍師」なので、《冷静》の値も必然的に高く設定されており、知力チートでもあるので十中八九成功します。


「それではこの陳めは、ブンキン隊へ攻撃を仕掛けます! さぁ皆様、後の方々へ繋げるのです!」


「朱桓隊、参るぞ。カキ隊を突き崩せ」


「へっへへ! カコウハよぉ、そろそろ終いといこうや。甘寧隊、突撃だぁ!!」


 怜華に次いで、陳宮・朱桓・甘寧が、それぞれの敵へ攻撃を開始した。

三隊に続く形で、張郃隊を除く他の部隊も攻勢を強めていく。


 そして遂に、洛陽軍31,900壊滅の時が訪れる。


「ブンキン隊は、この丁奉が撃破したァ!!」


「太史子義! 敵将・カコウハを捕らえたぞ!!」


 止めを刺したのは、放浪軍の鉄壁担当たる丁奉と太史慈。

二人で対になる筋肉ポーズがなんとも様になり、戦場南端に於ける局所戦の勝利を彩った。


「朱異隊見参! これより、シバイの側面を突くぞ!」


 放浪軍最後の攻撃部隊は朱異。彼は後退する張郃を援護するべく、シバイの東側面に回った。


 対するシバイも、平静を取り戻した張郃に弓矢攻撃は無駄と判断して捨て置き、新手として現れた朱異に意識を向ける。


「馬ぁ鹿者がぁぁ。我が計を受けるがよい……!」


 先程の《群石》で、シバイの戦法Pは無に等しかった。

それでも彼の行動にはかなりの幅があり、次は計略の《混乱》を仕掛けてきた。


 果たして、知力で大きく劣る朱異は、これに耐えられるのか!?


「愚かなりシバイ。朱桓が子・朱異に、その様な策は通用せぬ! 自らの計で苦しむがよい!」


 心配御無用! シバイ隊の方が混乱状態に陥った!


「あっ……!」


 朱異の武将タイプは「猛将」なれど、彼は朱桓の息子。朱桓が持つ知謀型スキル《反計》を継いでおり、《反計》は知力差関係なしに敵の《挑発》《混乱》をやり返すもの。

即ち、朱異はシバイの《混乱》を混乱仕返したのだ。


 これには当のシバイでさえ、“あっ……” と言ってしまい、動揺の余り首を360°回転させていた。


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