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許昌攻略戦⑨


 9ターン目。場所は打って変わり、第一・二軍が戦っている最前線の山周辺。

戦況は全体的に放浪軍の劣勢であり、甘寧VSカコウトン&トウガイ、朱桓VSチョウコウ&シバショウ、凌操・凌統・太史慈・丁奉VSシバイ・シバシ・ソウヒという図式になっている。


「カコウトン隊、もう一度行くぞ!! 次こそは「車懸」で攻めきってやれ!!」


 “泣きっ面に蜂”とはよく言うもので、甘寧の正面に構えるカコウトンが、騎兵系最強戦法の「車懸」を地形効果ガン無視で成功させた。


※甘寧の居る山地に対しては、猛攻・乱撃・槍衾・車懸の成功率が著しく低下する為、普通ならば成功しない……普通ならば。

これには第76話の冒頭に登場した、上半身ムキムキマッスルなイケメン二足歩行軍馬達も、クワワワッ!! っとぶちギレて当然だろう。「成功率考えろよっ!!」


「よし、我々も続くぞ。爆破だ!」


 陳留より駆け付けたトウガイ騎馬隊6,700も、カコウトンの大打撃に呼応して通常攻撃。

なまじ兵数が多いこともあって、武力値で負けていながらも高ダメージを叩き込んだ。


「ヤッベ、これヤッベ。まじヤベェわ。物量で押され始めた」


 “へっへへ”と笑う余裕も無くなったのか、甘寧は珍しく弱音を吐いた。


 それは隣で戦う朱桓も同じく、彼の場合は前面のチョウコウに武力で押し切られ、背面のシバショウ(6,900重槍槍兵)には数で押し負ける。


「掛かれぃ! 掛かれェェい!! 魏武の真髄、とくと見せてやれェェーー!!」


「……ちっ……! 流すのも限界に近付いてきたか。歴戦の勇将・チョウコウだけなら、まだ何とかなるのだが……シバショウめ、絶妙な頃合いで兵を放ってくれるな」


 名将同士の対決に更なる名将が加勢すれば、二対一となった側の“二”が勝つのは当然。

如何に甘寧や朱桓が強くとも、その法則までは破れなかった。


 方や麓では、この状況を前にしたシバイとソウヒのドSコンビが、凌操・凌統・太史慈・丁奉らの相手を片手間にしながら冷淡な笑みを浮かべていた。


「見よ、仲達(シバイの字)。呉国第一と謳われた猛将が、直に墜ちるぞ」


「ははぁっ。流石は大将軍・カコウトン殿。地形の不利すら気合いで補ってしまわれる」


「フッ! 用兵家には笑えぬ冗談だが、対する甘寧も気合いの輩だ。同じ土俵での戦い故、文句は言えまい。……ところで仲達、我が国最強の謀士たる貴様にも、あれが出来るか? 試しにやってみよ。目前の太史慈あたり、丁度良い的だとは思わぬか?」


「ふふふ……無駄に大きい的へ当てたとて、大した誇りにはなりますまい」


「……フン……着いて早々では、戦法の準備も整っていないか。

――が、何が起こるか分からんのが戦だ。早々に決着をつけるに越した事はない。戦法の準備が整い次第、的を絞らず乱し尽くしてやれ。本隊の知略派と分断されている奴等など、一度乱れれば哀れなるものだぞ」


「如何にも。正しくその通りでして――むむぅっ!?」


 ドSコンビの談笑中、シバイは新手の気配を察知した。

彼は即座に首を回し、十八番芸たる「180°首回転 the狼顧の相」を披露。自分達の背後へ急接近する部隊を両の眼に収める。


「「ファァァーーーーアングッ!!!」」


 それなる者々は、強烈にして神速の突進劇を誇る狂戦士・夏侯淵。ならびに彼を先導する放浪軍頭領・殿路秋渓と、大陸の新アイドル「天狗」こと丁封、スーパーウーマンも頬染めするナイスガイ・スーパーマンの全端に加え、4,500の筋肉兵。つまり俺達だ!!


「敵襲! 敵襲ーー!? 背後からてk――ファーーァンッ!?」


「な、なんだてめぇら!? 一体どうやって――ファンッ!?」


「ま、まずい!? 奴等合流するぞ! 止め――ファーアングッ!?」


(目にものを見るがいいソウソウ軍! この破竹の如き勢いを! お前達の兵が紙吹雪のように吹き飛ぶ様は、圧巻の極みじゃないか!!)


 その証に、冷静沈着なドSコンビも面食らっている。今こそまたとない好機だ。


 ソウヒ隊の側面に風穴を開けた俺と夏侯淵は、そこで一旦進撃を止め、先ずは相対する第二陣の丁奉隊と合流する。


「お待ちしておりましたぞ殿路殿! 封と全端殿も、よくぞ殿路殿を連れてきてくれた!」


「丁奉。出迎えは嬉しいが、あまり時間がないんだ。暫くの間でいい。隣の太史慈隊と一緒になって、ここを死守してくれ。その僅かな時間で戦局を覆してみせる!」


「堅守こそ、我等両名の得意とするところ。了解致しました」


「頼んだぞ、二人とも。……よし、それじゃあ――甘寧朱桓凌操凌統!! 此方だ! 目の前の敵を無視して此方に来ぉーーい!!」


 次は被害を承知の上で第一軍を呼び戻し、今しがた出来た拠点に集結させる。


「あれは殿路殿……!? いつの間に戻っておられた……」


「へっへ……! なんだかこっち来いって言ってんなぁ。……一か八か、逃げるとするかね」


 甘寧と朱桓は状況把握に苦しみつつも、一塊となって下山。麓にいる凌親子が二人を迎え、太史慈と丁奉が繋ぎ役を果たして俺達との合流を成功させた。


 当然、敵の軍師・カクカは、カコウトンとチョウコウに追撃を指示し、トウガイとシバショウもそれに倣って包囲の輪を縮める。


「大将のお陰で前後の挟撃からは免れたけだよ、戦う場所が変わっただけで、全体の戦況は大して変わっちゃいねぇぜ? ……これからどうすんだい?」


 得物の鉄鎖(テッサ)をブンブン! と振るい、片手間に敵兵を帰宅させる甘寧。

確かに彼が言うとおり、戦力の一局集中には成功し、包囲攻撃からは半ば脱したものの、以前として敵の猛攻は冷め止まない。


 俺は甘寧ら第一陣の将達に、残っている兵数を尋ねる。


「……甘寧・朱桓・凌操・凌統。各隊の兵はどれぐらい残っている?」


「あぁーー、俺んとこは結構やられたか……ざっと2,500ってとこかな?」


「私の部隊は3,000程度残っています」


「うむ、我が隊も3,000だ。先にやられた奇襲が中々と痛かったわ」


「殿路殿、俺の部隊は4,000人です! まだまだやれますよ!」


 合計して12,500。元々が20,000の大戦力だっただけに、まだ戦える数を残していた。


「太史慈と丁奉の部隊も、今のところは被害が小さい。対してソウソウ軍の戦力も少なからず減っている。……よし、これならいけるぞ!」


 敵味方の戦力差、主要な戦場の位置関係、第一・二軍の残兵数を考慮した結果、この戦況でもソウソウ軍を撃破できると判断した。


 そして、俺が自信に満ちた眼差しを向けると同時に、甘寧を筆頭とした仲間達もまた、同じ様に微笑を浮かべて見せる。


「……へっへへ! 何か手があるんだな。よぅし、どーんと言ってくれや大将!」


「おぅ! お言葉に甘えてドドーン! と言うぜ!!

――先ずは背中の守りを太史慈と丁奉に任す!!」


「「お任せをォォ!!」」


 鉄壁を誇る豪将二人にこの場を任せるや、当人達は全力でそれに答えてくれた。

これ程の士気があれば、数ターンの間は揺るぎなく耐えられると確信できる。


「ヨッシャアァァ!! それじゃあ第一軍の皆と夏侯淵隊は、今から『漢の大返し』だァァ!! 反転してソウソウの背後を強襲し、一撃の下に勝敗を決するぞ!!」


「「「ゥウオオオォォォーーー!!!」」」


 第二軍を殿(シンガリ)に残し、他の部隊は一兵残らず反転!! 怜華を討つべく突出したソウソウ本隊に、急転直下の一撃を喰らわせてくれる!!






さぁて、来週の『ウホッ! 良い漢だらけでワロス』は――


「波兵です。長年付き添った妻を捨て、飲み屋で知り合った女性との結婚を計画中、突然家族の態度が優しくなりました。一体どうしたと言うのでしょう。


さて、次回は――


・消えた印鑑

・忍び寄る魔の手

・波兵、突然の死


の三本でお送りします」


「次回も見て下さいねヽ(´ー` )ノ じゃんけんポンッ! ウシシシシシ!!」




 この放送は、『コヨエモンショッピング』の提供で、お送りしました。


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