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許昌攻略戦③

 騎兵系最強戦法の「車懸」。それはイナゴこと、北平の白馬将軍・コウソンサンの得意分野であり、戦の華とも言える騎馬突撃だ。

実際のプレイでは専用カットインが入り、陣形を組んだ騎馬兵の群れが波状突撃を仕掛けるムービーが流れる。

たとえ部隊の兵数が1であっても、大勢の騎馬兵がドドドドド!! ……と突撃する。


 別のカットインも紹介するなら、策略の「鼓舞」が成功した際に、大勢の兵士がオオオォォォーー!! と武器を掲げて歓声を上げる。

全部隊が2で、全軍の兵数が2であってもだ。※策略は大将と参謀の部隊が健在でないと使用不可な為、全部隊・全兵士ともに2となる。


 1人ないし2人以上いる他の兵士達は、いったい誰なのか。誰か教えてくれ。


???「オイ」


 そんな素朴な疑問に答えてくれるのは、騎兵達の足となって戦場を駆け抜ける軍馬さん。

逞しい肉体から溢れ出るモリモリの筋肉で兵士達を肩車して、二足歩行する顔だけが馬のイケメンナイスガイだ。

それじゃあ体の構造はどうなっているのかだって? 当然、体は人間だ。……何? 化物じゃないかって? 断じて否!! 歴とした馬である。みんなも幼い頃に父親をお馬さんに見立てて遊んだ筈。それが大人になった今、戦争という形で発揮されただけである。何ら可笑しな事はない。


騎兵「はい?」


 騎乗(肩車or高いたかーい)してもらっている兵達が、首を傾げて一様に疑問符を浮かべると、お馬さんはいきなり激怒する。


「ここは山だっつってんだろがっ!! 成功率考えろよ!!」


「ヒィィーー!? ごめんなさい!?」


 クワワワッ!! と顔をしかめた軍馬に対し、騎兵達は一斉に謝罪した。

お察しの通り、彼等が攻め上がらんとしている場所は山地であり、地形効果によって猛攻・乱撃・槍衾・車懸が成功しにくいのだ。

即ち、カコウトンが繰り出したLv4の車懸は失敗した。


 凌統は、今こそ好機とばかりに両手を天に掲げ、凌操召喚の儀式に移る。


「よし、敵の攻撃は不発に終わった様だ。……しからば! 父上、今こそ降臨のとk――」


「フゥゥワァァァァーーー!!!」


 儀式が整う間もなく、凌操は先陣を切って麓のジョコウ隊2,300へ突撃した。

無視される形となり、暫く呆然とした凌統の両手には、髭を生やした天使が舞い降りる。


「…………ってこんな軟弱者要るかぁぁーー!!

――皆、続け! 父上と共に眼下の敵を強襲するぞ!! いざっ!!」


 凌統によって握り潰された髭モジャ天使は、「あふぅぅん///」と鳴くと同時に恍惚的な表情を浮かべ、凌操隊と交戦を始めたジョコウ隊への先達として投げ飛ばされた。


 天使の加護を受けた凌統隊は直ちに突撃し、今度こそ父の部隊との挟撃に転じる。


 そして凌操隊に続く太史慈隊も、親子の反撃に便乗して後方より「放射」を仕掛ける。


「太史子義、見参!! 勇者達よ、渾身の矢を雨と降らせてやれ!!」


 太史慈隊の放射は成功。勇壮な号令の下、剛毅なる一矢が雨霰と降り注ぐ。

ジョコウ隊の兵士の多くが、その気迫にハートを射抜かれると、彼等は一人二人……十人百人…………最終的には千人を超える者が帰宅を余儀なくされた。


「これで幕じゃあぁぁ!! フゥゥワァァァァーー!!」


 止めの一撃とばかりに凌操が大暴れ。

前のターンではチンタイの妨害を受け、壊滅状態に陥ったテンイ隊を撃破できなかったが、今回のターンはしっかりと止めを刺す。


 これにより、ジョコウ隊は登場1ターン目にして早々たる退場を余儀なくされた。

ジョコウは凌操隊に捕縛され、姫崎放浪軍の各部隊士気が5ずつ上昇した。


 一方、魏軍左翼のチョウコウ隊2,300と相対した朱桓隊4,790も、攻め込んだチョウコウを迎撃する形で交戦状態に発展していた。


「掛かれ! 掛かれ掛かれェェ!! 魏武の真髄を見せてやれェェーー!!」


「受け流す。各自、私の指示を聞き逃すな」


 チョウコウ隊はLv3の奇襲を敢行したが、容易く看破した朱桓は戦略的な迎撃態勢をとる。

両者の力は早くも拮抗し、単純な兵数の多い朱桓隊が優勢に見えた。


 然し、6ターン目に突入して以降、事態は大きく変わる。

手始めに、「曇り」だった天候が「豪雨」に悪化。

これによって両軍の機動力が大きく低下するが、その弊害を最大限に受けるのは、このターンで主戦場へ到着する予定の放浪軍本隊二万だった。


「うわぁー、豪雨だよ。これじゃあ戦場に間に合わない」


 仮頭領として本隊を率いる怜華が、クラーケンとネッシーのイチャイチャ結婚式が描かれた傘を広げながら呟く。


どうでもいい話だが、日本に於けるタコ輸入量一位のモロッコでは、タコは悪魔の生き物とされている為、殆ど食されないのだとか。タコ……凄く美味しいのにね。


「まぁ……わたくし達が多少遅れたとしても、戦況に影響はないかと思いますわ。先の報告を聞く限りでは、第一軍・第二軍ともに優勢との事ですし、下手に強行軍を強いて戦力を削る必要もないでしょう」


 「疾風」や「速攻」といった機動戦術以外の進軍では、普通に進める距離とは別に、士気・兵数を僅かに減少させる事でより遠くまで進軍可能となる「強行移動」という形態が存在する。

※速攻戦術では、通常の進軍距離に強行移動距離を加えた範囲がデフォルトとなる。疾風戦術では、その範囲が更に広がる。二戦術とも、移動距離限界まで進んでも兵数・士気の低下は発生しない。


 ショカツリョウの指揮する北伐で機動作戦を散々提案してきた魏延だが、彼女は今回に至っては悠長な進軍でも問題ないと言う。


「…………いえ。陳めは、そのようには思えませぬ」


「……あら? 陳宮殿、それは一体どういった意味で?」


 そんな魏延に対し、全軍の参謀を務める陳宮は問題ありと言った。

優美な笑みを浮かべた魏延が表情変えぬまま問い返す反面、陳宮は如何にも不安げな顔色を見せて語りだす。


「ソウソウは砦を軸とした防衛線を築かず、敢えて前方に打って出たとの事。それは恐らく、私共の各大隊が足並みを揃える前に各個撃破せんとの考えかと。……奴はきっと……先鋒部隊を真っ先に屠るべく、恐ろしい布陣を形成しつつある筈。……そこにきて、この豪雨です。機動力はおろか、私共の取り柄である視界の広さも失いました。今は多少の強行軍をもってしても、先に進んだ友軍と合流すべきかと」


「……うん、成る程ね。確かに陳宮殿の言う通りかもしれない。秋渓も以前、守備側の予期しない出撃に翻弄された事があるって言ってたし……あのソウソウなら、規格外の手を打ってきても不思議じゃない」


 怜華は陳宮の意見に賛同を示した。魏延も大将と参謀の二人がかくも言うならばと、強行軍を了承する。因みに夏侯淵はいつも通りの万歳三唱だ。


「よぉーし、それじゃあみんな! 全速力で走りまくる――」


「大変でーす! 大変でーす! 三河屋印の伝令でーす!」


 怜華が号令を下さんとした時、某国民的アニメに登場する酒店の顔役ことサブちゃんの顔を旗印にした伝令が、颯爽と報告に現れた。

うむ、中々に良い顔、中々に良いタイミング。流石はサブちゃんだ。


「ソウソウ軍の援軍が御味方の先鋒部隊を背後から強襲。第一・二軍ともに包囲されましたー! んじゃ、ちわーーっす!」


「……マジですか…………ちわーーっす」


 ポチッ! 『げえっ』『げえっ』『げえっ』『ウム!』

本隊の指揮を執る怜華・陳宮・魏延の三将が、購入したばかりの横山三国志スタンプ 曹操「げぇっ」を、同時に押した瞬間であった。


因みに、『ウム!』を押したのは夏侯淵です。お前はどっちの味方なんだ。

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