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君主が君主だからといって活躍できるとは限らナイツ by怜華


281年10月 軍議ターン


「孫呉の底力、見せ付けてくれわ!! 者共、このソン・チュウボウに続け!!」

『ソンケン軍のソンケンが総大将となり、柴桑(サイソウ)へ侵攻。守備側正規軍が存在しない為、ソンケン軍が柴桑の占拠に成功しました』


『冀州(キシュウ)を平定したエンショウが州牧に任命されました』


『エンショウ軍とカシン軍が同盟を締結しました』


『テイゲン軍とエンショウ軍が同盟を締結しました』


官渡(カント)の戦い

鄴(ギョウ) エンショウ軍 & 洛陽(ラクヨウ) カシン軍 VS 陳留・許昌ソウソウ軍

「さぁ参るぞ! このエン・ホンショある限り、決して敗けはせぬ!!」

「愚か者がぁ……我が策謀の餌食となるがいい」

『エンショウ軍とカシン軍が連合軍を結成し、エンショウを大将にして陳留へ侵攻。

陳留のソウソウ軍はシバイを大将に防衛。許昌からはソウソウを大将にした援軍が出陣。

ソウソウ軍は勝利し、陳留の防衛に成功しました』


易京(エキキョウ)の戦い

渤海(ボッカイ) エンショウ軍 VS 北平(ホクヘイ) コウソンサン軍

「どの様な敵であろうと、恐れず戦い抜くのみ!!」

「ふふふ……! 白馬将軍の恐ろしさ、存分に魅せてやろう!」

『エンショウ軍のコウカンが総大将となり、北平に侵攻。北平のコウソンサン軍はコウソンサンを総大将に防衛。

コウソンサン軍は敗北し、北平はエンショウ軍の領土となりました』

『コウソンサン軍は全ての領土を失った為、大陸から姿を消しました』




「はい! という訳で今回は……エンショウ軍が大躍進するかに思えて、ソウソウ軍の奮戦が光りました。……それとコウソンサンさん。かなり自信あり気な台詞でしたけど、相当な噛ませで終了しましたね。お疲れ様です!」


 仮頭領に就任した怜華が軍議の始まりを示すべく、パンッ! と手を叩いた。


 朱桓を始めとする頭脳派の仲間達は一旦食事の手を休めるや、改めて怜華に向き直る。

それに続いて凌統や太史慈といった純武闘派の仲間達も落ち着きを見せ、皆が戦略的思考に切り替えた。


 今回のターンは強豪勢力の領土拡大とともに、有名合戦が2回も発生した。


 有名合戦とはなんぞや? と説明するならば……

特定の都市から特定の都市へ侵攻した際、『三国志演義』で実際に起こった戦いの名前が表示され、特別な戦場での戦いになる事。


今回の場合は、199年に発生したエンショウ軍 VS コウソンサン軍の『易京の戦い』。200年に発生したエンショウ軍 VS ソウソウ軍による天下分け目の大戦『官渡の戦い』。

『易京の戦い』は渤海→北平で発生し、『官渡の戦い』は陳留⇔鄴で発生する。


それ以外の例を挙げるなら……

・陳留→洛陽で『虎牢関の戦い』(劉備・関羽・張飛 VS 呂布で有名な戦い。ゲーム上の能力値で言えば、武力70+102+103=108+補正値)

・江陵(コウリョウ)→柴桑で『赤壁の戦い』(映画「レッドクリフ」でも有名な三国志最大の見せ場。甘寧が甘興という半オリキャラになっている)

・秣陵→寿春で『合肥(ガッピ)の戦い』(「甘寧一番乗りィィーー!!」が生まれた戦い。実際に「一番乗りィィーー!!」って言ったかどうかは不明だが、99%の確率で言ってないと思う)

・寿春(ジュシュン)→秣陵(マツリョウ) で 『濡須(ジュシュ)の戦い』(初登場の朱桓先生(27歳)が大活躍した戦い。演義と正史の記録で年齢詐欺を働いた瞬間)


 話を戻して、朱桓が何時も通りの補足説明を行う。


「……うむ……今月の結果で、改めてエンショウ軍の強大さが如実に知れたな。手負いのソウソウ軍に「配下武将の質」で敗れたものの、陳留・許昌の残兵数から察するに相当な激戦を演じたのだろう。その上で真逆に位置するコウソンサンを攻め、これを圧倒した。……やはり、奴等は油断ならぬ勢力だ」


 第二次譙攻略戦で殿路放浪軍に敗れたばかりのソウソウ軍は、許昌の兵士が49,152、陳留の兵士が33,270だった。あれほどの大敗をきっして尚、優に8万を超える大軍を有していたのだ。

そして今回エンショウ軍と激突した事で、許昌兵が33,116、陳留兵が27,849となっていた。実に2万以上の兵士を失った事になる。


配下武将の質で敗けたにしろ、あのソウソウ軍に大打撃を与えた結果は、流石のエンショウ軍と言えるものだった。


 補足説明を終えた朱桓がエンショウ軍を危惧する傍ら、次は陳宮が申す。


「……とは言え、エンショウ軍の一勝一敗は私共からすれば嬉しい結果。何時も通り滅亡したコウソンサン軍はともかく、弱り目のソウソウ軍まで蹴散らされてはエンショウ軍一強に成りかねませんからなぁ~」


 コウソンサン(別名「イナゴ」)は九割程の確率でエンショウに負ける。

一度だけエンショウを打ち負かし、大陸北部を席巻したイレギュラーを見た事はあるが、基本的には史実通り『易京の戦い』でエンショウに敗れる。


そして滅亡後に登用され、元君主という事で厚待遇を受け、エンショウ軍の超戦力として大活躍し、ソウソウ軍との決戦では騎兵系戦法最強の「車懸」で爆走するまでがデフォルト。

はっきり言って君主時代よりもエンショウ配下時代の方が長く、エンショウ軍内にあって一際輝いている。走れイナゴ!! 今日も戦場が呼んでいる!!


「……んで、奴等が痛み分けした隙を突いて、俺らが許昌を落とす……と。へへ! 図らずしも漁夫の利を得られる訳か。旨し旨し」


 甘寧が焼き魚を頬張る。旨し旨し。怜華も美味しい状況に感謝する。


「そう、美味し糧。8万近いソウソウ軍を相手するのは面倒だけど、6万なら普通に押し勝てる。だから先ずは許昌を落とすよ」


「よし来た! んじゃあ軍師ちゃんよ、仮頭領として出陣の号令を――」


「の前に、一つやっておきたい事があるの」


「んあ? やっておきたい事?」


「旧劉岱軍の人達に、汝南のエンジュツ軍を攻めてほしいの。勿論、勝つ必要はないよ。適当にブラブラして内政値だけ下げて撤退してきて」


 劉岱(リュウタイ)、 袁遺(エンイ)、 王忠(ヒゲネズミ)、 橋瑁(キョウボウ)の四人が首を傾げる。

「放火魔式鍛練」でもないその行動に、果たして何の意味があるのかと。


 すると四人を代表するように、朱桓が怜華へ尋ね返す。


「……牽制のつもりだと察しはつくが、侵攻行為による内政値の低下だけでは大した意味がないのでは? 寧ろ、徒に友好度が下がるだけに思える。……エンジュツ軍の勢力拡大を阻害したいなら、何かしら別の方法で戦力を削るしかないだろう」


「ううん、それでいいの。エンジュツ軍は今内政重視だから、目標の内政値に達するまで軍事行動は絶対に取らない。

――つまり、無駄に思える空侵攻でも、状況によっては長時間の足止めになるんだよ」


「……その根拠は、如何に?」


「一つは、先の軍議ターンに於けるエンジュツ軍の傍観状態。ソウソウ軍を打ち破れる絶好の機会なのに、私達に先んじて行動できる筈なのに、敢えて動こうとしなかった。その理由がこれ。目標の内政値に達していなかったからなの。

……二つ目は、歴戦の猛者である秋渓の経験。彼はこの技を駆使して二十万の大軍を五万で足止めして、手薄な都市を奇襲して劣勢を巻き返した事がある」


「おぉっ! やるじゃねぇか、あの大将さん!!」


「フッ、成る程……そういう事だったか」


 甘寧や丁奉や諸葛誕のみならず、戦略に煩い朱桓までが感心する。

戦略云々ではなく、ゲーム上の仕様という話ではあるのだが、朱桓は利用できるものは何でも利用する質だった。


 理解と尊敬を示す諸将らへ、怜華は続けて説明する。


「それとね、エンジュツ軍の戦力を減らせない理由もあるの。彼等は二流の勢力で、本気で戦っても普通に負ける情けない集団だけど……戦わなければ戦わないで、存在そのものが大きな役割を果たす。……簡単に言えば、現在進行中で絶好調な勢力拡大を見せてるソンケン軍の牽制役だね」


 今回の軍議ターンで柴桑を攻め落としたソンケン軍は、更に勢力拡大を果たした。

彼等が現在所有する都市は、廬江(ロコウ)・寿春・柴桑の三都市。鄴、渤海、北平を有するエンショウ軍に匹敵すると言っても過言ではない。


「エンショウ軍はソウソウ軍を滅亡した後に滅亡させる予定だけど……ソンケン軍はその間に大勢力を築く筈。っていうか絶対に大勢力になる。だからそれを遅らせる為にも、エンジュツ軍には引き籠り状態を徹底してもらう必要があるの」


 『戦ったら(働いたら)負けかなと思ってる』とは良く言うもので、エンジュツ軍は実際に戦ったら九割の確率で負ける。コウソンサンと違って、負けた後に登用されても活躍できない。


 然し、戦わなければ厄介な存在になりうる。即ち引き籠りニートだ。

怜華はそれを利用して、ソンケン軍の勢力拡大を阻害せんと企てたのだ。


 これぞ姫崎流兵法「新屠(ニート)用いて虎を阻む!! ちょっと待ちなそこの虎。あんた中々に良い体躯だね。うちがこの間北極で保護したシロクマが彼氏募集中なんだけど会ってみないかい? なぁに絶対に気に入るよ。なんたって魂の波長がピッタリだからね」……である!!


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