期待の新戦力
「……あれ? そんなに畏まって、みんなどうしたの? それと秋渓は?」
ラムの毛繕いを終えた怜華が宴会場へ戻ると、丁奉や諸葛誕といった一部の筋肉戦士を代表とする諸将が、神妙な面持ちを浮かべていた。
彼等は放浪軍随一の知恵者に該当する怜華に、すがる様に報告する。
「それがですな……殿路殿を胴上げ致したのですが……」
「うんうん。胴上げしたは良いけど、高く飛ばしすぎちゃった……と」
皆を代表した丁奉の発言に、怜華は逸早い理解を示した。丁奉は僅かに驚く。
「ま、正しくその通りで……。それにしても、よく分かりましたな……」
「流石にもう慣れました。……それで、秋渓が戻ってくる気配がないと」
「はい。それゆえに、皆で如何致したものかと考えておりました……」
丁奉に次いで、貴重な常識人である全琮が発言する。
因みに彼の相棒の朱桓は、既に酔いどれ状態となっている為、全く役に立たなかった。
「正直、こんな事は想像したくありませぬが……もし殿路殿が戻られなんだ場合、儂等は……」
「う……うぅむ……!」
経験豊かな老将の浮かない顔に釣られ、多くの者が不穏な色を見せる。
因みに実年齢では全琮以上の老将に当たる朱桓先生は、完全に酔い潰れて眠っていた。
頼りになる軍師・怜華も、今回ばかりはお手上げなのか、返答に困った様子で俯いた。
「そう……それはつまり、アレね…………」
皆の脳裏に「放浪軍解散」や「乱世鎮圧失敗」や「ウニョラァァ!? おんどらピィーー!!」という不吉な言葉が過る。
皆が皆、殿路秋渓を頭領としたこの放浪軍を、何だかんだ言って楽しんでいただけに、上記の言葉を聞きたくないと思っていたのだ。
俯いた怜華は一拍置いた後に顔を上げるや、何時になく真剣な面持ちで言い放つ。
「遂に……私の時代が来たってことね (ФωФ)」ドヤァ!!
「「「………………えぇっ!?」」」
だが、そこに来て怜華が発した言葉は、限りなく何かが違った。
諸将はほぼ同時に驚愕の声を上げた。爆睡状態の朱桓先生も「ふがぁっ!?」っという声を上げて目覚めるや、怜華の生足を見て満足し、再び眠りにつく……このムッツリさんめ。
ともすれば、体感的な最年長にして常識人・全琮が、今夜に関しては役立たずな相棒を徐に無視して、怜華へ抗議する。
「怜華殿……その……怜華殿の時代とは、いったい……?」
「秋渓の遺志を継いで……私なりの乱世鎮圧を始動します!!」
「そ、それで良いのですか!? 殿路殿はどうするのですか!? 彼はこの放浪軍の頭領ですぞ!?」
「帰ってきそうにない人を頼みとしても無理でしょう。帰ってきたら帰ってきたで、何時も通りに引き継がせて……帰って来ないなら帰って来ないで、暫くの間は私達が臨機応変に動くだけの話ですよ」
「や、やけに冷静ですな。……失礼を言えば、ちょっと淡白かと……」
「仮にも軍師やってますから、こんな時こそ冷静でいなくちゃね。……それに、以前にも何回か秋渓が居なくなった時があるので……慣れです。慣れ!
――ではここで、逆に問いましょう。……秋渓が居なくて困る理由とは?」
突然の問いに対して、まずは甘寧が答える。
顔に微笑を浮かべるあたり、彼は意外と乗り気な様子だった。
「へっへへ! まぁ、個人的には調子が狂うかもなぁ? 軍師ちゃんが仮にも軍師だって言うなら、大将さんも仮にも大将だ。……仮であろうがなかろうが、俺は大将さんに従ってるつもりだしよ。他の連中も、そういうの多いんじねぇ?」
「ファーーアング!! ファーーアング!! ファーーアング!!」
甘寧の発言に、丁奉や諸葛誕を代表とする愛の筋肉戦士達が静かに頷き、夏侯淵が賛同の声を上げながら万歳三唱する。
それに対して、次は魏延が続く。
「わたくしはまぁ、そこのところどうでも良いのですが……殿路殿が抜けた分、純粋な戦力は大きく低下しますわねぇ」
「ファーーアング!! ファーーアング!! ファーーアング!!」
夏侯淵も、狂った様に万歳三唱で同意する。というか彼に至っては狂っていた。
「うんうん。皆の士気に関わるのは大事ね。戦力が低下するのも確かだね。
――ならば、それをどうにかしてこそ軍師というもの!!」
「お、おぉっ!?」
「まずは秋渓分の戦力補強ですが! ……既に期待の新戦力が居るので特に何も必要ありません。夏侯淵将軍、頼みましたよ」
「ファーーアング!! ファーーアング!! ファーーアング!!」
「そして肝心の士気ですが……既に秋渓並みの訳わからない存在がここに居るので、特に何も必要ありません。夏侯淵将軍、頼みましたよ」
「オッス、オラ秋渓! コレカラヨロシクナ!!」
怜華から肩を叩かれた夏侯淵は、なんだかワクワクしてきたぞ。
「という訳で、これから暫くは私が頭領です。朱桓殿には本参謀を任せます」
「グーー、ゴォーー。……ぐぉっ!? …………む? ……ぅむむ……グーー、ゴォーー!」
呼ばれた気がして起きた朱桓先生。
皆の視線が自分に集まっている事を気にも留めず、怜華の生足を見て満足するや、再び深い眠りについてしまった。こんの巫女好き足フェチのムッツリさんめ。
まぁ実年齢が爺だし、仕方ない仕方ない。
ソンケン(父)やソンサクは髭のない好青年面なのに、ソンケン(息子)は豊かな髭を持つオッサン面な事も含めて仕方ない。
ソンケン(息子)と朱桓は仲が良いから、禁断の儀式か何かで顔をチェンジしたんだよ、きっと。
「じゃー頑張るぞー! えーいえーいおぉーー!」
(((これはこれで……色々と心配だ……)))
新頭領・怜華が拳を掲げたこの時、『殿路放浪軍』改めて『姫崎放浪軍』が誕生した。
強引な継承に諸将らは不安がったが、一瞬の後には怜華によって振る舞われた酒に酔い潰され、「まぁいいか」で終わるのである。
※秋渓が復帰するまで、姫崎怜華が仮の頭領になります。
それに伴い、何と! 次の話から暫くの間だけ、タイトルを変更します!! ドドン!! (太史慈が太鼓を叩いてくれました。イヨッ! 海苔が良いね! 旨いね!)
現在の『ゲーム内転移 武力チートな俺と知力チートな女友達が、大陸上から全勢力の滅亡ENDを目指す』から『姫崎怜華の野望!!(諸事情によりタイトル変更中)』になります。マジで(;`・ω・)ノ
おっと、「信長◯野望」のパクりとか言うなよ。「創造」とか「戦国立志伝」とか「嵐世記」とか遊んだ事ないからな。知らないからな。諸葛亮より一休さんの方が知力高いとか、水戸黄門が尋常じゃない黒発言とともに挙兵するとか、今川氏真が劉禅やジョン欠地王と共に天下を目指すとか……絶対に絶対に知らないからな!!
それともう一つ、怜華が指揮を執るにあたって戦争描写が少し変わります。
今まではゲームプレイに則った流れで文章を書いてきましたが、暫くの間はそれを無視した真面目な戦争をするつもりです。(ただし夏侯淵将軍の狂人化状態に変わりはありません。彼には最大に狂っていただきましょうワハハハハ)
これによって変化する事例を挙げるなら……
・王忠みたいな低能力武将が、ギャグと思える確率の奇跡を起こさなくなる。
・カコウトンやカクカのような有能武将が、無能に近い行動を取らなくなる(有能になる訳ではありません。何せ作者が無能だからワハハハハ)。
・戦争パートのテンポが改善される。
武将ごとの行動・戦法成功の有無・被害数をメモしながらプレイする事、もといプレイ記録を基に文章を書いていては、話が全く進みませんので…………ゲームプレイする時間がないとか、そんなん図星じゃなくて冥王星か海王星ですから!!
とにかく色々あるけども……なんだかオラ、ワクワクしてきたぞ!!




