狂将ゲットだぜ!!
「ジュラット・メアリー伯爵!? …………ハッ!? ゆ、夢か……!」
一瞬=数時間の悪夢から目覚めた俺は、滝が汗の様だった。滝の鯉登りだった。
そう、ジュラット・メアリー伯爵は逆を行く事に定評のある名将であり、兵糧を態と燃やして三日の内に勝利すると奮起させておきながら、二日間に亘る麻雀大会を開く。
まぁ、それで油断した敵を急襲して勝つんだから、名将なのだ。
そして今、何の脈絡もない貴族を紹介したところで、俺の前には虜囚の身となったソウソウ軍の諸将が並んでいる。
彼等の処遇を決めるのが、頭領たる俺の役目だ。
「まずソウソウだが、あんたは『解放』で。処断すると一族が暗殺者になるからな」
「ふぅん……愚かな判断よ。我を捕縛できる機会など、もう二度とあるまい。ここでこのソウ・モウトクを斬らねば、明日の我は貴様というに」
ソウソウは退却成功率100%を誇る馬ちゃんアイテム(ゲーム上では「名馬」という分類)を二つも持っている。「爪黄飛電」と「絶影」の二頭だ。
一応補足すると、二頭所持しているからと言って成功率200%みたいに限界突破する事はない。
だいたい馬を二頭も使う武将なんて見たこともな…………あ、戦国BA◯RAの御館様は馬を二頭使ってたっけ。足一本につき馬一頭で仁王立ちしてたっけ。
あれ見ていつも思うんだけど、二頭の馬が喧嘩して反対方向に走ってったら股裂けるよな。
※気になった人は「戦国BASARA 武田信玄 馬」で検索してください。
話を戻して……今回に関しては、ソウソウ本人が落城予定の城へ退却し、戦後の捕縛判定を受けた結果、名馬持ちのソウソウが捕縛されたのだ。
武将は退却する際、名馬の有無関係なしに、基本的には隣接する味方都市へ逃げる。隣接都市がない場合に、落城予定の城へ逃げる。
……で、今回は許昌があったにも関わらず、金的が余りにも痛かったせいで、許昌まで向かう気になれなかったのだろう。
即ち、今回はレアなケースで捕縛できた訳であり、次の戦でも捕縛できるとは限らない。
「限らないなら、今ここでソウソウを処断するべき……ってのは理に適ってるだろうけどな。さっきも言った通り、お前を楽屋裏へ送ると一族が暗殺しに来るから。その度に対応するのも面倒なんだ」
「……先の障害を恐れて、明日の勝利を捨てる……か。今一度言おう。愚かな判断だ」
ソウソウは続けて語る。彼が思う英雄像を。
「悪名を恐れて乱世は生き残れぬ。真の治世を目指す者ならば、情を犠牲に結果を掴め。それが出来ぬ貴様は臆病な強者だ。いずれ後悔する――」
「カッ! 知らんっ!! ドン!」
カッ! と目を見開いた俺は威風ドンドンと言い放った。
よく漫画で見かけるカッ! やドン! を、自分で言う事によって体現したのだ。
「カッシランドン? プテラノドンみたいな感じの新しいUMA?」
「いや、違うな怜華よ。敢えて言えば男の浪漫だ」
「それも違うわよ秋渓。UMAは男女問わずみんなの浪漫だからね」
少年漫画を読まない怜華には、いかした見切りが伝わらなかった。
俺は彼女の主張をやんわりと流しつつ、ソウソウの主張に反論する。
「……とにかく、お前を楽屋裏に送らないのは、悪名を恐れている訳じゃない」
「……ほぅ、では何だ? 言ってみるがよい」
「雑魚に構ってる暇を惜しむんだ」
虜囚の身にあっても変わらぬ威厳を放ち続けたソウソウが、その一言に眉根を寄せた。
それにつられて、彼の右に控えるカコウトンが激情の声を上げる。
「何だと!? 土地すら持たぬ痩せ犬の貴様が、抜かした事を言――」
だが、それを制止するのは、他でもないソウソウだった。
「この曹一門を雑魚と呼ぶか。大した大見得を切るものだな、殿路秋渓よ。貴様は余程、自分の実力に自信があると見た。……それが弱点であるとも知らず」
「……何か勘違いしてるようだが……俺は自分が強いとは一言も言っていない! 敢えて言えば、『俺達』が『お前達』より強いのだ!! ドドン!!」
授かり物の力でドヤるな!! ……とはよく言うもので、俺は自分に設定されたチート能力値に、胡座をかく事は絶対にしたくない。
効果音を自分で言って、無駄に格好つける事はするが。
ドドン!! おっと、これは太史慈の太鼓だぜ。……チリンチリン♪ おっと、これは兄貴のベルの音だぜ。……#〒♯♯§■#△*♯〒§ΠΦΙΥβ!!! おっと、これは怜華による…………なんだこれ? 何の音なのこれ!? あっ、なんかUFOの大軍が現れたんですけど……。大軍師怜華様万歳あれ何!?
「……とにかく、俺は自分一人で無双できるほど出来た奴じゃねぇよ。……お前はそうかもしれないけどな、乱世の姦雄・ソウソウ」
「………………(得体の知れぬ円盤が現れたのだが)」
「俺の傍には最高な知恵者が、最高な武芸者が、沢山いる。それら全員が最高の仲間で、彼等の力に頼る事で漸く、俺はここに『いられる』。勝つ事ができるんだ。だからお前の言う“大見得”なんか切ってない。限りない事実だ!!」
「………………(カコウエンが拐われたのだが。何だあの光は? 体が浮いたぞ)」
ソウソウ軍の諸将は一様に口を閉ざした。これ程までに開き直る大将が存在するのか……と、思っているのかもしれない。
「俺達はまだまだ多くの敵勢力と戦っていく必要がある。それなのに、今お前を楽屋裏送りにして悪名を手に入れたら、それこそが皆の足枷になっちまう。俺はそっちの方が怖い」
仲間達の障害を進んで得る必要はなく、仲間達と一緒ならソウソウなんて障害じゃない。俺の考えはそういう事だ。
「それを愚かな判断と思うなら勝手に思えばいい。……だがな、俺は仲間達に助けられて無様な醜態を晒そうとも、お前の言った通り結果を掴んでやるぞ!! 全勢力滅亡による強制的な乱世統一! ならぬ鎮圧だ!!」
これに関しては大見得に近いものだった。
俺の弱点を仲間達が補ってくれるとは信じているが、放浪軍プレイで大陸制覇など前代未聞だったからだ。
然しソウソウは、若造大将である俺の妄言とも言える内容に、唇の端を歪めて見せた。
大事な家臣が拐われたのを忘れ、微笑したのだ。
心なしかその様子が、乱世を邁進する英雄に相応しき『楽』を感じさせる。
「……フッ、ならば果たしてみせよ。貴様の目指す『乱世鎮圧』とやらを……!!」
「ああ、果たしてやるさ。仲間達と共に、どれだけ時間が掛かろうとも! 必ずな!!」
試さんばかりの微笑に、俺は断言を以て返す。
ソウソウはそれすらも面白く感じた様で、意外な一言を残す。
「カコウエン、お主はこの男の放浪軍に移り、その覇道を見届けよ。今後、このソウ・モウトクと敵対しようとも……な!」
「ファーーアング!! ファーーアング!! ファーーアング!!」
ソウソウは餞別とばかりに、UFOから降ろされたカコウエンを加入させてくれた。
当のカコウエンは思考回路を持たない様に改造されたのか、はたまた誰かの仕業で壊されたのかは知らないが、別段文句も言わずに了承してくれた。
やったぜ! 超即戦力の夏侯淵をゲットだぜ!! 頭に見慣れない金属が付いてるけど、気にしたら敗けだって怜華が言ってたぜ!!
ついでに元コウチュウ軍の許靖も、ソウソウ軍の許には居場所がないみたいで、登用に応じてくれたぜ!! 文官、ゲットだぜ!!
※バッファローより残念なお知らせだぜ!!
許靖はともかく、夏侯淵も基本的には戦場に出しません\(^-^)/
夏侯淵はあくまでも、ソウソウから放たれたお目付け役でござる!! ファーーアング!! ファーーアング!! ファーーアング!!




