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第二次譙攻略戦⑦ キンキンキンキンキンキンキンキン!!「やるな、赤髭!!」「赤髭ではない。金太郎だ」


 7ターン目。殿路放浪軍39,126 対 ソウソウ本軍27,299 許昌援軍33,593。


「よぉーし、次はカコウトン隊を奇襲するぞ!! みんな、俺に続け!! 忍法・隠れ身の術…………と見せかけて、なんちゃって長蛇陣!!」


 山上に布陣する敵部隊には、平地戦法の「猛攻」や「乱撃」が通用しにくい。

山相手には弓兵戦法が最も成功しやすく、次いで「奇襲」や「撹乱」といった奇兵戦法。本当の戦では奇襲こそがNo.1に思えるが、それはそれ、これはこれ。抑々にして本当の戦とか体験したことないから分からナッシングブレシ。


「今から透明になるから、みんな、陣形を崩すなよ! ……よぉーい、ドン太郎!!」


 カメレオンを連想して透明になった俺を先頭に、兵士達が一直線状に続く。

つまり、後ろの兵士は前の兵士の筋肉体を隠れ蓑にして、その前の兵士は前の前の兵士の筋肉体に隠れる。そして最前列に君臨する俺が、俺自身を透明にさせて自然に溶け込めば、理論上は全員が姿を隠した事にな――


「なってないから。全然隠れてないよ。寧ろ、無駄な注目浴びるから絶対に止めて」


 何やら大軍師・怜華様万歳から忠告みたいな声が聞こえたものの、「ヘェーイ、ユー! ストォーープりん食べる?」ではなく、「オォ、ナイスアイディーアりがたく頂きます」という風なエールに脳内変換すれば問題なし。

それに、一度放たれた矢は止まらない……車が急には止まれない様に…………万有引力を発見したニュートンが、実はリンゴが木から落ちる様子ではなく、リンゴとの恋に落ちた結果閃いた事にしたくて、落ちそうなリンゴを前に「アァンッ! ヤメテ、リンゴオチナイデェン!!」と叫んだ様に。


 結局、何が言いたいのかというと、奇襲は既に発動された。

発動されて、忍者顔負けの高度な集団戦法が示された結果、見事に成功。1,357ダメージを与え、反撃ダメは76。 カコウトン隊を恐慌状態に陥れた。

まぁ、忍者が集団行動するかどうかは知らないが……。


 因みに、後世の俺達が一般的に連想する忍者装備と言えば、黒装束と鎖鎌が有名だが、実は世間一般で認識されるそれは存在しなかったという。

夜に活動する忍者にとって、服装は目立たないものが第一となるのは当然の事。

然し、夜とはいっても真っ暗闇な訳ではなく、黒色では輪郭がはっきりしてしまい、却って目立つのだとか。


それ故に、大半の忍者は紺色の装束を身に纏い、状況に応じて灰色や茶色も用いたとの事。

そして実際の忍者はスパイなので、敵に発見されたら逃げるのみ。だから重しになる鎖なんてのは使わなかった……っていうかジャラジャラ音が鳴って単純に煩い。

決して、甘寧の兄貴が身に付けている鈴や鉄鎖が煩い訳ではないので、御了承ヨロ!


更に言えば、中央政権と周辺国の狭間にある伊賀の民が情報売買に従事した結果、伊賀の民の野良着(「クレ染め」という紺色の農作業着)が後世に於ける忍者装束のモチーフとなった。

即ち、敵地の農民に変装して活動する為に野良着を用いた結果、それが後世になってイメージアップを受け、現代の忍者装束が生まれた訳だ。

抑々、当時は黒装束が大変貴重なものである為、黒装束の人間は忍者なんてやる身分じゃないし、めっちゃくちゃ人目につく。


「おとっさん、おっかさん、見て! 黒染めよ!! カッコイイわ! きっと大層な身分の御方ね!」


「ぅんでもおかしいべなぁ……この辺にたったお一人で貴族様が来られるかのぉ?」


「お供の方とはぐれたにちげぇねぇちげぇねぇ。お代官様んとこまで案内するべ」


(えっ? ヤバイヤバイヤバイヤバイ! 俺忍者、忍者よ!? 代官山なんて御勘弁よ!?)


……といった感じになり、とてもじゃないが忍べていない。フェラーリで田舎の田んぼ道を走る様な注目度だ。


「兵は神速を尊ぶ。我が精鋭達よ、疾風となりて敵陣を駆け抜けェ!!」


 片や、俺の奇襲が成功したと思ったら、ソウソウが横陣深くにまで切り込み、俺の後ろを固める凌統隊を側面から奇襲。フェラーリさながらの神速であった。


「おぉっ!? 見事な急襲なり、ソウソウ! だが、私も負けてはいないっ! 時来たらば見事にやり返してくれよう!」


 凌統隊は661ダメージを受けつつも何とか平静を保ち、反撃の時を待つ。


(ソウソウ隊は2,230人。場所は平野。士気も大分衰えたし……ここは真っ先に北側の敵を崩すべきだね)


「私が丁奉殿の兵力を回復するから、丁奉・太史慈・凌統の三隊で北側の敵を一掃して!!」


「ならば、私は前面のカクカを抑えよう」


「んじゃ、俺はカコウトンにぶち当たるとすっか!」


 怜華の「治癒」により、丁奉隊が1,552から3,737へ回復する。

次いで朱桓がカクカ隊2,186へ通常攻撃を仕掛け、1,424ダメージ。カクカ隊残兵は762人。

甘寧もカコウトン隊1,550に通常攻撃1,335ダメージ。カコウトン隊残兵は215人。


「いざ行かん! 丁奉隊の筋肉自慢達よ!! ガクシン隊を突き崩せェ!!」


 丁奉隊による「筋肉兵大行進モッチ餅パレード(通常攻撃)」が、ガクシン隊へ904ダメージ。対するガクシン隊の「10メートル反復横跳び(反撃)」は595ダメージ。ガクシン隊残兵848人。


「参るぞ! 太史慈隊の勇者達よ!! 魏王・ソウソウ、恐るに足らず!!」


 太史慈の渾身のクリティカルヒット・猛攻!! 2,230のソウソウへ1,699ダメージ!!


「うふふっ、ここまで敵さんの数が減れば、後は堅実に攻めるだけでも良さそうですわね。

――という訳でタイタイタイタイ煩いチンタイ殿? さっさと討ち取られてくださる?」


 横陣左端の魏延が、チンタイ隊1,521へ通常攻撃。917ダメージを与え、反撃ダメが420。チンタイ隊残兵は604人。北側のみに関わらず、ソウソウ軍全体が崩れ始めた。


 そして、遂にこの時が――


「凌操が子、凌公績!! 今より鷹となりてソウソウの身を貰い受ける所存!! いざっ!!」


 やり返しの時を待っていた凌統が、シュバッ!! と空高く舞い上がり、愛用している双剣を勇ましく振りかざした。


 陽光を纏いし双剣が捕捉する標的はただ一人、ソウソウだ。

尚、誤解を招かない様に補足するならば、「御身を貰い受ける」=「捕縛致す」だ。決してアッーーーー♂ではない…………ないよな? 大丈夫だよな?


「これぞ奥義!! 超鮮烈確定クリティカルキーークッ!!!」


 凌統は双剣を頭上に掲げた状態のまま、ピーーン! と伸ばした右足を突き出した。

突き出して、その右足は馬上に構えるソウソウの――


ソウソウ「アアアアァァァァーーーー!!!???」(°Д°)×♂×


「「「あああぁぁぁーーーー( ̄□ ̄;)!!?」」」


 チーーンにクリーンヒットした!! 俗に言う金的だった!! もうこれ以上ないってぐらいの確定クリティカルだった!! 双剣で切られた方がまだマシだった!!


「凌統ォォォーーー!? それはマジでエグいってェェーー!! 男殺しだってェェーー!!」


 この殺人的非殺傷戦法(またの名を「いっそ殺してくれ」)を前にして、戦場に立つ男達(怜華のみ女の子なので、99.99%以上)が、股を抑えて唖然とする。

敵味方・身分関係なく、男全員が悲鳴をあげ、何とあの魏延ですら悶絶していた。当のソウソウ本人が、筆舌し難い絶叫を上げるのも無理はないだろう。

っていうか、彼に至っては既に昇天しかけていた……。

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