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「HYO・U・RO・U発見☆」「よし、燃やせ!!」

「フシュゥゥーー!! …………じゃ、静かになったところで、これに注目」


 怜華の激烈治療によって物理的に黙らされた俺達は、ラムが表示した全国マップを見る。


「おぅ、前回はソウソウの台頭で、今回はエンショウが台頭したな」


 前回の4月軍議では様々な勢力が本格的に行動し始め、その結果、2つの勢力が滅亡。公式チート勢力SOSOの乱世平定伝説が顕著になってきた。

そして今回は、そんなSOSOの好敵手たる炎症が勢いを増してきた。


 一度勢いに乗れば滅多に止まらないSOSO軍と炎症軍。一度萌えーーれば大軍を繰り出すも辞さない人妻スキーの変態紳士SOSOと、一度燃えただけで燃え尽きる炎症。

そんな愉快な彼等……というよりは主にSOSOの暴挙を阻む為、俺達はSOSO軍との全面戦争および早期滅亡を、当面の目的とした。


 その手始めに、武力値50程度でありながら並み居る豪傑を蹴散らす我等が偉大な軍師・怜華様は、我々にSOSO軍領での火遊びを命じられた。

だが、果たしてそれに、知力鍛練以外の意味があるのかとどうかと聞かれれば、首を捻らずにはいられなかったのだ。


「……そんで軍師ちゃんよ、なんも変わってない情勢で、どうやってソウソウ軍を倒す? 俺はてっきり、俺達がソウソウ軍主力を引き付けてる間に洛陽のカシン軍を攻め込ませ、両軍が痛み合った所で漁夫の利を得るのかと思ってたが?」


 甘寧の戦略図では、俺達をダシに使う事で他勢力の軍事行動を誘引し、ソウソウ軍が傷付いた頃合いで便乗する……というものだった。


現在ソウソウ軍の主力は殆どが譙(ショウ)に集結しており、西隣に位置する本拠地・許昌(キョショウ)(出征元)は手薄そのもの。

だからこそ、許昌に隣接する洛陽や宛のカシン軍が隙を突いて来襲し、ソウソウ軍は少なからず実害を被り、場合によっては敗北して土地を奪われる事もあり得る。

言わば、可能性に賭けた戦略だ。


 だが、それに対しては朱桓が反論する。


「否。現状ではカシン軍は動けん。彼等は空白地だった宛を制した事で勢力を拡大し、国力増強を視野に入れたが……今はまだ、畑に蒔いた種に等しい。実はなっておらず、今後の成長を待たねばならん状態だ」


「……まっ、そうなるわな。ソウソウ軍みたく、敵を滅ぼして戦力を吸収した訳でもねぇ。空白地を手に入れただけじゃあ、今すぐに侵攻戦力を整える事はできねぇか」


「如何にも。今のカシン軍は元々の兵力や武将を分散しただけであろう。故に、彼等は暫くの間、守る事しかできぬ」


「……じゃ、南のエンジュツなんかはどうだい? あいつ等は1つしか領土ねぇから一極集中できるし、許昌みたいな優れた都市は喉から手が出るぐらい欲しい筈だぜ?」


「…………それは私も考えた。貪欲なエンジュツならば誘いに引っ掛かるやもしれんと。……たが、奴等は動かなかった。となれば、他勢力の動向は期待できん」


 腕を組みながら首を傾げる姿から察するに、朱桓もまた、今の情勢でソウソウ軍を討つのは厳しいと思っている様子。

そうなると必然的に、皆の視線が怜華に集まった。


「うん。じゃあ答えを発表するね。……はい、ドン!」


 言うや否や、怜華は全国マップから各都市の詳細データに切り替え、その中の一つである「譙」の状態を表示した。


 食い入る様にそれを見た俺達は、本来ならばおかしい数値を前にして、数瞬の間だけ思考を停止。停止して、皆が一様に唖然とする。


「…………ファァッ!? 兵糧0やんけ!?」


 誰が言ったか俺が言った通り、ソウソウ軍主力が居座る譙の兵糧が、何度見ても0だった。


「……はっ……! ハハ、ダハハハハハハハハハハァッ!!!」


 そこから数瞬の後、漸く理解が及んだ俺は、笑わずにはいられなかった。

武将仲間達が驚いたり心配したり、怜華本人もビクッ! となって目を丸々とさせるが、今だけは彼等を気にせず笑い転けていたい気分だった。


「ハハ、ハッハァァ!! ……そうかそうか、放浪軍の兵数を増やしてソウソウ軍に対抗せんと考えていたばかりに、ソウソウ軍が抱える最たる弱点を完全に忘れていたぜ! ……勢いに乗った奴等は、乗ってしまった奴等は!! 兵糧の確保を疎かにして兵を飢えさせてしまう!!

――フフフフフ……そうかそうか! やっと合点がいったぜ。だから知力鍛練でありながら、ほぼ全軍の侵攻にしたのか! ソウソウ軍対コウチュウ軍の戦で内政値が大きく低下した状態に拍車を掛ける為に、わざと必要以上の兵数で攻めさせた訳か!! こんの悪魔的軍師め!! やりよるわっ!!」


 戦争による都市内政値の低下は、参戦した両軍の総兵数によって変わる。少なければ低下する値は小さく、多ければ多いほど大きく、という様に。

だからこそ怜華は、キャンプファイヤーで1万人も連れていけば充分(侵攻側兵数が極端に少ないと、守備側は砦から出撃して殲滅しに来る)なところを、わざと全兵力の4万人も動員したのだ。総兵数を稼ぎ、可能な限り内政値を下げる為に。


しかも、戦争の30ターン全てを知力鍛練に従事させ、ソウソウ軍に付き合わせる事で、戦争中も彼等の兵糧を無駄に消費させていた。

そこに兵糧収支となる今月とか……マジで悪魔的な作戦だな。


「ふっふぅーー! お気に召した様で何より! ……そう! 戦争の発生によって低下する内政値と、兵糧収支となる7月を利用して、ソウソウ軍6万を2ターンに亘って兵糧攻めしました!!

――許昌からの兵糧が届くのは次の軍議ターンだから、このターン中に侵攻してボケーっと立ってるだけでも、ソウソウ軍は勝手に自滅するよ。……許昌から現れる援軍共々、ね?」


 僅かに首を傾げながら、闇がかった笑みを浮かべる怜華のそれは……謀略を駆使して「珍獣研究部」に予算を回させた時のアレと同じ。

生徒会書記の権限や立場を駆使して、彼女が勝手に立ち上げた学校非認可の「珍獣研究部」でさえ、謀略の塊と言える存在なのに、そこにきて活動資金まで調達するとか……もう、女子高生の皮を被った悪魔的着想である。


 今回の策を順に追ってまとめると、

①連続した大規模戦争で譙の内政値をガタ下がりさせ、7月に得られる兵糧収入を大きく低下させる。


②7月になってソウソウ軍6万=兵糧支出 が発生するも……当然の様に兵糧赤字な状態。


③赤字分は都市で保有している兵糧から出して補う…………のだが、譙に滞在するソウソウ軍は大軍である為、保有していた兵糧を全て出しても不足。


④結果、譙に居たソウソウ軍の兵士は不足分だけ減少(逃亡という仕様)し、6万以上居た兵は約5万2千にまで減っていた。


 因みに、散々内政値を下げられた譙の兵糧収入だが、27,440だった。

つまり、27,440-60,000(兵士数)=-32,560(不足分)。

兵士の減少量が約8千なので、譙には2万4千程度の兵糧しかなかった訳だ。


 俺達が抱える兵糧の1/4で、俺達以上の兵数を抱えるとは、無謀だぜSOSO。

…………まぁ、俺達放浪軍は謎の有難仕様によって、7月の兵糧収支が関係ない訳だが。得られはしないが、戦争をしない限り減りもしないのだ!!


というより、戦争に勝って敵勢力の物資を根刮ぎ奪うから、寧ろ増える一方である。

チートとか言うなよ、公式の有難仕様とオペレーション・イナゴである!! これが、本当のっ! 放浪軍プレイじゃあぁぁぁーーー!!!


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