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訓練結果は煤くさいわぁぁーー!?


「ヒィヤアアアァァァーーー!! 火計!! これこそが真の火計!! これならば水攻め雪攻め何のそのですぞ!! リョフ殿ォォーー!!」


 突然だが、消火活動に当たっていた陳宮が火だるまになった。

10ターン目の丁奉に続き、26ターン目の今現在、ターンの変わり目によって変わった風向きが延焼を招き、その炎に包まれて全裸になりかけているのだ。


「おぉーおぉー、派手に燃えてやがるぜ。大将さんよ、覚えときな。気になる異性を裸にするやり方には、やって良い方法と、やって悪い方法があるけどな、アレはダメな方な」


「身を以て教えてくれるなんて、流石は陳宮だ! 甘寧も為になる話をありがと……って、いややらねぇよ! 俺は確かにアホだけどアレはやらねぇよ! そいやぁぁーー!!」


 最後の砦たる「HU・N・DO・SI☆」を残して全裸寸前の陳宮へ、俺は北風を吹かした。

基本的に文官である陳宮の面子を守る為に、突風による消火を狙ったのだ。


「ワァーオ! 寧ろ悪化してワロス!!」


 北風は美少女のスカートを捲るのが仕事だという。

だが然し、ここに美少女たる怜華は不在で、美女(?)の魏延も留守番。というより魏延のスカートを捲っても、誰も喜ばない気がする。


 ならば北風の今の仕事は、最後の砦を吹き飛ばす事だろう。

即ち、陳宮のモデルチェンジである。何がとは言わないから、察してくれ。


 そして27ターン目。戦争強制終了まで残り3ターン。

今更だが、今回は勝つつもりなし。あくまでもソウソウさん家にお邪魔してキャンプファイヤーして無傷でバイビーが目的だ。


 そう言えば今更の今更だが、皆は何のためにキャンプファイヤーをする? 現実世界では「放火魔式鍛練」なんて犯罪だからしないと思うから、ここはやっぱりアレか?

皆が褌一丁になって手を繋ぎ、炎を囲う様な円陣を築いてグルグル回りながら「ルーーラァー! ルーラァァーー!!」と雄叫びを上げてUFOを呼び寄せ、宇宙旅行をタダで済ます裏技の為だろうか。うん、やっぱそうだよな。それ以外に思い付かねぇもん。噂では、かの有名なカメハメハ大王もそれをやって宇宙大戦争を制し、続く「Go! サンネンの駅wars」では英雄と崇められる程の大活躍をしたとか……いや、「Go! サンネンの駅wars」は源義家だったっけか? まぁいいや。「緑豆もやし」と「大豆もやし」の違いみたいなもんだ。可愛い可愛いニャーーン。


「いやぁーー、それにしても、よく降りますなぁーー。火傷に雨がヒシヒシと染みまするぞ」


 そしてのそして、このターンは何回目かの豪雨だった。

キャンプファイヤーは一斉中止となり、丘上の陳宮が輝いている。


「おぉ……! 陳宮様……曇天にあっても光が差しておられるとは……まさに女神や……!」


 陳宮隊の兵士達は一様に陳宮を崇め奉り、キャンプファイヤー中止による落胆ぶりが嘘の様に晴れていく。

流石は陳宮。リョフ軍の軍師を務めた忍耐強いウホ良い男はタダではやられず、己の負傷ですら策に変え、己を輝かせる為の過程にしてしまう。


 そう、怜華が居ないだけで、俺達はこんなにも輝くのだ。

雨天で日も出ていないのに輝くのか? と思うだろうが、単純な輝きではないぞ。

精神が余りにも強すぎるせいで内側に抑え切れず、はち切れた分が「漢光(オコウ)」となって具現化したのだ。即ち、皆が漢という事だ。怜華がこれに含まれないのが、真に残念でならない。


「……だが確かに……今戦ではよく降るな。私達が消火する量以上に雨が消している」


 水も滴る良い男となった朱桓が、年齢詐欺甚だしい顔を煌めかせながら呟いた。

それに対し、局部が輝いている丁奉が仁王立ちを以て返す。ウホ。


「半分ぐらい降られましたな。台風でも洪水でもないのに珍しい。ウホ」


「……丁奉殿、肌に何も纏わず、寒くないのか……うほ?」


「何のこれしき。呉の武将は元来、炎の武将! 火の海でも台風でも何のそのウホ!」


(その理屈では私も同じになるのだが……とても真似できそうにないな)


 都市災害に数えられる「台風」と「洪水」。

基本的には大陸南東部で同時発生しやすく、質の悪い事に7月の兵糧収支を控えた4月の軍議ターンで高確率発生するという。

その度にソンケン(息子)軍の農業値と防御力が大幅低下するのはお約束。


また、「台風」と「洪水」は内政値以外にも甚大な悪影響を及ぼす。

それは戦争に関してであり、災害発生地で戦う場合は侵攻側と防衛側ともに、援軍到着までの日数が延長される事。要は進軍を妨害されてしまうのだ。


尚、災害発生中は戦争中の天候にも影響し、機動力が大きく低下する豪雨が何回もある。


 今戦は災害発生中ではないのに台風並みの悪天候で、「放火魔式鍛練」の質の低下を招いた。

例えるなら、屋外研修に来たけど半日以上雨に降られて予定変更させられた、だろう。


「よし、皆! 30ターンが経過したからそろそろ帰ろう! ゴミはちゃんと持ち帰る! 消せなかった火の処理はソウソウ軍に任せる事になるから手を振ってから帰ろう!

――ソウソウさん! 火の後始末を頼みましたァーー!! また遊んでねぇーー!!」


『ソウソウさーーん!! 後始末を頼みましたァーー!! また遊んでねェェェーー!!』


 俺達は口を揃えて、離れた場所に居るであろうソウソウ軍に後事を頼んだ。

対するソウソウ軍の反応が、こちら。


『二度と来んなぁぁぁーーー!! 馬鹿野郎ぉーーー!!』


…………まぁ、当然の反応だろうな。何せ向こうからしたら、攻めてきたと思ったら火遊びするだけして帰っていく糞ガキ連中に見えた筈だし。


 それでもソウソウさん。俺達はまた一段と強くなりましたよ。

俺の知力は56(+1)へ、陳宮は90(+1)、陳珪84(+2)、顧雍83(+1)、朱桓83(+2)、陳登79(+2)、甘寧76(+2)、丁奉72(+1)、諸葛誕71(+1)。合計9人の知力が13上昇。


一人頭、全く「鍛練」していない状態で知力経験値を100手に入れて知力値を1upさせる為には、行動力を30消費する「鍛練」を5回必要とする。

即ち、知力13upする場合に必要な行動力は1,950であり、「放火魔式鍛練」参加で一人ずつ50の行動力を消費した合計500の4倍に当たる。


 つまり今回の成果によって、「地道に鍛練するより戦争した方が成長する」「百聞は一見にしかず、百見は一行にしかず」という事が実証された。

これは知力が成長限界に近づく程、より顕著となる効率策だ。




小沛 酒屋


「…………ぬぅ……ぬぅぅぅ……!」


 その一方、太史慈は拗ねてしまった。

データからも分かる様に、彼だけが成長しなかったのだ。


「まぁまぁ! ずっと雨降ってたみたいだし、太史慈殿は行動順が最後だし、何時もみたいに秋渓の傍を固めてた訳でしょ? なら計略する回数が少なくて当然だって! 気にしない気にしない!」


 そんな彼を、俺達を、豪勢な料理で出迎える怜華達。

食料調達員の諸葛靚や、料理にも心得のある魏延が手伝ったらしく、それはそれは空きっ腹を満たしてくれる御馳走だった。


 太史慈本人の機嫌もすぐに良くなり、彼は一転して酔い潰れた末、凌操からの熱烈ハグを受けて頭をグワングワンさせる。

そして抱き合った両者が、思わず一言申す。


太「酒くさーいでーすよー、凌操殿ーー!」


凌「おぅ……って煤くさいわ!? 今気付いたが一同揃って煤くさいわぁーー!?」


「……メェェーー」


 クンカクンカ……おーぅイエス。先程からラムが避ける理由が、漸く分かったぜ。


「…………次からは消火しながら風呂でも沸かすか」


「ですな!」


 お風呂製作を提案する俺に、丁奉と諸葛誕が同時に反応した。

仲間達と共に、より良い「放火魔式鍛練」を目指す。うん、実に美しいではないか!! 皆もこうやって、更に更に快適な「キャンプファイヤー」を極めていこう!!

尚、ちゃんと残り火は消すんだぞぉーー。迷惑をかけるのもダメだからなぁーー。


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