燃ゆる戦場、荒ぶる肉体、入り乱れる老若男…………女はないな
「放火魔式鍛練」「焼畑戦術」またの名を「オペレーション・イナゴ」とは、要は相手の領地へ攻め込んで嫌がらせするアレやコレの事だ。
どれも相当な軍勢規模で行う作戦に当たり、実に嫌らしいもの限りなし。
「放火魔式鍛練」は、何もない敵地の平原で放火(火殺)して回り、計略の「消火」を繰り返す事で知力経験値を大量に取得するというもの。
個人ターンの「鍛練」コマンドで、行動力30を消費して知力経験値20程度(全く鍛練していない状態で得られる経験値)を取得するより、戦争参加で行動力50を消費して100~200の経験値を取得した方が効率的という話。
更に言えば、鍛練で得られる知力経験値は限界値へ近付くにつれて減少する為、最後の方は1upに必要な経験値100を得るのに何十回と鍛練する必要があるのだが、
「放火魔式鍛練」はその減少効果を完全に無視しており、あくまでも消火に成功した量が知力経験値に変わる為、知力限界に近付いた武将であってもOK。いや寧ろ、成長が伸び悩んだ武将が行ってこそ、真価を発揮する作戦だ。
噛み砕いて言えば、行動力30で知力経験値を1や20手に入れる方法と、行動力50で100や200……条件が良ければ300や400の経験値を手に入れる方法のどちらを行うか……という話。
次に「焼畑戦術」だが、これは戦国時代で日常茶飯事に行われた青田刈りの同義語に当たる。
敵地に侵入して食料となる物を根刮ぎ刈る様に、徹底的に焼き払う。
目的は言わずもがな、敵国の戦力低下だ。
最後は「オペレーション・イナゴ」。ぶっちゃけた話、これが一番酷い。
「オペレーション・イナゴ!! それは民忠を無視した徹底的な徴兵を繰り返し、軍備が整ったと同時に全ての物資を持って敵国に攻め込み、落とした土地の物資を根刮ぎ奪って次へ次へと転戦していく完全軍国主義!! その様は正に、都市へ飛来したイナゴの群れが人口諸々の内政値を食い荒らすようだという!! 何て事だ!? これじゃあ俺達もイナゴのようだ!? マスター・ヨーダ!!」
「マスタァーー・ヨォーダァッ!!」
俺の演説に続き、兵士達が緑色の人(分類上はクリーチャー)の名を高らかに叫ぶ。新作映画「緑色の奴の名は」好評上映中。
因みに、今戦に於ける兵士達の武器は、みんな大好きライ○セーバー…………を模した色付き棒。チャンバラごっこで使用するような物と思ってほしい。
「シュコー! シュコー! シュコー! シュコー!」
「ジャン! ジャンジャカジャンジャンジャン! ジャン! ジャンジャカジャンジャンジャーーン!」
「ブゥーーン! バシィッ! バシィッ!」
って言うか、普通にチャンバラしてる件について。
尚、この武器はコヨエモン様が進軍中に即行で作ってくれました。
「良い発音だ皆!! その気勢、俺達の頭上に広がる雨天を超えて、遥か先の銀河へ届く筈だ!! そんな訳でお天道様よ、いい加減にして晴れろやぁぁーー!!」
開戦2ターン目以降、ずっっっと雨もしくは豪雨。
雨であっても戦法の「火殺」は発動できるが、体感的な失敗が多く、次のターンも雨ならば大部分が自然鎮火してしまう。
要は連日に亘って雨・豪雨が続いた為、「放火魔式鍛練」が不調だったのだ。
だが、9ターン目にして漸く晴天に恵まれ、これから放火しまくる事が可能になる。
「でもよぉー、軍師ちゃんの言ってた焼畑作戦だっけ? オペレーション・ナンチャラ? 実際にこんなんやって効果あんのかね? どうだってんだ、大将さんよ?」
そして現在、轟々と燃える火事現場を前にして、激闘を望む甘寧がぼやく。
ぼやきつつ、俺以上に火を消して俺以上の知力経験値を手に入れていた。
「塵も積もればなんとやら、だぜ兄貴。抑々にして、俺や太史慈以上に経験値獲得してるんだから……嫌みってもんだぜ?」
「へっへっへ、こりゃ失礼したな」
「だけど……これがソウソウ軍撃破に繋がるのか? ってな疑問については、正直俺も分からねぇ。キャンプファイヤーしたところで敵が居なけりゃダメージも何もねぇし」
怜華は大軍でのキャンプファイヤーを要求した。
それは次の戦を考慮して、敵との戦闘を避ける策だ。
侵攻軍の兵数が極端に少ない場合、守備軍は砦から出撃して殲滅に向かってくる。守備側でありながら攻めに出てくるのだ。
それ故に、たかが知力鍛練のキャンプファイヤーであっても、無駄な損害を被らない為に大軍で侵攻する……それについては理解できる。
だが、敵が向かってこない、此方からも敵へ向かわないでは、ソウソウ軍の戦力を削る事は逆立ちしても不可能。
尤も、正面切った激突では公式チート勢力SOSOに勝てる可能性が低いから、こうしてキャンプファイヤーをしている訳でもあるのだが……何だかな。
「朱桓は何か聞いてるか? 今作戦の真意とやらを」
俺と太史慈と甘寧が首を傾げるなら、俺達以上の知恵者に尋ねてみよう。
丁度、怜華の補佐官を務める知力83の朱桓が近くにいた。
彼は自分の火殺(Lv3)で起こした火の海を利用して、兵士達と共にバーベキューをしていた。
用意した材料は皆、朱桓のポケットマネーだとか。歴史通りの部下想いな人物である。
「さて……私もこの様な作戦は初めて故、怜華殿の思い描く戦略図が読めぬ。だが敢えて言うならば、読めぬからこそ楽しみだ。この作戦が如何な意味を持ち、如何にしてソウソウ軍7万を撃破するのか」
5ターン目に、許昌からの援軍が到着していた。2部隊の11200名であり、譙の守備部隊60300と合流した事で、7万を優に超える大軍が揃った訳だ。
それはきっと、本戦となる次の戦いでも同じだろう。
いや寧ろ、次の軍議ターンでは更に戦力差が開いている可能性だってある。
それでも怜華はソウソウ軍を撃破できると断言したのだから、興味を抱いた朱桓が不敵に笑ったとしても、何ら不思議ではなかった。
「そんじゃ結局のところ……先を見てるのは軍師ちゃん唯一人って訳か。はぁーー、早いところ次の戦にならねぇかな――あっ……!?」
専用武器「鉄鎖」を一振りし、暇潰しとばかりに突風を起こす甘寧。
既に「消火」作業は終えた筈なのに、更なる知力経験値を望んだのか、はたまた素振りを兼ねた正真正銘の暇潰しなのか。
兎に角、バーベキューの為に起こした朱桓の炎は儚く消えて無くなり、それと同時に生焼けの肉や野菜は離れた場所で焼き鍋をしている丁奉隊の許へ綺麗に移動した。
「…………甘寧殿、出来ればもう少しだけ、待ってもらいたかったのだが」
「へっへ……悪ぃ……純粋にすまねぇ……」
丁奉隊の兵士が「丁奉様! 空から食材が!?」と言い、丁奉が「ブレーキ!」と叫んで即興の嬉し舞を踊りながら、食材を一つ残らず奪取する反面、朱桓隊は目に見えた落胆振りを示す。ドンマイ。




