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「レッツ・パーリィー! イヤァァーー!!」「えっ、なんて? 突っ張り? …………ドスコイ!」


 怜華に言われるがまま、俺達は訳もわからず出陣した。

目標都市は公式チート勢力SOSOによって攻め落とされたばかりの譙(ショウ)。


 参戦している仲間達は次の通り。

参謀に陳宮(知力89)、先鋒に甘寧。太史慈、朱桓、丁奉、諸葛誕、陳登、陳珪、顧雍。

各々が4千名ずつを率いた総勢4万人であり、侵攻しても交戦状態にはしないので戦術は「通常」。策略も適当なものを幾つかチョイスしただけ。


強いて言えば今回の戦術は、ただ単にSOSO軍の領土へ侵入し、何もしないで30ターン経過後に全軍無傷で撤退……といったものだ。


「でもよぉー、軍師ちゃんの言ってた焼畑作戦だっけ? オペレーション・ナンチャラ? 実際にこんなんやって効果あんのかね? どうだってんだ、大将さんよ?」


 熱く燃える戦闘を望む甘寧が、熱い火事現場を前にして思わずぼやく。

そのぼやきが更なる猛火を呼ぶ様に、開始して9ターン目の今は見事な晴天であり、同時に良く燃え広がった。




 遡る事、数時間前。まだ小沛を出陣していない軍議中。


「攻めながらにして攻めない。勝ちたくとも負ける……とは、一体どういう考えで?」


 軍師補佐にして作戦・戦術に小煩い朱桓が、皆を代表して怜華に問う。

怜華は涼しげな表情を浮かべながらも、確固たる未来を見抜いた様な、自信に満ちた眼差しを以て、依然として首を傾げる俺達に補足説明をしてくれる。


「厳密に言うとね、今の状態では譙のソウソウ軍に勝てないから、2ターン連続で攻撃を仕掛けて効率良く倒す……って作戦。だから今回の侵攻はその布石に当たるの。……当然、本番となる次の為に兵力を失う事は厳禁。だから侵攻はするけど、圧倒的な超戦力を誇るソウソウ本軍と戦闘したらダメ。……ここまでは大丈夫?」


「……理由は分かったけど、戦わないんじゃソウソウ軍の戦力は削れないだろ? 何もしない戦をして、どうやって次の戦で勝つんだ?」


 怜華が言うには、次の為に今戦を敢えて流すとの事。しかも此方の戦力を保持する為、戦闘に発展するのもNGだと言う。

ではどうやって敵を撃破できる状況にするのか、それが俺達には分からないままだ。


 俺は朱桓に続けて疑問を呈した。

すると、怜華は若干の闇を纏った面持ちでくすりと笑う。笑って、無意識のうちだろうが、右の人差し指を唇に当てて小聡明い仕草を見せる。


「武力だけが決め手じゃない! 大丈夫、みんなが侵攻して無傷で帰ってくるだけでも充分過ぎる戦果に繋がるし、ソウソウ軍にとっては大打撃になるんだよ」


「ん? その言い方だと、怜華は今回の作戦に加わらないのか?」


「うん。私は豪勢な料理を作って待ってるから、今回は参戦しない。今から言う人達を連れて秋渓が出陣してくれる?」


「何をしてくるでもないんだろ? それなら正直な話、出陣するのは誰でも良いんじゃないか? 劉岱(リュウタイ)、 袁遺(エンイ)、 王忠(オウチュウ)、 橋瑁(キョウボウ)とか暇だぞ?」


 囮作戦での活躍を期待されている旧劉岱軍の面々。

俺以上の名声値を持っている劉岱の存在が士気の柱であり、戦場に於ける長時間の特殊任務を実行する底力に優れていた。

袁遺の知力も70を超えており、二流未満三流以上の参謀として活動が可能だ。


 然し怜華は、今戦にあっては違うと否定する。


「ううん、今回は彼等の出番でもないし、今後の事も考えて秋渓は強制参加! 私は……行っても行動力を無駄にするだけだからね」


 彼女の返答によって、俺達の混乱は益々増えてしまう。

俺は続けて怜華に問い返す。


「んん? ど、どういう事だ? 俺だって何もしない為に行くのは行動力を無駄に消費するだけで、次の戦に備えた戦力増強ができなくなるぞ!?」


「大丈夫大丈夫。次の軍議ターンになれば、今の戦力だけで充分ソウソウ軍を撃滅できるから! 山賊討伐とかは何も考えなくていいよ!」


 山賊討伐は放浪軍の貴重な収入源にして、金・兵糧・兵士・名声・武力経験値が手に入るマイ・ハート。即ち我が人生!! は言い過ぎだが、強大なソウソウ軍と戦うには今以上の兵力、詰まるところを言えば参戦した全ての仲間が5千名(最大指揮兵力)を率いられるまではしたい。


 だが、揺るぎない自信を見せる怜華は敢えて気にしなくて良いと言った。


「怜華殿、勿体ぶらずに率直に申して下さい。今回の戦、選ばれた者達は現場で何をすればよいのですか? 聞いている分には、ただ何もしない訳ではない様子。そこをお聞かせ願いたい」


 見かねた丁奉が助け船を出し、怜華の考えに迫る。ナイス丁奉。

怜華は眼差しを変えぬまま、小さく首肯する。


「うん、ごめん。回りくどかったね。……簡単に言えば「火殺」持ちの人と、今後の事も考えて知力の底上げが必要な人に出陣してもらうの」


 そう言われて、俺は漸く理解に及んだ。


「……戦場で行う知力鍛練だな? わざと「火殺」で火の海を作り、計略の「消火」を繰り返す事で知力経験値の大量取得を狙うというあの……別名「放火魔式鍛練」「焼畑戦術」またの名を「オペレーション・イナゴ」」


「そっ! 相も変わらず、そういった事には鋭いよね、秋渓は!」


 個人ターンで実行できるコマンドに「鍛練」というものがある。

その内容は文字通りだ。行動力を30消費する事で、選択した武力・知力・政治・魅力のいずれかの経験値を獲得し、経験値が100になると能力値が1upするという努力作業。


 ただ、これは想像以上に行動力を消費する。

最初のうちは1回の鍛練で沢山の経験値を得られるが、成長する度に取得経験値は減少していき、成長限界一歩手前の状態では、得られる経験値が1とか2しかない。


一例を挙げれば、俺の場合は成長タイプが「将軍」だから武力と魅力の経験値が多く手に入り、初期魅力値の90から91へ成長するには大体10回程度の鍛練で事足りる。

然し、99から100に成長させようとすると、得られるのは1か2、稀に3(得意分野に限る)。故に99から100へは早くても50~45、運が悪いと80回近くの鍛練が必要になるのだ。


 これは知力と政治にも言える現象であり、戦争で影響する知力値の上昇に、俺は特に頭を使わなければならない。


(だからこそ、知力上昇系のアイテムを買って補ったぐらいだ)


 知力値50では敵の計略を簡単に受けるばかりか、策略(大将の知力値+参謀の知力値が策略P)の幅にも大きく関わってくる。

皆の足を引っ張らない為にも、俺の知力は最低でも60ぐらい欲しいのだ。


「要するに! 個人ターンの間にする暇のない知力鍛練を、戦場のキャンプファイヤーで兼ねてこい……と。了解だ軍師殿! んじゃ早速、選抜メンバーと一緒に出陣するか!!」


 こうして俺は、「火殺」という火計戦法を習得している陳宮、朱桓、諸葛誕、陳登、陳珪、顧雍に加え、知力の底上げを図る甘寧、太史慈、丁奉を伴って出陣した。

各々の知力値を上から順に並べると、陳宮89、陳珪82、顧雍82、朱桓81、陳登77、甘寧74、丁奉71、諸葛誕70、太史慈58、俺が55だ。


「なぁー太史慈! 俺達考えるの苦手だもんなー!」


「確かに。拙者も殿路殿も、武で語る人間ですからな!」


 選抜メンバーのワースト1、2を飾る俺と太史慈は、肩を組んだ状態で先頭を突き進み、神速の二人三脚を以て逃げる様に戦場を目指した。


「…………軍師になれる皆さん、秋渓を宜しくね!」


 一方、知力値70以上で軍師になれる仲間達もまた、知力値MAXの怜華に頼まれて出陣した。


火殺

戦争中に使用できる戦法の一つ。俗に言う火計。

戦法Pを60消費して一定範囲内の敵に割合ダメージを与える。

ダメージ量は成功時で残兵数の一割。また、追加効果で「平野・荒野・森」に該当する場所が炎上状態となり、ターン毎に敵味方を問わず小ダメージを与える。時には武将を火傷させて「軽傷」にさせる事も。


「山」に該当する場所では使用不可、抑々にして山は炎上しない、敵味方を問わずAI武将は火殺を100%使用しないとか……その辺の事をツッコんではいけない。


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