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小沛侵攻 其の四


 朱桓、甘寧に次いで、丁奉が砦跡地より前進。トウケン隊とチンケイ隊の合流を阻むべく、その中間地点に布陣した。


「私の番はこれまで! 太史慈殿、次を任せます!」

順番を回された太史慈は丁奉以上に前進。トウケン隊の左斜め後ろに接触した。


「よし来た。行くぞ勇士達よ! 一気呵成に攻めて敵の気勢を削ぐ!!」


 太史慈隊の「猛攻」は成功し、2349ダメージを与えた。


「ふふふ、ではわたくしも続きまして…………」


(……あっ、そうだっけ。魏延も参戦してたんだった)


 忘れてた忘れてた。今戦は俺と怜華、陳宮、朱桓、甘寧、太史慈、魏延の7人構成だった。

今の今まで空気過ぎて忘れてた。だが大丈夫だ魏延。きっと他の皆はちゃんと覚えて……


(あっ……今まで忘れてた。ごめん魏延殿)


(魏延殿…………確かに魏延殿もおりましたな。この陳、不覚にも忘れてたおりました)


(魏延殿か…………うむ。活躍の時だ。存分に暴れられよ)


(うへっへへ、いけねぇいけねぇ。完全に忘れてたわ)


(すまん魏延殿。拙者、盛大に忘れておった)


 皆して、如何にも覚えていなさそうな顔を浮かべて視線を逸らしていた。

そうやって見ると俺達、何気に酷いな……。


 だがそんな俺達に気付いていない魏延は、やっと回ってきた出番に興奮する。

興奮して、艶かしい所作を以て左肩を露出し、桜吹雪の刺青を披露するや――


「一心不乱に咲き乱れたらぁぁーーーぃ!!」


 まるで別人の様に男前な言動を見せたではないか!?


「来た! 来たぞ! 今のアレ、俺の心にビビッと来たぞ!!」


「えっ、ちょっ、秋渓? それと魏延殿? 突然どうして……」



 パーラーパラララー! パッパパァーーーン!!

『今日の秋渓劇場は此方! 孤高に咲き誇る美しき反骨戦士!!』



 曇り空から光が差し込み、決めポーズをとる魏延にスポットライトが当たる。

カッ! という効果音がどことなく鳴り響き、任侠界……否! 三国志界のスーパーウーマンに皆の注目が集まった。


『美しきもの……それは即ち戦そのもの』


「なんか始まったぁぁーー!?」


 天から伝わるナレーションに、怜華がすかさずツッコミを入れる。


 だが、知力値100の怜華軍師であっても、もはやこの流は止められない。

「美しきもの」を求める魏延は既に昇華を始め、戦場全体に雄々しき美を波及させんと、眉目秀麗なる様から漢中太守 鎮遠将軍のそれとなる。


『彼は美を求め、情熱を以て生き、美に非ずものを正す為に戦い、儚く散る将軍。彼は孤独であった。さながら梅林より離れて咲く桜の様に。されども彼を見抜いた大徳は義弟を差し置いてでも、彼を重く用いた』


「嗚呼殿路殿! 素晴らしいったらありゃせんわ! デュクシ! デュクシ! デュクシッ!!」


(あっ……このナレーション、秋渓の心の声か……)


『大徳の求めに応じた桜は長く強く咲き誇り、数多の敵を討ち破っていった』


 魏延は身構えた。将のやる気に当てられた兵士達も一様に闘志を滾らせた。

ならばこそ、俺は彼等にエールを送る。情熱を原動力に美しき戦を体験できるように、頭領として全力でサポートするのだ!


『想いに応えるのが彼の美であり、戦であるからだ!!』


「よっしゃ来たわぁぁーーーぃ!!」


 魏延隊の想いは爆発した。彼等は一心不乱となって突撃し、渾身の「乱撃」を披露する。


「おぉーらぁぁ!! 全員まとめてぶっ飛ばしたらぁぁーーぃ!! 反骨注入! 反骨注入! 反骨注入! 反骨注入! 反骨注入! 反骨注入! 反骨注入ゥーー!!」


「反骨注入! 反骨注入! 反骨注入! 反骨注入! 反骨注入! 反骨注入! 反骨注入ゥーー!!」


 謎な掛け声と共にトウケン隊の兵士達に猛烈ビンタをかまして回る魏延隊。1回目成功909、2回目成功892、3回目成功876、4回目成功858。

計4回の攻撃が全て成功し、総ダメージ3535という最高値を叩き出したのだ。


「うおおぉぉーー!! 流石は魏延隊! 見事な乱れ舞いだ!!」


「あれは……舞と言っていいのかな?」


「へへっ、楽しけりゃ良いんじゃねぇ?」


 将兵一丸となった乱撃に敵うもの無し。それは乱撃道を極める俺には良く分かった。

だがその一方、乱撃を所持していない……もとい乱撃クラブに参加していない怜華と甘寧の兄貴には、この良さが中々と伝わらないようだった。まことに無念なり。


 魏延のターンが済んだ事で敵援軍の番となるのだが、半ば包囲を受けつつあるトウケンは嫌悪感を露に号令を下す。


「フンッ……少々の蝿どもがブンブンと飛び回りよって、まったくもって小煩いわ。

――者共! 丹陽兵の恐ろしさ、存分に味わらせてやれ!! 全軍、掛かれェーー!!」


「うおおおおぉぉーー!!」


 トウケン隊が陳宮隊へ1453ダメージ。反撃ダメとして1170を返されるものの、依然として大兵力を抱えるトウケン隊の一撃はやはり重かった。

更にはトウケンの攻撃号令を受けた後続部隊も視界に現れ、トウケン隊を包囲しつつ陳宮隊の援護を行う朱桓隊の排除に乗り出す。


 後続部隊の将はビジク。兵数は9300。


「……これは、少々厳しいか……」


 攻撃に曝された朱桓隊は1746人にまで急減した。反撃を受けたビジク隊は8281となる。

ビジクもトウケンも平均以下の武力値なのだが、二人は大兵力を要している。

それこそが低武力を補っており、正に「数の暴力」「人海戦術」と言えるだろう。

個々の兵数が少ない俺達は、二撃ほど浴びるだけでアボンだ。


「だが! 勝てない訳はない! 怜華は北上して陳宮に「治癒」を掛けてくれ! 俺はビジクの背後に回り、朱桓と挟撃して敵の一角を崩す!!」


 6ターン目は連続で曇。無視されて前線に置いていかれたチンケイ隊が索敵範囲から消えるものの、そんな事はお構い無しで戦を続行していく。


 先ずはビジクを蹴散らそう。兵数もトウケン隊以下、武力もトウケン以下のビジクは集中して攻撃すれば容易に撃破できる。

そしてビジク隊敗走によって士気が下がったところを狙い、トウケンを包囲して撃破。その後になって漸くチンケイに止めを刺す算段だ。


 俺はトウケンと太史慈と魏延を迂回して進み、トウケンの右側面に布陣するビジク隊の背後に来襲。朱桓と挟み撃ちする状態で乱撃を繰り出した。

1回目は失敗して172、2回目成功856、3回目成功836、4回目成功816。俺の残り兵数3053。ビジク隊残り兵数5601となった。


「さぁーて、次は怜華の番だ! バッチシ陳宮を援護してや――」


『守備側の全部隊が壊滅しました。殿路軍の勝利です』

チャ~チャララ~ラ~ラ、ララララ~~!(勝利bgm)


「………………はぁっ!?」


 怜華へターンを回そうとした途端、俺達は小沛侵攻戦に勝利した。

俺と怜華と陳宮と朱桓と甘寧と太史慈と魏延が呆然とするのを余所に、援軍として現れたトウケン本軍は颯爽と撤退した。


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