小沛侵攻 其の二
小沛の戦い開幕。先ずは前と同じように端を移動して砦まで向かう。
1ターン目は晴れ。全部隊が高い機動力を以て移動する事ができた。
2ターン目は曇りだが、雨とならない限りは機動力に変化はない。
「へっへへ! あの旗印は他にいねぇな。敵将 ゾウハ! 覚悟しやがれ!!」
「なにっ!? もうここまで来たのか!? 何という速さだ!」
たった2ターン足らずで、戦場中央の補給限界線近くまで進軍した甘寧。位置関係を更に述べるなら、戦場のど真ん中にある砦から南に行った辺りだ。
彼は砦内に「臧」の旗印を確認し、ゾウハ隊弓兵3700を捕捉した。
余談になるが、甘寧の言う通り「臧」の字を姓に持つ武将はゾウハだけ。そしてゾウハは魏系の相性である為に、蜀系のトウケンや同僚のチンケイとは何気に仲が悪かったりする。
「先ずは小手調べと行くか。おいゾウハ! てめぇの味方のチンケイとチントウだがよ! 二人はお前の有ること無いことをトウケンに讒言してるってよ!!」
「…………確かに俺とあの親子は仲が良いとは言いきれぬ! だが彼等は知恵者にして忠義者! 徒に乱を呼ぶような真似は断じてしない!」
「……へっ、なんだよ。普通に良い同僚じゃねぇか」
甘寧は「混乱」という謀略系スキルを持っている。それは戦争時に於いて計略の「混乱」へと変わり、成功すれば敵部隊を混乱状態に陥れる事が可能だ。
然し、今回に至っては失敗し、ゾウハは何気にチントウとチンケイを信頼している様だった。
「下らん戯れ言は終いか? ならば次は此方の番だ! 弓兵! 一斉に矢を放て!!」
甘寧以外が敵に接近できていない為に、行動順に従ってトウケン軍が攻勢に回る。
手始めに、ゾウハ隊が砦から無数の矢の雨を降らせた。
「そんなへなへな矢に当たってたまるか!!」
(あれあれ兄貴ぃーー、その台詞どっかで聞いた気がするんだけどぉーー)
甘寧は得物の鉄鎖をブンブンと振り回し、突風を巻き起こして降り注ぐ矢の多くを弾き、味方の兵士を可能な限り守る。
結果、甘寧隊が受けたダメージは360と軽微で済んだ。
因みにあの台詞の後だが、手を使わずに梯子を登ろうとする甘寧へ向けて敵の将軍が「登らせるな」と兵士に言い、兵士が「ぬうっ」と言って槍を頭上から繰り出して…………ブーン!! といった鈍重な風切り音を伴った鉄鎖がグワン!! と兵士の顎に直撃。そして有名な「甘寧一番乗り!!」……と繋がる。
手を使わずに梯子を登る方法? それは当然、両手に持つ鉄鎖を水車の如くに振り回し……振り回し、浮力っぽいものを生み出して…………気合いで登るのだ!!
「そう、気合いだぁーー!! 気合いで攻めきるんだぁーー!! 今日こそ俺が戦功第一を飾るんじゃぁーーい!!」
ゾウハがトウケン軍最後の行動順であり、次は3ターン目(曇)に移行して俺の番となった。
俺は濮陽攻略戦で飾った戦功ランキング圏外の不名誉をそそぐべく、一層の奮起を見せながら大きく前進。ゾウハ隊への肉薄とともに味方の視界を広げ、もう一つの砦内に4500のチントウ隊歩兵と、外にチンケイ隊5200の弓兵を確認した。
「さぁさ皆様お立ち寄り!! これより見せるは哀れで虚しい男の奮闘記……を見せるわけがないだろぉーー!! 喰らえゾウハ! これぞ殿路流奥義! 突撃・隣の食卓へ手前味噌ォーー!!」
言うや否や、俺を含む兵士達がリーゼントを決めた不良に変身し、片手に武器ならぬ味噌を持ってゾウハ隊へ突撃する。即ち「乱撃」の発動だ。
「おらおめぇ! 家で作った味噌が食えねぇってか!? えぇ! オイこらぁ!」
1回目成功。652のダメージを与え、多くのゾウハ隊兵士が味噌を片手に嬉々として帰宅。
「俺んとこの味噌は全部がマジ最高な原材料だぞ! オーガニック味噌だぞあぁ!?」
2回目も成功。642のダメージを与え、オーガニック味噌に大きな期待を抱いた兵士達が家族へのお土産として貰って帰る。
「何で受け取らねぇんだあぁ? 金なんて要らねぇっつってんだろがあぁ!?」
3回目は失敗。124ダメージ。無料をちらつかせた事で、差し出がましさと怪しさを抱かせてしまい、悪いイメージを与えたようだ。
何時の時代も、健康とは決して金銭的な問題だけではない。人の心によって生まれるのだと、再認識させる良き失敗だった。
「俺ら怒らせるとタダじゃ済まねぇぞオラァ!! 明日からおめぇ等の食卓マジでオードブルにしてやるかんな!!」
4回目は成功。620のダメージを与え、オードブルまでしてもらう訳にはいかないとして、多くの兵が味噌を貰ってバイバイサンキューと、各々の家庭へ帰っていく。感動的だな。
「ね、ねぇ……手前味噌っそんな意味だっけぇ? これじゃただの有難迷惑系不良どもじゃない……いや確かに手前勝手ではあるけどさ、何か違うよねこれ絶対!」
「違わん!! 断じて違わんぞ怜華よ!! あとこの戦が終わったら味噌汁作ってくれ!!」
「あぁーはいはい味噌汁ね。諸葛靚殿が定陶山の集落で椎茸を沢山貰ったみたいだから、具材はそれでいいよね」
「おぅ! たっぷりと入れてくれ!!」
椎茸……香蕈…………茸……トリュフ。そう言えば、トリュフって日本でも採れるらしいぜ? 条件が揃えば東京の公園とかでも手に入るとか何とか。
乱撃が終了し、360の反撃ダメージを受けた俺の部隊は3440。
失敗が1回だけだった為に、思った以上に軽微で済んだ。というより、戦法の成功確率が下がる砦攻撃で3回成功は中々とレアなケースだった。
俺の次は守備側総大将の番。即ち、小沛太守のチンケイだ。
チンケイ隊は砦の北に布陣しており、そこから矢の雨を降らしてきた。
「ふっふっふ! 痒い、痒い痒い痒いわぁぁーー!! その程度かチンケイ!!」
然し、チンケイの武力があまりにも低い為、通常攻撃で188ダメージという壊滅的な低火力だった。因みにチンケイの武力は16で全武将中ワースト11位だが、知力は82で政治は81を誇る。
「まぁそんなに必要ないと思うけど、一応回復するね」
チンケイのターンが終われば、次は怜華のターン。
濮陽攻略戦の際に突出して痛い目に遭った彼女は、今戦では援護支援に専念。俺の背後に回って計略の「治癒」を発動し、兵数を3618にまで回復してくれた。
「では、この陳めが横腹を突いて見せましょう! 兵士の皆様! 今ですぞ!!」
怜華の次は陳宮。彼は俺の左翼もといゾウハの右側面に回り込み、戦法の「撹乱」を発動。見事に成功して775ダメージを与え、ゾウハ隊を混乱に陥れた。
「陳宮殿、見事な手腕! ならば私もそれに応えて見せよう!」
味方の活躍に奮い立った朱桓隊は陳宮隊を守る様に続き、東奥の砦に籠るチントウ(チンケイの息子)隊へ乱撃を仕掛ける。
乱撃は1回目が成功して546ダメージ。2回目が失敗79。3回目の最後は成功して540。朱桓隊が受けた反撃ダメージは407だった。
「ふむ……流石は知勇兼ね備えたチントウ。良く耐えるな」
チントウは武力62、知力77、政治82、魅力66の能力値ランキング78位。
そう易々と崩れ去る敵ではなかった。
「へっへっへぇー! 俺のタァーン! 喰らえゾウハァーー!!」
甘寧隊は補給限界線ギリギリを進み、敵軍の背後を突く形でゾウハの左後方に肉薄。
「猛攻」を発動したいところだが、残念ながら戦法ポイントが僅かに足らなかった為に、通常攻撃を以てゾウハに1096のダメージを与えた。
「俺とした事が……なんたる不手際だ!」
俺の乱撃と陳宮の撹乱をまともに喰らっていたゾウハ隊。混乱状態となって防御力が低下していた事も影響し、甘寧隊の一撃を最後に壊滅した。
臧覇(字:宣高)
呂布の後に曹操配下となった武将。
三国志演義の著者曰く……臧覇は威厳と恩恵を示す地方の守護神
何十年後の歴史家曰く……父の窮地を救った勇壮な孝行息子にして、方面軍を任せるに値する人物
数百年後の詩人曰く……臧覇が守る青州・徐州は、魏軍にとって失う事まかりならん要所
上記の様に、臧覇はマイナー武将の一人でありながら、相当な実力者として評価されています。
三国志演義では呂布配下の八健将の一人として、序列第二位として登場。呂布が敗死した後に曹操へ帰順。赤壁の戦いで西方の守備を命じられたのを機に、登場しなくなります。
その為か、演義準拠の各ゲームでは臧覇の能力値は低く、最新の三国志シリーズでも二流武官といったポジションです。
ゲーム内に於いては、呂布軍が誕生するまでの間、正史通りに官軍及び陶謙配下として登場します。
184~188年は何進配下、189~192年は陶謙配下、193年と194年は無所属、195年~198年は呂布配下、199年~219年は曹操配下、220(曹操没)~225年は曹丕配下、226(曹丕没)~230年は曹叡配下。
曹一族三代に仕えた事も凄いですが、前半だけで三人も主君が変わっています。しかもその度に重用されていきます。普通に凄いです何処の藤堂高虎だお前は。
因みに200~230年まで、彼はずっと小沛太守として同地を守備しており、歴史通り孫権を幾度となく撃退します。
以上をもって最後に一言……臧覇の能力値が武力72 知力45 政治52 魅力66って低すぎやしません?




