小沛侵攻 其の一
281年1月 濮陽の酒屋 4回目の軍議
この日、遂に奴等が動き出した。
「イヤッホオォーーイ!! 小覇王 ソン・ハクフ見参!! この地は俺達が頂いたぜェ!!」
『ソンケン軍のソンサクが総大将となり、寿春へ侵攻。守備側正規軍が存在しない為、ソンケン軍が寿春の占拠に成功しました』
「カン・ウンチョウこれにあり!! 此度の勝利、兄者に捧げよう!!」
『リュウビ軍のカンウが総大将となり、上庸へ侵攻。守備側正規軍が存在しない為、リュウビ軍が上庸の占拠に成功しました』
その通り、公式チート勢力の内、二つが領土拡大に乗り出したのだ。
ソンケン軍は東に進出し、リュウビ軍は北へ伸びた。
因みに軍議ターンでは正規勢力が優先的に行動し、俺達放浪軍はその後の行動となる。
「殿路殿、ソンケン軍領を偵察してきたっす」
ソンケン軍の偵察を終えた丁封。
彼は行きも帰りも顧雍お手製の法螺貝をブゥオー! ブゥオー! と吹きまくっていた。
「うぅおぉーのれぇーー!! 殿路ーー!! …………ほれ、リュウビ軍調べてきたぞ」
リュウビ軍の偵察を終えた全端。
彼は行きも帰りもハイテンションで、シュゴゴォォーー!! と爆音を立てて飛んでいた。
「ねぇ……二人とも。偵察の意味って分かってる?」
片や正真正銘の天狗、片や世紀末武将の顔立ちをした男。
ただでさえ目立つのに、それを助長させている効果音は大丈夫なのかと、怜華が問う。
「無問題!! イエェェーーイ!!」
俺と丁封と全端は肩を抱き合って高らかに叫ぶ!
「気合い! 気合いだぁ!! 偵察とは気合いだぁーー!!」
「まぁ……何の問題もなく情報が更新されてるし……みんなが楽しいならいいけどさ……」
ラムの毛繕いをしてあげながら、情報画面を確認する怜華。
「よし、軍師殿のお墨付きを頂いたぞ! 俺達は官軍だ!」
俺達は早速パーティーを開こうとするが、あろうことか怜華が止めに入る。
パーティーよりも軍議、パーティーよりも戦争、パーティーよりも侵略戦……と、中々に物騒な文句とともに強制的に軍議からの戦争へ移行する。
司会進行兼状況説明は怜華を補佐する朱桓だ。
コヨエモンが作ってくれたプロジェクタースクリーンに表示された大陸の勢力図を示しながら、酒場机に額を寄せる仲間達へ説明する。
「現在、我等の兵士数は29768だ。これならトウケン軍の小沛を攻め落とすのも可能。
対する小沛の戦力は以前と変わらず兵士数が13400で、武将は3名。策士のチンケイに、息子のチントウ、勇将のゾウハ。城の防御力も変わらず126だ」
「そんで、援軍には下邳のトウケン本軍が来やがる……か」
机に足を乗っける甘寧が、諸葛誕から貰った餅を食べながら呟いた。
因みに諸葛親子に至っては、コヨエモンが作ってくれた全自動餅つき機に感動して上の空だった。
「如何にも。東の下邳にはトウケンの本軍3万6千がいる。どれ程の数が援軍に現れるかは分からぬが……少なくとも、我等の総兵数に勝る事は間違いない」
「へっへへ、援軍合わせりゃ3万対5万ってとこか。暴れ甲斐があるじゃねぇか!」
血が滾ったとでも言うべきだろうか、甘寧の兄貴は早くもモチベマックスだ。モチモチの餅を食べている事が影響しているのは、言うまでもないだろう。
そこへ魏延が、次いで仲間になったばかりの陳宮が進言する。
魏延に至っては、コヨエモンが作ってくれた美肌パックを付けている。
陳宮に至っては、コヨエモンが作ってくれた全自動マッサージチェアで極楽している。
「……とは申しましても、正面からまともにぶつかれば流石に苦しいところ。できれば片方ずつを、速やかに各個撃破したいですねぇ。
――おっと時間ですわ。パックを取って乳液を塗らなくては」
「この陳が思いますに、「疾風」を以て早期決着を望むべきかと。戦場となる地形からも、援軍の出現場所と思われる所は砦に近く、2ターンもすれば敵は合流を果たすでしょうからな。
――うほぉっ!? おぅおぅそこです……効きますなぁー」
二人は守備部隊の早期撃破を狙い、陳宮に至っては具体的な献策まで行ってくれる。
更に言えば他の者にも異論は無い様子。
更に更に言えば、餅つきが完了して丁奉や凌親子が配膳を始めた。諸葛親子は真ん丸ふっくらの餅を見て感動している。
当のコヨエモンに関して言えば、怜華から頼まれていた全自動洗濯機の開発に成功して全禕や袁遺と一緒になって喜んでいた。
全ての機械が電気なしでどう動いているのか気になるが、21世紀の青狸も電力とか関係なしに秘密道具を使っていたんだから、無問題!! イエェェーーイ!!
「よっしゃぁ! では今回も疾風戦術だぜ! ……さて、怜華軍師殿。陣容はどうする?」
「うん。先ずは大将に秋渓、兵数は3800。参謀の私は3000。先鋒には甘寧殿の3800、副参謀には陳宮殿の3900。その他には太史慈隊3800、朱桓隊3800、丁奉隊3800、魏延隊3800の計8部隊。全軍軽装歩兵」
「オーケー!! んじゃ張り切ってぇ……全軍出陣!! 小沛を攻め落とすぞ!!」
「ウオオォォォーー!!」
ギリギリまで兵を投入し、総兵数29700での出陣。濮陽を後にして小沛へ侵攻した。
「前回同様に疾風戦術。策略も同じく、鼓舞3に天変1、幻術1」
開戦を前にした作戦会議に於いて、怜華が「策略」の数を決定した。
策略とは戦争中に使用できるアイテムという認識でオーケー。
大将の知力値(50)と参謀の知力値(100)を足した策略Pを割り振って選択するのだ。鼓舞は1つで30Pなので合計90P、天変は20P、幻術は40Pとなっている。
「よし、陳宮の意見に従って疾風戦術だ! 陳宮、お前の活躍を期待しているぞ!」
「おぉ殿路殿! この陳めにお任せを!」
仲間の進言した戦術を採用すると、その武将は開戦前に部隊士気を上げる。
今回に至っては陳宮の献策を採用した為、陳宮隊の初期士気が70から73となった。
「いざ開戦だぁーー!! 俺達の疾風怒濤!! トウケン軍にガツンと味わわせてやるぜぇーー!!」
「オオオオォォォーーー!!!」
そして開戦と同時の号令で、全部隊の士気が11ターン目まで20プラスされる。
ここに小沛の戦いが幕を開け、先ずは殿路放浪軍29700と小沛守備軍13400が衝突した。




