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激突! 殿路放浪軍VSリュウタイ正規軍!


 4ターン目も雪だった。

だがこのターンで、砦に迫った俺は遂に敵の姿を捉えた。


「砦内にキョウボウ隊3600! 南にはリュウタイ隊5700! でも見つけたは良いけど俺のターン終わったぁぁぁーー!!」


 そうなのだ、索敵範囲の中に敵の姿を捕捉する事はできても、移動距離が足らずに敵部隊と接触できなかった。それ即ち、俺の次に行動ターンが回ってくるリュウタイが……


「うはははは!! リュウタイ一番乗りィーー!!」


「あぁぁーー!! てめぇ俺の出番潰しやがったなぁーー!!」


 一番乗りの快感に酔ったリュウタイが、興奮のあまり鼻息を荒らくして突進してきた。


 それに対して持ちネタと役回りを奪われた甘寧の兄貴がキレる。

だが俺と兄貴の部隊間に距離があるのと同じく、兄貴とリュウタイの部隊間にも距離があり、リュウタイは兄貴を無視して俺に攻撃を仕掛ける。


「喰らえっ! これがリュウタイ一番乗りの力よ!」


 俺の部隊と肉薄したリュウタイは戦法「乱撃」を発動。乱撃は1ターンの間に隣接する部隊(敵味方問わず)に複数回攻撃できる戦法であり、Lvによって攻撃回数を増す。

リュウタイの場合はLv2だから通常ダメージ0.8倍の攻撃を2回行える。つまり2回とも成功すれば、合計で1.6倍のダメージを与えられる訳だ。


「うわぁー、やられたぁー」


「あちゃー、俺も当たっちゃったよ。んじゃ、俺ら帰りますんで。また次の機会に宜しく」


 敵の兵士にチョンチョンって指差された数十人の味方兵達が、戦場を離脱していく。

リュウタイの乱撃は2回とも失敗に終わり、俺の部隊の被害は少なかった。


「おっ、おいぃ~、つつき返すなよぉー」


「あっちゃー! 反撃されちゃったよぉー。じゃあ俺らも帰るか!」


 しかも乱撃は失敗するたびに、攻撃側の受ける反撃ダメージが大きくなる。

リュウタイの部隊からは、俺の部隊以上に多くの兵士が帰宅作業に移る。

因みに乱撃失敗時の威力は0.1倍ダメージだ。


「ふーははははーー!! 効かん、効かんぞぉーー!!」


 結果、この戦闘で受けた被害は俺よりリュウタイが上だった。

抑々にしてLv2の成功率は、得意な地形である平野でも35%。普通なら成功しない。


だが敢えて言うならば、このゲームには一種の裏仕様とも言える都市伝説がある。

それは味方の戦法成功率マイナス25%、敵の成功率プラス25%……というものだ。即ちそれが正しければ、今のリュウタイの乱撃成功率は60%となるんだなこれが。

えっ? これで2回やって成功しないの? そう、このゲームはその仕様を考慮して75%以上ないとまず成功しない……という都市伝説がある。


「結局何が言いたいのかというと! 今回は2回とも失敗したが、敵の戦法はLvが低くとも成功する確率が高く、味方はLvが高くても普通に失敗しまくる訳なんだな!! そんな訳でリュウタイ、そんなに落ち込まなくてもいいぞ! 次があるからな!!」


 戦法失敗で傷心したリュウタイは、目に見えて意気消沈していた。部隊士気に響いていないのが不思議な程に、ドヨーーン! として茸を生やしていた。松茸とトリュフだった。


 俺は慰めの言葉を送って彼のやる気を取り戻させる。何せこれは遊びではなく、歴とした戦なんだ。正々堂々に戦いたいじゃないか。


「お取り込み中ごめんねぇー! はぁーい撹乱成功ー! リュウタイバイバイバーーイ!! ついでに茸貰ってくねぇーあーりがーとねぇーー!!」


 戦場で生まれる友情を理解しない怜華が俺の右隣に移動し、無惨にも成功率68%(都市伝説が正しければ43%)の「撹乱」を成功させる。いくら開戦前の作戦会議で八つ当たりを決意したとは言え、中々に容赦がなかった。それはそうと茸奪取はナイス!!


「うわわわわわっ!? 親方、空から女の子がっ!?」


「おうパドゥ!? そこで何してやがる!?」


 「撹乱」は成功時に1.2倍ダメージを与え、中確率で敵部隊を混乱状態にする。

しかもこの戦法は本来なら森林で真価を発揮するのだが、別の地形で発動しても、他の戦法に比べて成功率が減少しにくい。


※平地・草地や街道で「猛攻」「乱撃」を行った時の成功比率を100とする。同戦法を森林で行うと、その比率は25に激減する。このように各戦法には得手不得手の地形があるが、「撹乱」はどんな地形であっても高い確率を保持する。森林100を基準にして、平地・草地や街道で80。

その上、何処かの桃色・短髪・低身長・猫目が特徴的な女将軍が言っていた様に、消費戦法Pが25と安上がりときたもんでぃ。


 リュウタイ隊は簡単に混乱し、さっきとは比べ物にならないほど多くの敵兵が帰宅していく。


「……この機に乗じようと思ったが、若干距離が足りんか……」


 怜華の次は朱桓が行動する番になる。

彼は混乱したリュウタイへ追撃を掛けようとしたものの、あと少しといった所で移動限界に達し、部隊同士が接するのは次のターン以降となってしまった。


「おお朱桓! 惜しいな、あと少しだったのに!」


「取り敢えず、このターンは殿路殿の左を守ろう。次のターンから攻撃に移る」


「おぅ! 頼んだぜ!」


 俺の正面にリュウタイ、右に怜華、左斜め後ろに朱桓。

そして朱桓のターンが終了すれば、次はこの戦場で彼に次ぐ知力を持つ甘寧のターン。


 兄貴は鉄鎖(甘寧所持アイテム。武力値プラス2)を振り回しながら補給限界線に沿って一気に北上し、リュウタイの背後をとって俺と共に挟撃する形を成す。


「へっへ! 敵将・オウチュウを発見! だがてめぇは後だ! 先ずはリュウタイてめぇだぁーー!!」


 その最中、敵の奥深くに入った甘寧隊によって俺達の索敵範囲が広がり、砦の東側にオウチュウ隊2700が確認される。

だがオウチュウは兵数も少なく能力値も低い。彼は別段警戒するような存在ではない為、兄貴は背後に肉薄したリュウタイへ意識を向けた。


「オラオラオラァーー!! 吹き飛べやリュウタイィーー!!」


 混乱状態のリュウタイへ通常攻撃が炸裂。鉄鎖による一振りが暴風を巻き起こし、実に1284人もの兵士を強制自宅送還させた。


「拙者も、まだ距離が足りんな……すまん殿路殿、敵のターンへ回す!」


「太史慈! たぶんな、次のターン以降怜華に代わって俺の右に入ってもらう事になるぜ!」


「軍師殿の場所へ……承知致した!」


 スキル「騎兵指揮」と「弓兵指揮」を持っているが、「槍兵指揮」は持っていない太史慈。

どうしても機動力に劣ってしまう様で、彼は俺の背後に控えてターンを終了する。


 ここからは敵軍のターンだ。先ずは軽装槍兵のオウチュウ隊2700が動く。


 オウチュウは計略の「沈静」を行う。

計略は戦争中にスキルを活かして行う行動だが、スキルを1つも持たないオウチュウの様な武将でも、2つだけ使えるものがある。計略範囲内に混乱・恐慌状態の味方がいる際に使える「沈静」と、範囲内が燃えている際に使える「消火」だ。


「チュウーー!(訳:リュウタイ様! 落ち着いてください!)」


 オウチュウは甘寧越しに、計略範囲内にいるリュウタイ隊へ沈静を仕掛けた。

甘寧の兄貴はそれを無謀だとして笑う。


「へっへっへっへー! 知力33の髭ネズミのてめぇが「沈静」に成功する訳が――」


「おお! 兵達が落ち着きを取り戻したぞ!? オウチュウ、よくやってくれた!!」


「成功しやがった!? マジかよ!?」


 兄貴や俺、怜華の予想を裏切ってオウチュウは沈静に成功。やりよるぞあの髭ネズミ。


「ぎゃぁーー!? オウチュウが奇跡起こしたせいで知力派武将が私に弓矢射ってきたー! 秋渓助けてよぉーー!!」


 砦から2回に亘って、弓兵の遠距離攻撃が怜華隊へ向けられる。

1回は敵参謀のエンイから。姿は捉えていないが、2つある砦の内、奥に位置する所から攻撃している様だ。

2回目は確認済みのキョウボウ隊から。彼等は前にある砦を守っている。


「ちょっとヤバいって!? 私の残り兵力が早速ヤバいんだけど!? 1786で半分近くになっちゃったって!? お願いだからみんなまだ帰らないでぇーー!!」


 当然ながら、敵は武力の低い部隊に攻撃を集中させる。

怜華の算段では「撹乱」を成功させてリュウタイを混乱させ、敵参謀のエンイやキョウボウといったリュウタイに比べれば知力派の武将が「沈静」に手を焼く隙に、リュウタイやオウチュウを潰すつもりだったのだろう。


 然し、まさかのまさかでオウチュウが奇跡を起こした為、逆にフルボッコされかけている。

可愛い子は苛めたくなるといったあの現象だろうな。たぶん。


「任せろ怜華! 俺の「乱撃」でリュウタイからの攻撃力を下げてやる!

――喰らえリュウタイ! これぞ殿路家奥義! 杉花粉撒き散らしアタァーーック!!」


 戦争パートの4ターン目が終了して5ターン目の最初。天候は雨。

俺はリュウタイ隊の兵力を削って怜華に対する攻撃力を低下させるべく、待ちに待った乱撃Lv5を発動した。場所は草地、成功比率は100、実際の成功率は85%だ。


「ぶわっくしゅん!? アカン、これはアカン!? 俺は帰るぞ!」1撃目成功!


「うわぁー!? 花粉が霧みたいな濃さで襲ってくるぞぉー!? 逃げろぉー!?」2撃目成功!!


「この部隊のみんなが花粉症なんだよ! 勘弁してくれよ!」3撃目成功!!!


「あっ、流石に慣れたわ。大丈夫大丈夫」4撃目失敗……


 4回攻撃して1回失敗。まぁ上々な戦果だろう。リュウタイ隊も1077まで減ったし。

因みに俺の残り兵力は2540だった。


王忠(字:不明)

曹操配下の武将。演義では曹操の庇護下にあった劉備が反旗を翻した際、劉岱と共に討伐を命じられたが、関羽に敗北して捕虜となる。後に張飛との知力合戦に敗れて捕虜となった劉岱と共にヨイショされて良い気分になって帰宅。「劉備は良い奴っすよ! 俺達をもてなしてくれました!」と言ったら曹操がぶちギレて劉岱と共に処刑されそうになった。

ゲームの能力値と実際の戦争を比べたらお門違いかもだけど、知力31の張飛と知力38の劉岱の知力勝負とか……底辺すぎる。いや、張飛の知力設定が低すぎるのでしょうね。彼は前半では脳筋ですが後半では名将っぽく成長していますから。

余談ですが上記の成長要素を考慮してなのか、ゲームに於ける張飛の武将系統は万能タイプです。武力、知力、政治、魅力の全てが大きく成長します。その為、武力と魅力が限界近い将軍タイプの関羽や、魅力が98の魅力タイプの劉備よりも成長幅が大きいのが特徴です。っていうか劉備と関羽がまるで成長しません。



話を戻して王忠さん。横山三国志では劉岱と共に完全なネタキャラ扱いとなっています。

どっちが劉備を攻撃するかで劉岱と口論になった挙げ句、くじ引きで負けて数ページ後には関羽にも負ける。くじ引きを前にしては、劉岱がスーハースーハーと深呼吸、王忠がイッチニイッチニと準備体操。

くじを引き、勝った劉岱がヤッター( ≧∀≦)ノ と跳び跳ねる一方、王忠はアワワワ(;´゜д゜)ゞ となって……良い歳したオッサンらが何やってんだよ笑。


王忠は189年に劉岱軍の濮陽に登場。192年には劉岱と共に曹操軍へ帰順。199年には劉備と戦う設定になっており、200年には劉岱と一緒に解雇されて翌201年を最後に死亡扱いとなります。

武力60、知力33、政治34、魅力39。所持スキルなし。戦法は乱撃Lv2のみ。

「王」を姓名に持つ武将は比較的優秀な者が多い中、彼は何とも言えない低能力値です。

ただ、史実に於ける彼は演義とは違ってまあまあな人物らしく、劉備に負けてはいますが、一応は魏の臣下として名を残しています。

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