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呉(都市)の在野武将コンプリート


 撮影会後の出来事を簡潔に言うならば、諸葛靚(ショカツセイ)が全琮(ゼンソウ)の孫に当たるゼンイを連れてきた。

ゼンイは凌統と狩りに出掛けた際、その帰り道に紹介してもらった武将だ。呉の城壁上にて超悪人面をしていたゼンタンの息子でもある。


「友達のゼンイ殿です! 放浪軍に加わりたいそうなので連れて参りました!」


「お久しぶりです殿路殿。私も祖父と共に戦わせてください!」


 諸葛靚もゼンイも屈託のない笑顔が眩しい青年だった。


 凌操がタイシジを連れてきたような武将紹介は結構な頻度がある。

だが、極稀に今回みたく、味方武将が在野武将を推挙してくる事もあるのだ。

在野武将、推挙する武将、君主武将。三者の相性値が近くなければ、まず起こらない。

抑々にしてゲーム開始から数年が経過した頃には、在野武将自体が珍しい。

見聞を行って未発見武将を掘り起こすか、何処かの勢力が滅ぼされて武将が大量に解放されたりしない限り、後年になるにつれて在野武将はいなくなる。


 それ故に、こんな機会は今回が最初で最後ではないだろうか。


「無論、此方からも宜しく頼む! 欲を言えば、残りの全一族もともに……」


「父と叔父ですね。二人とも推挙を受ければ二つ返事で応えてくれる筈ですよ。私が諸葛靚殿に推挙されたと聞いたら父は喜んで空を飛んでましたし、極度の寂しがり屋である叔父も内股でモジモジしていましたから」


 どうやらゼンタンは相変わらず空を飛ぶらしく、彼の弟かつゼンイの叔父に当たるゼンエキも仲間にしてほしそうな視線を向けていたご様子。


「何て言うか……祖父と孫に似ず、変な兄弟ね。……取り敢えず二人の推挙には私が当たるわ。丁度、朱桓殿の息子さんも誘いたかったしね」


 隣で聞く怜華は状況を思い浮かべて若干引き気味になるものの、呉に赴く用事を兼ねてゼン兄弟の説得を行うと言う。

それにゼンイが力強く反応する。


「おおっ、シュイ殿ですね! 彼ならば私も良く知っております! ゲンハクコ(呉を治める勢力の君主)に登用を持ち掛けられたところを助けてもらいました!」


「ほぅ、倅は私の留守中にそんな事をしていたのか」


 今度は朱桓が関心を持って会話に加わった。

だがそれ以前に、俺と怜華には登用を持ち掛けられて助けが必要となる状況が分からない。

その事をゼンイに問い質せば、彼は即答する。


「ゲンハクコが狂いました」


 俺達にはその意味が分からなかった。狂っている? 奴は元々狂っている。


「何をトチ狂ったか知りませんが黒魔術に手を染めて、儀式の為の生け贄要因をボランティアで募集しだしたのですよ」


「それはぁ……狂ってるな……相当に狂ってる」


 詳しく聞けば、どうやらこういった理由らしい。

ゲンハクコ軍の本拠地たるゲンハクコ城内のゲンハクコ宮殿一角にあるゲンハクコ風呂にあって、彼は己の存在が孫呉の踏み台となって滅亡するだけの事実に嘆き悲しみ、自らの涙で浴槽を満たして塩水風呂を作っていたという。


そして水面に映った自分の顔を見て、彼は直感したらしい。

そうだ! 黒魔術の儀式を行って大魔王ゲンハクコーン様を召喚すれば、大陸を支配する事なんてお茶の子さいさいクリングプレス! だと。


「大魔王ゲンハクコーンだと!? 奴は正気か!?」


「お茶の子さいさいクリングプレス作戦も捨て置けぬ。……ゲンハクコは馬鹿だ馬鹿だと思っていたが、奴も少しは頭を絞って皆無に等しい知恵を出したか。……これは侮れぬぞ」


「………………」


 伝説の大魔王召喚を危惧する俺と、魔王召喚を隠れ蓑にして別の圧政策を施行せんとする事に油断ならないと言う朱桓。怜華はツッコム所が多過ぎて思考停止した様子。


「兎に角、今の呉ではより優秀な人間……即ち一般人ではない我々武将が生け贄にさせられそうで……させられそうではない……何だかよく分からない状況なんです」


「させられそうではない……とは?」


「ただ単純に配下武将を欲しいだけなのかも……と思いまして。シュイ殿に助けられた時の状況なんですが、ゲンヨ殿(ゲンハクコの弟にして同勢力唯一配下武将)が私を超厚待遇で迎えるから来ないかっ!? ……って誘ってきたんですよ」


「…………倅は何と言ったのだ」


「それ、厚待遇をチラつかせて後で酷使する詐欺だから。というよりゲンハクコに面会しに行った傍から生け贄にされるから行くの止めなさい…………と」


 史実に於いて面会しに行ったら問答無用で殺された男は、流石に良く分かっていた。

父の朱桓も複雑な表情を浮かべつつ、過去の失敗を活かしている息子の行いを評価する。


「まぁ、普通はそうだろうな。あの徳王(笑)・ゲンハクコの弟にして、詐欺師・ゲンヨだからな……上手い話はまず有り得んだろう」


 詐欺師ゲンヨ。知力ランキングワースト21位、政治ランキングワースト4位を冠し、総合能力値ランキングワースト14位を記録する彼の唯一のスキルが「弁舌」である為、人は彼を三流詐欺師と呼ぶ。


「……これは由々しき事態だ……! 呉の同士達を一刻も早く助け出さなければ! ……怜華!」


「はいはい。呉の武将をみんなスカウトしてくれば良いのね」


「ゲンハクコが悔し涙を流す程に、遠慮なく! 存分に! 頼む!」


 会話登用しかできない俺だと、会話の内容によっては1ターンで登用できない場合がある。

そういった時には、怜華が「推挙」を行って確実に登用の話を振るべきだった。


 怜華は早速、朱桓と仲間になったばかりの全禕(ゼンイ)を連れて呉を訪問。

朱桓の息子である朱異(シュイ)、三国志演技にあっては全禕の父となっている全端(ゼンタン)、同演技では全端の弟となっている全懌(ゼンエキ)を根こそぎ推挙し、二つ返事で彼等は了承。同時に今までの推挙経験が実り、怜華の魅力値が1上昇して51になった。


 彼女は次に長沙を訪問し、賊兵440人を捕縛。金19と兵糧8を獲得した後に、一旦帰宅。


「うぉまぇは全一族を根こそぎ登用したぁぁーー!! スケベェか!? スケベェかぁ!? スケベじゃなければ何たる欲張りどぅわぁーー!! うぉれは別に嬉しくなんてなぃーー!! 飛びたいから飛んでくるぞぉーー!! …………では丁封殿、行きましょうか」


「そっすね。今日の夕飯は鍋らしいんで、肉と野菜をしこたま買いましょう」


 広域偵察のスキルを持つ全端は、相も変わらぬ熱血ぶりと跳躍力を示し、同じく偵察持ちの天g……丁封と共に夕飯の買い出しに行ってくれました……空を飛んで。


「んで、私は秋渓の残り物を有り難く頂くと!」


「おぅ、バッチリ弱めておいたからバッチリハイエナしてくれ」


 俺は俺で、陳留に発生した賊の討伐と募兵(713人集まったぜ!)を行っていた。

1200人の元大山賊を320人まで減らし、金22と兵糧27を先に頂いた上で、美味しいところは怜華に食べさせるのだ。

怜華は残りの賊兵を無事に討伐し、金126、兵糧1570を入手。陳留太守であるシバイからも、直々にお褒めの言葉を頂いたという。


全禕(字:不明)

呉及び魏の武将。正史では全一族の内部で争いが起きた為、弟と母を連れて魏に亡命した。

司馬一族に反旗を翻した諸葛誕が呉に援軍を要請した際、全禕は派遣された全端と全懌を説得して魏軍に降伏させる。


一方の演義では、援軍の大将である孫綝(ソンチン)から「魏軍に勝たなきゃ、お前達一族は皆殺しだぜ! ヒャッハー!」と脅された為に、魏の大軍に包囲された際に降伏。後の説得及び降伏祭りは正史と同じです。

因みに朱桓の息子である朱異に関しては、元々勝ち目のない状況にも拘らず、孫綝から「魏軍に勝たなきゃ、お前は絞殺だぜ! ヒャッハッハー!」と言われ、負けた後に呼び出されて出会い頭に捕縛されて絞殺されたとか何とか。

ゲーム内では249年と263年のシナリオに登場。他の全一族と同じ都市に居ます。


……色々とやらかしている孫綝さんですが、280年のシナリオでは結構な頻度で顔を見ます。

ある時は陶謙軍の都督(太守が都市の№1なら、都督は太守達の上司。実質的な立場は君主の次)となって、丹陽兵10万の総大将として攻めてきたり。またある時は袁紹の下でこれまた都督となり、顔良や文醜を部下に20万の総大将として防衛戦を展開したり。またまたある時は、孫権死後に孫呉を乗っ取って司馬一族とタメ張ったり。

兎に角、能力値合計ランキングワースト7位の癖に、それを感じさせない程に自信満々な顔グラフィックで存在を主張してきます……マジで勘弁してほしい

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