リュウビ軍事情
280年5月 陳留
この日、凌操が朝から居なかった。
息子である凌統に聞いても、父上はたまに居なくなるとの事で、詳しくは彼も知らない様だった。
「まぁ夜には戻ってくるだろ。……という訳で俺は恒例の賊退治に行ってくるぜ! 各勢力が徴兵しまくるせいで、大陸中が賊だらけになりつつあるからな! 怜華と丁奉、特に弟のテイホウには本当に悪いが、彼の説得は二人に任せた!」
盧江で放浪軍のオファーを待ち続けているテイホウの推挙を、怜華と兄の丁奉に任せる。
二人は力強く首肯して、狩りに出掛ける俺を見送ってくれた。
永安(リュウビ軍領土)
「んで、盧江の賊はテイホウ説得を兼ねて軍師ちゃんに任せ、大将さんは此方の賊討伐か」
気付いたら同行していた甘寧の兄貴。彼曰く暇潰しとの事だ。
「オゥイエス! 俺は賊の討伐を兼ねてリュウビ軍の偵察でございやす!」
都市の情報を知るには、軍議で偵察を行うか、直接足を運ぶか、運任せで出会う旅大好き爺さんから教えてもらうしかない。
勢力の情報を知るには、その勢力が治めている都市全ての情報を把握する必要がある。
そして、現在リュウビ軍が治めている領土はここ永安のみ。
つまり永安の情報=リュウビ軍の情報となるのだ。
それと余談になるが、城壁を見聞する事でたまに出会う「旅大好き爺さん」……彼は一体何者なのだろうか。
最近どこどこを旅してきましたので様子を教えてあげよう……と言ってランダムで複数都市の情報を教えてくれるのは有り難いが、その情報は諜報員並みの完璧なものであり、一般人でありながら軍事力や食料・金の生産力、強いて言えば武将一人ずつのプライベートまで把握しているのだから驚きだ。
(まぁ……かく言う俺達も、入るだけで情報が更新されるから……人の事は言えないけどな)
行動力20を消費した訪問をするだけで、これといった諜報活動をしなくても都市情報が丸見えになる素敵仕様。でもやっぱり武将の所持金とかはさ、隠そうよ。
俺はそんな事を考えつつ賊討伐の申請を屯所で済ませ、甘寧の兄貴にはリュウビ軍の動向に探りを入れてもらう。
山賊の数は2200名。俺の残り行動力は120(討伐1回につき60消費)。
「民を脅かす賊ども! この殿路秋渓が許さぬ! っとぇい!!」
勇壮な掛け声とともに空から巨大な大仏様を降臨させ、彼の後光「アルカイックフラッシュ」を浴びた賊兵を改心させていく。
「見たか! これが武力100たる所以よ!!」
虎の威を借る狐ならぬ、仏の光を借りる秋渓。
人は皆そう言うだろうが、要は勝てれば良いのだ勝てれば。
細かい事は気にせずとも、勝てれば良かろうなのだ。
ともあれ俺は1回目の討伐で860人の兵士と金12、兵糧22を入手。
2回目では840人と金24、兵糧10を入手。合計1700人の賊兵を捕らえる事に成功した。
「あぁー惜しいな! あと500人だけ残っちまった!」
屯所で合流した甘寧の兄貴が、腕を振り下ろして悔しがる。
行動力が足らぬばかりに止めを刺せず、美味しいところをリュウビ軍の武将に取られてしまう事を残念がったのだ。
「こればかりはなぁ……兎に角、多くの兵士を獲得したと思うしかないよ。…………ところで兄貴、リュウビ軍の事について、何か掴めましたかい?」
「おうタニィ、バッチシよ。ショカツリョウの奴ぁ、治安の仕事、してんだぜぇ?」
カウンターに腰掛け、水を片手に肩を寄せ合う俺達。
俺がヤクザチックに話を振れば、兄貴もそれに乗って髪を逆立てる。
「しかもよ、商業の仕事はチョウヒの奴がやってやがるぜぇ?」
「兄貴、普通は逆じゃねえっすか?」
「こればっかりはよぉ…………通・常・営・業ーー」
長い溜めの後にドヤ顔とドスの効いた声を放つ兄貴。いや普通に怖いわ。
だが兄貴の言うとおり、リュウビが史実に反して人材の適材適所を間違っているのは、最早お約束の現象なんだなこれが。
彼は何故だか知らないが、一人ずつに苦手とする仕事を割り振る確率が異様に高く、軍事力増強が遅くなって他の勢力に呑まれる傾向にある。
今季の仕事割り振りが良い例だった。武力の低いショカツリョウに高い武力を必要とする治安を任せ、政治の低いチョウヒに商業の仕事を任せる。
これじゃあ何処ぞの江夏太守とどっこいどっこいじゃねぇかリュウビさんよー。
「この分ならリュウビ軍の勢力拡大は遅いな。よし兄貴! 陳留へ戻ろうか!」
「おぅ。軍師ちゃんがテイホウを連れてきてる筈だしな! 戻るとするか!」
俺と甘寧はリュウビ軍の偵察を済まし、陳留へと戻る。
そして行動力の残りは0なので、今ターンは終了となった。




