こちら怜華、賊の討伐を完了。どうぞ。
怜華のターン。行動力170から呉へ移動した事により、残りは150。
「賊兵の残りは560人。1回で討伐仕切る事は難しいけど、2回ならいける!」
腕捲りして気合いを入れる怜華。彼女の傍には味方となったばかりの元賊兵達が居た。
「イーワゼダノドシングシアマナナキテスヨロミ」
「ニノルガアガクョリブノレオラタレクテシ。ナカーネレクテシュシクア」
「相変わらず何言ってるかさっぱりだけど…………秋渓の為に、みんなの力を貸して?」
「おおおぉぉーー!!」
首を傾げてお願いする生足が素敵な軍師殿の姿に、賊兵達は歓声を上げて快諾。ここだけ正常な反応を見せる。
協力が得られたと理解した怜華は、彼等を茂みに伏せさせた。
「さてと、それじゃあ早速、賊さん達を引っ張って来ますか」
彼女は単身で賊のアジトに接近し、わざと彼等に姿を晒した。
「おーいおーい。こっちですよー。こもってないで、でておーいでー」
超絶な棒読みで両手を振る怜華。
すると彼女の姿を認識した賊兵がわらわらと出撃し、怜華目掛けて突進する。
その数、優に400名は超えているだろう。
「ダキウコガマイェネイガコトオノア!」
「ロテッガサハラエマオラカウソサニャチオガレオハコノア!」
ピンクのブラジャーを装着した大胸筋を最前面に押し出し、両手を後ろに回した状態で、鬼気迫る興奮によって生み出される鼻息の煙とともに、賊兵達は怜華へ迫り来る。
「ぎゃあー来たぁー!? 囮役だけなら何とかって思ったけどやっぱ無理!」
地獄の亡者がマシに思える敵を前に、怜華は全力で逃げ出した。
彼女からすれば、賊と言えない外見が生理的に無理なのだ。
とは言え、彼女の体力や運動神経は人並みで、とてもじゃないが逃げ切れそうにない。
「ちょっ……ヤバ……! 息……続かな……! …………は? ……羊?」
然し、彼女の危機を前にして、お手紙袋を首に下げた一匹の羊が見参する。
ラムではないが、見覚えのある羊だった。
(あの子は確か……丁奉殿を説得してた時に、秋渓の背中に乗ってたラムちゃんの友達だった様な……。何でここに……?)
「メェッ(訳:乗りなっ)!」
怜華にお尻と顔を向け直すや、ラムの友達羊はクワッ! として逞しい顔を作った。
怜華は秋渓とは違って羊語を解さないながらも、直感で騎乗ならぬ羊乗を勧められたと判断。好意に甘えてその背中に跨がる。
「……じゃあ失礼しま……わっ!? はやーい! すごーい!!」
モッフンモッフンの極上な座り心地を誇り、速度に反して揺れの少ない安全性がある、逞しい背中。怜華は安堵すると同時に無邪気な笑みを溢した。
賊兵達と付かず離れずの距離を維持できた事で、心に余裕を持った怜華が羊の頭を撫でようとする。
「この手紙……私宛?」
そこで彼女は、あるものに気が付いた。
それは首に掛けられた手紙袋から覗く一枚の便箋紙であり、見慣れた大きな字で「怜華へ」と書かれていた。
彼女にはそれだけで差出人が分かる。放浪軍頭領・秋渓に他ならなかった。
「えーと……「賊の討伐が上手くいかなかった時に備え、ラムの友達へ怜華の救出を頼んでいます。困ったら彼に助けを求めて下さい」……秋渓ぃ……! そうだよこういうので……ん?」
本文を読み終えて感動するのも束の間、秋渓に似合わぬ小さな字で書かれた追伸の二文字に気付き、後に続く文章にも目を通す。
「「因みにこの子の名前は、「メイちゃんにトウモコロシ(トウモ殺し、ではないぞ)要求したけど駄目これお母さんの! って言われて断られた可哀想な羊さんそっくりでいて似ていないメイちゃん」です」…………って長いわ! 何で追伸の方が長いの! それともっと可愛い名前付けてあげなさいよ! 今のネーミングセンスで感動台無しよ!!」
乙女の純情を台無しにされた瞬間、手紙をクシャクシャにして恩人ならぬ恩羊のご飯にしようと思ったものの、冷静を取り戻した怜華はそっと手紙をしまった。手紙袋ではなく、服の中にある内ポケットへ。
余談だが、トウモさんとはイエローハットならぬイエローハチマキをシンボルにした民衆反乱軍・黄巾党(抗菌痘とも言う)の幹部。テイエンシさんの副将。
5万の反乱軍を率いて初陣のリュウビ軍と戦うものの、武力98を誇る公式チート殺戮酒乱マシーンのTYOU・HIによって一撃でアボンされた人物。
そんでもってテイエンシさんはTYOU・HIより先に製造された公式チート超素敵殺戮髭マシーンKAN・Uによって一撃でアボンされた人物。テイエンシさんを漢字で書くと程遠志です。
「……っと、もういいでしょ! みんな出番だよ!!」
気持ちを入れ換え、伏兵地点に到達すると同時、味方兵に合図を送る。
「えい・えい・おー! えい・えい・おぉーー!!」
「って、それ違ーう! ……けどまぁ、いいか」
喚声ではない歓声を上げる元賊兵達の登場。2倍近い数を以て現役賊兵達を取り囲む。
賊兵達は右往左往の末、来た道を引き返そうとするが、残念ながら退路も絶たれていた。
「降伏だよー降伏。じゃないとギッタンギッタンのボッコンボッコンにしちゃうよ!」
為す術はないと判断した賊兵達は、怜華の降伏勧告を受け入れた。
ブラジャーという名の武器を捨て、人肌の温もりと男の汗が染み付いたそれを、献上する。
「嫌々々々々!? 要らんって要らんって!? そんなの要らないから!!」
偏に、賊兵達の恭順表明であり、忠誠の証として差し出す人質なのだろう。
だが、優しい怜華はそれを拒否した。それが降伏した賊兵達にとってどれほど信じられない処遇で、どれほど嬉しい処遇かは、言葉に表すまでもないだろう。
「うおおぉぉーー!!」
恭順した賊兵達はブラジャーを両手で掲げ、天へ向かって雄叫びを上げる。
中には慈悲深い怜華に対する感謝感激によって男泣きをする者まで居た。
『姫崎怜華の活躍により、440人の賊を捕らえ、彼等は殿路秋渓の下に身を寄せることになりました』
『討伐隊は賊が備蓄していたと思われる金13と兵糧19を発見しました!』
『呉の治安が81(+2)になりました』
『姫崎怜華の名声が10上がりました』
「えーと、じゃあ君達にお願いするね。ブラジャー取り上げないから降伏して……って、残りの人達に伝えてくれる?」
残りの賊兵が120名になった事で、もう伏兵戦術も総攻撃も不要だろうと判断。今しがた味方になった者達を使って残兵に投降を促した。
怜華の策は成功し、二度目の討伐作業で賊の退治は完了。
兵士として120名が新たに加わり、完全討伐によって名声も100上昇。何より金85と兵糧687を戦利品として獲得した事が大きいだろう。
(所持金は98。残りの行動力は30か……今日はこのまま帰ろうか……あっ、リョウトウ殿だ!)
夕暮れを背に、元賊兵を率いて陳留へ戻ろうとした矢先だった。
秋渓との狩りを終えて呉の城内に戻ろうとするリョウトウを発見する。
「リョウトウ殿ー! おーい!」
「おっ! これは怜華殿ではないですか! ……ほぅ、貴女も結構な狩り好きですね!」
怜華の背後にある討伐の戦果を見て、リョウトウは興味深そうな眼差しを向ける。
「狩り……なのかな……? まぁ言い様によってはこれも狩りか。……それはそうとリョウトウ殿。以前お話しした、放浪軍加入の件ですが……気持ちが変わったりなんて?」
武力系武将にとってはこれも狩りに当たるのだろうか、怜華はそう疑問に抱きつつも、金10と行動力10を消費した推挙に再チャレンジした。
然し、リョウトウの考えにも変わりはなかった。
「度々のお誘いは嬉しく思いますが……まだどうにも決心が付いておりません。この乱世を統べる事の出来る英雄。……それが誰であるのかを、見極める途中です」
「……そうですか。……もし宜しければ、私達の事も視野に入れてもらえると、助かります」
怜華はまたしてもリョウトウの推挙に失敗してしまった。
だが、これで彼女がめげる事も、やはりなかった。
更に言えば、リョウトウと別れた後にリョウソウとも会い、彼にも推挙をするが失敗。
「ぬぉぉ……! ここまでくると何がなんでも説得してみせる気持ちになるわぃ……! 秋渓に魅力を感じないのか、私の説得が駄目なのか、抑々私に魅力が無いのか知らないけど……軍師の私がこれしきでへこたれてたまるかーーー!!」
「えい・えい・おー! えい・えい・おぉーー!!」
「いやね、だからそれは何か違うって……」
元賊兵達のエールを得て、素直に喜べない怜華。
残りの行動力は10、金は78。怜華は今ターンを終了した。
程遠志(字:不明)
黄巾党の幹部。鄧茂と共に結成直後の劉備軍と戦うが、鄧茂と共に呆気なく討ち取られた武将。
関羽の犠牲者№1でもある。
ゲーム内では鄧茂と共に184年最初のシナリオ(黄巾党VS朝廷軍)と、280年のオマケシナリオにのみ登場。
彼は武将タイプが「猛将」なので武力がメキメキと上昇し、プレイ後半になると元々の武力75が95に成長して戦場で活躍する事がしばしば司馬懿。
関羽プレイでAI上司の何進(朝廷軍のトップ)にパワハラされて怒った私が反乱を起こした時、5人ほど居た部下の中で、何と程遠志だけが反乱に加担してくれました。いやお前、何の冗談よ……




