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宛攻略戦② えーんえんえん、えーんえんえん。みんながワシをイジメるブギャァー

《はしょれメロス! 第一話「さらば友情」》

 メロスは激怒した。セリヌンティウスという石工を質に妹の結婚を祝って荒れ狂う川を渡ると現れた山賊の逞しい裸体に赤面する少女を見て人の情を取り戻した王様に。


つまりメロスは何もしてない。セリヌンティウスの親友で彼を質にしたのは少女。妹の結婚を祝う為に荒れ狂う川を泳いで渡ったのも少女。死ぬ思いで渡ったらほぼ裸の山賊が現れて今世紀最大の赤面を見せたのも、少女。


そんな少女を見て守らねばならぬという正義感を取り戻した王様は紳士。そしてメロスは何もしていない。ただ激怒しただけ。何に? さぁ、知らないのである。




 という訳で6ターン目の続き。新殿路家奥義・沼住宅(奇襲)によって沼課金の恐ろしき幻覚に襲われたカシンは、恐慌状態に陥って行動順をスキップされた。

放浪軍の仲間達はここぞとばかりカシンに攻撃を加えようとしたが、天候が雨なので機動力が低下し、上手く隣接する事ができなかった。


 仕方ないので、その他の敵部隊と交戦して地味に戦力を削っていく。


「凌操が子、凌公績! オウインの玉取ったァァーー!!」


 このターンで特に変わった事と言えば、凌統隊の金的乱打もとい《乱撃》が炸裂し、オウイン隊が股関を抑えながら壊滅した事。

それとシュシュンの沈静で、カシンが状態異常から回復した事ぐらい。


 7ターン目。天候は変わらず雨。


「みんなで暗黒面に堕ちれば怖くない。さぁ、行っておいで桃太郎」


 可愛いハ○太郎が「へけっ」と言いながら、飼主のヒ○子ちゃんの脳天にピストルを突きつける二次創作が好きな今日この頃。なぜか親友のこう○くんが悲惨な目に遭うと楽しくなってしまう。さらば友情とはこの事か。


 なにはともあれ、俺はカシン隊に再び《奇襲》をした。

芥川龍之介の書いた『桃太郎』に出てくる、戦国ヒャッハーも同じな鬼畜桃太郎を筋肉の息吹で創造し、それをカシン隊に放ってやったのだ。

産まれて間もない子供を単身で敵陣に送り込むお前の方が鬼畜とか、あまつさえ全ての罪を桃太郎に背負わせるなんて悪魔の所業とか、その手の苦情は勘弁な。


 “武者は犬ともいへ、畜生ともいへ、勝つ事が本にて候”。有名な戦国のチート爺こと朝倉宗滴でさえ、戦は勝つ事が全てと言っているのだ。

俺ごときがその真理に逆らってまで綺麗に戦うとか、おこがましいにも程がある。


「ブギャァァァーー!!?(訳:金庫の金が!? 店の資金がぁー! 全部奪われたぁーー!!)」


「……ねぇ秋渓。開戦してから今に至るまで、カシンさんめっちゃヒドい目に遭ってない? 私の気のせい?」


「怜華くん、やめるのだ。敵に同情はやめるのだ! そんなもの、誰も救えないのだ!」


「ちょっと鬼畜の一線を越えてると思いますアキタニサァン」


 『とっとこ殺っとこ放浪軍』大好評上映中! 尚、待ち時間には丁奉や諸葛誕といった漢達が、自慢の筋肉を披露してくれるぞ!


「フゥワアァァァーーー!! カシン、儂の熱をハートで受け止めろォォ!!」


「あっ、凌操のおやっさんが行った。止め刺すか?」


「ふぅおオォン!!」


「ブギィッ!? 愛が重い!!」


 タイガ○マスクのコスプレをした凌操のおやっさんが、カシンにボディプレスをかました。即ち《猛攻Lv3》(成功確率50%)が炸裂したのだ。

カシン隊は大地を穿つ一撃の前に強制帰宅。あわやカシンも捕虜になる寸前だ。


 それにしてもカシンの奴、普通に喋れるじゃないか。もしかして肉体的な危機を前にしてボロが出たのかもしれない。


「「ブヒヒィィーーン!!」」パカラッパカラッパカラッ!


 おーと、ここで曹操を処断して強奪した名馬アイテム「爪黄飛電(ソウコウヒデン)」と「絶影(ゼツエイ)」の登場だ。

「爪黄飛電」は天空から翼を生やしながら駆け降り、「絶影」は大地の割れ目から現界した。ともに処刑された曹一族を伴って。


※アイテム「名馬」は、所持武将の部隊が壊滅した時の退却率を100%にさせる。つまり “戦場” で絶対に捕縛されない。

都市Aの防衛戦に負けたら、隣接都市Bへ退却するように、洛陽で捕まったら宛まで無事に逃げられる…………のだが、都市Aが最後の拠点だったら戦の最中は捕まらず、戦が終わった後に捕縛される。つまり宛が最後の拠点のカシンにとって、宛の戦場から離脱した後に宛で強制捕縛となる。ちょっと言ってる意味がわからない。


「ヒヒーーン。ヒンヒン。ヒーン! ……品質管理品質向上なら」


「ブヒヒーーン! ヒンヒン! ……弊社「品飛賓会」までお気軽にお電話を」


 大勢の男が乳繰りあう戦場にあって、絶好の広告チャンスを見逃さない。流石は出世しそうな三国志武将No.1に選ばれる曹操の愛馬「爪黄飛電」と「絶影」だった。


 二頭は大事な顧客であるカシンを巡って、どっちが無事に城まで退却させられるかをヒンヒン言い争う。

それを見て俺は、某戦国ゲームの武田信玄みたいに、方足を一頭ずつに乗せて仁王立ちで発進すれば良いんじゃね? とか思うわけよ。途中で馬が別々の方向に走り出したら股裂けるけど。


「「「カァァシィィンン君ンンーーー!!!」」」「ブギィヤャァァァァァーーーー!!?」


 時は金なり。言い争っても平行線になる事を察した楽屋裏曹操が、二頭に妥協案を献ずる。それはカシンを半々に分割して、互いの世界に退却する事だった。


 カシンは曹一族によって分割処理され、「爪黄飛電」はカシンの上半身を連れて天空へ、「絶影」は下半身を連れて奈落へと戻っていく。

そして無事に退却できたと思った二頭は、そのまま天界・下界の門を固く閉ざした。


「…………カシン店長に、敬礼!」


 カシンの肉体が元通りになる時は、来るのだろうか。俺は楽屋裏に半強制連行されたカシン店長に向けて、ささやかながら敬礼を送った。


 総大将カシン隊、壊滅!! カシン軍は大幅に士気が低下し、シュシュン隊が混乱に陥った。


「フッフッフッフッ!! 正義は勝つって!? そりゃあそうだろ! 勝者だけが正義だ!!」


「ドフ○ミンゴ秋渓さんコンニチワ。そのフワフワピンクのマント暖かそうね。でも前はだけてるから寒そうね。そうさ、あなたの体面こそが温度の中立だーー」


「フッフッフッフッ!! 悲しいぐらいの棒読みじゃねぇか、お怜華さんよ」


 タイガ○マスクからドフ○ミンゴのコスプレまで、なんでも服職人コヨエモンは、本当に何でも仕立ててくれる。


 結局何が言いたいのかというと、俺は全軍に総攻撃を命じた。

未だ残存している敵部隊は、ロショク、シュシュン、チョウリョウ、リゲン。見事なまでにカシン軍主力を担う面々だ。


 されど彼等以外の弱小部隊に加え、総大将カシンまで敗走した事で士気は著しく下がり、8ターン目に入った段階で脱走兵(やる気なくした帰宅兵)が現れた。


 戦況はもはや、決着と言っても過言ではない。

まずは洛陽の戦いと同様に、魏延がリゲンを「お・ひ・さ・し・ぶ・り」と切り倒す。

9ターン目には陳宮がシュシュンを撃破。続けて甘寧がチョウリョウを撃破(何気に “魏に張遼あらば、呉に甘寧あり” と言われた二人の決着だった)。そして最後は魏延がロショクを撃破する。


『守備側正規軍カシン軍の部隊が戦場からいなくなりました。殿路放浪軍の勝利です』

チャ~チャララ〜ラ~ラ~ララララ〜ン!! 勝利bgm





太史慈「…………今回、拙者の出番なくね?」


秋渓「……無かったねぇ」


 一応参戦してました。後方から弓攻撃で敵兵を減らしまくったものの、他の武将が止めを刺していきました(泣)

因みに今回の戦いで、陳宮の《撹乱》と甘寧の《奇襲》がLvMaxになりました。より強力かつ無慈悲な攻撃が可能になりましたぜ、旦那方。

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