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壺関突破作戦④ UMA小戦争

 テイゲン軍がろくな反撃をできさないまま、10ターン目は終わった。

11ターンに突入すると、テイゲン軍は士気の低下から脱走兵が出現する。


 だが、それでも怜華は攻めの手を緩めなかった。

翌ターンの天気が曇りである事を確認後、彼女は胸ポケットの中から三本の管を取り出し、なにやら訳のわからない力を以てその管を光らせる。


「湖底に忍ぶ魔龍・ネッシー!! さすらいのトラファルガー・キングクラーケン!!」


ネッシー「キュエェェーー!!」


クラーケン「ズモモモモモモ……!!」


「そして……半蔵門からの登城を許されし男・三河屋のサブちゃん!!!」


サブちゃん「ちぃわーっす、三河屋デース(死)」


 管より召喚されたUMA達(一匹だけ人間な気がする……)が、主人の前に跪く。

人間体のサブちゃんはともかく、ネッシーやクラーケンは膝がないのにどうやって跪いているのかって? まったくわからないのである。


「万の軍勢を葬りし三凶。よくぞ召集に応じてくれました。

――さぁ! 下らない前置きは要らないよっ! 城壁にいる生き残りを掻き乱してきなさい!」


「キュエェェーー!!」「ズモモモモモモ……!!」「ふふふ、今宵は髑髏杯といたそうか」


 膝の謎なんてどうでもよいとばかりに、今しがた召喚されたUMAは空を滑空して壺関を襲撃し、《幻術》という名目の下、テイゲン軍の兵士達を恐怖のドン底に陥れていった。


 これにより、テイゲン軍の残兵数は14,739から13,553に減り、士気も更に低下。ほぼ全部隊が混乱もしくは恐慌状態になってしまう。


「幻のUMA・ネッシーだ。見たら興奮しまくって、部隊の統率が乱れるのは当然だろう。クラーケンだって、ただのクラーケンじゃない。キングクラーケンだ。海の男でなくとも恐怖する存在が現れたら、恐慌状態になっても何らおかしくない。サブちゃんも……いや、サブちゃんってあんなドラキュラみたいな奴だったっけ? ……丁封。ちょっと悪いが、鄴に戻ってコヨエモン呼んできて。テレビ出してもらってサザ◯さん確認したい」


 昨今のサザ◯さんには疎いのでよく知らないが、たぶん本物のサブちゃんは敵兵の生き血を啜ったり、空き瓶で殴ったりしない。

今、俺の目に映っているサブちゃんでは、お茶の間の時間に放送できないだろう。


「ふふーふふ。どうやら秋渓も困惑してるようだね」


「……怜華か。……なんだあのドラキュラ擬きは。どこで捕まえてきた?」


「ドラキュラ擬きというかドラキュラだもん」


「ドラキュラかよ。なんでサブちゃんなんて名前付けたんだよ。著作権やサザ◯さんファンに訴えられても、俺は知らねぇからな」


「サーザエ~さん、サザ塩酸。サザ塩酸~は愉快だっ、な~~♪」


「テンテンテレン、テンテンテレン! テンテンテテンテテン!!」


秋渓・怜華「「ドン!!」」


 怜華が可愛らしく歌い始めたので、俺も取り敢えず乗りました。

見てごらん、負傷兵(ベンチ待機組)も脱いだ鎧を頭上に掲げて裸踊りをしているよ。まるでタマみたいに可愛いジャマイカ。

そしてどうやら、怜華は著作権とか恐れない性格のようです。いや気にしろよ。


 そうこうしている内に、17ターン目に突入。

脱走兵はターン経過毎に増えていき、遂にはリョフとボクジュンの残兵数が0に。

すなわち、リョフ及びボクジュン隊の自然壊滅である。それによってテイゲン軍の士気は-10、放浪軍の士気は逆に10upした。


「へっへへ、脱走兵の歯止めが効かなくなったな。もうじき落ちるぜ」


「ファーング! ファァーーング!!」


 甘寧の兄貴が不敵に笑い、夏侯淵が雄叫びを上げる。

その傍らで、攻城のマスターヨーダ・楽進は、自前のライトセーバーで城壁を溶かしていた。


 18ターン。ギゾクとコチュウセンの部隊が自然壊滅する。

残るはテイゲン、コウジュン、チョウヨウ、ソウケンの4部隊。総兵数4,205。


「さぁ~てと。次はどの子を出そうかな~」


 だがしかし、我等が軍師・怜華嬢は、この期に及んでも攻め手を緩めなかった。

彼女は鬼か悪魔なのか。次に召喚するUMAを選ぶべく、たいして広い訳でもなく、前に出ている訳でもない胸ポケットの中を覗いて――


「だれが貧乳だってこの野郎。オーガニックおっぱいじゃ」


「これは上官殿! 失礼いたしましたァ!!」


 ややや! 心の声を聞かれたり! とにもかくにも、拙者は今晩の兵糧攻めを避けるべく、怜華様万歳に最大級の敬礼を以て深謝しましたぞ!!


「うん! 決めた! 赤河童とポセイドンにしよう!!」


(あぁ……テイゲン軍の兵士達よ、ごめんな。俺が余計な雑念をしただけに、最後まで水難の相に遭わせちまった)


 満点の笑顔の下、怜華は次のUMAを召喚。

その惨たる結果を一言で表すなら、「もう勘弁してやって」。


Q.板垣退助が暴漢に襲われた時、自由民権運動を語る上で、彼が発した有名な言葉とは何かを答えなさい。

A.「板垣死すとも自由は死せず」

珍回答「もう勘弁してください」

とは、面白珍解答で有名な一句だ。


 19ターン。テイゲン、コウジュン隊の自然壊滅。


 20ターン。チョウヨウ、ソウケン隊の自然壊滅。テイゲン軍の残兵数0。


「魑魅魍魎と大合唱が贈る、何とも感動的な壺関攻略戦。見事決着だ」


 放浪軍の大勝利。でも何でだろう。最後のターンは晴れの筈なのに、目から雨が流ちゃう。

俺はUMAによって追い払われたテイゲン軍の英霊達に向けて、敬礼した。


『殿路放浪軍が上党に侵攻。上党のテイゲン軍はテイゲンを総大将に防衛。

テイゲン軍は敗北し、全ての領土を失った為、大陸から姿を消しました』


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