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壺関突破作戦② 城壁殴りと愛の合唱祭り


 横◯三国志 劉備入蜀における「雒(ラク)城落城」にて……


蜀将・劉璝(リュウカイ)「げっげっげ~~の学っ校はぁ~、城の中~♪ そーーっと覗いて見て呉蘭(ゴラン)♪」


呉蘭「呼んだ?」


劉璝「そーーっと覗いて見てg――」


呉懿(ゴイ) ・雷銅(ライドウ) ・厳顔(ゲンガン)「みぃ~~たぁ~~なぁ~~」


劉璝「!?」デデドン!!


張翼(チョウヨク)「……ごめん!」ドン!


劉璝「うっ!? ワァァァ……ボキッ! …………。ギギギ! 城兵が降伏しましたぞ。よし、入城だ」


呉懿・呉蘭・雷銅・厳顔・張翼「効果音まで全部お前が喋るんかーーい」


――――――

――――

――


殿路「という夢を見たら、この壺関も落ちる気がするんだが……どうでしょうか、朱桓先生。取り敢えず今からでも遅くないので昼寝(シエスタ)しましょうか?」


朱桓「それで陥落したら「ジャイアン」と「ノギ太」は城奪り名人だろう。顧雍殿みたいな青タヌキは要らぬ事になる」


 放浪軍二度目の侵攻。陣容は俺を総大将、陳宮を参謀とした城壁崩し軍5万。

朱桓、太史慈、凌統、凌操、丁奉、諸葛誕、顔良、文醜がそれに続く。

戦術は《通常》、策略(アイテム)は《崩壁》2つに《鼓舞》1つ。

※崩壁……1ターンの間、城の防御力を低下させ、城壁に与えるダメージを上昇させる。


 そして、現在14ターン目に突入した。

俺達は壺関の城壁にへばりつき、城壁殴り大会を開いて武力経験値(5)を獲得するついでに、城の防御値をチマチマと低下させていた。


 ここで重要な事は、城の防御値をガタガタにさせるのが主な目的ではないという事と、籠城しているテイゲン軍の反撃がめちゃくそ痛いという事。


「……陳宮殿が城壁に張り付いた途端、一斉射撃を受けて後退したぐらいだ。やはり放浪軍の関門攻めは、正攻法では無理があるという事か」


「いやはや……面目ない。首の皮一枚で矢の雨が止まらなければ、どうしようかと……」


 俺と朱桓が後方を見れば、矢の射程範囲外まで後退した陳宮が頭を垂れていた。

彼の部隊は今しがた朱桓が述べたように、城壁に一発殴りに行っただけでギッタンギッタンに返り撃ちされたのだ。


その様はまるで、完全に気を失うまでノギタを殴り続けたジャイアンが、止めの一撃とばかりにチェーンソーのエンジンを掛けようとしたらガソリン切れで動かなかったよう。

どう見ても完全にコロス気です本当の本当にありがとうございました。


「…………が、本当に揺らがぬな、関門というのは」


「だな。……やべっ、次は諸葛誕が標的になったぞ」


「……凌操隊にも矢が飛来したようだぞ。武力値でいうなら諸葛誕殿の次で間違いない。……その次は私と丁奉殿か」


 籠城側は、武力値が低い武将を順に狙い撃ちする。

陳宮(64)→諸葛誕(72)→凌操(78)→朱桓&丁奉(82)という順番だ。


「まぁそれならそれで、総大将の俺は最後になると――イッタァァ!? えぇい、誰でぇい! 仮にも武力100に設定された上、怜華ハンマーで+2された俺を攻撃する奴は!? いくら当時の江戸っ子が大トロを廃棄して猫の餌にしてたと言えど、勝海舟はそれを諌め……てないよな、多分」


「ジョウジョウ、ジョウジョウ。ジョジョージ」


「……お前か呂布(テラフォーマー)。人外の筋力でこんな紙切れを投げてきやがって。俺じゃなきゃ死んでたぞ、まったく。……ん? なにこれ、何か書いてあるぞ」


 真ん中で綺麗に両断された体を再生させつつ、俺はリョフから投げられた紙を手に取る。


「『さぁ、闇を照らせ。今日、陽はなくとも。嗚呼この胸に燃ゆる火よ』…………歌えってか!? 言っとくけどお前、主人公やないからな!? 確かに無双するし、ガチムチやし、良いキャラやけど……敵やからな敵!! 敵役のお前がお前から見たら敵側を応援する歌唱わせたら敵の敵で…………あれ、味方か? お前って味方やったか?」


「……殿路殿、落ち着かれよ。貴殿が何を言っているか皆目わからぬが、あれが味方である筈がない。味方であったら城攻めなどしておらん」


「……だよな。体半分に切れたからか、何だかよくわかんなくなったぞ、オラ。ところでよぉ、オラ誰だ? オメェも誰だ?」


「……そこすらも判らなくなったか……。貴殿は殿路秋渓。大陸を代表する超絶男神だ。そして私が朱桓。この放浪軍の頭領にして、大陸の秩序を厳守する全ての神の、そのまた神だ。すなわち貴殿の上官に当たる。……早速だが殿路。右向け右」


「かぁーーめぇーーはぁーーめぇーー」


「冗談だ。頼むから気合い砲らしきものを向けないでくれ」


「はぁ( ´Д`)ーーふぅんっ!!」城壁に26ダメージ!!


 悪ふざけもそこそこに、俺は「溜息かめはめ波」を放って城壁にダメージを与えた。

それ即ち、戦法の《攻城》が成功したことを意味する。


※攻城……戦法P40消費で、城壁に2.5倍のダメージを与える。槍兵のみ使用可能。

発動時には専用のショートムービーが流れるのだが、作者(ワタシ)はこれがすごい好き。

馬上の武将が矛を振って号令し、梯子を持った歩兵が喚声をあげながら突撃する様は、THE・攻城戦。これ以上ないぐらい単純で戦争的な描写がテンポ良く流れる為、成否に関わらず攻めている感を半端なく味わえるのだ。


城壁前に攻城要員8部隊(城壁に接触できる最大数)を並べ、烈火の如く《攻城》を仕掛けるのは浪漫の塊。攻城戦が好きなプレイヤーなら絶対に一回はやったであろう総攻撃。息継ぎの間も与えずに攻め続け、城の士気と耐久値をモリモリ減らして「フフフ……!」と笑い声が溢れた暁には、ガッツポーズ待ったなし。そこで我々は、漸く息継ぎをするのだ。呼吸の乱れは心配無用。敵には与えぬ暇を、総攻撃の悦に浸った我々だけが満喫するのだから。

砦を制圧して補給線を確保し、敵軍の九割近くを撃滅して尚、残った守備側正規部隊に止めを刺さないのは、この悦に浸る為とも言える。


「殿路殿に続けぇ! 一気呵成に攻め登れぇ!!」


「「「オオオォォォーーー!!!」」」


 良い檄だ、諸葛誕。彼の攻城Lv3も成功し、敵城に確かなダメージと士気の低下を招いた。

その後も仲間達は城壁を殴り続け、自慢の武勇に磨きをかけていく。

また、17ターン目には策略の《崩壁》が成功して、大打撃も与えられた。


 然し、被害が増しているのは、俺達も同じであった。

猛者揃いのテイゲン軍は依然として激しい矢の雨を降らせ、軽装槍兵の俺達は低い防御力(と言っても高い武力で補ってはいるので、並の部隊に比べれば高い方)が災いして兵力を大きく減らしていた。


 ターンが経過する毎に俺達の劣勢は深刻化し、遂には戦力差が逆転する。


「……ちっ! 私としたことが、少々出過ぎたか。ここは退かせてもらう」


「すまぬ殿路殿! 儂は一旦退くぞ!!」


「将軍として……無様な姿を晒すことになるとは…………御免!!」


 そして21ターン目にもなると、朱桓・凌操・丁奉の部隊が壊滅し、鄴に退却する。

壁上からの遠距離攻撃なので捕虜にはならなかったが、今まで壊滅したことがなかった負け無しの放浪軍としては、痛い記録になってしまった。


「放浪軍は虫の息だぞ! それっ! もっと矢の雨を浴びせよ!!」


 《攻城》によって低下していたテイゲン軍の士気も、部隊撃破によって回復。

反して俺達の士気は低下し、それが更なる防御力の減少、被害の拡大に繋がり、結果的には総退却さえ視野に入れる必要が出てくる。


「ぬぉぉ……!? もはやこれまで。放浪軍全軍、撤退だ! 退け、退けェーー!!」


 26ターン目。最後の健在部隊であった顔良・文醜(武力95)がヤバくなったのを機に、俺は全軍に撤退指示を出した。


 始めから勝てない戦、撤退する事は前提の戦だったが、被害総数を見れば完全な負け戦に相違なく、その結果が予想以上に堪えた。




鄴 放浪軍駐屯地


「今回の敗戦は、放浪軍プレイにおける新たな教訓になった。紙装甲で関門攻めの城壁殴り大会は……籠城する敵が少ない時に限る!! カカアァッ!!」


「もしくは後方待機する部隊に、《治癒》持ちの武将がいる場合だね。

――まっ、とりあえず後は任せて。私がきっちり、みんなの屈辱を清算してきてあげるから。……クフフフフ……!!」


「…………怜華」


「何? どうかした?」


「手に持ってるのって、まさかアレか? ピカ○ュウでお馴染みのマスターボ――」


「怜華ボール。ちゃんと見なさい。「怜」って書いてあるでしょ。どんなUMAも100%捕獲する優れもの! 私の七つ道具の一つ! ジャジャーン!!」


「……いやどう見てもマスター――」


「怜華ボール! うだうだ抜かすと秋渓も捕まえて “イエティ” や “ツチノコ” と一緒に飼うよ!」


「よし怜華ボールだ!! いっちょ派手にリョフを捕まえてらっしゃい!! いざ出撃さぁ行ってらっしゃい暴れてらっしゃい!!」


 怜華および怜華(マスター)ボールから並々ならぬ威圧を覚えた俺は、彼女が率いる第三軍主力部隊を万歳三唱で見送った。見送らせていただいた。


「…………っていうかツチノコ捕まえたのかよ。今度見せてもらお」


 これは新たなUMA伝説の幕開けか? とにかく、怜華は喜び勇んで出陣した。


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