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鄴ショッピング 後編


 待つこと早数分。買い物を済ませた怜華の腕には、3つのアイテムが抱かれていた。


「おっ、そのアイテムには見覚えがあるぞ。というよりアイテムは全部覚えてるぞ。「六韜(リクトウ)」「眉尖刀(ビセントウ)」「銅鎚(ドウツイ)」。因みに1,000円、700円、800円」


「……いや、値段まで覚えてると流石に引くんだけど……」


「伊達にアイテムコンプリートした訳じゃないからな。ついでに在庫数まで覚えてるぞ。なんなら販売してる都市まで覚えてるぞ」


「記憶力の無駄使いも甚だしいわっ!! もっと別の有意義なものを覚えなさいよ!!」


「六韜。知力系アイテム。上昇値5。分類は兵書。在庫は5つで、獲得忠誠値も5。鄴、許昌、長安、新野で購入可能。

眉尖刀。武力系アイテム。上昇値2。分類は――」


「言わんでいい、言わんでいい。もう同じやつ買う事もないだろうから」


「…………そうなの(´;ω;`)」


 俺がアホなのは事実だが、それにしても扱いが雑じゃない? せっかく覚えた知識なのに……。


 なぁのでっ!! 俺の心の中で言わせてもらおうかっ!!

『六韜(リクトウ)』!! 別名「素敵なリッ君兵法書」。史記によれば、前漢を代表する大軍師の張良が、靴拾って履かせろおじさんを世話した時に褒美として譲り受けたものとされる。

大陸では代表的な兵法書とされ、「韜」は剣や弓を入れる袋の意味だとか。

乱世に於ける政治の在り方を記す「文韜(ジーニアス)」。戦争前の国家戦略を記す「武韜(ハイパワー)」。軍隊組織と将軍任命についての心得「龍韜(ジェネラルスイッチ)」。平野を想定した基本戦術や、指揮、陣形、兵装について説く「虎韜(トラファルガー)」。虎韜の応用版という位置付けの「豹韜(ピンクパンサー)」。各兵科についての編成や訓練方法等を教義する「犬韜(プラーガワンワンオ)」。以上六つの総称が『六韜(リクトウ)』である。因みに “リクトウ” 以外の呼び方はまっさらな嘘である。


お次は『眉尖刀』!! わかりやすく言えば薙刀である。

刃の部分が眉のように湾曲している事からこう呼ばれたそうだが、このゲーム以外でそう呼ばれている武器もしくはアイテムを見たことがない。無双の魏延が曲芸師のように振り回しながら空飛んだり炎吐いてるぐらい。

ぶっちゃけ「薙刀」って名前で良いと思う。

孫呉の宿将・韓当(カントウ)の武将列伝にも、「呉の武将。薙刀の名手」って書いてあるし。眉尖刀という名前の武器がありながら、敢えて薙刀と書いてあるし。それなのに初期装備で眉尖刀持ってないし。黄蓋(コウガイ)や程普(テイフ)は専用武器をちゃんと持っているのに。


最後は『銅鎚』!! そのまま画像検索すると銅製の急須や皿ばっかり出てくるので、「越吉(エツキツ)元帥」の名前で調べるとよく分かる画像が一番に出てくる。

ムキムキマッチョな武将が両手に持っている得物がそれであり、横○三国志では「ワオオ!!」と雄叫びをあげながらブーン! ブーン! ブーン! ドス! ヒヒン!? と振り回している。ちょっと木製っぽく見えるが、そこはワオオ!!

尚、「越吉元帥 横山三国志」で画像検索すると、生のワオオ!! が見られるワオオ!!


「その近くで砂色のターバンを巻いたチョビヒゲ斜め顔のおっさんがいたら、それがこのゲームの越吉元帥だワオオ!! 武力80だワオオ!!」


「……は? わんわんお? それと越吉元帥がどうかしたの? ……とりあえずドスコイ」


 おっと、心の声が我慢できずに漏れたようだ。このまま語り続けたら、余談だけで小一時間を使ってしまいそうなので、この辺で終いとしよう。


「いやいや、何でないさ。正規品の六韜を久々に見て、ちょっと興奮しただけだ」


「あぁ……農村を見聞してる時に農民が掘り出してくるアレね。ほんと、なんでアイテムが畑に埋まってるんだろね。どういう理屈なんだろ」


 農村を見聞すると、時々、農民から金やアイテムを献上される事がある。

※第70話「( ゜д゜)ハッ!! ……ッヒフッヘホォーーイ!!」「でぇたなぁーお邪魔虫ィ!!」参照

それでアイテムを手に入れる時が多々あり、六韜なんかもよく貰っていた。


「お金の場合はさ、「○○様への感謝の気持ちに、みんなで集めました」っていう訳だけど、武器や兵法書とかは「畑に埋まってましたが、使い道がないので献上します」だもん。……埋まるの、それ? って話」


「あれはプレイヤー武将の名声の高さが影響しているようだぞ。まったく無名の時はどれだけ見聞しても献上されないが、中盤から終盤にかけて名声が高くなると金やアイテムの献上確率がぐんと上がってきたから。以前プレイした時にさ、名声値MAXまでいってから下野して、南中あたりで余生過ごしてたんだけど……鍛練も飽きたから農村見聞しまくったら、出るわ出るわアイテムの山。兵法書やら史書やら宝物やら武器やら……とにかく色んなもんがザックザク」


「農民が畑からアイテムを掘り出す確率が、武将の名声値に依存してるって事?」


「おう。だからアイテムを買う金が余った頃になって、アイテムが畑から沢山出てくる訳だ。因みに220年以降のシナリオだと関羽が死んでるだろ? だから所有者の居なくなった「赤兎馬(セキトバ)」が畑に埋まってる事があるぞ」


「はぁっ!? マジで!? 青龍偃月刀ならともかく、馬よ、馬!? そんな事あるの!?」


「マジで。だって俺、前に北伐プレイ(劉備没後の蜀軍)してた時に手にいれたもん。攻略本見たけど確かに発掘「○」だった。赤兎馬だけだけど」


「いやいやいやいや、どうやって埋まってんのよ!? っていうか埋まるもんじゃないし」


「首から上だけが出てたんじゃねぇのwww 農民の台詞も変わらず「畑に埋まっていましたが、使い道がないので献上します」だったし。そりゃ農民からしたら、駿馬だろうが畑に埋まってる時点で限りなく邪魔物でやんす」


「なにそれ怖いわー。普通に怖いわー。そしてそれはもうUMAね。保護対象よ」


「祖母井之照(ウバガイ・ユキテル)の首無し馬ならぬ、関羽の首だけ馬ってか? 日本の戦国武将が首無しなら三国志は首だけだぜって……中々に感動的だな」


「それどころか大発見よ。……でも関羽亡き後、どういう経緯で埋ってたか気になるね」


「おおかた、自由に駆け回ってたら肥溜めに落ちたとかだろ」


「それを農民が助け出して、プレイヤー武将に「ちょっと臭いですけど献上しますwww」ってくれる訳ね。それで事情を知らずに跨がる訳。「かなり臭いね(笑)」って言いながら」


「臭いどころの問題じゃねぇよな、それ。つーか乗る前に気付け」


 馬系アイテムは全部で5匹。「赤兎馬(シヌホドクサイ)」「的廬(ザ・キョウバ)」「爪黄飛電(カゲガウスイ)」「絶影(チチウエ・ワタシノウマヲ)」「大宛馬(ベツメイカンケツバ)」。


以下に、各馬の所持武将と年代を明記。

赤兎馬……董卓(184~189年)、呂布(190~198年)、曹操(199年)、関羽(200~219年)、畑(220年以降)

的廬(テキロ)……劉備(207~222年)、劉禅(223~263年)

爪黄飛電(ソウコウヒデン)……曹操が200年から所持し、263年までの曹一族が代々所有。

絶影(ゼツエイ)……曹操(189年~197年)

大宛馬(ダイエンバ)……王双(220~229年)


※「的廬」「爪黄飛電」「絶影」は、上記の年代以外だと所有者がいない為、市場で購入することができる。在庫数は各馬1匹ずつ。

大宛馬は全シナリオを通して購入が可能。在庫数が5匹(王双存命のシナリオでは1匹分除く)の為、特定の武将以外はこの馬に乗る事が殆ど。

曹真「王双が斬られた、王双が斬られた……うーーん」ドタッ!! 大宛馬の在庫数+1

「赤兎馬」のみが農村で発掘できるが、これは他の馬と違って市場での購入ができないという仕様を考慮した為だと思われる。


「…………ところで怜華。知ってはいると思うけど……同じ能力値を上げるアイテムは効果が重複しないぞ?」


「うん、知ってるよ」


「じゃ、なんで眉尖刀と銅鎚を一緒に買ったんだ? どっちも武力+2だから、安い眉尖刀(700円)だけで良かったんじゃね?」


「なんでって、秋渓にあげる為だけど?」


「……え? くれんの? マジで?」


「“その気遣いに応えなきゃ” って言ったでしょ? それに2つ買おうが3つ買おうが、行動力は一律20消費するんだからさ、一回の買い物で秋渓の分も買った方が効率的でしょ。

――はい、じゃあこれ、秋渓にあげる!」


 『寄贈』コマンドを実行した怜華は、そこから「銅鎚」を選択。

行動力を10消費して、俺に武力系アイテムの「銅鎚」をプレゼントしてくれた。


「いやっほぉーーい!! 怜華ハンマー、ゲーーット!! サンキュー怜華!!」


「うんうん、これで上党攻略戦の準備は整ったね。それじゃ帰りますか」


「おぅ! これは明日の戦が待ち遠しいぜ!!」


 買い物を済ました俺達は、放浪軍の拠点に戻って決起集会と洒落込んだ。

そしてアイテムの効果により、怜華と俺の能力値は武力+2・知力+5となった。








《武将列伝》

孫堅四天王「程普(テイフ)」「黄蓋(コウガイ)」「韓当(カントウ)」「祖茂(ソモ)」


 三国志演義に於ける孫堅の部下達。長沙時代の孫堅でプレイすると、この四将に加えて弟・孫静(ソンセイ)と朱治(シュチ)は必ずいる。作品によっては妻・呉氏の弟である呉景(ゴケイ)がいる場合も。


『四天王筆頭・程普』

武力86 知力76 政治75 魅力86 総合323 全武将ランキング18位

武力系アイテム「鉄脊蛇矛(テッセキダボウ)」を所持し、武力+3。何気に程普専用アイテム。

徳と知勇を兼ね備えた人物であり、諸将からは「程公」と呼び慕われた。孫呉の副将と言うべき存在で、武田家に於ける武田信繁のような人。

超バランスタイプなので、早い年代の武将プレイで迷ったらオススメできる。



『無双シリーズのボンバーマン・黄蓋』

武力80 知力64 政治52 魅力78 総合274 全武将ランキング111位

武力系アイテム「鉄鞭(テツベン)」を所持し、武力+2。

尚、「鉄鞭」の在庫数は黄蓋の分を入れて4つある為、市場で普通に買える。

ネタ的な意味で一番需要のある爺さん。初期の無双シリーズでは、プレイヤー殺し(爆弾)の味方武将としてファン倶楽部ができるほど人気。

最近のシリーズでは、女性武将にプロレス技を仕掛けるセクハラ爺。サーフィンもする。

史実では武官よりも文官になりたかったらしく、武功を立てた事に複雑な気分を抱いたそう。



『孫呉の宿将・韓当』

武力84 知力56 政治54 魅力70 総合264 全武将ランキング164位

薙刀もとい眉尖刀の名手。しかし初期装備のアイテムはない。

無双7になって漸くプレイアブル化した武将。Photoshopで顔だけ切り取って七福神の誰かさんと合成しても違和感はない。

横○三国志では黄蓋よりも出番に恵まれている。

攻略本の『スキル所持武将比較』のページでは、「水軍」のスキルを持つ蜀の武将として、諸葛亮・龐統(ホウトウ)・周倉(シュウソウ)と並んで明記されている。お前の所属は呉じゃ。



『身代りの烈将・祖茂』

武力69 知力58 政治50 魅力61 総合238 全武将ランキング273位

二刀流の使い手。しかし二刀流アイテムはないので、初期装備もなし。

演義では孫堅の身代りとなって華雄に討ち取られたとされるが、正史には殺された描写はない。共通して言える事は、演義・正史ともに出番はここだけということ。

三国志○戦3の「孫呉の章」では、第二話 反董卓連合の時に祖茂を使用すると、彼専用のイベントが発生する。

祖茂で華雄を撃破すると成功なのだが、兵種も武力も華雄が有利なので地味に難しい。

ゲーム内では四天王の中で最も早くに脱落する為、登場するシナリオが少なく、活躍の場にも乏しい。そのせいで能力値もパッとしない。

ただし「広域偵察」のスキルを所持しているので、君主所在都市に常駐して絶えず諜報活動を行うなど、活躍の場がない訳ではない。

祖茂本人が、武将数の少ない早期シナリオに登場する貴重な偵察要員ということもあって、初盤から中盤にかけて居なくてはならない存在となるのだ。


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