第7話 「貸し剥がし、全国展開」
「では銀行員」
「はい」
「王都はだいぶマシになったな」
玉座の間。
女王エリシアの言葉に、桜木はうなずく。
「ええ、“王都だけ”なら」
「……どういう意味だ」
「地方が死んでます」
場が静まる。
「資料、見ます?」
「あるのか」
「無理やり集めました」
ドン。
地図+帳簿。
「北部領……税収ほぼゼロ」 「南部領……借金未回収」 「東部領……そもそも報告なし」
「報告なし?」
「逃げてますね」
「逃げるな」
(逃げるよなあ)
■ 全国展開
「というわけで」
「貸し剥がし、全国展開します」
「さらっと言うな」
「嫌な予感しかしない」
レオが言う。
「正解だ」
■ 出張メンバー
「メンバーは――」
・桜木(現場責任者)
・レオ(ツッコミ兼護衛)
・徴税局職員(3名)
「少なくないですか?」
「銀行もこんなもんだ」
「嫌なリアル!」
■ 北部領
馬車で移動。
「遠いですね……」
「出張だ」
「旅じゃないんですね」
(旅費出るのかこれ……)
■ 現地
「誰もいないですね」
屋敷、もぬけの殻。
「逃げたな」
「早い!」
「典型だ」
机の上に紙。
「“しばらく留守にします”」
「雑すぎる!」
「返済からも留守にしてるな」
■ 追跡
「どうします?」
「追う」
「ですよね!」
(逃がすと前例になる)
■ 村
「いました!」
村の酒場。
豪華な服で浮いている貴族。
「いたな、不良債権」
「だからその呼び方やめろ!」
「借金返してください」
「今は休暇中だ!」
「一生休んでるだろ」
「うるさい!」
■ 言い訳ラッシュ
「今年は不作でな!」
「去年も言ってましたよね」
「天候が悪くて!」
「晴れてますよね今」
「戦争で忙しくて!」
「してないですよね」
「精神的に疲れていて!」
「知らないです」
「冷たい!」
■ 回収
「では差し押さえ」
「やめろぉ!」
「馬車、屋敷、宝飾品」
「全部!?」
「全部です」
「鬼か!」
「銀行員です」
■ 逃走
「くそっ!」
貴族、走る。
「逃げた!」
「追うぞ!」
ドタバタ。
レオが叫ぶ。
「なんでこんなアクションに!?」
「債権回収だ!」
「思ってたのと違う!」
■ 捕獲
最終的に――
「はぁ……はぁ……」
貴族、捕まる。
「もう逃げません……」
「最初からそうしろ」
■ 成果
「回収額――」
「王都の倍です!」
「よし」
(地方の方がえぐいな)
■ 不穏MAX
その夜。
「……来るぞ」
「え?」
ヒュッ。
ナイフ。
今度は――
桜木の頬をかすめる
「当たった!?」
「当たってない!」
「成長してる!」
暗闇から声。
「……次は外さない」
「急に上達するな!」
レオ、震える。
「やばくないですかこれ!」
「やばいな」
(そろそろ笑えなくなってきたな)
■ 引き
翌日。
「支店長!」
「だからやめろ!」
「新しいあだ名が!」
「もう聞きたくない」
一拍。
「逃げても追う勇者」
「やめてくれ……」
(だんだん物騒になってきたな……)




