第5話 「税金という概念を教えてやる」
「では銀行員」
「はい」
「次は何をする」
玉座の間。
女王エリシアが腕を組む。
「収入を増やします」
「増えておるではないか。昨日、金貨が増えたぞ」
「一回きりです」
「……?」
「差し押さえは“貯金の切り崩し”です」
「ほう」
「続けると何も残らなくなります」
「なるほど」
「なので――」
一拍。
「税金を取ります」
ざわっ。
「ぜい……きん?」
「なんだそれ」 「また怖い言葉きた」
レオ、小声。
「嫌われるやつですよね、それ」
「めちゃくちゃ嫌われる」
「やめましょう!」
「やる」
(銀行でも国家でも同じだ)
(安定収入がないと死ぬ)
商人バルド、再登場
「おやおや、また面白そうなことを」
ひょこっと現れる、あの男。
「どうも、いい匂いのする方へ来る商人です」
「犬か」
「バルドだ」
女王が紹介する。
「商人ギルドのまとめ役だ」
「えっ偉い人だったんですか」
「昨日の時点で気づいてほしかったですねぇ」
(態度軽すぎて分からん)
税の説明
「で、税金とは何だ」
女王が問う。
「簡単に言うと――」
一拍。
「国に払うお金です」
「雑だな」
「シンプルが一番です」
桜木は続ける。
「商売で儲けたら、その一部を国に納める」
「なぜだ」
「国が守ってるからです」
バルドがニヤッとする。
「ほう?」
「治安、道路、市場」
「確かに」
「それ全部タダだと思ってません?」
「思ってた」
レオが即答。
「お前は後で説教だ」
反発
「ふざけるな!」
案の定、貴族サイドが騒ぐ。
「我らは税など払わん!」
「もう借金返してないですよね?」
「それとこれとは別だ!」
「同じです」
「なぜだ!」
「国が破綻するからです」
「ぐぬぬ……!」
バルドが笑う。
「で、商人は?」
「払う」
「えっ」
「払うのか?」
女王が驚く。
「ええ」
「なぜだ」
「見返りがあるなら」
(いいねえ)
「具体的には?」
「護衛、治安維持、盗賊対策」
「やります」
「即答だ」
「あと」
「はい」
「貴族より優遇してくれるなら」
「やります」
「軽いな決断が!」
(だって合理的だし)
制度スタート
「では本日より」
桜木、宣言。
「商人税、導入します」
「うおおおお……」
「ざわざわ……」
「税率は?」
バルドが聞く。
「10%」
「安いな」
「最初はな」
「怖いこと言うな」
数日後。
「支店長!」
「だからやめろ!」
「税収、入り始めてます!」
「どれくらい」
「毎日増えてます!」
「よし」
(安定収入、確保)
女王も報告を受ける。
「……本当に増えておるな」
「はい」
「国庫が、黒字に近づいています」
「奇跡だ……」
「まだ序盤です」
■ 一方その頃
「許さん……」
暗い部屋。
グランベル公爵が歯ぎしりする。
「我らの特権を奪いおって……!」
「いかがなさいますか」
側近が問う。
一拍。
「殺せ」
「やっぱり来たな」
■ 再び暗殺者
その夜。
「こんばんは」
「またお前か」
「はい、暗殺者です」
「知ってる」
「今日はちゃんとやります」
「成長したな」
「まずは威嚇から」
「順番おかしくない?」
シュッ。
ナイフが飛ぶ。
壁に刺さる。
桜木の肩から50センチ外れる
「遠い!」
「すみません!」
「練習してから来い!」
「はい!」
逃げる。
レオ、呆然。
「いいんですかあれ!?」
「よくない」
(でもまあ)
(そのうち当たるだろうな……)
翌日。
「支店長!」
「だからやめろ!」
「新しいあだ名です!」
「聞きたくない」
一拍。
「税を生む勇者」
「やめてくれ」
(なんかどんどん金関係に特化してるな……)




