第16話 「貴族派の本丸」
「では銀行員」
「はい」
「今回の襲撃――」
玉座の間。
女王エリシアの表情は、これまでで一番厳しい。
「裏があるな」
「あります」
「どこまで分かっている」
一拍。
「貴族派、組織化してます」
「……やはりか」
■ 情報
「ナイン」
「はい」
「知ってること全部」
「……拠点は複数」
「だが中心は一つ」
「誰だ」
一瞬、ナインが迷う。
「……宰相」
「は?」
レオ。
「それ一番上じゃないですか!」
「マジか」
■ 黒幕
「宰相グランツ」
「先王の側近だった男です」
「戦争も浪費も、全部あいつが後押しした」
「なるほどな」
(原因そこか)
■ 目的
「で、何がしたい」
「……政権奪取」
「クーデターか」
「経済が立て直ると困る」
「借金帳消しにできなくなるからか」
「はい」
(シンプルだな)
■ 会議
「どうする」
女王。
「戦いますか?」
レオ。
「いや」
「経済で潰す」
「またそれ!?」
■ 桜木の戦略
「相手は何で動いてる」
「金です」
「じゃあ」
「金を断つ」
「できるのか?」
「銀行があります」
「……」
「税もあります」
「……」
「産業もあります」
「……」
「全部こっちだ」
「えげつないな」
■ 実行
「まず」
「貴族派の資金、凍結」
「凍結!?」
「銀行口座、止めます」
「そんなことできるのか」
「できます」
「怖い!」
■ パニック
「金が引き出せない!」 「なんだこれは!」 「裏切りか!」
「正常です」
「正常じゃない!」
■ 追撃
「さらに」
「税の取り立て強化」
「鬼だ!」
「あと」
「商人に通達」
「貴族派とは取引するな」
「干すのか!」
「干します」
■ バルド
「了解です」
「早いな」
「損する相手とはやりません」
「正しい」
■ 宰相側
「金が動かんだと……!?」
「はい……」
「商人も離れています」
「馬鹿な……」
「兵も動きません」
「なぜだ!」
「給料が出ません」
「そこか!」
■ 崩壊の兆し
「……なるほど」
宰相、静かに言う。
「ならば――」
「武力で奪う」
「結局そこか」
■ 前夜
城。
「来ますね」
レオ。
「来るな」
「どうします」
「迎え撃つ」
「戦うんですね」
「いや」
「守る」
「同じでは?」
「違う」
(守る方が難しい)
■ ナイン
「……セブンも来る」
「分かるのか」
「気配で」
「便利だな」
「厄介だ」
■ 引き
夜。
城を囲む影。
「……始めるぞ」
宰相グランツの声。
■ 翌朝
「支店長!」
「だからやめろ!」
「新しいあだ名です!」
「このタイミングで!?」
一拍。
「国家を回す勇者」
「やめてくれ……」
(でも)
(いよいよだな)




