第11話 「利子という名の魔法」
「では銀行員」
「はい」
「銀行、順調だな」
玉座の間。
「預金は順調です」
「うむ」
「でも――」
「貸さないと意味ないです」
「また増えたぞ問題が」
「銀行は“貸してナンボ”です」
(預かるだけじゃ増えない)
(貸して回して、初めて意味がある)
■ 借り手募集
「というわけで」
「借りたい人、募集します」
王都広場。
「お金貸します!」
「怪しい!」
「ただし返す時は利子付けて返して!」
「怪しい!法外な金利を取るんだろ!」
「いや正規です」
■ 来た
ぞろぞろ。
「来ましたね」
レオ。
「来たな……」
■ ダメなやつ①
「ワシに貸せ!」
出た、公爵。
「何に使うんですか」
「城を増築する!」
「収益は?」
「威厳が増す!」
「年利500%の利息つけて返して頂けるのであればお貸しいたしますが?
そんな利息、糞の役にも立たない自己満足の城の増築で支払えるとお思いで?
払えなければ城を差し押さえ叩きだされて、ホームレス公爵になります?」
■ ダメなやつ②
「私は宝石を集めたい!」
「売るんですか?」
「眺める」
「…一昨日来やがれ!」
■ ダメなやつ③
「新しい剣を作る!」
「売るんですか?」
「自分で使う!」
「それでどの位の報奨金が出るんですか?」
「そんなものはない!」
「…薄ら脳筋が!リターンがねぇじゃねぇか!」
■ 崩壊
「誰も通らないですね」
「通さないからな」
「銀行って厳しいですね」
「当然だ」
「返ってこない金は貸さない」
(鉄則)
■ そこへ
「……あの」
小さな声。
振り向くと、若い貴族。
「少し、お時間を……」
「どうぞ」
■ 若手貴族
「私はリオンと申します」
「何に使います?」
「これです」
布を開く。
そこにあったのは――
「……鍋?」
「違います!」
「魔道具です!」
■ コンロ
「火を安定して出せる装置です」
「……ほう?」
カチッ。
ボッ。
「おお」
「火力、一定です」
「すごいですね!」
レオ。
「家庭でも使えます」
「パンも焼きやすい」
「酒の加熱も安定します」
(来たな)
■ 分析
「材料は?」
「この石と、この金属」
「量産できるか?」
「できます」
「価格は?」
「このくらいで」
「……安いな」
「この価格でも材料費は売値の10%程なので、利益は出ます」
「市場は?」
「国内だけでなく、他国にも。そして、このコア部分は我が国固有のものなので…」
「輸出できると?」
「はい」
■ 決断
一拍。
「融資、通します。年利は5%で」
「えっ」
レオ。
「即決ですか!?」
「珍しく“まとも”だ」
「ひどい言い方!」
■ 条件
「金額はこれ」
「はい」
「返済はこの計画で」
「可能です」
「担保は?」
「技術と試作品です」
「いいだろう」
(本当は足りないが)
(未来価値がある)
■ バルド参戦
「この魔導コンロ…面白いですねぇ」
「また来た」
「工場の建設と製品販売は我が国一の我が商会に任せてください」
「早いな」
「儲かる匂いしかしません」
■ 一方その頃
「……」
影。
「働いている……」
元暗殺者、観察中。
「……パン食べ放題……」
「効いてるな」
■ 引き
数日後。
「支店長!」
「だからやめろ!」
「新しいあだ名です!」
「もういい!」
一拍。
「金を増やす勇者」
「だんだん核心ついてきたな……」
(でも)
(これで本当に色々回り始める)




