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第10話 「銀行と暗殺者は使いよう」

「では銀行員」

「はい」

「パンと酒で国は回り始めた」

 玉座の間。

「だが、まだ足りぬ」

「足りません」

「何がだ」

 一拍。

「信用です」

「またそれか」

「全部それです」


■ 銀行という発明

「次にやるのは――」

「銀行です」

「また増えた!」

 レオが叫ぶ。

「お前の本職だろうが!」

「簡単に言うと」

「お金を預かって、貸す場所です」

「危なくないか?」

「めちゃくちゃ危ないです」

「やめろ!」

「でも、うまくやれば――」

「金が増えます」

「魔法か?」

「ほぼ魔法です」


■ 預金の概念

「まず預けてもらう」

「誰に?」

「商人」

「また来た」

 バルド、即登場。

「呼びました?」

「呼んでないけど来ると思った」

「金、預けます?」

「条件次第で」

「安全に保管、必要なとき引き出せる」

「……」

「あと少し増えます」

「増える!?」

「利子です」

「それ合法ですか?」

「この国ではこれから合法です」

「いいですねぇ!」

(チョロいな)


■ スタート

「王立銀行、開業」

「名前そのまま!」

「分かりやすいだろ」

 人々が集まる。

「本当に返ってくるのか?」 「盗まれない?」

「保証します」

「誰が」

「女王です」

「重い!」

 女王、無言でうなずく。


■ 一方その頃

 夜。

「……来たな」

 暗闇。

 気配。

「今日は――」

「終わりにします」

「物騒だな」

 暗殺者、現れる。

 距離、近い。

「……」

(これ、普通に死ぬ距離だな)


■ 逆転

「なあ」

「転職しないか?」

「……は?」

「暗殺者やめて、こっち来い」

「何を言っている」

「給料出るぞ」

「……」

「安定雇用」

「……」

「社会保障(予定)」

「予定!?」

「あと」

「命の危険、減る」

「今まさに狙ってる側なんだが」

「それな」


■ 揺れる暗殺者

「……なぜだ」

「なぜ殺さない」

「殺されそうだけどな」

「普通は逃げる」

「逃げてもまた来るだろ」

「……」

「じゃあ雇った方が早い」

「合理的すぎる……」


■ 条件交渉

「給料はいくらだ」

「働き次第」

「雑だな」

「暗殺よりはマシだろ」

「……確かに」

「あと」

「福利厚生」

「なんだそれは」

「パン食べ放題」

「……」

「酒は?」

「ほどほどに」

「悩むな!」


■ 決着

 長い沈黙。

「……一時休戦だ」

「仮採用な」

「違う!」

「でもまあ来るんだろ?」

「……少し様子を見る」

「はい採用」

「だから違う!」


■ 翌日

「支店長!」

「だからやめろ!」

「銀行、めちゃくちゃ人来てます!」

「いいな」

「預金増えてます!」

「いいな」

「あと」

「昨日の暗殺者、並んでます」

「何しに?」

「口座開設」

「なんでだよ!」


■ 引き

 列に並ぶ暗殺者。

「普通に来てる……」

「身分証は?」

「ない」

「作れ」

「面倒だな……」

(順応してるな……)

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