第21話
数日後。
カルヴァは新設されたジクラム教の教会の演説台に立っていた。
聴衆の中にはセウタもミロスも、シレト、ハンセインもいた。
「俺の知人が出したこの新聞記事に、クローン人間はすでにいる。俺もそうだ。あんたらは最初俺を拒んだ。この世に自然に反したものはない。何故ならこの世自体が自然であるからだ。不自然は淘汰されるんじゃない。何故なら自然に組み込まれるからだ。俺もかつては、不自然だった。だがもうそうじゃない。クローンは実用された技術だ。俺はここにいる、生きていて、愛する人もいて、自然体でいる。自然でいる」
聴衆は拍手を送り、彼を向かい入れた。
その日の夕方、カルヴァが眺めているテレビに、ニュースが流れる。
「本日、11人を殺害したとして28歳のディクソン・H・ビーチが逮捕、起訴されました。ディクソン被告は2年前から連続殺人を繰り返しており、世界の記者団の記者によって事件が発覚。自宅に特殊部隊が突入し、逮捕に至りました」
カルヴァはミロスとウイスキーのロックを乾杯し、ハンセインに祝いのメールを送った。
数日後、カルヴァはミロスと、家具のない建物に来ていた。
ただただコンクリートで作られた壁と床だけが存在している。
住宅街の中にポツンとだけある建物だ。
3階建ての建物だ。
「ここはどうだろうか」
「お店はいいけど、2階3階は住むの?」
「そうだ」
「今の家はどうするの?」
「売ることにする。2人、いやもっと増えることを考えると狭いからな」
「え?」
「一緒に住もう」
カルヴァはそう言うとポケットから小さな赤い箱を取り出す。
2人はキスをし、抱き合い、相手の心臓の鼓動を確かめた。
数か月後、カルヴァの新店が開店となった。
落ち着いた木の壁と床は、落ち着いた雰囲気を十分に醸し出していた。
カルヴァはグラスを布で拭き、棚に入れていく。
ハンセインとセウタがドアを開け、店に入る。
シレトがその数分後に入店する。
そして店の奥からミロスが出てくる。
カルヴァはビールジョッキを5つ取り出しそれぞれビールを注ぐ。
「乾杯」
お酒が並ぶ棚の中央には、カルヴァとミロスの結婚式の写真が飾られていた。




