第20話
カルヴァあてにメッセージが届く。
セウタからだ。
内容は、君は非自然だからもう会うことはないだろうということだった。
いろいろ情報が分かったことでシレト、ディクソン、ハンセインともメッセージを送りあうことは少なくなった。
ある日、カルヴァはウイスキーを飲んでいた。
暗い部屋で暖炉で燃える薪をぼんやりと眺めていた。
ミロスはそれをドアの外の明るい部屋から見ていた。
「ねえ、いつまでそうしているの?」
「一体何を信じればいいんだろうな」
ウイスキーを口へ運ぶ。
「前のカルヴァに戻ってよ、私の好きなカルヴァに、いつでも愛しているから」
ウイスキーのグラスに入った氷だけが返答であった。
次の日、カルヴァはミロスに連れられ、カウンセリングを受けることとなった。
その数日後、カウンセラーの前にカルヴァはいる。
「なるほど、よく来てくれました。ここにはという経緯でここに来たんですか?」
カルヴァは丸椅子に座っている。
「少し長くなる」
カルヴァは事件以降起きたことを語った。
「パンデミックの時は大変だった。死ぬかと思った」
「ディクソンと戦った時ですか?それとも、マンションから飛び降りた時ですか?」
「ああ、その時もそうだが、終始死ぬような思いだった」
「なぜそんな状態なのに、ディクソンと戦ったのですか?
「そうしないと俺が死ぬからだ。その時にとれる行動をしただけだ」
「ではあなたは死ぬことに対しては心配していないのですか?」
「いや、いきなり全身にがん細胞ができて死ぬ可能性とかがある。クローン技術の成熟度が俺は分からない」
「先ほど。ディクソンさんと戦って逃げなかったそうですが、それで死ぬ可能性がありますよね」
「それはしょうがないことだ。だが、この体で起こることは予期できない」
「ではあなたが住んでいる地域でエピデミックが起きたとします。それであなたは死にましたが、ミロスさんは生き残りました。これはどうですか」
「悲しいことになるだろう、でも仕方ないことだ」
「うん、なるほど」
カウンセラーは少し考えたのち言う。
「あなたは納得が欲しいのですかね」
「納得。そうかもしれない」
カルヴァは腕を組む。
「そうだ、いきなり何か起きたらなぜと思う。納得できる理由があればいい」
「でもそれは死んだあなたには関係ないですよね」
「確かにそうだ」
「あなた自身はがんが発症したとして、それで死んでも関係ないんじゃないですか?」
「じゃあ、俺は何に不安視してるんだ?」
「納得って誰がしますか?」
カルヴァはしばらく考えたのち、立ち上がって言った。
「ミロスだ!」
「あなたは、ミロスさんが悲しむのが不安だと思います。それは別によくないことではありません。ですが、それはミロスさんを信用していないことにもなります。ミロスさんにも話を聞いていましたが、とてもあなたのことを思っています。これまでの話を聞くに、あなたは自分の能力を正しく認識しています。だからこそ、他人に対して不信的になることが多いと思います。ぜひ彼女を信頼してください」
カルヴァは椅子に深く座り、静かに言った。
「そうか、わかったよ。ありがとう」




