ep.14 女子会!!!
お昼過ぎ。補講を終えた莉音が友人を連れて帰ってきた。そう、今日は我が家で女子会をする予定なのだ。朝から気合を入れてアップルパイを焼いたり美味しい紅茶も用意して準備万端。玄関の扉が開く音がしたので私は嬉々として3人を迎えにあがった。
「お姉ちゃんから話は聞いてます!!桃果ちゃん!陽鞠ちゃん!いらっしゃい!」
莉音が連れてきたのは最近芸能科に転入してきたという2人、そして今をときめく国民的アイドルグループ"ポピキャン"のメンバーだ。
「妹さんはじめまして!!りーおんの友達の結城桃果です!!」
「同じくクラスメイトの夏海陽鞠だよ〜。よろしくね、詩音ちゃん!」
ポピキャンのメンバーが自分の名前を呼んでいるなんてにわかに信じられない。いや、毎日莉音に呼ばれてるけど、、、。こうして女子会が始まったのだった。
「ん〜!!!このアップルパイ美味しい〜!!詩音ちゃんが作ったの?!」
「この紅茶も凄く美味しい!!どんな茶葉を使ってるのー?」
朝から焼いていたアップルパイが好評で私はテンションが上がっていた。前に在籍していた高校では調理専攻、そして料理部だったのでこのくらいはそこまで手間を掛けずに作れてしまうのだ。
「ありがと〜!!私、前の学校では料理ばっかり作ってたからこういうの得意なの!!茶葉はイギリス王室御用達の美味しい茶葉だよ!!」
もぐもぐと頬を緩めながら幸せそうにアップルパイを頬張る3人を見て思わず私も笑みが溢れた。しかし改めて見ると目の前にポピキャンのメンバーが3人並んでいるなんて私は前世で何をしたのだろうか。世界でも救ったのかもしれない。
それからしばらく学校の事やポピキャンでの話などたくさんの女子トークをして盛り上がった。
ひと段落ついて時計を見ると莉音が口を開いた。
「しーちゃん、よかったら今日は4人で夜ご飯食べない? 私も手伝うから、どう?」
「いいね!!2人はどうかな?」
「今日はお姉ちゃんもお友達と勉強会してて遅くなるから大丈夫だよ!!」
「私もお爺ちゃんとお婆ちゃんが結婚記念日でデートしてるから賛成〜」
「よーし!!こうなったら3人の食べたいものリクエストして!!私が作る!!」
こうして夕食の材料を集めるべく最寄りのスーパーまで4人で行くことになったのだがここでまさかの事件は起こった。
スーパーまでの道のりを歩いていると目の前の交差点に見知った人影を見つけた。
「あれ、お兄ちゃんじゃない?」
莉音の方を見るとうんと頷く。
「お兄がデートしてる。。。」
私と莉音は目を合わせたまま硬直してしまった。そして数日前の会話がフラッシュバックする。
「最近やけに携帯隠すし、放課後も行き先言わずにどこか行っちゃうしさぁ。何か隠してるのかなぁ。」
「お兄だって健全な男子高校生だし、隠したい事のひとつやふたつはあると思うよ?」
「「もしかしてなぎくん、彼女できた、、?」」
まさかあれが本当に現実になってしまうとは。私たちの愛する兄に彼女ができてしまった。以前恋バナを持ちかけた時は彼女はいないと言っていた。それから数週間、できるべくしてできてしまったのだ。周りがついに気付いてしまったのだ、お兄ちゃんの圧倒的な魅力に。
ところがここで2人の歪んだ空気を切り裂くように桃果が声を上げたのだ。
「あれ?! お姉ちゃんだ!!!おーい!!心音お姉ちゃ〜ん!!」
するとどうやらこちらに気付いた"心音お姉ちゃん"が手を振りかえしてきた。
信号が変わると桃果ちゃんはお姉さんに飛びつきお姉さんはそれを困ったような優しいような表情で諭している。
そして我々の問題はこちらの兄だ。表情を見ると明らかに焦っている。彼女といるのを見られた焦りか、はたまたこんなに可愛い妹2人と同居しながら他の女の子に手を出したのがバレた焦りか。そして次の瞬間、それは分かった。答えはそのどちらでもなかったのだ。
「なぎちゃんだ〜、こんな所で女の子と何してたのー?」
私たちの半歩後ろにいた陽鞠ちゃんがお兄ちゃんに近づいて行ったのだ。その姿を2人してポカンと見ていると不思議そうな顔をした陽鞠ちゃんから衝撃の告白を受けたのだ。
「あ〜、2人とも紹介するね! 私の双子の兄、渚です!!」
私たちはもう一度目を合わせて思わず叫んでしまった。
「「エぇぇぇぇぇぇっ!!!!!」」
そして紆余曲折あって話の続きはみんなで夜ご飯を囲みながらすることになったのであった。




