5.学園での日常
翌日、ヒースとアーキア含む、上位クラスの面々に、騒動の顛末を簡単に説明した。
成績上位十人しか在籍しないクラスだし、ある意味で全員幼馴染のようなものなので、私とヒースとレイナ・レティの関係もよく知っている皆は、噂の内容を聞いて驚いていた。
「そんな………レイナとの浮気を疑われていたなんて……浮気…?」
「まあ、知らない人が見たら、婚約者を放置して幼馴染の元に駆け付けようとする浮気男にしか見えないよなあ」
「私はそれを縛り付ける嫉妬深い婚約者に見えると言うのもまあ納得するけど」
物理的…と言うか、風の精霊に拘束してもらってるのは事実だし。
「でも、本当に緊急の場合は二人でレイナの所に行くのにね」
「それに、確かに『レイナ』て呼び名は紛らわしいけど、少し調べればわかる事だろ」
「噂が大きく広がらなかったのも…結局はそういう事でしょうし……」
「しっかし、ほんとぅに今のヒースは大人気でビックリするよぉ」
「過去に会った時の事なんて、覚えてないんでしょうねえ」
「覚えてた上で恥ずかしげもなくアプローチかけてるんだったら、肚が据わってて良いとは思われるかも知れませんよ?」
「やだやだこわいこわい、お貴族様とは極力関わらないで生きて行きたい」
大きな円卓で作業をしながら、わちゃわちゃと会話する私達に、入り口から声がかかる。
「みなさーん、お話するのはいいですけど、お願いした案件はちゃんと進めてくださいよ?」
今は精霊術の実技の時間なので、エクスターク先生だ。精霊術に関連しない講義と一部実技は各専門の先生が受け持っているが、三学年もそろそろ終わり頃となり、専門の講義以外はほぼなくなっている。この時期は進級確認テストの訓練を兼ねて、実技が多めになっているのだ。
しかし、私達上位クラスの生徒は既に進級レベルを満たしているため、この時期に追い込みをする必要もない。
では何をしているかと言えば。
「でも先生、先生の手伝いは、授業で必要なものでもなきゃ進級にも関わらないですよね」
「私達の善意なわけですからぁ」
「それは、そうですけど」
「私はちゃんとやってますよ! なんせ買取ですからね!」
「助かります!」
先生の研究に使う、『精石(空石に精霊の力を込めた石)』づくりをやっている。
石のレベルに応じて買い取られるので、タダ働きではないが、お金に困っている生徒以外は片手間に作るに留めているのが実情だ。
なぜなら、『精霊術』で術を行使するのは精霊だが、その対価は術者の魔力であるから。頑張りすぎると疲れるんですよこれが。
そんな風に、わちゃわちゃと日常を過ごしてしばらく経った頃。
ヒースがファイファ嬢にお呼び出しされた。




