赤い手紙03子育て
この領域から脱出出来ずに双子の子育てをしてあっさり三ヶ月が経った。こんな場所で子育てできるか心配だったが、なんとか、生活できていた。人間は慣れる生き物だとは本当のようだ。両脇に双子を抱えて、パンパンに張った乳房カラ乳を美味しそうに飲んでいる。飲み終わると双子の鬼羅ちゃんがぐずる姉の。鬼美ちゃんを神木の枝に引っ掛かていた古いマントで綺麗に包み込み、バケットに入れる。丁度いい大きさだ。明美は鬼羅を肩車し、神木に立ち寄る。鬼羅は枝に成っている霞を獲ろうと肩越しにゴソゴソと手を身体を上へ上へと必死に伸ばす。未だ採るには身長が足りないのは分かっている、明美が代わりに霞を獲って鬼羅に渡す。鬼羅は自分には重いカスミを不器用だがお腹にか霞を両手で抑え込む。無邪気にキャッキャと笑った。w
息子はいたく霞を気に入っており、鬼羅を座らせて上の方の皮を剥いてやり、コンビニのスプーンを手渡せば、笑顔満開で掬って食べている。姉の鬼美も大好きなので兄妹揃って一緒に食べる構図は母の朱美に獲って至極の時間だった。兄妹のおかわりは朱美もほっぺたが落ちそうな程笑顔で応じるので有る。定期的にラットが3体霞を脱略して来るのでその時は何も食べれず、定時のお供え物だけで済ませてる。ので、少し窶れてきていると実感出来る程だった。授乳の乳の出が悪くなるのではと思ったが、事実出が悪くなった。が、一個の霞を食べれば、乳房も張りを摂り戻した。一人隠れて霞を食っていると、双子はなんとも云えない顔でこっちを覗き見ているのだ。霞一個に相当な栄養が含まれている。それでも、親馬鹿の朱美は子供達の為に大好きな霞をできる限り食べさせて、自分はおそなrもので済ませると云う日々を送って居た。鬼羅がモゾモゾと背中を登ろうとしてる。肩車をして崖をみやる。崖の上で異世界人達が焚き火を囲んで宴会を催してるのか、大声での会話が聞こえてくる。周囲が暗く成ってから焚火の光と音と賑やかさが朱美の安眠を妨害するのは頂けなかった。
「あーー、」
「うーー」
「バブバブまーー
鬼羅はいつもの様に、何が楽しいのか喃語で一生懸命に異世界人に話し掛けて居る。時折り、異世界人と同じ発声拍子に発音が鬼羅から発せられる。
「鬼羅ちゃん、話せるの? わかるの?」
「あー、バブバブまー、ーママは分からないのぉ?」」
「そう、言えば……」
赤ん坊は三十六程の子音を統べて聴き分けられる事が分かっている。母国語を修得してしまった大人はこの能力の一部を失ってしまう事が多い。例えば、日本人の大人の殆どがrとIを聞き分けられない。明らかに言語の修得は生得的な脳力である。
言葉を習得して行く段階はどの文化でも基本的に同じだが、習得する速さは子供によって差がある。言語習得は姉の鬼美が早かった。一歳の誕生日を迎える頃には単語を発するようになる一歳半で三十から五十の単語を使う。鬼羅もニ語文を理解し始め、語彙は急激に七百程に増えた。姉の鬼美は三後ないしそれ以上の言葉を組み合わせ、完全な文章をはなす。鬼羅も遅らせ乍ら、会話ができるように成った。。
「
朱美は感慨深く息を吐いた。双子が話せるようになると一気に家族は賑やかになった。ふ
「双子も成長した」 定時のお供物には白い麻生地の子供服が二着入っていたのには驚いた。朱美以外の誰かが双子の成長を覗き見ている者がいるのでは無いかと真剣にかんがえた。辺りを見渡せど誰も居ない。鬼美の白生地の服にピンク色のおさげが似合っていた。
「そう、成長した、ラット産後から一年経ったのか……」
──それは肉体的にと云うより……」
寧ろ───精神的に、だ。
朱美は親子馬鹿目線だが、控えめに言って二人は天才だった。言葉はまるでスポンジの如き吸収力で覚えていった、朱美はそんな状態が堪らなく可笑しく脳神経学者の知識丸ごとと政治や経済朱美が分かる範囲と要らぬ雑学まで吹聴した。これには朱美なりの理由があった。人間の反射はそれでなくても他の動物に比べて危険な程おそい。体重700きろノハイイログマでさえ、渓流をスイスイ游ぐマスを捕まえられると言うのにそれができる人間は、殆ど居ないのが実情だ。では人間はどうする? あんな小さいラットですら恐ろしく凶暴だ。わ私達はこの反射の遅れを狡猾さで補うしかないのだ!
人間にとって知識こそが武器なのだ。この最悪な環境下生き延びて行くには知識が必要なのだ。
鬼羅が鬼美に神木を指して話してる。喃語であるが君は理解してるのか頷いてる。此処が思念体の中所為か、双子と云う特性上だからか、普通に意思疎通できている。朱美も少しこの可愛い双子の会話が解った気がした。鬼羅と鬼美は神木に向かって、
ハイハイで進んで行った。神木をたよりに立ち上げる。鬼羅が頭上を見上げるが、頭が重いのでそのままひっくり返る、未だ寝返りの出来ない鬼羅に鬼美が手伝って起こしてあげる。双子は泣き出した。きっと、見ろよ、あそこに美味しそうな霞が成ってるぜとでも云ったのだろうと、朱美は神木からふ二玉千切って双子に手渡した。二人は器用に皮を剥いて、被りついた。キャキャっと笑いながら食べているのです。乳児の咽頭は他の哺乳類とお同じように喉の上の方にある為に、呼吸しながらも同時に物を飲み下す事ができる。そろそろ咽頭が下がって来る頃合だろう。行儀を含めて話しながらおしゃべりしてはいけない事を教えねばならないのはと朱美はひっそりと思うのであった。この子が喉を詰まらせて死なないように。早く産まれる所為せいで、子どもも脳もそれだけ成熟しするのに時間がかかる。とは言え、長い依存時間の大半は適応能力を養う点で明らかに役立っているのだ。サルから類人猿に進化した時に、子供時代は倍の長さになった。類人猿から人間に進化して、更に倍になった子もように極めて長い子供時代が必要なのは人間が際立った脳力を持たず、本能も殆ど無い為である。私達は実に多くの事を学ばないと生き延びる事が出来ない。この領域では矢張り不思議なのだ。人間の発達のサイクルにはもうひとつ奇妙な点がある。産まれた後、たいていの動物は成体の大きさまで一定の速さで成長する。しかし人間の子供は思春期まで成長が遅く、そこから一気に成長して遅れを取り戻す。生物学者には子供の身体が小さいのはその方が教育しやすいかrだと考えている人もいるくらいだ。
そう───いっきに成長する。
い今では二人共百十五センチメートルはある。
翌日には、寝返りも出来なかった子が後ろに片手を着きながら空中でブリッジをすように反って腕の力で強く推し上げて両足で立ち上がる跳起を披露する。双子は兄妹喧嘩と云う稽古が始まった。格闘技主体の取っ組み合い、打撃に、回し蹴り、をバク転や宙返りと云う魅せ技で交わすのは鬼羅の余裕の現れか。極めて危険なバランスの下2人の静止が成り立ってる。歯茎は剥き出し眼は見開き足の甲と脚の背屈が重なり合いまるで鍔迫り合いの様に重なって居られるのは鼻とオドデコが引っ付き睨み合って居られるのは二子特有のシンパティーのお陰か。
「狡いゾネェネェ、脳力をし使用したな!?」
「鬼羅、思考を止めるな! 情報を整理、分析しろ、思考の川を堰止めるな!
「客観的に物事を見るんだ!」
「それに鬼羅だって脳力を使っているだろう。お互い様だ」
「客観とは、考えに考え尽くした認識の、総和だ!」二人は脚に力を入れ、磁石のs極とs極の様に反発し合い、バク転をし乍ら一定の距離を確保した。
「チッチチッチ」
「ネェネェ、それは違う。ぼくのは常時型の脳力なんだから、仕方ねーだろ」
「アレが常時型だなんて、それこそ狡じゃーねぇーかッ!」
だ朱美は思う。2人の力は拮抗してる。脳は多くの点で筋肉と似ている。新しいスキルをマスターしたり、新しい知識を得たり、新しい思考や環境と出会って劇的な体験をするなどして、使えば使う程強くなるのである。コレはそれまで運動をしてこなかった人に似ている。トレーニングを始めれば身体が作りなおされる。筋肉は鍛えられ、心臓と肺の容量が増し、最後にはフォームもエネルギー消費も効率的になる。脳はもっとも効率の良い回路を認識する。
────騒騒騒。




