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人間は信念によって創られる。

信じるように存在するのだ



──バガヴァッドギーター──。

国枝頼子は北海道最北部にある稚内市にある宗谷岬そうやみさき稚内市にある宗谷岬(そうやみさき)(そうやみさき)の研究所にお邪魔している。

「本日も宜しくお願いします」

「如何でしたか、LOの世界は?」

「ええ、不思議な体験ばかりです」

「我々はどうすれば緊張感のある冒険にできないかと考えた。高下区を食らってもノーダメージでは緊張感がないし戦闘に面白味がない、唯、痛みを与えればいいのではない、そんなことをすれば、冒険に臆病になる冒険者も出て来るだろうと思えた。冒険に支障のない程度の危険(リスク)はないものか、ある一つの症例がこの難問の手がかりを提供してくれた

「疼痛象徴不能と呼ばれる奇妙な神経障害あり、この状態の患者は、鋭い針で故意に指を突かれても痛がらない『痛い!』と叫ぶべき場面で、『先生、痛いのに痛くない』と云う。どうやら痛みの嫌な衝撃を感じないらしい。しかも、不思議なことにまるで刺されているのではなく、くすぐられているように、クスクスと笑い出す人が多い。笑いの進化論に裏付けすると思った。頭頂葉と側頭葉の間の溝の奥に埋め込まれた『島』と呼ばれる皮質組織に刺激があるときに見られた。

島が皮膚や体内の器官から痛みを含む感覚入力を受け、辺縁系の部位(帯状回など)に出力を送ると、

人は痛みの強い嫌悪の反応──苦痛──を体験する。sて、故意に島と帯状回との連絡を妨害すればどうなるのだろうか。患者の脳のある部位(島)は「痛くて脅威になりそうなりそうなものがあるぞ」と告げるが一瞬、の内にもう1つの部位(辺縁系の帯状回)が心配はいらない。結局のところ脅威は全くない。と云う。従って二つの主要素──脅威ととそれに続く一気のしぼみ──が存在するので、パラドックスを解消するには患者は笑うしかない。人が(くすぐ)られると笑うのも、同じ方向の推論で説明出来る。あなたが手を広げ何かありげに子どもに近づくと、子供は「痛いことするのかな」と考える。だが、違った。あなたの指は軽く途切れ途切れにお腹にふれるだけ、今度同じレシピで──脅威とそれに続く一気のしぼみ──があって子どもは笑う。コレは大人のユーモアの必要な一種の精神の遊びを練習する機会になっているかもしれない」

神楽博士は急に思い出しtしょうに笑った。

「済まない済まない、わたしの患者のこと思い出してね」

「患者ですか?」

「嗚呼、私にとっ()()()()()()でね。私がsレシピの事を云ったら彼はなんと云ったとおもう?」

神楽博士は笑っている。終始御機嫌でこう云った。

「どんな現象にも合理的帰結があると思うのは近代合理主義の悪い癖だと云い切ったんだ」

博士は少し考え深く小さい声で云った。

「彼はどんな冒険をしているのだろうな……」

───国枝頼子の第三回レポートより──。

信じる者は救われる。



パウロ───9、10節より───。

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