第3章 ラージの提案
第3章 ラージの提案
薙刀を持ったスタアと無言で睨みあうストログ。
稽古場は緊張の糸が張り詰めて、今にもその糸は切断されそうにあった。それほどに二人が作る戦いの雰囲気は異常なものであった。
それを見守るケントとミカも思わず息をのんでしまっている。どちらかが動いた時が戦いの合図である。どちらが先に動くのか――。
「はっ!!」
瞬間、スタアの声と共に緊張の糸はプツリと切られて試合開始を告げると、振り下ろされた薙刀の剣先が轟音を上げてストログに迫った。
ガシッ!!
しかし薙刀はストログの顔面すれすれで受け止められてしまった。
ギリギリと薙刀を掴む手に力を込めていくストログは、このままへし折ってやろうと考えてさらに力を込めようとした。その時。
「ッ!?」
ガクン!と膝が折れたのに気が付いて驚いた。
なぜ、そんなことが起こったのかは一目瞭然であった。薙刀が信じられないほどの重さになったからである。屈強なストログの腕力をそして握力を上回る力が薙刀に加えられているのだ。
薙刀の使い手であるスタアの目は少し視線の下がった相手を見下すように冷たく、さらに力を込めるだけであった。
「・・・うそ、あのストログが」
「すっげぇ!姉ちゃん!」
もはや観客状態のミカとケントが、ストログを抑え込むスタアに声援を飛ばす。
が、このまま楽に勝利へと向かうわけではなく、すぐにケントらの笑顔を消え去る結果になった。
「ふん!」
バキ!!
ストログが奮起の声を上げるとともに、なんと薙刀をへし折ってしまったのだった。
剣先から砕けて二つに分かれた薙刀がケントらに姉弟子の敗北への可能性を考えさせてしまう。
しかし驚くべきはそれだけではなかった。薙刀をへし折ったストログの拳からは青いオーラが漂っていたのだった。
「・・――蓄積型」
「そうだ」
スタアの呟きに短く答えたストログは、空いていた反対の腕を振るうとともに青いオーラを乗せてスタアへと拳を放った。
「スタアさん!!」ミカが叫んだ。
スタアに迫るストログの拳はあまりにも危険である。避けるか防ぐかしてほしいところだが、そんな願いなど声に出すより早く拳は彼女を射抜くだろう。
バキィ!!
次の瞬間、すさまじい音がした。ミカは思わず目を瞑ってしまった。
が、しかし・・・。
「・・・まじかよ」横でケントが感嘆の声をあげているのに、何が起きたのか気になって、恐る恐る目を開けるのだった。
「あ、あれって・・・オーラ?」
ミカは、目の間で起こっている光景を見てつぶやいた。
そこにはストログの拳で吹き飛んだスタアの姿はなく、折れた薙刀の柄部分だけで拳を防いでいる彼女の姿があった。
それも薙刀の柄の部分は黒色――否、まさしく漆黒色のオーラに包まれ、おぞましいほどにうねりを見せていた。
「黒い・・・オーラだと・・・」
拳を止められたことと同時にスタアが表したオーラの色にストログは、その重苦しかった瞳を揺らした。
そうして、一度拳を離すと少しだけ距離をとったストログが、今までで一番の警戒態勢に入り、完全なる「仕事」状態に切り替えるのだった。
「すげぇ・・・俺、姉ちゃんのオーラ初めて見たよ」
「それだけ本気に相手しないとダメってことなんでしょ・・・けど、ちょっと怖い感じのオーラなのね」
興奮気味のケントと、スタアに心配の目を向けるミカ。そんなミカが見つめるスタアは、薙刀の柄の部分に表したオーラを徐々に身体の方にも広げているところであった。
ズズズ、と、漆黒のオーラがスタアを包み込んでいく。腕を胸を腰を足を、そして頭まで漆黒のオーラを纏ってスタアはストログを睨みかえした。
「――そうか、お前が『漆黒の断絶者』と言われる・・・」
「知らないわ、そんな肩書き」
刹那、眼光さえ黒に染め上げたスタアが闇色の光となって薙刀の柄を振るった。先ほどまでの何倍、何十倍の威力で『漆黒』がストログに迫った。
何かを言わんとしていたストログだったが瞬時に反応を見せると自身も全身に青いオーラを纏わせて、再び拳を振るった。
ガキィン!!バキバキバキ!!
次の瞬間、すさまじい激突音を響かせて青と黒が衝撃し稽古場を揺らした。
壁や天井には皹が走り、衝突地点の真下の床には大きな穴が開いた。しかし被害状況やケントやミカの安否などは視野に入っていないのか、当の本人らはオーラを全開にしながらに睨みあっていた。
再び、拳と薙刀がぶつかり合うも二人の意識は次に向いていた。次が最後の一撃であると、お互いに拳と薙刀を引っ込めて足に全力を込めてした。
そうして青と黒のオーラは今度は蹴りによる三度目の衝突を起こした。
ガキィイイイン!!!!
――はずだった。激突すると思われた二つの攻撃は何かが間に入ったことによって相殺されてしまったのだった。
間に入った何かは剣であり、剣の主である男は長いシルバーブロンドの髪を揺らし男前の顔つで眉を潜めていた。そして何より彼の剣先からは『虹色』のオーラがあふれていた。
「そこまでだ」
「「!?」」
思いがけない声と、そして声の主に驚いて二人ともに蹴りの体勢なっていたのを戻すのだった。
特にスタアはオーラを出しながらも気恥ずかしそうな顔を見せていた。
「・・・ら、ラージ」スタアが乱入者の名を呟いた。
「ラージ兄ちゃん!!」後ろの方からケントも言った。
「おおー!これが虹色のやつね!綺麗ー!ねぇ、これタンクに入るかな?」ミカはラージが発した虹色のオーラがお気に入りなのか、稽古場を覆う虹色を目で追っていた。
「――何があった?それにお前は―・・・傭兵の」
と、ラージが剣を収めて事の次第を問いただそうとした。ちょうどその時。
「なんじゃ、騒がしい」ソーン師範が、なんとか子供たちから解放されたのかボロボロの状態で戻ってきたのだった。
「ラージもスタアも帰ってきたんか?それにお客さんかの?」ケントとミカの後で増えている3人に目を向けていう師範。するとその目は一度、スタアのところで止まるのだった。ちょうど彼女が漆黒のオーラを消し去るところだった。
「なんじゃスタア、今日のは黒か」
「ん?今日の?」
「スタアさんのオーラも日替わりとかなんですか?」
と、師範が何気なく言った言葉にケントとミカが問いかけた。
その瞬間、スタアが『まずい』と言った顔を見せたが、既に師範の口を防ぐことは間に合わないと感じて咄嗟にラージの耳を塞いだ。無論、突然のことにラージは戸惑った顔を見せた。
そして。
「あぁ、今つけてる下着の色じゃ」
「え」
師範の応えにミカが固まった。横ではさすがのケントも蔑んだ目を向けていた。
「しかも柄にも対応じゃ。縞々でもスケスケでもなんで――んが!!」
言葉の途中で師範は、飛んできた漆黒の薙刀の破片にぶつかり吹き飛んでノックアウトしてしまった。
あきらかな犯人の方へとミカとケントは視線を向けた。
「な、なんだ?スタア?師範はなんて言ってたんだ?」
「聞かなくていいです!」
なにがなにやらわからないラージが説明を求めたが、怒り顔のスタアは、そのままラージの手を引くと道場の奥へと消えて行ってしまったのだった。
あとに残されたケントとミカ、そしてストログ。ストログは気を削がれたのかとっくにオーラを消し去っていた。
なんとも言えない空気にいたたまれない3人。そんな中で変な汗をかきながらのケントが口を開いた。
「と、とりあえず休戦にしないか?な?お前も疲れただろ?・・・そうだ!一緒に飯食っていかないか?」
「あんたね私は良いとしても、なんであんなのを誘うのよ」
「お前はお前で食ってく気満々なんだな」
横から入るミカのちゃちゃに、構うなと噛みつきながらにケントがストログへと持ち掛ける。
すると。
「・・・いいだろう」
「嘘ぉ?!」「ほら見ろ!」ミカが叫びケントが勝ち誇った顔を見せた。が。
「・・・休戦には応じてやる。あとは知らん」
そう言うとストログはフードを被りなおして踵を返すと、二人に背を向けて出口の方へと歩き始めた。
「近くには、いる。・・・それと――ミカ・フェリア」背を向けたままでストログが言う。
「逃げられると思うなよ」
それだけ言い残して最強の傭兵は道場から立ち去っていくのだった。
※
ストログとのひと悶着が終わったソーン流武術道場ではスタアによるミカ歓迎の夕食が用意されていた。深海鮮パスタや、ハニワ鶏のから揚げ、素コーンスープなどなど、ざっとオードブルに近い献立を並んで子供たちは食卓で大騒ぎし、ラージがそれの面倒を見ていた。
「へぇ!へぇ!!じゃ、学生時代から結婚の約束してたんですか!?」
そんな中でミカはスタアの横に座って恍惚とした目で彼女と会話していた。無論、先ほどのソーン師範の言葉は掘り返さぬよう気を張って入るが、ミカにとってはスタアとラージの結婚についてを根掘り葉掘り聞くのに一生懸命になっていた。
「ま、まぁね・・・それでお見合い全部断るの大変だったんだけど――」あははと苦笑いのスタアが一度、お茶をごくりと飲んだ。
「それでそれで!式はどこで挙げるんですか?!」
「私はここでもいいよって言ったんだけど、ラージが首都星でやりたいって」
「えぇー!いいなー!それだけ想われているってことですよね!!」
ミカのキラキラした目が最大限になった。
だがしかし、そんな賑やかな食卓からは阻害されたような暗い稽古場にケントとソーン師範がいた。
早々と夕食を終えた二人は、先ほどの激闘で空いた床の穴の修理を行っていた。
とはいえ、ソーンは早々と飽きて仕事を放棄すると結局は稽古場の隅でいびきをかいて寝転がっていた。結果的に一人で作業することになったケントは溜息をつく他なかった。
「・・・おかしくないか?なんで俺がやらなきゃいけないんだ?ストログにやらせるべきだろ」
応急処置の最後の板張りを床に張り付けてケントは、ぐったりと床に腰を下ろした。
食卓の方からはいまだに賑やかしい声が聞こえている。まるで子沢山を囲む新婚夫婦プラス1名である。何事もなく溶け込んでいるミカもミカだが、それ以上に完全に家族扱いのスタアらにも関心を覚える。
「ま、そりゃ一人ぐらい増えても変わらないか」
そういえばミカと初めて会った時もこんな感じだったなと思い返すケント。
そこへ。
「ちょっと!」ミカがキラキラした目のまま稽古場に飛び込んできた。
「・・・なんだよ?」
「聞いてよ!ラージさんって、スタアさんの結婚相手に相応しくなるためにも副大統領付きにまでなったんだって!凄くない?!」
興奮気味にミカにケントは「知ってる」と興味無さそうな顔を見せた。
「聞いてるよ。と、いうかそれ知ってたら師匠も花嫁修業なんて組まなかったんだけどな」
「凄いわよね!まさに純愛の極みね!憧れる!」
「・・・あ、でも、それなら兄ちゃんが道場出て行った時からスタア姉ちゃんとそういう関係だったんだよな・・・。俺、まだ子供だったからその辺のことよくわからなかったな」
「あんたは今でもわからなさそうね」
ミカの声のトーンが極端に下がった。
「なんだと!」吠えるケントだがミカは「はいはい」と犬でお宥めるがごとくあしらうと、まだ自分の話は終わっていないと口を開いた。
「それでね!結婚式はトキエイドだって!それもラージさんが推してるんだって!もはや全部揃った最強虹色イケメンね!」
「首都星で式挙げたいのは姉ちゃんの方だよ。これ見よがしにブライダル雑誌を兄ちゃんに見せつけて、そういう風に兄ちゃん側から言ってくるよう仕向けたんだ」
「・・・・・・なるほど。そういう手もあるのね」
ふむ。腕を組んで頷くミカ。ケントは少々呆れた目を向けたが、未だにミカの目はキラキラ輝いており二人の結婚についての夢想の途中だと確信した。
「あのな、お前はちょっと姉ちゃんに夢見すぎだ」
「どこがよ?完全無欠の最強お姉さんじゃない?・・・あ、まぁ・・・オーラの色はあれだけど」
チラリと転がるソーン師範を見てミカが言った。
「どおりでスタアさんがオーラを見せないわけよ。あんなの知られてたら誰にだって見られたくないわよ」
「まぁ、そのおかげで武術を極めたと言ってもいいんだし。その点は師匠の名采配じゃないか?」
「結果論よ、そんなの」
短く答えてミカは小さく息をついた。
ソーン流武術道場では体内に流れるヒィアートをオーラとして具現化して武器にする鍛錬を行っている。そのオーラの色は師範であるソーンが決めることになっている。ケントは赤。ラージャックは日替わりランダム色。そして先ほど判明したスタアのオーラ色は・・・つけている下着の色である。
完全にソーン師範の悪ふざけの極みだとミカの軽蔑的な目が物語っていた。
「あんた絶対に口外しちゃダメよ!特にラージさんには!」
「わかってるさ、そんなこと」
強く言いつけるミカにケントがウザったく応える。
と。
「・・・けど、黒か」
ケントがぼそり呟いた。
「うわ」ミカが一瞬にして汚物を見る目をした。
「――気持ちワル。いくら血縁じゃないからって家族同然の人の下着を想像するとか・・・」
一歩ケントから後ずさってミカが声を低く言う。
「別に想像したわけじゃない!あれなら好きな色にできていいな、って思っただけだ!」
「一緒なことじゃない!本ッ当に気持ち悪い!!」
「違うって言ってるだろ!」
「違わないわよ!」
「じゃ、お前のならいいってのかよ!?」
「ええ!そう・・・――・・・ッ」思わず口にしてしまいそうだった言葉を飲み込んでミカが顔を赤くすると、瞬時に彼女の渾身の蹴りがケントを襲った。
ドスン!
「ぐえッ!」
「死ね!単色赤男!!」
稽古場の床を転がったケントへミカの憤慨した声が降り注ぐ。
今しがた食べた夕食を戻るんじゃないかと腹部と口を押えてケントが悶える。その横ではソーンは師範が何事もないようにイビキをかいて眠っている。
そこへ。
「どうかしたか?」
ラージがやってきて声を掛けたのだった。
びっくりしたミカが変な声を出してすくみ上ると、急ぎ振り返って彼を確認した。
シルバーブロンドの長めの髪を揺らして笑顔を見せている。そんな彼の笑顔越しには食卓が見え、スタアと子供らが食器を片付けているのがわかった。
どうやら夕食が終わったらしかった。
「な、なななんでもないんです!ちょっとケントがふざけただけで・・・!」
「・・・そうか」
慌てたミカが裏返った声が言うと、ラージはチラリと床でうめくケントを眺めた。
吐き出しそうな青い顔をしているが、まぁ、たいしたことなさそうだと頷いたラージは、そっとケントの方へと近寄った。
「・・・ケント、ちょっといいか?」
「―・・・ゲホ・・・え?あ、いいけど?なんか真面目な話?」
兄弟子の問いかけに咳ばらいをしながらに応えるケント。それに頷くラージ。
すると、よいしょ、と身を起こしたケントは改めて彼に向き直った。
「あ、あの・・・私、向こう行ってましょうか?」そこへミカが問いかけた。
「いや、・・・君にも話を聞く権利はある。ミカ・フェリア嬢」「あ、あの『ミカ』で、いいですよ・・・」
一段と生真面目な表情のラージ相手に、先ほどまでケントを相手にしていた時の表情からはかなり固まらせてミカが言う。
「そうか、ならばミカくん・・・話というのは『ザヴィエラ』のことだ」
言い直したラージの言葉にケントも一度瞬いて険しい表情を見せた。
「・・・ケント、俺が今している仕事をしっているな?」
「あぁ、なんとか調査クラブとかって」
「危険遺物調査団だ」
「そうそう、それそれ」
知ってたよと、わざとらしい笑顔でごまかすケント。横ではミカが首をかしげていた。
「軍はやめてしまったんですか?」当然の質問だとミカが言った。
「・・・あぁ。もとより副大統領付きの特別組織なんてのは奴の勝手な案だからな。ザヴィエラが消えた以上親衛隊も解散。私も特に軍に留まる理由もなかったからな」
「もったいない気もするけどなぁ・・・職星4だったのに」ぼそりとケントがつぶやいた。
「そうでもないさ。おかげで動きやすくなって、俺のしたいこともしやすくなった」
「ラージさんのしたいこと?」ミカが聞いた。
「ザヴィエラの後始末さ」語尾を強めてラージが応えた。
その声に稽古場の空気が少し重くなったように感じた。
「ここからが本題だ。・・・調査のおかげで、奴が介入機を狙うと同時に他にもあれこれ手を伸ばしていたのがわかった」
「・・・それってつまり」「介入機みたいな時間操作できるようなモノってこと?」
ケント、ミカと続いた声にラージは「おそらく」と頷いた。
「それらがどういったものかは実際目にしてみないとわからない、残されているのは奴のメモだけだからな」
「まぁ、確実に子供の玩具ってわけじゃなさそうだな」うんうんと頷くケント。
そんなケントを見てラージが一歩詰め寄った。
「そこでだ!ケント!」「え?」ガシッと肩を掴まれ目を何度か瞬かせた。ラージの目は何かを期待しているようだった。
「お前、明日は暇か?」
「へ?あ、う、うん・・・まぁ明日といわずしばらく暇かな・・・ははは」から笑いのケントの語尾が弱くなる。しかし反目するようにラージの期待の目は更に輝いていた。
「そうか!ならよかった!ちょっと頼みたいことがあるんだ」
「頼み?」
「そうだ。実は明日、近くの星にザヴィエラが目を付けていたと思われる危険物の調査にいくんだが――俺の代わりに行ってほしんだ」
「えぇ?!」ケントは驚いたが、横ではミカも肩をすくめて驚いた顔を見せていた。
「お、俺が兄ちゃんの代わりに?!」
「あぁ。まだ仕事に就いて日が浅くてな、自由に組織を動かせないんだ――そ、それに・・・」と、ラージは声を小さくすると、一度食卓の方をチラリと見てから、再び二人に視線を戻した。
「スタアと式場の下見をしに行く約束があってな・・・明日だってこと忘れていたんだ――反故すると俺は宇宙の塵になる」
最後の方の言葉は冗談か真意か、スタアとストログとの戦闘を目の当たりしたケントとミカは、まるでそのままの意味に聞こえて唾を飲み込んだ。
「そ、そういうことなら任せてよ・・・!俺も兄ちゃんには死んでほしくないし」
「引き受けてくれるか!」再びガシッとケントの肩を掴んで言うラージだったが、その瞳にうっすらと涙浮かんでいるようにも見えた。
と、そこへ。
「はいはい!それ、私も行きたい!!」
ミカが横から声を上げた。無論、ケントもラージもきょとんとして彼女をみやるだけだった。
「あのな遊びに行くんじゃないんだぞ?」
「いいじゃない。それに介入機に近いモノなら私の方があんたより知識はあるわよ?」
諫めたつもりケントだったが言い返されて「うむむ」と押し黙ってしまう。
「・・・ミカ嬢・・・――ミカくん。申し出はありがたいが、危険物であるがゆえ何が起こるかわからないんだ。ケントにも確認だけして帰るように言って」
「それよ!」
ミカがラージの声をさえぎって声を大にした。同時に人差し指をピンと立てていた。
「今、私を連れて行けば心強い『御供』がついてくるわよ!」
にやりと笑ってミカは二人に提案するのだった。




