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27話 罰ゲーム?スゥ・レイナードの場合

ちょっと書き方かえてみました

さざ波の音のほうへ目をやると、俺たち以外のみんなが楽しそうに遊んでいるのが見える。本来ならば、スゥさんをぱぱっと説得して謝罪して、二人で戻ってあの場にいるはずなのに、なぜかこうして隣同士で座っている。

 沈黙が続くため、なにかアクションを起こしてみようと思った。



「スゥさんって俺のどこが嫌いなの?」

「は?別に嫌いじゃないけど……、ていうか率直にそんなこと聞いて『はい、それはデリカシーのないところです』なんて言うと思う?」



 なるほど、デリカシーのなさが嫌われる原因なのか。これについては散々言われてるが、もはや癖のようなものだろう。直す気がないわけじゃないが、気にならないからわからないのだ。



「スゥさんって正直だよね。会話の節々は難しくて意味わからないけど、忌憚のない意見を言ってくれるのは、俺みたいな人間にはありがたい」

「……それって褒めてんの?」



 褒めてるか褒めてないかと言われたら、圧倒的に褒めてる側に傾いているのは間違いない。一言余計なのが、誤解されるポイントなのかもしれん。



「今のでわかったわ。あんたは直球を投げないと理解できないタチなのね」

「まぁ、そうだな。わかりやすいほうが好きだけど」

「じゃあ、今から直球ど真ん中に投げるから。一発だけ」

「お、おう」



 そう言われたら身構えてしまう、が、途端に黙ってしまうスゥさん。言いにくいことなのか、もしかしたら友情崩壊レベルとか、そんな関係の話だろうか。

 じっと言葉を待っていると、彼女の顔が赤らんでいるのがわかった。



「やっぱ、無理」

「そ、そうか、無理しなくてもいいと思うよ」

「それじゃダメなの!」



 なんだかいつものスゥさんとは雰囲気がまるで違う。



「なんでかわからないけど、あんたといると負けっぱなしな気がするのよ」

「特に勝負なんてしてないけど……」

「気持ちの問題なのよ」


 どうやらかなり落ち込んでいるようだ。水着を見れずに文句言ってしまったのがけっこう響いているのか?念のためフォロー入れとくか。



「もしかしてさっきの件が傷つけた?いや~、スゥさんの水着見たかったんだけどな~」

「……本当に?」

「え?あ、あぁ……」



 てっきり、はぁ!?といつもの調子で怒るかと思ったが、俺の思ってるより深刻な様だな。

なんとかして元気づけてあげるのが責任を果たすということじゃないだろうか。

 それにしても、彼女の顔がどんどん赤みを増していくのは気のせいか?



「ねぇ、他の子よりも私の水着が見たいと思った?」

「へ!?あ、あぁうんうん、そう!」

「じゃあ脱ぐ……」

「はっ!?」


 脱ぐって聞いた瞬間、俺まで赤くなった。勘違いしたが、水着の上に羽織ってる上着を脱ぐという意味だよな、当たり前だけど。

 するすると着ていた服を脱ぎだすスゥさん。下には水着だとわかっているのに、腰のラインとへそが見えると心臓がばくばくするのはなぜか。女の人の着替えシーンを目の前で見るのは初めてだからかもしれない。

 スゥさんの水着は以外にも大胆な黒ビキニだった。こんな水着を選んだからいざとなって恥ずかしくなったんじゃないかな。



「……どう」

「ど、どうって……、い、いいと思います」

「じゃあ好きなの?私のこと」

「え、えぇ……」


 おかしい。普通じゃない。気分がどうであろうが彼女は軽々しくこんなことを言う子じゃないし、冗談なんてもってのほかだ。からかうにしたってもうちょっと言葉を選んでるだろう。



「ねぇ、どうなの?リリアよりサユキより私のほうがいいと思う?」

「いやぁ、そういうのはちょっとわかんないかな……」



 俺が好きなのは姉さんです、なんていったら殺されるんじゃないか。



「ダメならもう一枚脱ごうか?」

「いやいやいや、それ脱いだらいかんでしょ!」

「じゃあどうやったら勝てるの!なにしてほしいの!?」



 顔が赤らんで瞳も潤んでいる。これは病気かなにかにかかっているのかはわからないが、明らかに錯乱している状態だろう。

 最初はわからなかったが、ここまできたらシラフでないのは間違いない。



「とりあえず落ち着いてスゥさん、君は今混乱してるんだ。深呼吸して落ち着こう、ね」

「落ち着いたら他の子のとこにいくんでしょう?絶対落ち着かないから」

「駄々っ子か!」

「うるさい!行かせないから!」

「うわ!」



 飛び掛る彼女に押し倒され、馬乗りにされてしまった。人に見られたら即座に誤解を生んでしまいかねない状況、非常によろしくない。

 こうなった原因はなんだ?船から下りてきた段階ではなにもなかったはず。他のメンバーにおかしいところはなかった。さっき確認したときは普通に遊んでいる様子だったしな。

 スゥさんだけがこの状態になってるということは、付近でなにかがあったのか。



「スゥさん、ちょっとどいてもらっていいかな!」

「ダメよ。絶対に逃がさないから」

「逃げないから!約束するって!」

「約束?誓うなら私をあなたの彼女にするって約束して」



 んんん!?いや、彼女は錯乱状態だからこんなことを言ってるだけだ、真に受けてはいけない。落ち着いて周りを探せ。何らかの魔法の影響か、植物か、魔物っていう線もあるかもしれん。



「ねぇ、こっち見なさいよ」

「ちょっと今忙しくて!」

「私をあなたのモノにして」

「……」



 俺のサディズムをくすぐる発言はやめろ。前々から感じてはいたが、俺は強気な女性に対してはなにかこう、いじめたくなるというか、スゥさんに対しては他の女性より当たりが強い気はしていた。

 流石に集中できないから一旦自分でなんとかしよう。目くらまし、あるいは衝撃で気絶させるとか……。



「ごめんスゥさん、ちょっとまぶしいかも」


 俺は手のひらから光を放出するイメージを浮かべる。光の魔法ぐらいこの世界にはあるだろうきっと。

 間違っても失明なんてさせないように、とにかく最小限に抑えたイメージをするんだ。

 手のひらがうっすらと光り始める――



「私はね、正直あなたの魔法を見て悔しいと思ったのと同時に、いくら努力しても追いつけないような実力差を思い知らされて、心が折れたのよ。だから……」



 そんなまさか。あのスゥさんがそんな事を思ってるはずがない。負けず嫌いの塊のような人なのに。



「そんなアサギリくんだから、私はあなたのことが好きになったのかもしれない。一生勝てないから、勝負の世界から降りられる。もう疲れたの。私をあなたのモノにして、どこかへ連れ去って」



 ……事情はわからないけど、今のは聞かなかったことにするよ。フェアじゃないから。俺は君の負けず嫌いなところ、嫌いじゃない。


「スゥさん、ちょっと休もうか」


 光の魔法を急遽切り替える。この魔法のコントロールは君が教えてくれた事だよ。手のひらから溢れた光は、優しく彼女を包み込み、深い眠りへと誘う。

 倒れこむ彼女の身体を受け止め、静かに横たわらせた。



 せっかくバカンスはこれからだという所だったのに、一仕事しなきゃいけなそうだ。

 まずはこの島にこういった危険性があるものが確認されているのか、ソウタに確かめないといけないな。

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