その裏に
もうすぐ個人的に盛り上がる部分が書けそうだ
・・・まったく、お前はどうしてそうも過去を振り返ることに専念するんだ?
過ぎ去った時間は戻ってこない。そして何より永久不変だ
そんなものに今更縋って、寄り添って、しがみついて
みっともないと思わないのかい?
いや、思っているはずだ。だけどそうしなければならないんだろう?
現実を目の当たりにしたくないから、いつまでもどこまでも、無駄に我儘に自分を保つために。
目を逸らして、視点を変えて、後ろばかり見続ける
それ自体悪いわけじゃない。だけど、見るべき処を、知るべき処を履き違えていることにまだ気づかない
だから俺は止めないよ。ずっと見続けろ、そしてその原因を見出してみろ
お前が今まで行ってきたこと、決断したこと、見限ってきたこと
全部全部思い出してみろ
手始めに最近の・・・そうだな、今はその続きでいい
お前の過去にも甘い甘い学生らしい触れ合いがあったことを見返してみな
願わくば、それが少しでもお前のためになることを願っているよ
クリスマスパーティ
騒げるイベントとして捉えるのであればそこまで邪険に扱うものでもないが
こうして町に出てみると・・・ああ、なんとも鬱陶しい
邪魔だとも、羨ましいとも思わない。だが、鬱陶しいのだ
ここまでカップルがごみのように溢れていると、流石に嫌気がさす
「千里ちゃん、こんなのどう?」
「・・・かわいい、です」
「ソヴィはセンスあるねぇ~。私もダメだから、ソヴィに頼んじゃおっかなー?」
時間にして20時ぐらい
パーティを終えた後、各々別行動となった
耕哉と悠木はカップルなのでみんな気を使ったのだろう
その好意を無碍にしない辺り、甘えるところを分かっている
故に二人が抜け、そのほか俺、ソヴィ、美月、海、千里。そして美樹を含む5人は出かけることにした
・・・出かけることにした、じゃ俺も同意したように聞こえるな
俺の場合、同情、というか取引の元同行したわけだ
必死だったからなぁ海の奴。俺があのまま断って部屋に籠っていたら今頃この空間の中男一人だからな
そのほうがハーレム雰囲気楽しめていいんじゃねーの?と提案したが
地獄だよ・・・、と真顔で反論された
俺が同行する手前、出かけた先の金は全て海が持つという契約の元、俺がこんな雑多交え歩くのも面倒になるデパートまでついてきたわけだ
・・・ああ、さっき来たよ。千里の日常品を最低限買っておこうということでこのデパートの売り場に足を運んだよ
そして今まさにもう一度来ているわけだ。中々にヒドイと思う
とはいえ、あの時は本当に日常品を買いに来ただけなので、遊んでいたわけではない
というか、俺たち三人で遊ぶ風景が想像できない
なので今いるこのデパートの中心あたりに位置する
しかし、なんだぁ
(・・・帰るか)
別に金に困っていないし、飯は食べたばかりだから腹も減っていない
ゲーセンでやりたいことはないし、欲しいものもない
となれば、タダということで付いて行ってやったが意味がない
流れに乗ったはいいが、よくよく考えると来た意味皆無なことに今更ながら気づいた
海は見る限り女共のパシリとしてあちらこちらに行っているようなので、今のうちだな
・・・・・・
・・・
おや、もういいのかい?それとも先に俺に言われたことを無意識に気にしてしまったのかな
・・・ああ、今のは皮肉だ。分からないだろうけどね
君はこういうなれ合いを望んでいたんじゃなかったのかい?
―――・・・えっ?おいおい嘘はいけないよ
嘘が嫌いな君が嘘を吐いちゃぁいけないな
とはいえ、時間は有限。確かにこんな思い出を見る前にまずは現実をどうにかしたほうがいいかもしれないね
でももしかしたら、当分は視れないかもしれないんだ。だったら少しだけ我慢してもう少し先を見てみようじゃないか
そう―――お前が美樹という人物と復縁した過去を
ああいや、復縁という言葉は語弊があるようだね
単純に、+1が-1になり、それが0に戻ったというごく単純な話だ
最も美樹のほうはそうは思っていないようだが
これはお前に言っても仕方のないことだね
・・・おいおい、だからそう急くなよ
何を急いでいる?今更急いだところで現状は変わらないだろう?
変わらず、悪化していくだけだろう?
まさか、一度見捨てたがやっぱやめたとか抜かすきじゃぁないだろうね
・・・それはまだ分からない、か
ならばいいだろう。行ってこい。どうせここには自由に来ることができるのだから
またおいで、待ってるよ。お前が真実っていう面白味もないものに気づくことを
「――それじゃあもう帰るね。あっ晩御飯ごちそうさまでした」
「歩いて帰るんだっけ?最近物騒だって聞いてるから気を付けてね。まったく、こういう時男がいると安心するのに、先に帰っちゃうんだから使えないよね~」
「今更だよ」
私は呆れ顔でそういった
もう19時過ぎている。駄弁って晩御飯をご馳走になり、和気藹藹と雑談をしていたら既にこの時間だ。
そろそろ帰らないといけないと思い玄関まで足を動かし、見送りに来た香乃と少し会話をして今に至る。
千里ちゃん、家に帰ってるといいんだけど・・・
まっ、湊の妹ならわざわざ危ない橋を渡ることはないでしょ
湊なら危ない橋は壊して新しい橋を作りそうだし
「妹ちゃん、帰ってるといいね・・・」
「心配は帰ってからにするよ。それより・・・磯波君は今日お泊り?」
最後のほうはボソボソと呟くように、されど香乃には聞こえるように口にする
「え!?いやっ、あっあーもすぐ帰るんじゃないかなーっ?」
察し
「・・・そういうことにしておくよ。それじゃあまた学校で」
「うっうん!気を付けてねー!」
(・・・暗いなぁ)
時間はあっという間だ。待ってはくれない
先ほどまであんなにも夕焼けが眩しかったのに、今じゃ街灯なしでは不安になる
思えば、こうして夜道徒歩で一人帰るなんてことなんてあまりなかったかな
日本で
中々にいいものかもしれない。自然という自然ではなく、都会という都会ではないこの中途半端なこの町並み。結構好みの部類に入るかもしれない
そう、徒歩で帰るっていうことで思い出したことが一つあった
なんでアニメや漫画の学園主人公はわざわざ徒歩で帰るのだろうか
いやそれだけじゃない。あの世界には自転車という概念が存在していないんじゃないかとたまに思う
でも都合のいい時ばかり出てくるのが自転車だよね。誰かに追いかけられてる時とかに
自転車通学禁止の学校なんてないでしょ。いや、調べてないから分からないけど
・・・まっ、どうでもいいか。私が居る世界は生憎と現実だからね
両目移植して特殊能力(病気)を手に入れた私が言うのもなんだけど
(・・・暗いのは苦手だから、早めに帰ろう)
あっ、でもちょっとだけコンビニに寄って飲み物ぐらいは買っていこうかな
ふと行きたくなるんだよね~、あのマガジン
どうしてかは具体的に言えないけど
確か来る途中にセブンイレブン・・・だっけ?それがあったはずだ。
そこで買うとしますか
一人、夜道を歩く銀髪眼帯のオッドアイが帰路を辿る
周りは静かで、しかしながらどこからか人声が聞こえ、電車が通る重低音も聞こえる
一風静かに見えてそうではない。それこそがこの中途半端な町のあり方だ
マンションの隣にはマンションが、ではなくマンションがとびぬけて目立ち、その周りは一軒家ばかりの住宅街
隙間は存在し、そこは暗いというより暗闇に等しい
ーーーそこに一人、壁に背を預け、明らかに身を隠している服装の人物が"彼女"を見ていた
「・・・・・ソヴィ」




