修学旅行最終日
平凡って書き難い
修学旅行最終日
「刹莉はお土産どうするの?」
「私は千里ちゃん・・・湊の妹とお母さんにかな。お世話になっているからそのぐらいはしないと」
最終日は駅周辺での自由行動
他人に迷惑をかけないを心がけ、各々お土産などを探りに散らばる
私は仁多実香乃と一緒にお土産を選ぶため駅周辺の店を眺めながら歩いている
どこがいいのかいまいち解らない。オーソドックスに八つ橋が無難なんだろうが、他にも何か別なものを選びたい
まあ八つ橋は私が単に食べてみたいだけなんだけどね
「というか、私と一緒でよかったの?」
「・・・どういう意味?」
「磯波君とじゃなくてって意味」
「い、いいのよ今は。刹莉のおかげで昨日一昨日と一緒に入れたから。だからその恩返しというか・・・何か出来ることないかな~と思っ付いて来たの。京都、始めてでしょう?・・・それに刹莉こそいいの?有川と一緒じゃなくて」
「湊はお土産とか買わないと思うから一緒に居ても意味無いよ。むしろコスパだの買う意味だのとイチャモンつけてくると思うから・・・」
「流石、よく解ってらっしゃる」
「・・・そういうけど、私と湊って知り合って実質半年も経ってないんだよ?」
「ーーーーえ!?いや、でも会いづらいかもしれないけど子供の頃に会ったとかはなかったの?」
「無いよ。去年の秋に始めて会ったから」
11月の中旬から1月の頭。そして4月から現在まで
本当に半年も経っていない。だけど数年分の密度があったのは確かだ
一緒に暮らす、云わばそれは寮暮らしに似ているのではなかろうか
赤の他人でも、お互いが支えあい、助け合い、楽しく暮らすこと
・・・・なんて、美談にしようとしてるけど現実そんなことはなかった
私と湊の場合なんて、一方的に私が縋り付いたようなものだ
あそこで見捨てられていたら、きっとホテルか小さなアパートかを借りて何とか大人と呼ばれる年齢まで過ごしていただろう
だが、それは普通ならの話
どの道レツオが日本に来て私の目の前に現れた時点でお終いだっただろう
その場合に私には、きっと誰にも頼れず一人で何とかしようとして・・・
それで・・・きっと、私があいつらをーーーー
(やめだ、やめ。もしものことを考えたところで今更だ)
今はこうして自分の道を違わず生きている
「・・・嘘でしょ?もうずっと一緒に暮らしているような雰囲気なのに」
「色々と"似ている"から、私達は。お互いを理解するのにそんなに時間は入らなかっただけだよ。何も珍しいことじゃないでしょ?」
「いや~、そうは言うけど初めて会ったのに半年未満で家族になれるって・・・まあ養子の気持ちとか解らないから何とも言えないけど、それって凄いと思うよ?」
「そうかな?期間は半年だけど、同じ家に住んでいるんだから何でもかんでも否が応でも、知りたくないところまで知っちゃうって」
知りたいことしかなかったけど
「・・・んー、私とか伸也はさ、有川湊ってずっと陰が薄いイメージしかなかったっていうか・・・ずっと一人で黙々と学校生活を過ごしていたって印象しかないのよね」
「・・・・・」
高校に入ってからずっと一人だったのだろうか
とはいえチラチラと話しかける男子生徒は居たから、言うほど孤立していたわけではあるまい
・・・私が見た限りではずっと一人だけど
私が原因なのだろうか、まあそうであっても湊のことだ。何も気にしないだろう
というか、どうでもいいと感じるに違いない
「ま、まあ湊には湊の良さが・・・あるんじゃないかな?」
「フォローになってないじゃない」
その返答に香乃は苦笑する
ダメだ、思いつかない・・・
基本一人でこなそうとしているから、それが危ういとは言えるだろうが確実に効率良くこなしていくのが湊だ
非の打ち所があるとすれば、それはきっと言っても意味の無いことだろう
「・・・・んー・・・・うーーん・・・」
いきなり香乃が唸り声を上げる
「そんな腕組んであたかも悩んでますよって態度で何を考えているの?」
「・・・うん、決めた!刹莉、今度私の家に来て遊びましょ」
唐突だなぁ、どう考えたらその結論になるのだろうか
「ど、どうして?」
流石に理由を聞かねば色々と不安だ。色々とね
「修学旅行も含め、刹莉には伸也のこととかで日々助けてもらっているからねぇ。後は・・・もっと親睦を深めたいな~って」
意味深過ぎやしないか?普通に遊ぶ分には構わないんだが・・・やっぱ一人じゃ不安だ
「行くのは構わないけど・・・私だけ?」
「自慢じゃないけど、私の家は大きいから大勢入れるし楽しいってのもあるけど、私の許容範囲は4人までだから・・・。それ以上は肩身が狭くなって萎縮しちゃう」
「んー、だったら磯波君呼んでよ。貴方達の関係、手助けしているんだから貴方達の口で聞かせて」
まっ、手助けといっても美樹の部屋にあった少女漫画を元にしているわけだが
「うっ!い、いいよ?その代わりそっちも有川君呼んできなさいよ?」
声、裏返ってるよ。これはこれで面白そうだ
とはいえ湊をかー。・・・最近色々と忙しそうだからどうなんだろう
聞くには聞いて、それでダメだったら仕方ないから諦めよう
「呼ぶ分にはいいけど、来るかは解らないよ?超がつくほど面倒臭がりだから」
「それでいいよ~。まあ最悪有川が来なくても、色々と話題はあるから十分楽しめるし」
「話題って、磯波君との惚気?確かに話す分には楽しいだろうけど聞いているほうはーーーー」
「違うってっ!!何でいつもいつも伸也を持ってくるのよ!?」
香乃をからかうネタが磯波君が一番有効だから、とは言えない
「そうじゃなくて、刹莉の話」
「私?何かあったっけ?」
「惚けないでよ、その目のことだよ。目のことー」
「え?あ、いや・・・まあこの目のことを話す分にはいいんだけど、見させることはしないよ?」
「やっぱりガードは固いかー。お風呂の時も一緒に入らなかったくらいだからそうとう見させたくないとは思ったけど・・・」
「解ってるならあまり触れないで欲しいんだけどね」
「そう言われると触れたくなるのが人間ってものでしょ。まああまりしつこくすると嫌われそうだから程ほどにするけど」
いや、私にとっては今ので十分しつこかったんだが
「といっても、それ以外の話題・・・というか私が思い切って刹莉に聞きたいこととか沢山あるから大丈夫だと思うよ。刹莉って自分から自分のこと話したがらないでしょ?だったらこっちから攻めていかないとと思って」
「・・・解った、色々と覚悟しておくよ」
聞かれれば答えれる範囲で答える。そして必ず嘘は吐かない
それが私が私に対して決めたことだ
でも、一度吐いてしまった嘘は最後まで通す
ボロがでたらそれで終いだが、そのボロが出るまで嘘を吐き続ける
目のことがいい例だ。美樹や美月には既に嘘を吐いてしまっているのだから
今更暴露しようとは思わない。
嘘が嫌いでも、吐かなければいけない時がある
それが途轍もなく擬かしい
とはいえ、嫌いな食べ物を食べているぐらいの感覚だが
(来ないだろうな~、湊は)
麻薬の件、一応話しは聞かせてもらったけどそれ以降何も聞かされていない
私個人で調べるにしても限度があるので湊に任せっきりなのは少々心苦しいが
そもそも湊が引き受けた仕事なので割とどうでもいいと思っている
勿論、自分に実害があるようであれば徹底的に抗戦するが
まっ、今はその時じゃないだろう
(でも、厭な予感がする・・・)
あの時、すれ違ったあの人間
ずっと引っかかっている。何故か忘れることが出来ない
もしかしたら本当に・・・
ダメだ、これ以上は憶測だ。とりあえずこのことは湊に聞いてみよう
こういう自分のことはあまり頼りたくないのだが、ずっともやもやと心に抱えるのも気分が悪い
手っ取り早く確証を得て、安らぎの時間が欲しいものだ
・・・・そういえば、自由行動になってから湊の姿を見ていないような
まあ自由行動といっても数時間だけだからそんなに遠くには行っていないだろうが
というか、彼がそんなに活発的とは思えないのでどうせその辺で木漏れ日に当たりながら休んでいるのだろう
(あいつら・・・まさかこんな土壇場で土産要求してくるとは・・・)
今日の朝、起きてみると一通のメールが着信されていた
如月からのメールだ。今となっては特に不思議に思わなくなっていたが、こんな朝早くからメールを寄越すということは何かしらの展開があったのかもしれない
すぐさま開くと、まさか如月を通して紗雪や陽來からお土産買ってくるよう伝えてくるとは
あいつら金持ってるんだからすぐに行けるクセに・・・
だが、いつも俺の無茶につき合わせてしまっていることもある。それに運よく自由時間が数時間ほどあるので
その時に買おうと思ったのだが
まず問題なのがお土産の量。有名なのは知っているが知らない品物も含め二人合わせてかなりの量がある
とはいえ持ちきれないほどでもない。なのでこの問題は頑張ればこなせるということだ
そして次に問題なのが、売っている場所だ
そう、区々なんだよアイツラが要求してきたお土産は
駅前で買えるモノにしろよ。歩かせるなよ、というか最早場所がわかっていて要求してきたとしか思えない
いやー部下からの信頼が厚くて嬉しいなー畜生
(・・・さっさと買って休もう)
両手に大きな袋を何個も握り締めながら、一人黙々と部下に使いっ走りにされる上司
こんな姿天音が見たらずっとからかってくるんだろうな
不愉快極まり無い
だがまあ、悪くは無い修学旅行だった
途中戻ったけど、それ以外はそれなりに休むことが出来た
だから、明日からはまた動かなくてはいけない
この修学旅行中に色々と収穫することが出来たからな
麻薬なんていう陳家な存在にこれ以上振り回されるのは御免だ
だから必要最低限の情報しかソヴィには言っていない
関わらせるには非常にリスキーだと判断したからだ
何せ、レツオとかいう下衆が動いているらしいからな
どうせ狙いはソヴィなんだろうなぁ。今もしつこくストーキングでもしてんじゃねえかな?
あいつが直接ソヴィに関わろうとするのなら、ソヴィはそれに全力で答えるだろう
だが狙いがソヴィでも、今この瞬間直接ソヴィを狙ってくるとは考え難い
あからさまな動きを見せてきたら、ソヴィに教えるとするか
ソヴィは今の段階では"無関係"に等しいからな。それが妥当だろう
ふと、言葉を溢す
それはどこからくる言葉なのか、何を思って呟いたのかは解らない
だけど、それが本心であり本音であることは確かだということだけは解った
故に俺は疑問を抱かない。それが自分の言葉だと確信しているから
そう、これは俺の言葉だ。俺の感情だ
誰のものでもない。他の誰の言葉を借りたわけでもない
俺の、言葉だ
「ーーーー・・・生き辛い」
更新スピードが日に日に落ちてる・・・




