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シゾフレニア  作者: 民音慧可
第二部 原点回帰の物語
52/74

【過去編】ヴェルニクスとの対話

一部の補足。というより今となっては過去編ですね

これから進めるにあたって必要だと思い書きました


「ーーーーーー何故本当のことを話さなかった?」


「それを言うなら、どうして俺の話に合わせてくれた?」


「真実なんてものは、いつでも言える。だがそれを隠す瞬間はその時だけだ。・・・お前の意図が解らない。だからそれを知りたい」


ソヴィが完全に就寝したことを確認し、ヴェルニクスが俺に尋ねる


当然か、何せさっき話したのは嘘ばかりだったからな


普段のソヴィならそれぐらい見抜けるだろうけど、相当の疲れが溜まっていたのだろう


ま、それを見越して話して寝かしつけたんだけどな


「・・・ソヴィはここに置いていく。アイツは既に殺されている扱いになっている。だから、今のアイツの居場所はここしかない・・・」


「・・・・・お前は、本当にそれでいいのか?」


「どうして疑問に思う。むしろアンタにとっては好都合だろう。手違いか何かかは知らないが、アンタはソヴィを有川家に行かせるよう指示した。でもそれが間違いだってさっき気づいたはずだ」


何せ、俺がお前をここに送り


俺がお前の友達である有川勝一を殺したのだから


「・・・その話はいい。それに、今の私には決定権が無ければ人権も無い身だ。だから今はソヴィのためにも貴様の嘘を追及す。なぁに、結局は後の短い老人の戯れだ、少し付き合え」


この男は、諦めたのだろう


そして今は前向きに考えている


ここで暮らしていくことに、前向きに・・・


どうやら住み心地はそう悪くないものらしい


・・・勝一を、親父さんをここに連れてくることもできた


だが俺はそれをしなかった。それは死を覚悟した人間への侮辱だと思ったからだ


死んでもいいと決め、護ることに徹した。その結果己は死に、友は死して尚生きている


それでよかったのかなんて解らない。当の本人達が思うことであり俺がそれを想うことはお門違いだ


とはいえ、あの時の直感は正しいものだとは思うがな


「あのデバイスについてだが、内容は知らなかったようだな」


「当たり前だ、そんな余裕無かったからな」


俺が目覚めた時には既にソヴィが囚われていたのだ。


勿論それが原因なのだが、ともあれとにかく時間が無かった


あの時点で既にソヴィが死んでいる扱いになっているのには察することが出来たからな。


あの時の二人組みからは天音に頼み限界まで情報を聞き出した


人を救うことが出来る人間は、人を壊すことにも長けているからな


その逆は珍しいんだが


その間に俺は雪達に声を掛け、準備するように命令する


月にはソヴィの居場所の特定を頼んだ。とはいえかなり耳のインカムでぼやいていたが


ロシアという広大な土地で一人の少女を見つける。尋常じゃないほどの集中力と考察力が必要になるのだから


とはいえ、何も当てずっぽうの手当たり次第というわけじゃない


凄い嫌がっていたが、天音と直接通話させリアルタイムで二人組みの情報を共通させていたのだから


ああ、あの後天音が来たと同時に耕哉は帰らせた。あれ以上余計なことを知らせるわけには行かなかった


だがあの時すぐに俺の家に来ることが出来るのは、家の近い耕哉ぐらいだったからな


まあ、確かに今となってはあんな芝居必要なかったんだが、いつも俺がからかわれていたからな。仕返ししてみたくなったという子供心だ


「日本からロシア、それからさらに下準備にも時間掛かったからな。内容なんか視る余裕も調べる余裕も無かった。というよりあの時点では知らなくてもいい状況だったからな。後回しにさせてもらった。とはいえ、様々なプランを考えていたが、アンタの娘が優秀だったから半分以上必要なかったことになったが」


「当然だ、ソヴィには一人で生きていけるようどんな場所にも対応出来るだけの力を身につけさせたのだからな」


「だからって、娘が苛められている時に見捨てるのはどうかと思うぞ」


「・・・・本人が話したのか」


「ああ、今となってはそれも必要な経験だったんだろうけど、親としてはどうかと思うが」


「親というものはな、子の可能性を信じてみたくなるものだ。アレと私の娘ならば尚更な」


アレ・・・つまりはソヴィの母親か


どんな人間かは知らないし聞いていないな。特別知ろうとは思わないにせよ、ミーシェの母親だったのならさぞ他人に優しい人だったのだろう


そして、自分には厳しい人だったのだろう


「放任主義、か。・・・その結果一人の娘の命を落としておいてよく言うよ」


ここからの会話は、恐らく必要であり、不毛な争いだ


でも、俺は突きつけなければいけない


それをあの女は良しとしないだろう。だけど、"アイツ"が味わった絶望の原因を知らなくてはならないのだから


「・・・人のことを言えるのか?勝一の息子よ。お前はあの時あの場所で見ていたのだろう?愛する人のためとはいえ、我が身捨てれる覚悟はなかったって訳か」


「赤の他人の子供に何期待してんだか。親のクセに他人任せとはいいご身分だなぁ。そんなに嫁が死んだのが応えていたのか?」


「・・・・・・・・・」


きつく、俺を睨みつける


今でも俺を殺そうと殺気立って居るのが良くわかる


だがそれは本意であって真意ではないことくらい察しはつく


だから問う


「・・・ヴェルニクス、アンタ人を殺したこと無いだろ。いや、殺人を嫌っているだろ?」


「ーーーーーそれは、ソヴィを視てそう思ったのか?」


「そうだな、アイツは最後まで人を殺すことはしなかったからな」


そして人殺しの罪を他人に押し付けていた


確かにそれを良く思わない人間は多いだろうが、俺はそれでいいと思った


何故ならその他人とは、人を殺すことを仕事にしている連中だからだ


いや・・・・あの様は人を殺すことを趣味ような


人を、動物を、生き物を生き物として視ていない


自分の快楽のために蹂躙されるべく存在していると


そんな狂った感性を持っている壊れた人種


精神病質。一言で表すならこの言葉が適切だろう


だがそれ以外にも持っている。それ以外にも患っていると直感させる


「・・・・俺は殺しているよ。直接、この手で、4人殺した。」


・・・4人?


「ーーーーーーーまさか」


「察したか。・・・・残念だったなぁ。お前が復讐出来る人間はもう居ないぞ」


皮肉にそう嗤う。その笑いは自分を嘲嗤あざけわらっているようにも見える


(そうか、ミーシェを殺した連中を・・・)


とはいえ俺はあいつらには復讐しない。いや、例え生きていても目の前に居ても復讐出来ない


俺が味わったわけではないからな。それをする資格があるのはソヴィとヴェルニクス、そして有川湊アイツだけだ


「・・・悪いな、諸事情で復讐する気なんかさらさらねえんだよ」


「それでいい、あんなことしたって何も意味が無い。あるのはただ喪失感だけだ。・・・私はそんな思いをソヴィにはさせたくないから、人を傷つける術と人から護る術を教えてきたのだ」


「・・・・そうか」


それしかいえなかった。俺もその喪失感を味わったから、返す言葉が見つからない


「ーーーーーーもうすぐ、夜明けか」


そうヴェルニクスが呟く。それを確かめるべく俺は窓の方へと目を向けと、確かに若干だが明るくなっているのが解った。どうやら完全に雪は止んだようだ


だとすれば、そろそろ帰る準備をしないとな


俺は無言で立ち上がり、ソヴィに渡した白いコートを羽織る


「・・・そろそろ行くのか?」


「ああ、じゃないとソヴィの奴が起きちまう」


これ以上長居する必要は無い


いや、まだ確かめていないことがあったな


「・・・最後に質問、いいか?」


「私から得られる情報なんて、高が知れていると思うがね」


「いや、そうでもない。少なくても俺以上に知っているはずだ・・・・トヴァニコフは自分がミーシェを殺したと言っていたが、これはどういう意味か解るか?」


「ーーーーーーーーなんだ、その性質の悪い冗談は。お前も見ただろうが4人組なはずだ。隠された5人目が居たのか?それとも・・・・」


「何かわからないのか?ミーシェを殺したのはあの4人組の屑共だ。あの中にトヴァニコフは居なかった。ならどうしてアイツは自分が殺したと思い込んでいる?」


可能性として考えられるなら、運転手の存在だ


もしそれがトヴァニコフなら・・・。だがあの時確かに運転手は外に出てきた。


ミーと俺を連れ込むを手伝わされていた


俺はそれを覚えている。少し、ほんの少し印象があるだけだ


とても気持ち悪い笑みを浮かべた男だった。それがトヴァニコフとは考えにくい


長い沈黙。恐らく記憶を辿り考え推理しているのだろう


これ以上は俺には解らない。こればかりはアンタしか答えを知りえない


・・・どうしてミーシェが殺された?


それはヴェルニクスを殺すため


・・・どうしてトヴァニコフは自分が殺したと勘違いしている?


考えられるのは、非科学的だが洗脳。または嘘の情報を流し操った


・・・何のために?


もしかしたらトヴァニコフはロシアにとって使いやすい武力を持っていたのではなかろうか。弱みを握り、操ることで使い勝手のいい人形と化していた、のか?


・・・ダメだ、半分以上は憶測だ。これでは意味が無い


だからって、今更知ろうにも知ることは出来ない。時間が経ちすぎている。


・・・・・そもそも、どうして俺は知りたがっているんだ?


過去は過去だ。知ったところで今の俺に何か影響することがあるのだろうか?


だが自分が巻き込んだこと、自分が巻き込まれたことの真相ぐらいは知っておかなければいけない


それが義務なのだから


無知が許され責任を逃れられるのは中学生までだ


「・・・・・・それ以外は解らない。様々な憶測は出来るにせよ、どれも確証が無い。自らの意思で行ったことではないのは確かだろうが。・・・どうしてそれを聞く?」


当然の疑問、だから俺は少し間を置きそれに応える


気安く言える言葉ではないから


「・・・・・ソヴィを殺したのは、そのトヴァニコフだからだ」


「ーーーーーーー・・・そうか」


「怨まないのか?親として」


「怨むさ、死んでからな。だがソヴィは死んでいない。今もああやって生きている。あれを死んだと称すには少しばかり無理があると思うがな」


「・・・だったら、最後まで面倒見ろよ。それが親の責務だろ」


「言われなくても」


話は終った。もう二度と会うことがないだろうが、俺とヴェルニクスはそんなに知った仲じゃない


だからそんなに感動的な別れなんかする必要はなく、さっさと帰るべきだと判断する


そう思い外へ出る扉の前まで行き、開けようとした瞬間、もう一つの疑問を思い出す


「ーーーーーーああそうだった。話を戻すが、あのデバイスの中に何が入っているんだ?」


時間が無かった、故に俺はそのデバイスの中身を知らない


ソヴィが居た時に話したのは、ヴェルニクスが持ち出したと推測でき、そしてそれをあたかも現実味があるような言葉を繋げ話しただけに過ぎないのだから


「・・・物はソヴィが壊したんだ。今更話しても意味が無いだろ」


「あー、アレ即興で作ったニセモノだ。外形の長さと重さと画像を送って俺の部下が働いているところで作らせたんだ」


その部下というのは岳のことである


精密機器を作る仕事、しかも手作業が多い職場に居るらしいというのを以前教えてもらったので頼み込んだのだ


数量は一個。だから何とか短時間で形だけ作らせ、中には同じ重さになるようにそれっぽい基盤を入れておいた


そして雪たちと別行動する時に受け取った


「小賢しい奴だ、しかしどうしてソヴィに本物を渡さなかった?」


「渡したら壊すのが目に見えていたからな。それに、そんなに容易く扱っていいものでも無いだろうと思っただけだ。後はまあ、ソヴィに未練を残さないようにするためでもあるな。・・・それで、どうなんだ?ああ、処分の方は安心してくれ。役目を終えたら責任を持って処分するから」


プレスで潰してコンクリート漬けで安定だろ


「・・・実はさっきお前が言っていたこととあまり違わない。それの中身には社会の裏事情が記録されている。だが総てではなく、ほんの一部だ。」


一旦息を吐き、そしてまた言葉を告げる


「公表が出来ない極悪非道を行った国際指名手配犯達の記録だ。勿論既に姿かたちを変えている輩が殆んどだろうが」


「・・・・・・どうしてそんなものをソヴィに渡した?」


「もし復讐するのであれば、何かの手掛かりになると思ったからだ」


「何に対しての復讐だよ。お前はミーを殺したアイツラを殺したんだろ?だったらそれを遺書なり何なりに書き記して伝えれば、ソヴィはそんな心持たずに生きてーーーーー」


「ダメだ、それをやるとロシアから離れない。私を殺した国だ、そんな国にたった一人になった娘を住まわせることなど出来なかったのだ」


「だから日本に移住させたと?だがどの道ソヴィは一時的に戻ったところを狙われ、結果殺された」


「だが、貴様を味方に付けた。皮肉にも私を殺した貴様をな。そのおかげで今もこうしてソヴィは生きている」


「ーーーーーーッ!」


そんなの、駆け引きにもならない


いや、この男もしかして俺が勝一の息子だと知っていたのか?


俺はコイツとは面識がなかったはずだ。・・・だが、勝一が教えていたのなら可能性がある


ならば俺がこっち側の人間だということを知っていても可笑しくはない


だがしかしだ、この男は一体いつ遺書を書いたんだ?


危険な職業だというのはわかる。だから遺書を用意していても不思議じゃない


それはいい、だが問題はいつ書いたかだ


一歩間違えれば勝一の家族すら巻き込んだかもしれない。殺される可能性があるソヴィを預けるというのはそういう意味でもある


それを勝一の友達だと称するこの男が良しとするのか?普通


現状に普通を求めるのもお門違いだが


勝一もこっち側で働いていた。ならばその家族もそれなりに実力と度胸があると思ったのか?


不確定要素が大きすぎる。実際見て見ないと確証を得ないはずだ


そんな決断、俺には不可能だ


故に理解出来ない。そしてしたくもない


(ただの馬鹿か、それか他に何か信じれるものでもあったのか。・・・どちらにせよ、俺には解らないことだな)


デバイスの中身も知れたから良しとしよう


後は何らかの方法で月に渡して教えてもらうか


「・・・興味本位だが、その極悪な国際指名手配犯の中でアンタは誰が一番凶悪だと思った?」


ふと気になった


どうすればそこまでの存在になるのかを


普通の人間が普通の悪さをするだけではなれない


公表すら出来ないことを仕出かした人間として人間ではない存在


故に、"親近感が湧いた"


「ーーーーーさてな、どれも吐き気を催す人間共だ。同じ人間とは思えないほどのな。・・・そうだな、すぐに頭に浮かんできたのは・・・・・」



その答えを、俺は一生忘れることが出来なくなった


その名前を聞いた瞬間、胸に突き刺さり、決して引き抜くことが出来ない槍と化した


既知感に覆われ、脳に、記憶に、身体に違和感を刻まれる


その名前だけは、もう二度と忘れることを許されないと身体が訴える


その、名前だけでーーーーー憎悪を感じるほどに





ーーーーーーーー戸岐代ときしろ 三觜みすい

過去編はこれから少しずつ間に挟んでいきます

読み辛いかもしれませんので、時間がたったら整理したいと思います

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