雑音
書いてはいるんですが、どうにも展開を考えすぎて投稿が遅れてしまう
スマホの方は横にした方が良いかも
「・・・・・この辺でいい」
陽のバイクで都心から京都の宿泊施設近くまで送ってもらうことになったので、その近辺で背中を叩き合図を送る
因みに車種はヤマハのFJR?とか言ってたような・・・
生憎車やバイクについては興味ないから分からんが、結構前に自慢されたから覚えている。
「100万以上のバイク買っちゃいました~」とだけ言い残して仕事サボって帰ったな確か。恐らくそのバイクがこれだろう
というか、バイク買う度に自慢されているから、コイツの場合毎月買っているような印象がある
そう易々と買える物でもはずだが、まあ普通に働いて入れば買えるか。こっちの仕事と表の仕事、両立できていれば1ヶ月で100万ぐらいなら溜まるんじゃないかと思う
こいつの表向きの仕事は分からんが、大方バイク好きの美青年だからホストでもやってちょろい女共から金取ってると推測出来る
一応守秘義務というものも存在しているので詳しくは聞かないし聞こうとも思わない。単にこいつらが勝手に喋ってくるからそれを覚えているだけだ
俺個人隊長という役職に居ても部隊員の個人情報など知らないからな。まあ俺が覚えていないだけかもしれないが
自慢じゃないが記憶力には自信がない
合図を聞き入れてくれたのか、目先のすぐ近くのコンビニに止まる
「ここでいいんですか?徒歩だと結構あるような・・・」
「いや、ここでいい。というかこんな時間に宿屋の前にバイクで行ったらそれこそ面倒なことになりそうだ」
時刻はもうすぐ4時。陽には朝方までに着くようにしてくれと頼んだのでその通りになった
この時間だと、修学旅行で3年生なのに意味も無く部活をやらされる人間がそろそろ起きる時間だろう。ここから徒歩で着くころには運動熱心な男共が頑張っていると思うから、それに紛れて戻ろうという算段だ
例え知り合いにあっても、散歩してきたと答えれば済む話だからな
「分かりました。・・・それよりどうでしたか!新しく買ったこのバイクの乗り心地は!是非感想聞かせてくださいよ~!」
「え?ああ、格好いいよ。うん」
「え、乗っといてそれだけですか!?もっと他に、こう・・・具体的な印象は?!」
「て言われても、俺バイクとかそんなに興味ないからな。乗れればどれも一緒だと思っている俺にそういうのを求められても困る」
バイクに限らず車もそうだ
未だに天音が乗っている蒼い車の車種が分からん
「そりゃ知ってますが・・・」
「・・・なんなら今度雪でも誘ってやれ。前に機械類は好きだって言ってたから魅せれば喜ぶだろ」
雪と陽は仲が悪いようで良いから、正直陽が積極的に雪にアプローチ掛けれくれれば俺の負担が減るのだが・・・
「でもあいつ下手に怒らせると加減しないじゃないですか」
確かに。いきなり怒り出すから危ないんだよなぁ
しかも何が原因かは決まって分からない
アイツAB型だろ。扱いが難しいことこの上ない
「だな、乗っている時に後ろからぶっ飛ばされそうだ」
「どうせ乗りながら死ぬのなら女性の腹の上の方が・・・・」
・・・・また下ネタか。もういいからそういうの
とりあえずこの辺で会話区切って終らせよう
「あー・・・そろそろ行くわ。ここまで送ってくれ助かったよ」
どうにもコイツと話していると海を連想させる
つまりは、唐突に下ネタを振って来る辺り
それが一般男子ってものなのかね?
流石に陽を一般男子とは思えないがな(年齢は最低でも20歳超えている)
あの組織に所属している人間に、まともな人間なんか一人も居ない
みんな何かしら狂っているからこそ、そこにいる。人殺しを快楽と思うやつも居れば、人殺しが中毒になっている奴もいる
まあ、そんな人間はこの世に沢山居るけどな
もしかしたら自分が気づいていないだけで、ある日突然人を殺してみたら思いのほか楽しいって奴もいれば、生まれながら殺すために生きてきた。なんていう中二設定の人間だって存在するんだ
人殺しの、どこが楽しいのか俺にはわからないが
「いえいえ、隊長をお守りするのが部下の務めですから」
「殊勝なことで。・・・そういや前から聞きたかったんだが」
「なんです?答えれる範囲なら答えますよ」
「何で俺がお前達の上にいるんだ?」
これは立場の話をしている
考えるに、今更ながらの質問だ
年齢は俺の方が下で、しかも学生
本分は勉強。故に学生ライフを過ごすことになる
それでは、些か不都合なことが多いだろう
それなのに、どうしてコイツらは揃いも揃って俺を隊長に指名した?
「・・・そんなの、決まってるじゃないですか」
あたかもそれが当然のような顔をして陽はこう告げた
「隊長が、有川湊君が自分達の中で一番ーーーーーーーー」
その言葉を最後まで聞き取れなかった
いや、もしかしたら聞いていたのかもしれない
だが解らなかった。別に風が吹いて邪魔されたとか、トラックのクラクションで聴こえなかった、などといったお約束が起きたわけじゃない
単純に、俺の脳が理解しなかった
拒絶し、雑音のように掻き消したのだ
そして
それ自体、有川湊は忘れ日常へ戻る
いつものようにーーーーーーー
鳥の声が微かに聞こえる道
あたりは静まり、緩やかな風が木々の葉を揺らす
そんな中ゆっくりと歩いているとマナーモードで揺れる携帯がポッケから伝わってきた
(最近よく掛かってくるなぁ。前までは天音と耕哉ぐらいからしか電話来なかったのに)
しかし、連絡を取り合うための携帯だ
最大限活用しているという意味では無駄ではない
そんなことを思いながら携帯を取り出し着信画面を見ると
見知らぬ携帯番号からの連絡だった
俺は滅多に携帯の電話番号というものを公開しない
故に知っている人間は限られてくるのだが・・・
(考えても仕方ない。とりあえず出てみよう)
画面をタッチし、携帯を耳に翳す
「誰だ?」
ここでもしもしと言わない辺り、我ながら強きな態度である
しかし見知らぬ携帯番号で電話してくる相手が悪い
もし間違いならばそれはそれで(どうでも)いいのだが・・・
『朝早くからご苦労なことですねぇ~、湊君♪』
このキャピキャピとした声
「・・・如月か?どうして別の携帯から掛けている」
『いやぁ、大事なやり取りするのに回線を変えるのは当たり前でしょ』
すると突然凛々しい声に変わった
前から思っていたけど、こうやって人格の裏表を扱いこなすのって、二重人格の一種じゃないか?
でなければ器用過ぎるだろ
月に対しての疑問は置いといて、別の携帯で掛けてきたのにはそれなりに理由があるらしい。俺にはよく分からないことだが
大事なやり取り・・・情報に通じている月のことだ、どこからか既に"あいつ"情報は仕入れているだろうが、一応確認しておくか
「あいつのことに関してなら数時間前に直で視たところだが?」
『それで君が罪悪感を感じないのならそれで構わない。重要な情報が手に入るからね。でも今はそうじゃない、犯人の一人を特定出来たんだ』
俺たちの結論は複数犯であること
だから・・・
「・・・一人特定できたからって、首謀者を特定しないと意味が無いだろ。そいつを捕まえるにせよ、カマ掛けるためには大方の目星を付けておいたほうが・・・」
『そんなことはどうでもいいから、このことだけは最優先に頭の中に入れておいて欲しいんだよ』
・・・ん?若干焦っている?
いや、そんなはずはないか
サポーターが冷静さを失うのは、俺たちにとって絶望を意味するのだから
だが、少し拙い状況なのは声から伝わってくる
「・・・解っているよ、こんな時間にわざわざ別の携帯使って掛けてきたんだ。それほど重要なことなんだろ?で、俺が戻っている間に何が解ったんだ?」
刹那、再度頭の中を雑音が支配する
・・・・そうえば
俺は一体何のためにこんな面倒事を引き受けたんだ?
俺は誰のために働いているんだ?
今となっては、不思議と何故か思い出せない。つい先日のことなのに、きっぱりと忘れている
健忘症か?いや、この年でジジィと同レベルの脳内とか割とショックだぞ
確かに俺は昔から忘れっぽいことがあったが、流石に自分の動機すら忘れることはなかったはずだが・・・
でも、ああーーーーーー・・・こうやって疑問に思ったことすらすぐに忘れてしまうんだろうなぁ
だから、考えても意味の無いこと。そして俺が忘れるのは昔から決まって一貫している
"有川湊"に関してのことだ
そしてその雑音はいつの間にか消え失せる
いつからか脳の中に住み憑くその音は、時間が経つに連れ増していく
その音にすら気づかず、少年はただ考える。現実について、夢について
姿形の無い無像を ただ闇雲に追っていく。
『ーーーーー・・・・って聞いてる?』
ーーーーーーッ!
危ない危ない、ここのところまともに寝てないからうとうとしていた
ソヴィじゃ有るまい、今更悪夢程度で魘されることはないんだがな
「・・・・・・・・悪い、少し寝不足でぼーっとしてた。もう一度言ってくれ」
確かに寝不足なので嘘は言っていない
・・・・本当は聴こえていた。本当は聞いていたのだ
自分のことで悩み考えても、それは周りの声が聞こえない理由にはならない
その二つを両立させることくらい、人間誰でも出来ることだ
故に聞いていた。だけど、聞き返したかった
何せ月が言った事はあまりにも現実味が無いからだ
考えたくない現実を、こいつは今さらっと俺に告げたのだから
確かに可能性としては入れていたものだ。そしてそれを月に調べるように頼んだのは他でもなく俺自身だ
本当に、微々たる可能性だったんだがな
だから今一度聞き返す。それが間違いじゃないことを確かめるために
そして、疑うために
『しっかりしてよ。今の私には貴方ぐらいしか動かせる駒がいないんだから』
「ああ解っている。今度はしっかり聞くからもう一度言ってくれ」
頭をクリアにし、耳を研ぎ澄ます
今度は間違いの無い様、聞き取るために
『・・・・収容所から逃げ出した。いえ、誰かに逃がさせてもらって今も麻薬をばら撒いているわよ。ソヴィの元親友、レツオ・イーメステト・オルマセアが』
もし本当にレツオが動いているのであれば、それは今度こそソヴィが片をつけなければいけないことになる
何せ、あの時ソヴィがレツオを殺さなかったからこんな事態になっているんだ
ああ、確かに任務の内容は捕縛が優先だったが、別に殺したって構いはしなかった
最低限情報を持っている人間さえ捕まえることが出来ればよかった
つまりはトヴァニコフを捕らえることが出来た時点で、ノルマは達成されていたのだ
だからあの時、ソヴィが怒り狂って殺害しても良かったのだ
だが、アイツは殺さなかった。そして結果被害は拡大した
これをソヴィに伝えれば、きっと責任を感じるだろう
その結果、どういう行動をするのか・・・・
人を殺すことを良しとしないアイツは、一体どんな選択をするのだろうか
どちらにせよ、限られた選択肢のどれを選んでも残酷な結末しか待っていないだろうけどな
心理学をしっかり学んでおきたかった・・・




