前座
完結させたことにはさせましたが、やっぱり続きが書きたくなったのでw
総てが変わった。なんて思ってくれるなよ
俺もアイツも以前に比べれば変わり果てたのは明白だ
だが、しかしだ。根本的な部分は何も変わらない
人を疑い、人を信用しない部分は何も変わっていない
それは喩え俺達が家族という繋がりを持ってしても不変なモノ
何故ならそれらは俺達が今この瞬間生きている証でもあるからだ
人を疑わなければ今もこうしてダラダラと生きてはいないだろう
湊然り、ソヴィ然り
だから変わることは無いし、変わる必要も無い
それでも俺たちは家族で居られると確信できる
ならその根拠は?という話になるだろう
疑ってばかりいては家族も友人も無いだろうと普通思うだろう
だが違う。少なくとも俺達は一般人そのものとは言いがたい人間だ
故に理解できないだろう。家族でいられれる根拠は、お互いが人間不信であることを信用しているという矛盾したモノだからだ
皮肉、というか滑稽な話だろう?
何せ信用しない人間同士の信用しない部分を信用しているのだから
矛盾している。論理が破綻している
だがそれでいい。結局俺達の存在そのものが矛盾しているのだから
そこにある思考や決断だって矛盾していて当然
社会の常識から外れたモノ同士、そのぐらいが丁度いいのだ
だからこそ誓った
絶対に人を疑い続けることを
俺らは誓った。生きていくために、己の欲のために、何もかも総てを疑い続けると
だってそうだろ?現実は惨くて酷くて最低で最悪で、望み通りにいかない矛盾した世界なんだ
それに立向かうには、同等に矛盾した思考と存在でなければいけない
結論、というか起源を述べると
俺達は根本的な部分が壊れている
それはこの腐りきった社会そのものが産んだに他ならない
だからこそその社会を憎むのは当然だし、怨むのも当然だ
自分で自分のことが嫌いなるくらい、自分がぶっ壊れている事くらい自覚しているよ
自殺したい、殺されたい、消し去りたい
そう思っていたし、変わった今でも時々思うさ
でも、それでも生き続ける。何が何でも生き続ける
自殺も他殺も"逃げ"だから。湊はもう二度と逃げたくないから
俺達は、今もこうして死に《生き》続けている
自分の真意を、正直にーーーーーーー
6月上旬 有川家 居間
「ーーーーーー・・・・ねぇ、これはどういうことなのかな?」
「・・・俺に聞かれても困る」
「いやこれ貴方の問題でしょ?何で他人事のように言ってるの?」
「俺からすれば何でお前がそんなにピリピリしてんだって話だよ、んなに気にすることかよこれ」
「するに決まってんでしょ!?」
「ソヴィさん、落ち着いて。ほら、ミーも起きちゃったよ」
千里の膝の上に寝ていた猫のミーがソヴィの大声に反応してビクリと顔を上げ、「何事!?」という表情をしている
凄い珍しい表情だ。写真とっておきたいが、ここは我慢だ我慢
今何故か説教されているからな
「ああ、ゴメン千里ちゃん。私としたことがつい取り乱しちゃって・・・」
「全く、妹をビビらせるなよ」
「貴方のせいでしょ?!」
六月の初め、今はそうだな・・・所謂家族会議というやつを行っている
さて、この二ヶ月で何があったかを簡潔に話していこう
4月、俺たちは高校3年生になった
ソヴィこと刹莉は俺が通っている諏訪原高校へと転入してきたのだ
いずれバレることだが、九条峰にまた入ることは避けたほうがいいと判断した
一回死んでいる扱いなっているんだ、無駄な混乱が起こるからな
そして、なんと知らない間に今まで登場する機会が無く、設定だけ存在していた妹の有川千里が九条峰に入学することになったので
俺の家に暮らすことになった
因みに、ソヴィの眼がああなってしまった理由は、泊まったホテルがテロリストに乗っ取られて、その時ホテルの一部を爆破した時その破片が目に突き刺さったから。そして見える方はそれが原因か突然変色した、ということになっている
まあ、色々ギリギリな言い訳だが真偽を確かめることがあいつらに出来ないのも事実だ。大丈夫だろう
勿論千里にもそう説明した
元々むこうの家から通うつもりだったらしいが、ソヴィが一緒に暮らそうと提案したためこうなってしまった
後から聞いたが、丁度よかったらしい。お袋さんがどこか解らんが海外へと出張することになっていたらしい
元々出張が多かったお袋さんだ。そうなっても不思議は無い
ただ、問題になったのは千里だ。家事全般出来ない若干内気である不肖の妹。そんな妹を一人暮らしさせることもできないので、生憎と俺の家から九条峰から近いということもあり俺の家に居候することになったのだ
全開の冬休みでも居候したことがあったので、ここでの生活ではすんなり慣れていった
因みに、コミュ障である妹だが先輩である耕哉や美樹たちが絡んでいるようなので兄としては安心である
と、いうことで俺の家には俺とソヴィと千里の3人が暮らしているのが現状だ
さて本題。今どうしてソヴィがこんなにも怒っているのか
怒っているは過ぎた表現か。いつも以上に不機嫌になっているが適切だろう
その理由は・・・
「・・・それで、何で貴方テストの点数がこんなにもギリギリなの?」
先月末に行った定期テスト
その結果が返ってきたので折角だから家で見せ合おうと提案されたのだ
なんて学生らしいんだ。俺たちにとっては稀有な出来事だろう
偶にはいいだろうと思い見せたのだが・・・
どうやらソヴィにとって俺の成績が予想以上に芳しくなかった様子だ
「誰がどうみてもこの点数は芳しくないと思うでしょ、こんなの」
「人の心勝手に読むなよ」
「はぁ~、何で全部40点前後なのよ。なにこれ、狙ってるの?」
溜息をつき、ジト目で俺を睨みつけてながらそう言う
「・・・そうだよ、何せ俺みたいな根暗がいい点取ったら目立つだろ?俺は目立つのが嫌いだから、そのために・・・」
「ならどうして現国が赤点なのよ?これ絶対わざとじゃないよね?実力だよね?」
「・・・・」
「・・・格好悪い」
遂に妹にまで罵倒されてしまった
俺は女性に罵倒されて喜ぶようなMじゃないので若干心が痛い
「ねえ、解ってる?次の追試で点取らなきゃ貴方修学旅行へ行けないんだよ?」
「解ってる、解ってるって。お前は俺の母親かよ」
「・・・・・・社会上、私は貴方の姉になるんだけど?」
「いやそこで真面目に答えなくていいから」
しかし、今回は俺に非があるので文句は言えない
今までは統合失調症を言い訳にできたが、ソヴィは俺の現状知っているので意味が無い
「こんなことで修学旅行行けなくなったら、私まで恥をかくことになるんだから、追試頑張って貰わないと困るんだけど」
学校では、有川刹莉として通っているため俺とは家族だということは周知の事実
だが親が居ない3人暮らしだということまでは秘密にしてある
「・・・解ったよ」
「うん、その様子じゃ解ってない様だから私が勉強教えるね」
信用無さ過ぎだろ
・・・正直に言うと、俺は決して成績とか勉強とかは得意ではない
だがいつもなら赤点は取らない程度には勉強頑張るのだが
今回は、この2ヶ月間。ソヴィこと有川刹莉の扱いや立場について話し合うため夜な夜な本部へ行って会議に出たり話し合ったりしていたのだ
類稀な存在。あの場所から帰ってきた存在なのが上層部にバレたからである
故に我が物にしようとしている連中が沢山居たが、ソヴィは天音と契約しており、現場上天音は俺の部下になり、立場上天音は俺の上司になるので、俺に託すのが当然であり自然だという結論になった
これでも隊長という役職についていて、尚且つソヴィとは知っている仲であり、救出したのも俺なのでこういう結果になったのは当たり前なのだが
色々とイチャモンつけてくるのが口だけ立派な上層部共だ
なので細かな条件は出されたけど、それは微々たるものなので置いておく
そういうこともあって、夜は眠れず、学校で寝ることが多かったため授業すら聞いていなかった始末
これでも頑張ったほうなんだぜ?
まあ、これをソヴィに説明するわけにもいかない。責任感強いからね、この女
結果は結果。下手な言い訳はよりソヴィをうるさくしかねないので素直に聞き入れることにしよう
「追試まで残り2日。テスト期間中、夜遅く何処に行っていたのかは解らないけど、今回は逃がさないよ?」
あ、やっぱりバレてたか
まあ、修学旅行代は既に払ってあるからここで行かないという選択肢はないよな、普通
千里のこともあるので取り残されるのも構わないが、周りから可哀相な眼で見られるのも厭だから一応今の所行く予定ではある
家事が全く出来ないあいつを一人残しておくのはかなり不安である。千里がじゃなくて家が
・・・しかし、既に仕事の方も既に休みは貰ってあるのでそれも仕方ないと諦める
だから俺たちなりの行く準備は出来ているのだが、ここまでしてただテストの点数が悪かったから行けなかった、なんてことが天音に知られたらどんな顔でバカにされるか・・・
想像出来る分、腹立つことこの上ない
・・・まあ、こうやってバカみたいに騒げることはいいことだ
ソヴィは元から家ではこういう性格だが、前より随分と・・・なんていうんだろ、砕けた?感じになって関わり易い
千里もクリスマスの時にソヴィと仲良くなっていたので、家ではおしゃべりするほうになっている
学校ではやっぱり内気らしいが
ーーーーーーピピピ、ピピピ
ズボンのポケットに入れてある携帯がいきなり震え始める
「話はそれで終わりか?」
「え、ええ。まあ大体は・・・」
「じゃあちょっと電話来たから席外すわ」
そういいながら立ち上がり携帯へ手を伸ばしながらその場を後にする
出る瞬間チラっと見たが、千里はリモコンでテレビのチャンネルを変えるとソヴィがそれに抗ってリモコンの取り合いをしようとしていた
仲がよろしいことで何よりだ
居間を出て、階段を上がり、自室に着いたところで電話に出る
相手は・・・まあ見なくても解る
「・・・どうした、こんな時簡に?」
こんな時間とは、21時を指す
何故だろう、いつからかお約束になっていた開口一番
そもそもコイツから電話が掛かってくる時、昔はいつも1時だの2時だのと人がようやく寝ようとする時に掛かってくるものだから性質が悪かったのだ
故にそういうクセが着いてしまった
『こんな時簡にすまないね。勝手ながら一つ頼みたいことがある。いや、話を聞けば君も動かざるを得なくなるだろうが』
携帯越しから解る。いつもに増して結構真面目な様子だ
「天音がそこまで言うとはな。・・・で、用件はなんだ?」
『・・・遂に君の町にも出回ったぞ。ドラッグが。』
「・・・・・そうか」
『おや、驚かないのかい?』
「驚いてるよ、これでも。だがそれは今更の問題じゃないか?国だって黙認しているんだ。今更それでどうこうできるものじゃ・・・・」
「いいや、元々出回ってはいたさ。狂った、狂いたい大人たちにはな。だけど今回は違う。君達"学生達"に出回ってしまったんだ。」
「ーーーーー・・・・・は?」
ドラッグ、つまりは麻薬の類
基本的にドラッグは学生には売らない法則がうちの島にあるとか昔ヤクザのおっちゃんから聞いたことがある
義理と人情が売りのヤクザだ。そういうヤバイものを取り扱うことに長けており、何より他人を重んじているグループ
そこには様々なルールが存在している。それを破れば即私刑であり死刑だ
まあそれはこの町周辺の組の取り決めかもしれないが、そこに他所の者が介入することはまず無いはずだ
それなのに、何で学生達にまで広がった?
理由としてはいくつか考えられるが、今は情報を入手するのが先決だ
「それはどのくらいの規模だ?」
『今のところ少数だ』
「被害者はどの学校だ?」
『・・・基本的に高校生に広まっている。その中でも残念ながら、諏訪原のところが一番多い。他にも中学生が何人か』
「被害を受けた人物の共通点は?」
『今のところ調査中だ』
「この問題をヤクザたちはどう捉えている?」
『ブチ切れてるよ。それはもう大噴火だ』
「最後に一つ・・・・俺に何をさせたい?」
『・・・・流出させた張本人を特定しろ。ソヴィと一緒でも構わないが、出来るだけ隠密に見つけてくれ。』
「・・・はぁ、それは警察の仕事だろうに」
『だが身近には高校生が居るんだ。これを使わない手は無いだろう?』
「それもそうだな。・・・しかし、これは長期戦になるぞ」
何も解らないところから始めるのだ。かなり時間が掛かるのも当然
それに、麻薬とかに関しての知識は俺にはあまりないからな
それを踏まえて頼んできているのだろうが
『解っている。猶予は1ヶ月間だ。その間に出来るだけ、尻尾でもいいから掴んで欲しい。願わくば特定して欲しいってところだ。』
「・・・なあ、今思ったんだがこの仕事月に頼んだほうがいいんじゃないか?」
こと情報に関してならアイツの方が何十倍も得意だろうに
それに比べれば俺に頼むのは非効率的だ
『・・・私は彼女に嫌われているようだからね。だから君に依頼したんだよ』
「それだけじゃないだろ?」
『・・・・なに?』
「俺が学生だから、学生で組織に所属しているから、隣にはソヴィもいて突発的だが戦力としては十分だから、月には嫌われているから。・・・いいやそれだけじゃないだろう。まだ何か隠しているなお前?」
『・・・相変わらず鋭いな、君は。・・・ああそうだ、君に頼んだ最大の理由は、相手が"精神疾患"の可能性が高いからだ』
やっぱりな・・・
「その根拠は?」
『私なりに結構調べてみたのだが、それでも手口が巧妙で途中で掻き消される。ここまで来ると精神科の医師としては、解離性障害者の手口なんじゃないかと疑ってしまってな』
「解離性障害・・・二重人格か」
確かにそれならば絶対に本人からはボロが出ない。出るわけが無いからな
『それか健忘症か。まあ原因たるものを挙げれば切が無いが、こんなことをするんだ。何かしら病んでそうなのでね。病んでる人間には病んでる人間をぶつけるのが適切だろう?』
「そりゃそうだ。・・・解った。こっちでも調べてみるよ。ああ、それでも修学旅行中は休み取ってあるから働かないぞ?」
『解ってるよ。存分にソヴィとイチャついておいーーーーー』
最後の言葉は聴かず通話を切る
・・・麻薬か
また面倒臭い仕事が転がってきたものだ
だが、それがアイツらにまで被害が及ぶかもしれないと聞かれたからには俺も動かざるを得ないだろう
これ以上被害を最小限に抑えることが出来るのなら上々だが、そうは行くまい
俺は天使でなければ悪魔でもない。ヒーローでなければ悪役でもない
欲。それが人間の原動力
家族のために、恋人のために、仲間のために、自分のために
それら総じて欲だ。自己満足するためには必要不可欠のものだ
故に、俺は俺が大切に思う人間達を外敵から干渉させないために動こう
そのために今でも組織に所属しているのだ。この立場を使わずしてどうする
それが俺の欲。俺の願望だから
ああ、何も一生ってわけじゃない
ただまあ、学生のうちは全身全霊を持って護って行こう
そこからは大人の世界だ。自分の身くらい自分で護るだろうし、何より自分で決めることだからな
所詮他人だ。俺はそこまで干渉しない
勿論助けてといわれれば助けにいくさ。そこで見捨てるほど落ちぶれちゃ居ないからな
・・・そうは言っても、例外が二人居るけど
(・・・さて、この話をソヴィに話すか如月に話すか)
それはまた明日にでも考えよう
今は・・・・
「ーーー・・・話は終わった?」
「ああ、今終わったよ」
「ならこっからは勉強の時間だね♪」
勢い良く扉を開け、嬉しそうに勉強道具を持ってソヴィが現れる
・・・前から思ってたけど、コイツ結構なサディストなんじゃないだろうか
まあ、俺も人のことは言えないか
仕事は仕事。学業は学業
割り切って今は目の前の追試のために全力を尽くすことしよう
じゃないと、後が怖いからな
コメディ要素も取り入れていけたらいいなと思います
基本厨二でダークな雰囲気になると思いますがw




