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シゾフレニア  作者: 民音慧可
第一部 空想上の物語
28/74

【番外編】ある日の非日常


この九条峰に一時入学して早1週間が経った


その間はなんてことはない、いつものように影薄く生活している


授業内容は・・・まあ頑張ればついていけるだろう。とにかくこっちで一回だけ定期試験を受けることになっているのでその範囲内だけでもクリアしておきたいところだ


たまに海と耕哉と一緒に昼食するが、基本的には授業終わったらすぐにどこか別の場所に行く


・・・耕哉に海、そしてソヴィにはあまり話しかけるなといってある


変な波風立てたくないからな


ああ、諏訪原から一時入学してきた磯波というイケメンは俺と同じクラスになった


基本誰とも話さない俺だが、磯波の方はうまくやってるらしい


まあ容姿がよければそれでいいのだろう


今のところそんなところか。ソヴィとは同居しているが登下校は勿論別々だ


女子と一緒に登校とかどこの二次元だよ


・・・美樹とは一度言葉を交わしただけだ


向こうも俺とは深く話したくないだろうし、俺も話したくない


一度出来てしまった溝は、時間とともに深くなっていく


それを今更埋めるにはかなり面倒だからな


ーーーーー・・・そんなこんなで昼休みだ


チャイムとともに授業は終わり、各自ともに食べる人間の元へ向かう


人ごみが嫌いな俺は購買などには行かず、まして屋上は開いてないので駐輪場の近くの段差で食事を取るとしよう


そう考えていたことには既に足は教室の扉まで来ていた


そしてその扉開け、教室を出ようとした矢先


「ーーーーーー・・・・湊!」


後ろから聞きなれた女性の声が俺の名を呼んだ


このまま聞き流して逃げたら後で何をグチグチ言われるか分からないので


俺はそのまま教室を出て廊下を歩く


「・・・・えっ?ちょ、ちょっと待ってよっ!」


しつこいな、いつもに増して


「・・・なんだよ」


明らか不機嫌そうに振り向き応える


「一人なら、一緒にご飯食べようよ」


「・・・あのなぁ、必要最低限話しかけるなって言っただろ?俺みたいな根暗に、お前みたいな奴が話しかけるだけでも周りどう思われるか・・・」


ほら後ろ見てみろよ


あの男子連中、昼食を友にしようと誘ってきた奴等だろ?


現に見るからに嫉妬の目をしていやがる


周りの女子だって、信じられないって目をしていやがる


つまり、これだけで注目を浴びてるんだ


一緒に食事なんかしたらどう思われるか・・・


「・・・湊は普段、周りからの評価を気にする性質たちだっけ?」


不思議そうに質問してくる


因みに俺の名前を呼んだだけで周りが騒ぎ立てる


・・・・が


「気にしないな、全く。どう思われようと関係ない」


「それは私もだよ。だったら・・・いいよね?」


はい出ましたー。得意の上目遣い


だが、目を逸らしている俺に死角は無い


が、お互いの意見が一致してしまったので仕方なくソヴィと一緒に教室へ戻る


すると俺の席、つまり一番後ろの廊下側の席の前の席にソヴィは座る


俺は当たり前だが自分の席に座る


・・・・ん?


「いつも一緒に食べている連中はどうした?」


「美樹は忙しいから昼食は別で取るって。レツオは気づいたら居なくて、美月と海君と耕哉君なら購買に行ったわ」


「・・・なるほど」


まあ気にすることでもないか


手に持っていた弁当を開け、すぐさま食事にする


食事中、基本無言なのを良く知っているソヴィだからこそ話しかけてこない


お互い無言で食べる


が、食べた矢先海と耕哉と如月が帰ってきた


「今日は人が少なかったら早く済んだわね~」


「だな。いつもコレだけ早く済めばいいんだが。まあそれはさておき飯だ飯だ~・・・・って湊!?なんでお前教室で食べてるの?」


最初に騒ぎ立てたのが海だ


まあこいつはこういうやつだから仕方ないか


「あー成り行き?」


「なぜ疑問系なんだい?・・・それはそうと、俺達も一緒に良いかな?それともお邪魔だった?」


耕哉が当たり前のツッコミをしてくれた


「構わねえよ。断る理由無いからな」


「勿論いいよ。皆で食べたほうがいいし」


その答えに満足し、左の席の机を俺の机に繋げて共に食事を取る


来た3人は購買の弁当が主食らしい


来て早々海と如月がムードメイカーのごとく騒ぐ


「・・・・うるせえな。いつもこんな食事なのか?」


「それは湊もよくしってると思うけど」


「いや、中学の頃はまだ大人しかっただろ、海の奴。」


「・・・中1の後半に、うるさすぎてクラス全員から非難浴びたから自粛してたんだよ」


「・・・ああ、そういやそうだったな。あれは流石に同情したよ」


それが、高校になって基本自由になったこの昼食の時間だからこそこんなに騒げるのか


それについていける如月も大概だが


ソヴィはそれを見て苦笑するだけ


「はぁ・・・」


小さい溜息を着く


すると唐突に


「・・・ねえソヴィ。今気づいたんだけど、貴方の弁当って有川君と同じじゃない?」


一瞬で周りがざわついた


同じ入れ物、同じおかず、そして一人称で呼ぶソヴィ


さらに周りがざわつく


何とか収めようと俺が言い訳しようと思ったら


「そうよ?だって私が作ったんだから」


屈託の無い自信に満ちた笑顔でソヴィが素直に応えやがった


「・・・・馬鹿が」






放課後


授業も終わり、人それぞれ部活だの遊びだのバイトだのと自由の時間となる時だ


勿論海も耕哉も部活だ。あいつらは優秀な選手だからな


俺は・・・まあ一時入学なので部活には入れない


かといってバイトはしていないし、遊びと言われてもあいつらいなければいつも一人だ


ということで、保健室に足を運んだ


まあ今日はあいつが来ていると聞いたので顔だけは出しておくことにしたのだ


面倒だが、まあ暇つぶしには最適なのは確かだしな


一階の保健室まで来て、扉を開ける


すると足を組み、電子タバコを咥え、メガネを掛け、資料らしきモノ読みながらPCを弄っている女性


つまり俺がよく知っている人物、中津天音がそこにいた


「ーーーー・・・・ん?おお、湊か。そういえばこっちの学校に来ていたんだったな」


「知ってるくせに。それに俺をソヴィや海たちのクラスに入れたのはお前の仕業だろ?」


「・・・ご名答。なんで解ったのかな?海には口止めしてあるのだが」


そんな大層なものじゃないが、まあ説明してやるか


「転入当時、俺達はその朝にクラス分けが解った。なのに海は俺と同じクラスになったことを当然のような顔をしていたんだ。つまり、あいつは俺がそのクラスに転入することがわかっていたことになる。そんなことが出来るのは、この学校と縁が深く、定期的に医師として働いているからこそ顔の利くお前ぐらいなものだ」


「それは君の憶測じゃないのか?勿論先に応えてしまったからにはそれが理屈として成り立つが」


「おいおい、俺は人の感情を読み解くには長けているって知ってるだろ?他の人間なら憶測で終わるが、俺はそれを確信出来た・・・。それはそうと、お前も暇なのか?こんなところに居るなんて」


「なんで真面目に仕事をしているのにそんなこと言われなければいけないんだ・・・。私の専攻は精神分野なのは知っているな?その分野が一番活用される年代は10代ってことぐらいはわかるだろう。若いから、悩んで、悔やんで、間違えて、そうやって精神面で疲れる年代だからこそ私がこうしてカウンセリングに来ているんだ。決して暇ではないぞ?」


「ああ、そのぐらい知ってるよ」


「知ってるなら聞かないでくれるかな?」


その答えが面白かったのか、天音は微笑する


「どうした急に?」


「いやなに、それはそうと座ったらどうだい?立ち話もなんだ。ゆっくり話そうじゃないか」


「アンタの場合、気づいたらカウンセリングになっているからあまり世間話はしたくないな」


「・・・嫌われたものだな、私も」


「嫌ってねえよ。むしろその能力を買ってんだよ。ただ他愛もない話が出来ないだけで」


「そう真顔で言われると流石にキツイものがある・・・少しは直すよう気をつけるか・・・。ってこれだと私がカウンセリングされてるようなものじゃないか」


「たまにはいいだろ。他人と話をし続けて他人の心理を分析していると、自分のことを忘れがちになるって前にお前の同僚に言われて気をつけるように頼まれたんだよ」


「同僚って・・・ああ彼女か。余計なことを」


その知り合いとは天音の組織としての立場の同僚の女性だ


俺もあの人とは面識ある故に結構会話したことがあるから世間話ついでに頼まれたのだ


チャット越しで


チラっと時間を見る


頃合か


「・・・さて、良い暇つぶしになったよ。それじゃ」


回れ右をして再びドアを開け退出しようとする


「はいはい。気をつけて帰りなよ」


「何から?」


「女の子、とか?」


「オッサンかよ・・・」


そういい残し廊下に出てそのまま下駄箱へ向かう


そしてポケットに仕舞ってある携帯を取り出し時間を見る


(うん、本当にいい時間つぶしになった。)


あいつと話すと時間が早く感じるから面白い


そう思いながら下駄箱の自分の靴を取り出し、外へ出ると


正面玄関、つまりはここのことだが、俺が外に出てすぐ横の柱に携帯を弄りつつその柱に背中を預けているソヴィの姿を横目で確認した


・・・勿論、確認しただけである


俺はそのまま足の歩みを止めず、帰宅しようと前へ進む


「ーーーー・・・ん?あっ、湊!」


だが俺の姿に気づき、呼び止めようとする


(天音の勘、よく当たること忘れてた・・・)


まさか本当に女がいるとは


だが、俺は歩みを止めない


いやだってどうせまた変なこと言い始めるから


「・・・え、ちょっと待ってよっ」


既知感


言いながら駆け足で近づき俺と平行に並び歩き始める


「なんだよ、用があるからあんな場所で一人でいたんだろ?」


「湊と一緒に帰ろうと思って待ってたんだよ」


知ったことではない


「なんでそんな効率の悪いことをする」


「下駄箱見たら湊の靴があったから、ついでに一緒に帰ろうと思って」


「俺が長く学校に居たらどうするつもりだったんだ?」


「それはないんじゃないかな?湊はいつも早くクラス出てすぐに家に帰るじゃない。今日は何故かまだ学校にいたけど、それも早く終わるだろうと思って待ってたの」


女ってのは勘が鋭い生き物なのかね


・・・この時間帯は皆部活中だ。ならあまり目立たないだろう


ならいいか。そう妥協して平行して歩くソヴィを拒否せず共に帰るとする


「・・・それに、どうせ歩いて10分ぐらいの距離だ。一緒だろうがなんだろうが変わらんだろ」


「そうだけど・・・それにほら、私と湊には何かあるって皆に察しておいたし今日からこのぐらいはいいかなって」


「・・・やっぱり全部わざとか」


「私の知り合いがぼっちだなんて厭だからね」


「よく言うよ、お前だって内心一人なクセに。」


「・・・・・・」


ソヴィは応えない


当然か、何せ図星なのだから


人を心の底では信用しないことにしている


それは過去のトラウマかは知らないがソヴィはそれを無意識にやってしまうんだろう


何で俺に解るのか?それは、俺だって信用していないからだ


同属の雰囲気を最初から出していたからな、このぐらいは勘でわかる


「・・・はぁ、こんな話をしたいために湊を待っていた訳じゃないんだけどなぁ」


右手で前髪を掻き揚げ、困った仕草をする


・・・雰囲気が悪くなってしまった


これはこれで居心地が悪い


・・・仕方ない


「・・・そういえば、お前はいつも如月と途中まで帰っているんじゃなかったのか?」


話題を変えることにしよう


「え?うん、そうだけど・・・。美月はなにか急ぎの用事があるとかで先帰っちゃったのよ。最近休む暇が無いってつぶやいてたし」


「・・・バイトでもしているのか。偉いものだ。どっかの誰かも見習って欲しいな」


「私には家族が残してくれたお金があるからまだ働かなくていいのっ」


「両親が残してくれた金は出来るだけ使いたくないから自分で働いて稼いだ金を使う。どうしても困った時に使わせてもらおうってのが一般的な良識人の考えだと思うが?」


「・・・?お金はお金でじゃないの?それとも、今銀行にあるお金には両親達の魂でも入ってるとでも言いたいの?」


「いいや、お前が正しいと思うよ。金は金だ。使うためにあるし、使いたいことために溜めておくものだからな。無意味に溜めたって仕方ないと思う」


「だよね・・・って私達の考え方ってあまりにも現実的過ぎない?」


「今更だろ。我が身可愛さで生きているんだ。金だろうと知り合いだろうとそこに生きていける希望があるならしがみつくし利用する。それはお前がよく知っていると思うが」


あの時、一番最初に俺の家に来た時


まさしくそうだっただろ


「言われてみればその通りね。それでも、情というもを無視するわけじゃないけどね。やっぱり人間だから、躊躇いはあるよ」


「お前の場合、躊躇っただけで結局は実行しそうだけどな」


「うん、するよ?どうしても必要なら絶対にする。誰だって死にたくないからね」


「・・・・・そうか」


ここで一旦会話をやめる


思えばコイツとこんな話をすることはあまりなかったな


基本的にコイツから愚痴を聞いたり頼まれたり雑談したり


その程度だったな


そんな話をして帰路を歩む


「・・・そういえば」


と、ここでソヴィが話題を持ちかけてきた


「湊の家族ってどうなってるの?」


・・・ああやっぱりその質問来たか


いずれ聞かれるだろうとは思っていた


不思議で不自然なことが多かったからな


「お前が気になっているのは、何故母親と一緒に暮らしてないかってことだろ?」


「まあそうだね。一番気になっているのはそこ」


「・・・元々今住んでいる家は父親の別荘みたいなものだったんだ。その理由は省くが、まあ昔は家族一緒に暮らしていたさ。だけど、まあ色々と理由があって俺は父の別荘でひっそりと暮らすことにした。家族は反対し、反対し続けたが、俺は抵抗した。そこで妥協点として父も一緒に住むということで決着したんだ。これが小学4年頃か」


「・・・・その理由は、聞かせてくれないんだね」


「お前は頭の回転が早いから察しはついていると思うが、まあ要するにお前も目撃したあの夜のことだ。あのままじゃ妹にまで危害が及ぶかもしれないと思ったから家族の元から離れたんだよ」


俺にとって家族とは名ばかりだが、迷惑は掛けたくない


「妹居たんだ!?」


ここまで聞いておいて驚くのはそこなんだな


「ここ数年会ってない・・・いや父の葬式で一回会ったか。言葉は交わしてないが。」


「・・・というか、案外スラスラと話してくれたね。もっと渋ると思っていたのだけれど」


苦笑しながらソヴィは言う


「聞かれなかったから答えなかったし教えなかっただけだ。自分から自分のことを積極的に話す奴のことをお前は好むか?端から見れば馬鹿丸出しだろうが」


「それは確かに。ならこれから気になったら応えてくれるの?」


「内容次第では応えるさ。その代わり、お前にも話してもらうけど」


「・・・何を?」


不安そうに聞いてくる


別に変なことを聞くつもりじゃないんだがな


「単純だよ。お前が俺に聞いてきた内容を今度はお前が応えるんだ。平等にな」


「うっ・・・余計なこと聞かなければよかった」


「といってもお前に今血縁者が居ないのは知っているから・・・。そうだな、飯の時にでもなにか面白い話でもしてくれよ」


そう、もうすぐ家に着く


案外暇つぶしにはなったな


ただ少し語りすぎたか


これからは自重しよう


「う~ん・・・・・・・あっそうだ!昔美月と一緒に面白いことしたからそれを話すよ。それでいい?」


また上目遣い


後で注意しておくか・・・いや、これで騙された男子が怒って襲い掛かってもコイツなら大丈夫だろう


まあ上目遣いなのはコイツの身長が俺と若干低いことも関係していると思うから、そこまで言えないし言うつもりもない


ただ、魔性の女の素質があることは分かるが


「構わないが、今日はお前が作るんだろ?そんなことを考えて料理の味を落としたら意味無いからな」


「解ったわ」


笑顔で答える


その笑顔は心の底から笑っているように見えた


・・・楽しいのだろう


そして嬉しいのだろう


こうして家まで誰かと一緒に帰るのが


俺も初めて経験したが、まあ悪くは無い気分だ


充実している


それでいて安心する


お互い、人を信用しない性質だ。だが、俺達はその人を信用しないところを信用している


矛盾しているようだが、事実なのだから仕方ない


だから俺はこいつをこの家に住まわせることを許可したんだから


それがいつまで続くか解らないが


終わりが来る時まで、精々大切にしよう


そう思ったのだ





「・・・・あー、有川?」


「・・・なんだ?」


翌日のHRが終わった後、イケメンの磯波が珍しいことに俺に声を掛けてきた


「いや、その・・・なんていえばいいのか」


もどかしいな、コイツ。いつもはハキハキ話している印象があるのだが


「用件は単刀直入に言え。時間の無駄だ」


「解った・・・。えっと、ソヴィさんとはどんな関係なんだい?」


・・・・へぇ、イケメンでもその辺は聞きたがるのか


と思ったが周りの男子生徒諸君を見渡す限り、同じ学校の磯波に聞いて来いとせがまれたか


因みに次の時間は体育なので、女子は更衣室に移動中だ


だからこのタイミングで聞いてきたのか


何故知りたがるのか・・・は愚問だな


気になっているからに決まっているか。


昨日まで根暗でコミュニケーションを取ろうとも思わなかった俺が、いきなり人気のあるソヴィと一緒に飯を食べていたのだから。それもそのソヴィからの誘いで


どういう関係か知りたい奴が多いだろう


さて、どう応えるか


「それから昨日の放課後、君が保健の先生と親しげに話していたところを目撃したって情報もあるんだけど・・・その人ともどういう関係かな?」


申し訳無さそうに聞いてくる


当たり前か。お前だって聞きたくて聞いているわけじゃないってことなんだろう


だが、少しでも知りたかったから周りの連中の願いを聞き入れたんだろうが


「おいおい、湊と天姉さんが親しいのは当たり前だぞ?知ってる奴居る思うが俺と湊とは一緒の中学だったし、よく遊んでいたからな。姉さんに逢う機会なんて多かったんだ。親しいのも当然だ」


ここで珍しく海がフォロー


うまく俺の病気については語らずしっかり説明してくれた


これで天音との関係は片付いたな


これは明日あたり雨降るな。傘用意しておかないと


耕哉は何も言わない。まあソヴィとの関係は俺の口から言わなければ意味は無いか


「なら、ソヴィさんとの関係は?」


・・・・関係


そういえばアイツとの関係って一体なんだ?


友達?いや、何か違う


親友?もっと違う


恋人?それこそ無い


親戚?いや血は繋がっていない


知り合い?確かに知り合いだがそこまで浅い関係じゃないだろう


・・・なんだ?考えてみると言葉に表せないな


同居人・・・確かにこれが一番手っ取り早い


だがここで事実を言えば、少なからずソヴィの立場が危うくなる


俺のせいにされたくないし、下手なこといえないな


・・・・・う~ん


やべえ、マジで解らん


「・・・ここでは言えない程の関係なのかい?」


黙って考えながら着替えていたらそう受け取られた


男子生徒がざわつく


時間も時間だ


・・・仕方ない、適当に応えるか


「・・・はぁ、よくもまあ女一人にそこまで関心を持つことが出来るなぁ」


少し大きめの声でこの教室に居る男子生徒全員に告げる


「いいか、俺とアイツとの関係なんざ大したものじゃない。付き合っても居ないし、親友でもない。これからそういう関係になるつもりも無い。だから安心しろよ。お前ら全員少なからずアイツに声を掛け、デートに誘い、付き合って欲しいと言える権利がある」


おお!っと安心したようなホッとしたような顔を浮かべる


「・・・・だがな、これだけは言っておくぞ」


いきなり静かになり、俺の声に耳を傾ける


「アイツを泣かすような真似をしてみろ。俺はそいつを一生許さない」


美樹を犯そうとした高見のように


俺は一生忘れない。


その返答に満足気になっている海と耕哉の顔が少しばかりウザイが


この言葉は嘘偽りで飾られてはいない


「・・・まあ精々合法的に頑張れよ。正攻法で、小ざかしい真似をせずな・・・。まあ、アイツが泣く前にその相手は既に泣かされていると思うけどな」


そういい残し、俺は教室を後にする。別に格好つけたわけではない。単にもうすぐ体育館で授業があるからだ


そして、海と耕哉が走って後を追いかけてきて、3人そろって階段を下りる


「いやー湊の言葉には重みがあるねぇ~」


「美樹のことがあったから、その辺は神経質になっているんだよ。きっと」


「てめえらそろいも揃って茶化しに来たのかよ。最悪だな」


「いや?湊の男気に惚れたんで、褒めに来たんだよ。あの言葉、女性陣に聞かせたかったなぁ。きっと一発で惚れるぜ!」


ニヤニヤとホモ発言する海


『アイツを泣かすような真似をしてみろ。俺はそいつを一生許さない』


「「・・・・!!?」」


いきなり俺がさっき言った言葉が電子音でリピートされた


その音は、耕哉が持っている携帯から発せられたとすぐに解った


「湊がそろそろ格好いいセリフ言うと思ってスタンバってました」


にっこりと笑う耕哉


あれ?俺こんな友人持ってたっけなぁ


イタズラなんかするタイプじゃなかったはずなのに


「ナイスだ!耕哉っ!それ後で俺に送ってくれよ」


「・・・・おい、お前いつからそんなキャラになった」


イケメン紳士は何処へ


「なんとなく、出来心でついね。後でみんなに聞かせていい?」


「おい馬鹿やめろ。マジでやめろよ!テメェそんなことしたら悠木にお前の過去全部ぶちまけるぞッ!」


「俺は別に気にしないよ」


畜生ッ!これじゃあびくともしないか


思えば耕哉の弱みなんてあまり知らないことに今気づいた


イケメン紳士は伊達じゃなかったか・・・


「んじゃあこれは昼休みに皆に聞かせるね」


なんて屈託の無い笑顔!


その笑顔を見た女性は間違いなく惚れるね。俺はぶん殴りたくなったが!


だが、隙を見せた俺も悪い


まさかのまさか。耕哉がこんなことをするとは思わなかった


裏切られた気分だぜ・・・


「・・・もう、好きにしろよ」


諦めました。妥協しました。参りました


これは帰ったらソヴィの嘲笑とからかいが待っているな


・・・どう仕返しするか今のうちに考えておかないと






その日の夜


「・・・・どうしたんだ、急に」


「え?何が?」


「今日の晩飯お前が作ったんだよな?」


「そうだけど・・・何か変だった?」


「変って言えば変なんだが・・・いや、なんでもない」


そう、一見変ではない。ごく普通の家庭料理だ


だが、食べてみると解る


いつもより明らかに美味い


手を抜くような奴じゃないのは解っているが、さらに腕によりを込めて作ったのが直感で理解した


勿論俺の味覚がおかしくなったという可能性だってある


・・・今度天音に診てもらうか


「・・・不味いなら食べなくてもいいけど」


「美味しいよ。普段に比べて今日のは格段に美味しいと感じる」


「・・・そう。ベタ褒めもいいけど早く食べてね。冷めたら美味しくないから」


「あ、ああ、そうだな」


箸が進む。


いつもに増して進む


(なんで今日のはこんなに作り込んであるんだ?)


・・・チラっと様子を見る


普段と変わらない。いや、若干無愛想になっている・・・か?


淡々と食べている。いつもなら与太話の一つや二つするのだが


まあ、折角の美味い料理だ。黙って早く食べるに越したことはないな


隣でミーも黙って食べているし、俺も早く食べてしまおう


・・・疑問はまた後で考えるか

暇つぶし程度だったのにこんなに長く・・・

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