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シゾフレニア  作者: 民音慧可
第一部 空想上の物語
16/74

真実へ向かう

時は数分遡る




「・・・ミャー」


目的の場所まであともう少しというところでミーが俺の腕の中から飛び出し、勝手に前へ走り出した


行き先は知っているので心配はせず、歩くペースは普段と変わらずミーの後を追う


(・・・誰か、居る)


こういうのは気配で分かる


この森は基本的には静かだ


何故静かなのか、それは人間たちが一切手を加えていないからだ


人間たちが手を加えなければ、動物たちは静かに自然に暮らせることが出来る


そして、この時代。自然を消し、町を発展させようと考える人間が


では何故この山を、緑を放置しているのか


理由は簡単、この山が私有地だからである


誰の?と聞かれれば俺の、と社会的には答える


実際は受け継がれたものだ


元は父が、そして祖父が、曽祖父がと有川家が代々受け継がれてきた私有地だとか


詳しくは知らないが父が他界し、その遺産相続として代々の仕来りである


女は金を、男が土地を。ということで今は俺がこの山の主だ


この山には馴染みがあるので別段、困ることは無く、断る理由もなかった


むしろ好都合だった


思い出の場所が誰か知らないヤツの手で汚されることが無いということなのだから


ーーー・・・ミャー!


そんな大声で鳴かなくたって聞こえてるよ


例年来ているんだから場所くらい把握しているさ


お前こそあまり先走るんじゃない


そう思いながら林を抜け、草むらから脱出した


そしてそこで待っていたのは懐かしい面子との邂逅であった


「・・・・湊」


見る限り、海に耕哉にソヴィ。それから朝のキザな男に友達であろう女性


そして・・・・美樹


「どうして、湊がここに?」


ソヴィが素朴な質問してくる


まあ、こちらから約束を後送りにしたんだ


これじゃあ会いに来たみたいだからな


不思議に思うだろう


「・・・なんだ、何も聞かされてないのか。まあ言わなくても知らなくてもいいことだからな」


この言葉の裏には、美樹への感謝が込められていた


俺が何故ここに来るのかを知っているのは美樹だけだ


その美樹が何も知らせていないのだ。そう判断したのだ


ならその気持ちを汲んでやろう。そして感謝しよう


だが、こうして出会ったからにはその判断も意味が無いモノになったな


「その質問に答えるなら、単なる思い出参りだ。」


「思い出参り?初めて聞く単語だけど・・・」


「造語だ。墓参りならぬ思い出参り。言葉の通り、思い出の場所に参ること」


そう答えながら柵の隅へ歩き出す


美樹の顔は見ない


そう昔言ったのは俺自身だ


「なんだ、湊じゃんか!お前も花火見に来たのか?」


「話聞いとけよ・・・」


「・・・ねえ海君。彼は誰かな?」


「ん?ああ、アイツは有川湊。俺と耕哉と美樹の友達、かな?」


「ーーーーーー友達なんかじゃないッ!!」


唐突に美樹が大声で反論する


それを聞いたここにいる全員が一斉に驚く


「コイツは!耕哉をーーーーー」


「・・・美樹」


透き通る声で、脅すような声で、言い掛ける


「昔言った事、忘れたのか?」


「・・・ッ!?」


そう、昔言った事


それは俺がここで思い出参りする時は出来る限り静かにしてくれと頼んだこと


・・・その様子だと覚えてくれてたらしい


ありがたいことだ


「ミャー」


柵の隅でしゃがむとミーが寄ってくる


俺は大きめのポケットにあらかじめ入れておいたあるものを置く


そのあるモノとは・・・・


「・・・毎度のことながら、女々しいと思うよ」


花である


それも、1月2月頃に咲くといわれている花


綺麗に開花されている一輪の黄色い花。ロウバイ


周りの人間はその光景に魅せられて、言葉を失っている


ああ、やっぱり今日この時こそ、ここへ来るのが一番良い


ーーーーーーただ、黙々と追悼する


それは自己満足であり慰めでもある


そう、つまりは意味の無いこと


だけど、それでもしなければ収まらなかった


死者に対して出来ることは、花を添えるとか墓参りとか回忌することではない


それは死者を忘れないこと


いなかったことにしてはいけない


忘れてはいけない


ずっと覚えていること


それこそが死者への手向けだ


だから、年に1回思い出すことにしている


だがそれは手向けであるお同時に自分への慰めでもある


どこかへ忘れたナニカを補うための、慰め


「・・・・・・」


無言で立ち上がり、この場から立ち去ろうとする


もう、用は無い


「邪魔したな、お前たちは花火を存分に楽しめよ」


「・・・あっ湊!」


すぐにその場を離れる。その後ろにミーも着いてきた


茂みの中に入り、周りが木々に囲まれたところで


有川湊は殲滅行動に移った


「ーーーー・・・・Shiッ!」


気配を隠し、跳躍する


茂みでは雑草をかぎ分ける音で近づかれていると考え


跳躍し、木々を蹴りながら敵が忍んでいる場所であろうところまで近づき


相手がいると確認し、後ろに着地した瞬間に相手の頭を片手で掴み木に打ちつけ気絶させる

「ッ!?・・・ガッ・・・・」


相手はすぐさま臨戦態勢に入るが、正確な湊の位置を把握していないため、不用意に銃を撃てず構えたままである


後ろにいると知らずに


そしてあっという間に相手は全員一方的に倒された


ただ圧倒的に、一方的に、


何故ならここは湊のフィールド


地の利を利かせ相手を蹂躙した


その間、約30秒


陣形がしっかりしていたため、気づかれず気絶させるのに結構掛かってしまった


(・・・さて、コイツらの正体を問いたださなければいけないんだが)


人数はざっと10人程度


こんな人数湊一人で運べるわけが無い


(・・・仕方ない)


とある人間に電話を掛ける


その相手は湊が属する部隊の上司である


(後は任せていいだろう)


一つここで言っておくが


相手は決して弱くは無い


恐らく1on1すれば湊が負ける要素だってあった


だが、この時の状況は湊にとって最も最適なフィールドであったのだ


暗闇、茂み、木々、花火


不意打ちを得意とする湊にとって十分すぎる条件だ


これなら誰であろうと何人であろうと湊にとって取るに足らないだろう


「・・・さて、帰るか。行くぞミー」


「ミャーー」


こうして湊はすぐに自分の日常に戻る


こんなことはもう慣れているから、何とも思わなかった






6時ごろ電話が掛かってきた


しかし、今自分は朝食を作っているため手が離せなくどうしたものかと思ったら


丁度ソヴィが洗濯物を干し終わって帰ってきたところだった


「すまないが今手が離せないから電話に出てくれないか?」


「・・・ん、分かった」


もし俺に用がある場合に備え、一旦中止に出来るよう炒めている食材をある程度まで焼いたら火を止めるようにする


その間、場繋ぎのためにソヴィに出てもらおうということだ


「・・・はい、もしもし」


『・・・え?!あ、もしもし、諏訪原高校の2年3組の磯波というものですが・・・そちらは有川湊君の家で間違いないでしょうか?』


「はい、そうです」


『ああよかった。急ぎ学校からの連絡網で有川君に用があるのですが、今有川君は起きていますか?』


「今湊は手が放せない状態でーーーーーーえっ?あっ今代わります」


ジェスチャーで代わるよう伝える


やはり俺への用事らしい


作業を一旦中止して様子を見に来て正解だったな


「もしもし、有川ですが」


『お、おう有川。同じクラスの磯波だけど、学校から連絡網が回ってきた。えっと・・・本日は急遽半日、それからいつもは8時40分に登校だけど今日は9時30分ごろらしい』


「わかった。それを次の奴に回せばいいんだな?」


『ああ。それじゃあよろしくな』


そして通話は終了する


早速次の奴に電話する


因みに、磯波というやつはクラスに大抵2人や3人いるモテるイケメンである。


勿論直接接点が無いのから、連絡網は家の電話番号へ電話したのだろう


そして、幸いにも次の奴はよく話す方の人間なので、携帯の電話番号ぐらいは登録してあった


・・・・・・・


連絡網で回ってきた内容を簡潔に話し、通話は終了


そして朝食を作ろうと台所に戻ってみると既に作られていた後であった


その原因は勿論、ソヴィが最後の仕上げをし盛り付けリビングに並べて合ったからだ


そしてそのゾヴィは既に朝食を食べていた


「おい、勝手にやるなよ」


「ごめんなさいね、お腹空いていたから」


・・・ん?


何だかいつもと違って機嫌悪いような・・・


取り合えず、朝食を食べるために腰を下ろすが、


「・・・?俺のご飯は?」


「ああ、忘れてたわ。悪いけど自分で持ってきてくれる?」


「・・・・・・」


無言で立ち上がり炊いてある米を盛り、再び座る


がーーーーーーー


「・・・なあ、俺が作った味噌汁は?」


「それも忘れてたわ。悪いけど自分で持ってきてくれる?」


・・・・・・・


おかしい


あんなにも家事を手伝いたいと懇願してきたコイツが


他人を気遣い、他人を敬い、他人を尊重するコイツが


こんなにも蔑ろにするか?


「・・・なあ、なんで今日はそんなに機嫌悪いんだ?」


「ーーーーなんで?」


あ、なんか地雷踏んだっぽい


「昨日の朝。誰かさんが夜話しがあるって言ったから、惜しい花火大会だけど早めに切り上げ早々に帰ってきてみれば・・・・湊ったら寝てるじゃないっ!?どういうこと!?あの夜湊の身に起こった現象と、昨日の夜のあの森に来た理由を話してくれるのかな~ってわくわくしながら帰ってきたのに、約束放り投げて何で寝てるの!?」


「・・・・・・・あー」


そういえばそんなこと言ったな


昨日は色々と疲れたからそんことすっかり忘れてた


「いや、まあ・・・なんでわくわくするんだよ。楽しい話じゃないことぐらい察しはつくだろ」


「そりゃあ、普段湊は自分のことなんか何も話さないから・・・それで、その・・・ようやく自分のことを話しても問題ない人間って認めてくれたかな~と思って・・・・・そうだったら嬉しいし」


「・・・何で聞かれても居ないし必要のないことを自分から話さないといけないんだよ・・・知りたければ聞けばいいだろ」


「・・・えー。だって素直に話してくれなさそうだし」


「・・・そりゃあ、まあ」


その通りである。


別段、聞かれても話しても困らないことは普通に教えるが


絶対に秘密にしなければならないことは断固拒否するだろう


何故自分の首を絞めていたのか


それについてはしっかりと説明しなければいけないが


・・・美樹のこと


自分どういう立場にいるか


そして彼女のこと


コイツに秘密にしたいことは此のくらいか


「とにかく!早めにあの夜の事情を説明して欲しいです!気になって色々と集中できませんっ!」


「分かったわかった。約束を蔑ろにしたのは俺のほうだ。今日の夜暇だったら話してやるよ」


「・・・本当?また早く寝て約束すらなかったことにしようとしてない?」


ジト目で問い詰めてくる


「しないしない」


「・・・まあ、今は信じておく。だけどこれだけは覚えておいてね。私、結構根に持つタイプだから」


「女って奴は、大抵そうだと思っていたから安心しろ」


とりあえず、これで話は落ち着いたかな


・・・根に持つタイプか


話すだけじゃ満足しなさそうだし、今日の夕食は機嫌取るために少し力入れて作るか



物語は終盤に(投稿日)

嘘でしたw(3月18日)

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