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シゾフレニア  作者: 民音慧可
第一部 空想上の物語
11/74

一瞬の過去

日曜朝9時


流石に早朝ぐらいまでずっと起きていたのでいつもより目覚めが遅い


しかし寝起きはいい方なのですぐに頭がクリアになる


「そういえば・・・」


昨日の夜に今日、つまりは日曜に映画見に行こうということになったのだ


すぐにパソコンを立ち上げ、会場時間を確認する


(11:20からか・・・まだ時間有るけど)


映画館は最寄のデパートの中に有る


デパートは九条峰駅のすぐ近くにある


だから歩いていける距離でものでそんなに急がなくてもいいし


デパートの中は充実しているから暇つぶしも出来る


まあそれは後で相談して決めるとして


とりあえず2人を起こすことにする


それからどうするか決めるか


にしても、一番早く寝た海が今も寝ているとは


呆れる


(起こす前に、軽く食べるか)


静かに部屋を出て1階に向かう


台所を見ると若干使われた形跡があった


恐らくソヴィが朝食を作った跡だろう


なに作ろうかと迷っていたところ


食器棚の中に千切りにされたキャベツとベーコンエッグがセットで置いてあった


食べていいのだろうかと思ったが冷蔵庫の中に有る卵を見ると2つ減っていたので


つまりは、ソヴィは自分の分を食べたということになる


ということで


(有り難く頂戴しますか・・・)


そのベーコエッグをリビングにまで持っていき、テーブルに置いた後


炊飯器へ向かい、ご飯を盛り、醤油をついでに持って行きテーブルの前に腰を下ろす


(朝は軽くでいいだろう)


少ない朝食なのでほんの数分で食べ終わる


台所に食べ終わった食器を置き2階へ向かう


すると


「・・・起きたか」


その起きた人物とは耕哉である


「うん、今起きたばかりだけどね・・・」


そういうと耕哉は海の身体を揺らしながら声をかけ起こす


「・・・・・・あ?もう朝か?」


「それで、このあとどうする?」


「映画行くんだろ?気乗りしないが、そこまで拒む理由も無いしな」


「おおそうだったそうだった。えっと・・・・今9時か。ならさ、10時になったらデパートに行こうぜ」


「それが無難か・・・今のうちに身支度しとけよ」


俺は部屋から小さい白い紙袋を持ち再び台所へ向かう


(デパートか、いつ俺のストレスが溜まるか分からないからな)


そうはいっても感情は完全に制御できるようになっているから


そんなに心配は無いはずだが・・・やはり念のためこの薬は飲んでおいたほうがいいだろう


感情が、精神が、体温が高まった時に効果が発揮する抑制剤を


もう二度とあんな無様で惨めな思いはしたくない


「・・・・・お前らのせいで、せっかくの映画を邪魔されたくないからな」


虚空に話しかける


そう、"虚空"にーーーーーーーー





徒歩でデパートに辿り着き


海が一目散でゲーセンに向かったので俺達も後を追う


UFOキャッチャーで遊びたがっていたが、耕哉が映画見るとき邪魔になるからやめろと


宥めるように説得し、渋々了解する


そんなことをしている間に時間が来たので映画館に入る


見る映画は洋画のアクション映画だ


時間はざっと2時間


映画が終わり、各々ぽつぽつ感想を言いながら映画館を後にする


そして時間は1時30分過ぎ


「さて、少し遅いけど昼食にでもする?」


「そのぐらいのほうがいいだろう。空いてると思うし」


「えー?ゲーセン行ってからにしようぜー?」


「食べるとしても、どこで食べる?ファミレスかフードコートか。それともファーストフードか」


「どれも変わらないからどっちでもいい」


「スルー?!・・・まあいいや。それならフードコートにしようぜ!色々とあるし」


「分かった。ならそうしよう」


・・・・この会話風景を見ると3人の血液型が分かるよな


それはさておき、昼食にすると決めた俺達は4階にあるフードコートへ向かうことにした







「ソヴィはこのフードコートに来るの初めてだよね」


「うん、デパート自体必要が無いときは来ないから」


「でも、中に何があるかぐらいは覚えておいたほうがいいわよ。そうじゃないと時間を無駄にすることになるから」


「まあ今日はそれも兼ねてこうやってお二人を誘ったんだけどね~」


駅近くのデパート


ソヴィは昔なじみの美月とクラスメイトの美樹で休日らしく遊んでいた


美月と美樹は高校1年の時に同じクラスになり、かなり仲が良かったらしい


それで美樹と話している様子を美月が目撃し


今度の日曜3人で遊ぼうということになった


因みにソヴィはクラスで一番よく一緒に居るのは美樹だ


冷静で、物分りが良いので大人っぽいが


偶に冗談を言ったり童心を忘れない心を持っている


つまり普段はしっかりとやるべきことはやるが、遊ぶ時は徹底的に無邪気で遊ぶタイプである


話していて飽きない、楽しい


だからよく美樹と一緒に昼食を食べている


家じゃ楽しくご飯なんて食べないから・・・


基本湊は無言。でも話しかけるとしっかり反応してくれるし無言だからってそんなに雰囲気は悪くない


「ここ席空いてるね」


「ならここにしましょう。丁度窓際だから落ち着くことが出来る」


「それじゃあ私がここで席取っておくから美樹とソヴィは先にご飯頼んできていいよ」


「わかった。ならそうさせてもらうね」


「行きましょ」


美樹と2人でフードコートの店を彷徨う


色々な店があってどれにするか一苦労だ


「・・・やっぱり貴女と一緒に居ると目立つわね。通り過ぎる男達が絶対に振り向くもの」


「あーやっぱりこの銀髪が原因かな?」


「それだけじゃないと思うわ。その顔にその髪の毛。さらにはスタイルもよく私服のセンスも中々。これで二度見しない男は絶対不能ね」


「そんなこと無いと思うけど・・・」


何せ身近に居るし


「さて、一通り回ったけど・・・どれにするか決めたかしら?」


「うん、2番目ぐらいにあったうどん屋にするつもり。美樹は?」


「私はそうね、今は味噌汁飲みたい気分だから定食屋かしら。」


「日本人らしいね」


「貴女もね」


2人が決めた店はそんなに離れていなかったが


生憎と定食屋のほうが列が凄かったので美樹は少し遅れるらしい


その間、私はうろうろとしていた。こんなところでナンパなんて無いだろうと思ったが、男の性欲とは凄まじく、食べる場所にも関わらず言い寄ってくる人が何人かいた


丁重にお断りしていたが、あまりにもしつこいのでどうしようと思ったら


見知っている顔を入り口付近で発見した


(こういうのは嫌がると思うけど、この際なんでもいいか)


気乗りはしなかった。後で何言われるか溜まったものじゃない


でも、ホントしつこくて内心かなりイラついていたのだ


ここでそのイライラを爆発さたかったが、悪目立ちはしたくなかったので自制してる状態


それに一刻も早く席で待たせている美月のところに行きたかったので最終手段を使うしかない


目には目を


歯には歯を


男には男を


「あ~湊~。遅いじゃな~い!」


ちょっとずつ距離が狭まり、一声掛けて反応するぐらいの距離になったとき


手前に中津海、龍川耕哉、そしてその後ろにいつもの気だるい顔をした有川湊の姿が


その声に反応してこちらを向いた


それと同時に取り巻きの2人も反応したが


こちらはどうでもいい


「・・・は?」


「もう遅いじゃない。どれだけ長くトイレ行ってたのよぉ。あ、耕哉さん。海さん。こんにちは」


「え?あ、ああこんにちは」


「こ、こんにちは!」


流石に突然振られたから動揺している


「それじゃあごめんなさいね。見ての通り、彼方に構っている暇はなくなっちゃったの」


「お、おいおい。そんな冴えない男が彼氏だって?そんな男より俺見たいに君を幸せにできる甲斐性を持っている男にーーーーーーー」


何故か途中で言い終わった


それはその冴えない男こと、湊をよく見た時だった


それを私は疑問に思い口にしようかと思ったらナンパ男が言った


「お、お前・・・・・まさか有川湊・・・か?それに龍川耕哉・・・」


「・・・・まさか、こんなところで再びお会いになるとは思いませんでしたよ。高見先輩。俺の友達とその彼女に何か用ですか?」


耕哉が睨む様に、そして湊を守るように前に出ながらそういった


いや、違う


湊を押さえるように前に出たのだ


隣にいるあのいつもふざけたことばかり言う海すらも険しい顔をしながら高見を睨んでる


「な、なんで・・・・有川がこんなところに・・・」


「俺がこんなところで友人達と和気藹々してるのがそんなに不思議ですか?先輩。それにしても未だに女グセが悪いとは・・・まあ、そんなことどうでもいいがーーーーーー」


その湊はこの1週間で初めて見る湊だった


その顔は怒りを表しているわけでもなく、泣いているわけでもなく、そして憎しみに満ちているの訳でもない


いつも通り無表情


いつも通り冷静沈着


だが明らかに湊を取り巻く空気が変わっていた


明らかにナンパ男を見る目が変わっていた


「一応念を推しておきますが・・・まさか、再び美樹に手を出そうとか思ってるわけじゃ・・・無いですよね?」


深くーーーーーーー


重くーーーーーーー


そして研ぎ澄まされた殺気がーーーーーー


高見を押し潰す


高見だけ


周りは気づかない


気づけない


普通なら気づくことはできない


何故ならその殺気は高見だけに向けられたものなのだから


「ーーーーー・・・・ヒッ!」


その湊の殺気を受け、脅える


「か、絡んで悪かったな。・・・・・それ、じゃあ俺はこれで!」


その殺気から一目散で逃げる


そして出口へ全速力で走り


人波を押しのけながら逃げる


「・・・・・・・」


当事者だったはずのソヴィがいつの間にか部外者になっていた


が、そんなこと気にしていなかった


気にしていたのは


(何・・・今の殺気・・・・)


殺気・・・・その言葉は絶対に日常生活では使わないし感じないだろう


しかし、湊は毎日毎晩24時間365日


殺気立っている


ずっと殺気立っている


何故なら視界から離れること無い殺したい存在がずっと目の前に居るのだから


故に殺気立つし殺すことに関しては湊を凌駕する存在など居ないだろう


だがどれだけ殺気立っていようが、どれだけ身近に居る人間がいようが、その殺気を気づくことはないだろう


その殺気は人間へ向けたものではないから


生き物に向けられているものではないから


なら何故ソヴィが今回の殺気に気づくことが出来たのか


理由は簡単。その殺気の正体が人間に向けられたからだである


人間に向けられた殺気、だから同じ人間に認知出来た


出来るようになった


だが、湊はその殺気を高見のみに発した


故に他の人間は気づくことが難しいはずだった


しかし、ソヴィだけが気づくことが出来た


ソヴィは昔、父から危険察知能力を訓練していた時期があったのだ


父らしく娘を思いやる気持ちで


父とは思えない娘を殺すつもりの気持ちで


ソヴィを鍛えていた


その本物の殺気を知っていたから


感じたことがあるから


今回の湊の殺気に気づくことが出来てしまった


(湊、あなたの過去に何があったらここまでの殺気を持つことが出来るの?)


「ーーーーーおい」


「・・・え?」


「よくも面倒なことに巻き込んでくれたな」


さっきまでの湊はもうそこには居なかった


そこに居たのはいつもの面倒臭がり屋の湊だった


「あ、ああ。ごめんなさい」


「・・・まあいい。これで貸しは無しだからな」


「ーーーえ?」


一瞬貸しとは何かと思ったが


それは昨晩部屋で静かにしてくれと頼まれた時の約束のことだった


なんだかんだで義理堅い人間なんだろう


・・・今は置いておこう


湊の殺気の正体


それはいずれ解るだろう


いや、もしかしたらすぐにーーーー


「あ、ああそうね。解った、これで貸し借りは無しね」


「そうじゃ無いと割に合わないかーーーーーーーーー」


「ソヴィ!」


少し離れたところから美樹が私を発見したらしく、いつもより声を大きくして私の名前を呼んだ


「何処行ってたのよ。周辺探しても居なかったから先に美月のところに戻ったのかと思ったらいないから探しち ゃったわ・・・ってなんだ耕哉に海じゃない」


・・・・・・・・ん?


「や、やあ奇遇だね。美樹」


苦笑いしながら挨拶する耕哉


「妹さんはソヴィさんとデート?」


いつものようにふざけた感じで海が聞いてくる


「残念、美月もいるわよ。それでソヴィ、耕哉達に声掛けるんだったら一言言ってくれればよかったのに」


「ごめんなさい。実はナンパ男に絡まれていたところこの人達にーーーーーー」


人達


その達には耕哉、海


そして勿論湊が入っているはずだが


「ーーーー・・・・え?」


さっきまですぐ隣に居た湊は


跡形も無く姿を消していた


「あ、あれ?」


「?どうしたのソヴィ」


「いえ・・・・それで、困っているところにこの"2人"を見かけたから追い払ってくれたの」


「へぇ~。貴方達もたまには役に立つときがあるのね」


「相変わらず冗談が上手いね。妹さんは」


「耕哉は悠木と付き合っているから女性に対して敏感だけど、貴方はこういう時ぐらいしか女の役に立てないじ ゃない」


「あっはははは・・・久々の毒舌、効いたぜ・・・」


若干落ち込む海


「それにしても、貴方達の方こそデートなの?なに?ホモなの?」


「そんなわけ無いだろ。確かに"2人"で遊んでいるのは事実だけど」


耕哉がしっかりと否定しながら"事実"を言う


"事実"


・・・・・湊は?


何故、湊の存在を美樹に隠すの?


ーーーーー何か有る


この4人の過去には何か途轍もないことがあったのだろう


そう感じ取ってしまい、気になってしまった私は


「ごめんなさい、私トイレにいってくるからこれお願いね」


美樹に品が出来たときに鳴るアラーム機器を渡す


「解ったわ。それじゃあ先に戻っているわね」


「うん。ありがとう」


その場を後にし、私は駆け足で湊を探しに行くことにした


(彼がこのデパートで行きそうな場所はーーーーーーー)


絵が欲しい

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