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シゾフレニア  作者: 民音慧可
第一部 空想上の物語
10/74

幸せとは

それから5日、つまり平日は終わりを告げた


その間は特に何事も無く、ただただ平凡な生活を送った


二人暮らしという意味深な生活を平凡というには無理があるが、その辺は問題なく


むしろソヴィが家事をよくするようになり、湊の負担が軽減されていた


ソヴィの学校生活は到って良好


銀髪ハーフということもあり、かなり目立ってはいるが、良い方に目立っている


とはいえ、この平日の間にかなりの男子に言い寄られたので女性からは知らないうちに怨み妬みを買ってるのかもしれない


それすらも思わせておいて、クラス全員とは良好の中を築いていた


ソヴィの持つカリスマ性がそれを成立させたのだ


まさに完璧超人。文武両道、才色兼備、圧倒的カリスマ


こんな二次元にしか居なさそうなテンプレ生徒会長みたいな人が外でのソヴィトヴィーニアだ


だが、家では完璧超人の逆


つまり、家の中では完璧超人ではなく普通の女子高校生


愚痴を言ったり、文句言ったり、素直に笑ったり、少しズボラの面もあったり


努力のみで成り上がってきたソヴィだ。外面はしっかりしているもののその分家ではゆっくりしたいのだろう


察しのいい湊は、そのことには特に干渉しないことにしている


いや、湊のことなのでできるだけ関わりたくないとでも思っているのかもしれない


だけど、見ていて面白いから今のままでいいんじゃないか、と湊は思っている


話を聞いているだけだから、ソヴィの学校生活をよくは知らないが


完璧超人なんて見ていて気持ち悪く、つまらないものだ


だからこうやって愚痴を言ったり、文句言ったり、素直に笑ったり、少しズボラの面もあったりするほうが、人間味があってむしろいいんじゃないかと思う


ギャップという奴か、外面と内面を使い分けていることに湊は珍しく素直に凄いと思った


思っただけである。決して口には出さない。女というものは少し褒めただけで付け上がるから面倒だ


飯時によく愚痴を言って来るが、それに対して不快に思ったことは無い


むしろ聞いてて笑えてくるので、比較的いい雰囲気で食事が出来る


愚痴を言ってるソヴィはそうでもないと思うが


そんな感じで日常が繰り返し、ソヴィが来てからの2回目の休日だ


土曜日


有川湊は引きこもる


別に動きたくないからとかではなく、動く用事も外に出る用事も無いので引きこもることにしただけである


因みにまだ湊が二次好きだということはバレていない


まあ、そろそろこの家や俺に馴染んできた頃だと思うから


元々活発で家じゃ基本的に自分のことを優先で考えるソヴィだから


最初に忠告したことを無視して唐突に部屋に入ってきそうだから怖い


そんなことを考えていると珍しく携帯が鳴った







「よう、久しぶり・・・っても1ヶ月ぐらいか?」


「いつもそのぐらいのペースで来るだろ。まあ誰かさんと違って一本連絡くれるだけマシだな」


「アッハハハ、いいじゃんどうせ一人暮らしなんだからさ!ホント羨ましいわ~」


その日の夜、20時頃中学時代の友人2人が訪ねてきた


基本的に俺の家に来るということは一晩泊まりがデフォだ


なんせ一人暮らしだから気軽にこれて騒げるからと理由だ


「まあ、上がれよ」


「お邪魔します」


「オジャッシマース!」


いつも冷静で穏やかな方が龍川耕哉たつかわ こうや


さっきから騒がしい方が中津海なかつ かい


その2人を二階の自分の部屋に招き入れ、適当な位置に勝手に座る


「うっわぁ。変わってないな~相変わらず。凄い量の漫画本だ」


「1ヶ月で趣味が変わる訳無いだろ」


「でも毎回来る度に増えてるよね。どこからそんな金があるのか気になるな」


「・・・バイト、少しだけやってたから貯えはある」


「そういや来月末のコミケいくのか~?だったら欲しいグッズあるから買ってきて欲しいんだけど」


「そりゃ行くかも知れないが、一回ぐらい行ったらどうだ?確かに大晦日だから用事が有るだろうけどさ」


「いやホントその通りで、家庭の事情で少し遠出することになってるんよ・・・」


「それなら仕方ないが・・・耕哉、今回も冬コミ一緒に行くか?」


「ゴメン、今回は行けそうにないかな」


「あ・・・」


「なんで?前回は行ったんでしょ?」


「いや・・・その・・・」


耕哉、お前海に言ってないのか


お前ら2人とも一緒の九条峰なんだから言う機会はあったと思うが


いやでも、騒がられるといくらイケメンで優しい紳士の耕哉でも少しうざいか


俺から言おうか?と目で合図する


自分で言うよ、と首を振る


なら俺はコイツが騒いだら殴るのが仕事か


あまり五月蝿くしないで欲しいからな


もう一人暮らしじゃないので


ちなみのソヴィには部屋で静かにしていてくれと頼んで有る


かなり渋っていたが、貸しだからね、と怖いこと言って承諾してくれた


・・・いずれコイツらにもバレそうだから早めに言っておきたいところだが


気づかないのならそれに越したことはないよな


「・・・実は、先月の頭ぐらいから付き合ってるんだ。だからその娘と大晦日は過ごす予定」


「・・・・・・・・ええーーーーーーっ!?」


「うるせえ」


一発殴っておく


「いやだって湊よ!一人だけ抜け駆けだぜ!?しかもお前はともかく俺は同じ高校で同じクラスだぞ!一言俺に言ってくれてもよかったじゃんか!!」


「そうやって騒いで言いふらすかも知れないと危惧したから、言わなかったんじゃないか?因みに、俺は耕哉が付き合うかどうかについて知ってたから一緒にするな」


「なんで!?」


「少しは声のトーンを落とせ・・・耕哉も迷ってたから、相談に乗っただけだよ」


「はぁ~、湊には言って俺には伝えてくれなかったなんて・・・裏切られた気分だぜ」


「ゴ、ゴメン。言うタイミングが無くって・・・お互い部活が忙しいし、言うとしたら口頭がよかったから さ、流石に教室でこういうのは言いたくなかったんだよ。」


「うらやま死ね!!・・・はぁ~、あーはいはいどうせフツメンですよ~モテないですよ~。いつもクラスじゃ五月蝿いもの扱いな俺には一生縁の無い話ですよ~」


・・・フツメンならまだマシなんじゃないか?


「男が僻むなよ・・・見っとも無い」


「・・・因みに誰と付き合ってるの?」


「・・・・同じクラスの悠木」


「ああ~、言われてみれば納得だ。同じ部活のマネージャーだもんな。そりゃ接点あるわ」


耕哉はハンドボール部


海はバスケットボール部


2人とも優秀で2年の中でトップクラスの実力の持ち主


というか海だってその面で面白いキャラを維持してるならモテそうだが、恐らくセクハラ発言で台無しにしてるな


「こうなったら、俺もお前らがビックリするくらいの女捕まえて自慢してやる!!」


「誰か気になる人でもいるの?」


「この間転校してきたロシア人のソヴィちゃん!ってのはどうだ」


「ーーーーーゴフッ・・・ゲホ・・・」


「流石に高望みしすぎじゃ・・・って湊、なんで咽てるの?」


「いや、すまん。ちょっと飲んでた紅茶が詰まった」


「飲み物が詰まるのかよ・・・ってそうじゃなくて。狙うんなら高い存在の方がいいだろ?」


「でも、彼女。かなりの数の男子に既に告白されてるけど、全部振ってるみたいだよ?」


「大丈夫大丈夫。そこはこれから頑張るさ」


「えっと、お前ら。そのソヴィってヤツとは・・・」


「ああ、ゴメン。本名は確かソヴィト・・・」


「ソヴィトヴィーニア・フォグロム・プラウダ。最近俺たちのクラスに転校してきた才色兼備文武両道と男女問わず尊敬させるロシア人で、性格は基本的に優しく、偶にきついこと言ってきたりするがむしろ御褒美だという賢者も居るくら人気の有る、今九条峰で一番の話題の人だ!」


「なんでお前がドヤ顔なんだよ」


「というか、一番最初に告白して一番最初に振られたよね。海」


「うッ!!」


かいに つうこんのいちげき!


「い、いや。むしろ彼女ほどの人間だ。俺なんかの存在を覚えてもらうには最初に目立つことをしたほうがいいのかもしれないと計算してだな・・・」


「確かにそれなら分からなくもないけど・・・ソヴィさん、しっかり出会った人間全て覚えてるよ」


「マジで!?どこ情報!?」


「あ・・・悠木から聞いたんだ。噂程度だけど、見るからに全員覚えてるっぽいよ」


今名前で呼ぶところだったな


俺の前じゃ気にしないがコイツだとかなりしつこく言われそうだからか


それか気を使ったのか


どちらにしても優しすぎるな


昔から、本当に


「な、なるほど。そこまで完璧な存在だったとは・・・これは攻略のしがいが有るぜ!!」


「五月蝿い。あとリアルと二次を一緒にするな」


流石に結構ウザかったので少し強めで殴る


「イダッ・・・でもいい情報が聞けた。なら俺のプランを少し前倒しにしても・・・」


「中学時代、そうやって計画して挑んだ結果散々だったこと忘れたのか?」


「いや!それでも彼女と付き合いたい!!これは俺に与えられた最後のチャンスなんだ!!!」


まあこういう奴だよな。海は


「あまり女性に対して失礼なことを言わなければ、普通にモテると思うけど」


(高校生になっても下品なことばかり言ってるのか、コイツ)


俺と耕哉でヒソヒソと話す


(まあ、偶にだけどね。でもその偶にがタイミング悪かったり声が大きかったりで。)


(そりゃモテない訳だ)


「おいお前らなに内緒話してんだよ。話聞いてたのか?」


「ああ聞いてた聞いてた。がんばれよー」


「なんで棒読みなんだよ!?これから友人が激闘の戦場へと赴くのに何にか言うことはーーーーー」


・・・ピッ


耕哉が無言でPS3を起動させ、コントローラーを各自に渡す


「まあまあ落ち着いて。昔から湊はそういう話は苦手ってこと知ってるだろ?」


「いや話を聴く限り耕哉には真面目に相手したらしいじゃん!」


「耕哉は「真面目」だからな、苦手だけど話を聞くだけ聞いたんだ。お前からは真面目のまの字も感じない」


「そりゃないぜ・・・俺だって真面目に女のことーーーー」


「お、起動した」


「んじゃあ俺、飲み物持って来る」


「俺も行くよ、3人分だときついだろ?」


「ちょっ、俺を置いてくなよ!部屋で一人だけ待ってるとか偉そうじゃんか」


と、いうことで飲み物もちに行くだけで2人着いてくることになった


各自言いたいことは分かるから否定はせず妥協する


「そういや猫の姿見ないな」


「下で寝てるだろ」


「なら俺が一番最初に行ってモフらせてもらうぜ!前回は会えなかったから今日こそはっ!」


そういいながら立ち上がり扉の前に急ぎ足で向かう海


別段、止める理由も無いから好きにさせておく


耕哉と呆れ顔で海の後ろについていく形で1階へ向かう


海が勢いよく俺の部屋の扉を開けた瞬間ーーーーーーーーー


「ーーーーーーあ」


「・・・・え?」


「?・・・・あれ?」


「・・・・・・・・・・・・・・・・はぁ~」


そこには、可愛らしい動物が描かれているパジャマ姿で、髪の毛がまだ滴り、いつものヘヤピンは付けてはおらず、両手でマグカップを覆いながら俺の部屋の前を通り過ぎようとしていた


恐らく風呂上りであろう


・・・で、その姿を凝視した海は部屋を出ようとした状態で固まり


それを不思議に思った耕哉も身体を左にずらし、何があったのか確かめようとしたら驚いた顔をして固まり


そして俺はそんな状況を見て溜息をついた


一番面倒な状況になってしまったからだ


「・・・?どうしたの、人の顔に何かついてる?」


「いや、もういい」


俺のストレスが一気に溜まっていくのが一目瞭然だった






「よう」


「・・・おう」


あの後、海を宥め懇切丁寧に説明してやり


一緒にゲームした後一緒にアニメ見ているといつの間にか2人とも寝ていた


まあいつものことなので放置


飲み物が切れたので1階の冷蔵庫にジュース取りに降りたところ


ミーがベランダで寝ていたのでモフモフしていたらそこに、寝ていたはずの耕哉がやって来た


「一杯、どうだ?」


「・・・・俺ら、未成年だろ」


「勿論ノンアルコールだよ」


「だろうな」


互いに微笑む


耕哉が2人分のコップを持ってきてくれたので


そのコップ注いで、俺に手渡してくれた


「はい」


「・・・ああ」


夜風が涼しい


いやまあむしろこの時期寒いが


膝にミーがいるので暖かい


閑話休題


「・・・・なあ」


はじめに口を開いたのは耕哉だった


「まだ、治ってないのか」


それは俺の持病を指していることにすぐ分かった


「・・・・治らないだろうな。このままじゃ一生」


「・・・治そうとしてないんじゃないか?」


そう、その通りだ


もう俺はこれを治すつもりは毛頭無い


受け入れてしまったから


現実を、地獄を


「やっぱりな・・・」


「今まで色々と手を尽くしてきたが、治るどころか悪化している。これ以上手を加えないほうがいいだろうと判断したんだよ」


自虐的に笑う


「別に構わないさ、今のままでも十分満足してる。あとはこのまま自然に、不自然な死を待つだけだ」


「・・・・俺達には、お前を救えないんだな」


「俺は助けを求めちゃいないよ。お前が勝手に俺を助けようとしただけだ・・・でもさーーーーー」


これは、今までいわなかったことだ


口にしなかったこと


でも今だから、言えるのかも知れない


いや、今だから言おう


「俺を救おうとするなら、お前達は今よりもっと幸せになってくれ。そうすれば俺は救われるし、助かる」


「ーーー・・・・・ッ!」


耕哉が珍しく顔を歪める


仕方ないだろう、本当のことなんだから


コップに入っているノンアルコールの酒をお互い一気に飲み干す


「まあ、俺のことを恨んでくれて構わないんだが、生憎と俺はもう罪悪感なんていう大層なモノすら感じなくなって来てるからなぁ」


「俺は、別に恨んじゃいない・・・アレは事故みたいなものだろ?」


「お前はそう思ってくれても、家族はそう思わないだろう。具体的には美樹とかな」


美樹とは、耕哉の双子の妹だ


中学時代はよく耕哉、美樹、海、そして俺でよく一緒にいたものだ


今では相当懐かしい


そして恐らく、二度と戻ることはないだろう


あの出来事で、俺達に深い溝が出来てしまったから・・・


「やっぱり、その病気は治ることは無いのか?」


「・・・これは精神的なものだ。だから、正確な解決方法なんて無いよ」


「ーーーつまりはさ、俺達じゃお前の病気を治すことは出来なかったってことなんだよな?」


「・・・耕哉?」


お前、何を考えている


「だったらーーーーー」


耕哉はゆっくりと立ち上がり、空になった缶とコップを持ち片付けようと台所へ向かう


何か違和感があったから、釘を刺しておくことにする


「俺はさ、耕哉」


俺の声に足を止めた


「今のままでいいんだ。俺が何度忠告しても聞かないお前達と馬鹿やってる今が飽きないんだ。だから、今以上のことを望むな。それは今を壊す原因になる。」


「でも、今のままじゃ湊は救われないッ!」


久しぶりに聞いたな


お前の大声


「救われてる。言っただろう?お前達が幸せなら、俺は罪悪感から少しずつ救われていくんだ」


「・・・それは、根本的には解決してないじゃないか」


そう吐き捨て、耕哉は立ち去る


「・・・・ふぅ」


軽い溜息


「全く、勘違いも甚だしいよな」


ぐっすりと寝ているであろう白キジの猫、ミーに呟く


勿論その行為に意味は無い。だけど、今はそんな気分なんだ


「耕哉は今の俺を見て不幸な人間だと思っているけどーーー」


普通ならそう考える


でも、有川湊は普通の人間として暮らしてきていない


そして、それを隠すために普通の人間と接し


あたかも普通の人間であるかのようにみせているだけ


「俺は今まで、不幸と感じたことなんて一度もないのにな」


そう、不幸を感じたことが無い


なんせ、幸せというものを知らないんだから


その反対なんて知る余地も無い


楽しければ幸せか?


喜んでいれば幸せか?


笑っていれば幸せか?


・・・俺個人としては思わないし感じたこともない


なら幸せとは何か


俺にとっての幸せとは何か


喜怒哀楽に幸せを感じない俺は、一体いつになったら幸せを感じることが出来るのだろう


それはきっと、俺の持病が治ったときなんだろうが


この持病とはもう10年ぐらい付き合っているんだ


今更切り離すことなんか出来ないってことぐらい自分がよく知っている


だから、幸せとは何かなんて考えるだけ無駄だ


変わらない今を味わいつくしたい


それ以上は望まない


支離滅裂な部分多いかもと今更ながら不安になってきた。

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