第七話 初めての臨時パーティ
初めての臨時パーティ。
リリアの新しい冒険が始まります。
「リリアさん、次の依頼はどうしますか?」
冒険者ギルドの受付嬢に尋ねられ、リリアは依頼書を眺めた。
採取依頼、荷物運び、魔物の討伐。
どれも興味深いものばかりだ。
「うーん……」
悩んでいると、一枚の依頼書が目に入った。
『近隣の村に出現する魔物の討伐』
依頼内容には、複数の冒険者での参加を推奨すると書かれている。
「これ、面白そう!」
リリアは依頼書を指さした。
「こちらは少し危険な依頼ですよ。リリアさんは、他の冒険者の方と一緒に参加していただくことになります」
「他の冒険者……?」
リリアは受付嬢の言葉に、少しだけ表情を曇らせた。
師匠と一緒に暮らしていた山では、誰かと一緒に依頼を受けることなどなかった。
そもそも、依頼というもの自体が経験なかった。
「こちらの方々が、今回の依頼に参加する冒険者です」
受付嬢が声をかけると、近くにいた三人の冒険者が振り返った。
「おっ、君が今回の臨時パーティの仲間か?」
「よろしくな!」
「……よろしくお願いします」
リリアは小さく頭を下げた。
師匠の教えを思い出す。
『リリア、知らない人にはあまり簡単に話しかけちゃだめだぞ』
『どうして?』
『悪い人かもしれないからな』
師匠はそう言って、リリアの頭を撫でてくれた。
もちろん、悪い人ばかりではないことも教えてくれた。
でも、知らない人には気をつけるように、と。
その教えを思い出したリリアは、冒険者たちに話しかけられても、なかなか言葉が出てこなかった。
「えっと……君、名前は?」
「……リリアです」
「リリアか。俺たちは今回の依頼で一緒に行動することになる。よろしくな!」
「……はい」
冒険者たちは顔を見合わせた。
「緊張してるのかな?」
「まあ、まだ小さいしな」
「大丈夫だ。俺たちが守ってやるから!」
リリアは少し困ったように頷いた。
小さいと言われるのは、もう慣れている。
でも、守ってもらう必要があるかどうかは、ちょっと疑問だった。
◆
村へ向かう道中。
冒険者たちはリリアを気遣ってくれた。
「疲れてないか?」
「荷物、持とうか?」
「魔物が出たら俺たちが守るからな!」
「えっと……ありがとうございます」
リリアは少し緊張しながらも、嬉しそうにお礼を言った。
知らない人と一緒に行動するのは、やっぱり少し不安だ。
でも、みんな優しい。
それが分かると、少しだけ安心した。
「リリアは、どこで剣を習ったんだ?」
「師匠です!」
「師匠?」
「はい! 山で一緒に暮らしていたんです!」
リリアは師匠のことを思い出し、嬉しそうに話し始めた。
「剣の振り方とか、魔法の使い方とか、いろいろ教えてもらいました!」
「へえ、山で修行か。すごいな」
「はい!」
冒険者たちは感心したように頷いた。
しかし、リリアがどれほどの修行をしてきたのかは、まだ知らない。
◆
村の近くに到着すると、依頼にあった魔物の姿が見えた。
森の中から現れたのは、牙の大きな獣型の魔物。
その数は十体以上。
「よし、来たぞ!」
冒険者たちは武器を構えた。
「リリア、危ないから後ろにいてくれ!」
「えっ?」
「俺たちが先に倒す!」
冒険者たちはリリアを守るように前へ出た。
魔物が一斉に襲いかかってくる。
冒険者たちは連携して魔物の攻撃を防ぎ、反撃する。
「よし、一体倒した!」
「こっちもだ!」
リリアは後ろから、その戦いを眺めていた。
「みんな、強いなあ……」
師匠と一緒に戦っていたときとは、また違う。
誰かが攻撃を防ぎ、誰かが隙を作り、誰かが倒す。
それぞれが役割を持って戦っている。
「これが、パーティでの戦いなんだ……!」
リリアは目を輝かせた。
しかし、魔物の数は多い。
冒険者たちも徐々に疲れ始めていた。
「くそっ、まだいるのか!」
「数が多すぎる!」
そのとき、一体の魔物が冒険者たちの隙を突き、リリアへ向かって走ってきた。
「リリア、危ない!」
冒険者の一人が叫ぶ。
リリアは驚きながらも、すぐに剣を抜いた。
「えいっ!」
一閃。
魔物はその場に倒れた。
「……え?」
冒険者たちは、思わず動きを止めた。
リリアは倒れた魔物を見て、首を傾げる。
「大丈夫ですか?」
「いや……今の……」
「えっと、魔物が来たので倒しました!」
リリアはにこっと笑った。
冒険者たちは顔を見合わせる。
「……もしかして、君って強い?」
「え? 普通ですよ?」
その返答に、冒険者たちは何とも言えない顔をした。
◆
その後も、リリアは次々と魔物を倒していった。
冒険者たちが苦戦していた魔物も、リリアにとっては大した相手ではなかった。
剣で倒し、魔法で倒し、時には魔物の攻撃を避けながら一気に距離を詰める。
その動きは、師匠との修行で身につけたものだった。
「……すごいな」
冒険者の一人が呟く。
「さっきまで守ってやらなきゃって思ってたのに……」
「むしろ俺たちの方が助けられてるな」
リリアは魔物を倒し終えると、嬉しそうに振り返った。
「みんな、大丈夫ですか?」
「……ああ。ありがとう、リリア」
「えへへ、よかった!」
リリアは満面の笑みを浮かべた。
初めて、師匠以外の人と一緒に戦った。
最初は少し緊張したけれど、みんなと力を合わせるのは楽しかった。
◆
依頼を終えた一行は、村人たちから感謝され、お礼を受け取った。
そして、街へ戻る。
冒険者ギルドに到着すると、受付嬢が笑顔で迎えてくれた。
「お帰りなさい! 依頼は無事達成できましたか?」
「はい! 魔物を全部倒しました!」
リリアが元気よく答える。
「それはよかったです!」
受付嬢は依頼の完了を確認し、報酬を渡した。
冒険者たちはリリアを見て、笑った。
「また一緒に依頼を受けようぜ」
「うん! ぜひ!」
リリアは嬉しそうに頷いた。
その日の夜。
リリアはギルドの酒場で、冒険者たちと一緒に食事をしていた。
冒険者たちはお酒を飲み、リリアはオレンジジュースを飲む。
「リリア、今日はよく頑張ったな!」
「ありがとうございます!」
「乾杯!」
「かんぱーい!」
リリアはジュースの入ったグラスを掲げた。
そして、料理を一口食べる。
「……おいしい!」
冒険者たちは笑った。
「お前、食べるの好きだなあ」
「はい! おいしいもの、大好きです!」
リリアは嬉しそうに答えた。
師匠と暮らしていた山では、二人で食事をすることがほとんどだった。
こうして、誰かと一緒に食事をするのは、なんだか新鮮だった。
「また一緒に依頼を受けような」
「はい!」
リリアは笑顔で頷いた。
こうして、リリアの冒険に新しい出会いが生まれた。
まだ、知らない人と話すのは少し緊張する。
でも、誰かと一緒に冒険するのは、とても楽しい。
リリアはそう思いながら、オレンジジュースを飲み干した。
「……おかわり!」
その声に、酒場は笑いに包まれた。
今回も読んでいただきありがとうございます!
リリアの旅はまだ始まったばかり。
これからも彼女の冒険を見守っていただけると嬉しいです!
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