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星追いの少女、世界を旅して無双する  作者: 宵月
冒険者ギルドとベテラン
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第三十三話 雷を纏う冒険者


宵月「今回はついにグレイヴが本格参戦! 雷魔法を武器に纏わせて戦う、その実力が明らかになります!」


リリア「グレイヴさん、すごく強かったね!」


宵月「経験豊富な冒険者だからね。リリアたちが気づかなかった龍の弱点も見抜いてくれました」


リリア「でも、私たちだって負けてないよ!」


宵月「そうだね。ここからが本当の反撃だ!」


リリア「よーし! 頑張るよ!」


宵月「それでは、第33話をどうぞ!」



 バリィィィンッ!!


 轟音とともに、龍の放ったブレスが弾け飛んだ。


 炎と闇が混ざり合った奔流は、青白い雷光に切り裂かれ、周囲の壁を焼きながら消えていく。


「…………え?」


 リリアは目を開いた。


 目の前に立っていたのは、一人の冒険者。


 大きな武器を肩に担ぎ、龍を睨みつけている。


「グ、グレイヴさん……?」


「だから行くなって言ったのに!」


 振り返りもせず、グレイヴが怒鳴った。


「えっと、その……」


「言い訳は後だ! 今は目の前の化け物に集中しろ!」


 グレイヴは武器を構え直す。


 その瞬間、龍の巨大な前脚が振り下ろされた。


「チッ!」


 グレイヴの身体が横へ跳ぶ。


 地面が砕け、岩片が飛び散った。


 だが、彼は着地と同時に龍との距離を詰めていた。


「《雷纏》!」


 青白い稲妻が、グレイヴの武器を包み込む。


 バチバチッ、と激しい音を立てながら、雷が柄から頭部へと走った。


 次の瞬間。


 ドゴォンッ!!


 轟音が部屋に響く。


 グレイヴの一撃が、龍の前脚へと叩き込まれた。


 龍の身体がわずかに揺れる。


 しかし、硬い鱗に覆われた脚には大きな傷すら見当たらない。


「硬ぇな……」


 グレイヴは小さく舌打ちした。


 龍が腕を振り払う。


 グレイヴは後方へ跳び、攻撃を避けた。


 そして、次の瞬間。


 龍の指を覆っていた鱗に、亀裂が走った。


 バキッ!!


 一本の指が、砕け落ちる。


「グルルルル……ッ!」


 龍が初めて、苦しげな声を漏らした。


「……え?」


 リリアは目を見開く。


 先ほどまで、何度攻撃してもほとんど傷をつけられなかった龍。その指が、たった一撃で破壊されたのだ。


「グレイヴさん! 今のは……!」


「見てたなら分かるだろ!」


 グレイヴは龍から目を離さずに答える。


「鱗の硬さが均一じゃねぇ。特に指の部分は、他より脆い!」


「指……!」


「翼ばかり狙っても無駄だ。あいつは傷を治せる。だが、こっちの攻撃が通る場所なら話は別だ!」


 リリアは龍の前脚を見つめる。


 確かに、指の部分は他の鱗と比べて少し薄い。


 それでも、普通の魔物なら十分すぎるほど硬いはずだ。


 けれど、あの一撃なら壊せる。


 グレイヴはそれを見抜いていた。


「……なるほど」


「理解したなら、次はお前らの番だ!」


 龍が咆哮を上げた。


 大きく広げられた翼から、凄まじい風が巻き起こる。


「リリア様!」


「うん!」


 アリシアが前へ出る。


 風に押されながらも踏みとどまり、龍の前脚へと駆けた。


「はあっ!」


 剣が閃く。


 狙いは、先ほどグレイヴが破壊した指の隣。


 しかし、龍はそれを見逃さなかった。


 前脚を引き、アリシアの剣をかわす。


「っ!」


 直後、龍の尾が横から迫った。


「させるか!」


 グレイヴが武器を振るう。


 雷を纏った一撃が尾にぶつかり、軌道をわずかに逸らした。


 その隙に、アリシアは後方へ退く。


「助かりました、グレイヴ殿!」


「礼は後にしろ!」


 グレイヴは武器を構えたまま、リリアへ叫ぶ。


「嬢ちゃん! 魔法で牽制しろ! 俺が隙を作る!」


「分かった!」


 リリアは両手を前に掲げた。


 周囲にいくつもの火球が浮かび上がる。


「《火球》!」


 一斉に放たれた火球が、龍の顔や前脚へと飛んでいく。


 龍は翼を動かし、風で火球を弾き飛ばそうとした。


 だが、その動きを予測していたグレイヴが踏み込む。


「遅ぇ!」


 雷光が走る。


 グレイヴの武器が龍の前脚へと迫った。


 龍は反応し、腕を引こうとする。


 その瞬間、アリシアが横から斬りかかった。


 龍の意識が一瞬、そちらへ向く。


「今だ!」


 グレイヴの一撃が、再び指を捉えた。


 バキィッ!!


 硬い鱗が砕け、龍の指が大きく歪む。


「グオオオオオッ!!」


 龍が怒りの咆哮を上げた。


 先ほどまで一方的に攻めていたはずの龍が、初めて明確に怯んだ。


 リリアはその様子を見つめる。


 勝てない相手ではない。


 ただ、知らなかっただけなのだ。


 どこを狙えばいいのか。


 どう戦えばいいのか。


 それを知っているかどうかで、戦いは大きく変わる。


「グレイヴさん!」


「あぁ! まだ終わってねぇぞ!」


 龍の身体から、再び黒い魔力が立ち上る。


 先ほど見せた圧倒的な魔力が、部屋を満たしていく。


 それでも、三人は退かなかった。


 グレイヴが前に立ち、アリシアが横を固める。


 そして、リリアは二人の背後から魔力を練り上げた。


「今度は、私もちゃんと当てるから!」


 少女の瞳に、強い意志が宿る。


 雷光が走り、剣が閃き、魔法が放たれる。


 反撃の狼煙は、確かに上がっていた。



グレイヴ「まったく……無茶しやがって」


リリア「助けに来てくれてありがとう、グレイヴさん!」


グレイヴ「礼を言うのは生きて帰ってからにしろ。説教もたっぷり残ってるからな」


アリシア「……覚悟しておいた方がよさそうですね、リリア様」


リリア「うぅ……でも、今は龍を倒さないと!」


グレイヴ「そういうことだ。まだ戦いは終わってねぇぞ」


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