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星追いの少女、世界を旅して無双する  作者: 宵月
冒険者ギルドとベテラン
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24/26

第二十四話 横暴な貴族

こんにちは!


作者「今回はグランベルの街を散策するお話です!」


リリア「美味しいもの、いっぱいあるかな?」


作者「あるかもしれないね!」


リリア「やったー!」


作者「……ただ、ちょっと困った人もいるみたいです」


リリア「えっ?」


作者「それでは、第24話をどうぞ!」




 グランベルの街。


 私とアリシアさんは、冒険者ギルドで依頼を受けたあと、街の中を歩いていた。


「わあ! この街も色々なお店がありますね!」


「そうだな。大きな街だから、店も多い」


「どこから見て回りましょうか?」


「リリアの好きなところでいいぞ」


「じゃあ、あっち!」


 私は目についたお店を指さした。


 店先には、色とりどりの果物や焼き菓子が並んでいる。


 ……美味しそう。


「いらっしゃい! お嬢ちゃん、何か買っていくかい?」


「えっと……これって何ですか?」


 私は店先に並んでいた、丸くて赤い果物を指さした。


「それはグランベル特産の果物だよ。甘くて美味しいんだ」


「へえ! 食べてみたいです!」


「なら、一つどうだい?」


「お願いします!」


 私はお金を払って、果物を受け取った。


 そして、アリシアさんにも一つ渡す。


「アリシアさんもどうぞ!」


「……ありがとう」


 二人で果物を食べながら、街を歩く。


 甘くて、少しだけ酸味もある。


「美味しいですね!」


「ああ。なかなかいい味だ」


 そんなことを話していたときだった。


「おい、そこの店主」


 突然、後ろから声が聞こえた。


 振り向くと、立派な服を着た男性が数人の従者を連れて歩いてきていた。


 男性は店先を眺めると、店主を見下ろす。


「このような粗末な品を並べているとは、相変わらず下民の店は質が低いな」


「……申し訳ございません」


 店主は慌てて頭を下げた。


 男性は鼻で笑う。


「まったく。下民のネズミどもは、少しばかり金を持つとすぐに商売を始めたがる」


「……」


 店主は何も言わなかった。


 周囲の人たちも、ただ黙っている。


 私はその様子を見て、首を傾げた。


「……どうしたんでしょう?」


 アリシアさんに尋ねる。


「……貴族だな」


「貴族?」


「ああ。あまり関わらない方がいい」


 アリシアさんは小さな声でそう言った。


 その間にも、男性は店主に向かって話し続けていた。


「この街の者たちは、どうにも身の程を知らぬ。私が目をかけてやっているというのに」


「……」


「まあいい。せいぜい励むことだな」


 男性はそう言い残すと、従者たちを連れて歩き出した。


 店主は、男性の姿が見えなくなるまで頭を下げていた。


 私は思わず眉をひそめる。


「……あの人、何なんですか?」


「……この街の貴族だろう。詳しくは知らないが、あまり評判はよくないようだ」


「そうなんですか……」


 私は店主の方を見た。


「大丈夫ですか?」


「……ああ。気にしないでおくれ」


 店主は苦笑いを浮かべた。


「いつものことだからね」


 いつものこと。


 その言葉が、少しだけ引っかかった。


 ◆


 しばらく街を歩いていると、今度は冒険者たちの姿が見えた。


 どうやら、依頼を終えてギルドへ戻る途中らしい。


「おい、そこの冒険者」


 先ほどの貴族が、また声をかけた。


「……何でしょう?」


 冒険者の一人が立ち止まる。


 貴族はその姿を眺めて、嘲るように笑った。


「お前たちは、相変わらず腕っぷしに自信があるだけの連中だな」


「……」


「魔物を倒すことしか能がない。少しばかり剣を振れるからといって、偉そうにするな」


 冒険者たちは、何も言い返さなかった。


 貴族はさらに続ける。


「所詮は冒険者。身分もなく、まともな教育も受けていない者たちだ」


 私は、その言葉を聞いて頬を膨らませた。


 ……むむむ。


 冒険者だって、街の人たちを守るために頑張っているのに。


 それなのに、あんな言い方をするなんて。


「……リリア」


 アリシアさんが、私の肩にそっと手を置いた。


「今はやめておこう」


「……でも」


「相手は貴族だ。ここで騒ぎを起こしても、面倒になるだけだ」


 私は貴族の方を見た。


 男性は冒険者たちを見下したまま、従者に何かを命じている。


 冒険者たちは悔しそうな顔をしていた。


 でも、誰も反論しない。


 ……どうして?


 あんなに失礼なことを言われているのに。


 私は拳を握った。


 ◆


 貴族が去ったあと。


 冒険者の一人が、小さくため息をついた。


「……またかよ」


「仕方ない。相手は貴族だからな」


「逆らったところで、こっちが面倒になるだけだ」


 そんな声が聞こえてきた。


 私は、アリシアさんを見上げる。


「……アリシアさん」


「何だ?」


「……あの人、嫌な人ですね」


 アリシアさんは、少しだけ目を伏せた。


「……そうだな」


 その声は、いつもより少し低かった。


 私はもう一度、貴族が去っていった方向を見た。


 町の人たちも、冒険者たちも、誰も逆らおうとしなかった。


 それが、なんだか悔しかった。


「……リリア」


 アリシアさんが私の手を引く。


「今日はもう帰ろう」


「……はい」


 私は頷いた。


 でも、胸の中には、もやもやした気持ちが残っていた。


 ◆


 宿へ戻る道。


 私は、アリシアさんに尋ねた。


「……あの貴族、いつもあんな感じなんですか?」


「……そうらしいな」


「みんな、何も言わないんですね」


「言えないんだろう」


 アリシアさんは、静かに答えた。


「相手が貴族で、しかも実力もあるとなれば、逆らうのは簡単じゃない」


「……実力も?」


「ああ。決闘を申し込んだ冒険者が、何人も返り討ちにされたという話も聞いたことがある」


 私は目を丸くした。


「……そんなに強いんですか?」


「らしいな」


 アリシアさんは少しだけ考えてから、続けた。


「だから、余計なことはしない方がいい」


「……はい」


 私は頷いた。


 でも。


 あの貴族の言葉を思い出すと、どうしても腹が立つ。


 町の人たちを見下して。


 冒険者たちを見下して。


 ……あんな人が、偉そうにしているなんて。


 私は小さく息を吐いた。


 ◆


 その夜。


 私は宿の部屋で、窓の外を眺めていた。


 グランベルの街は、夜になっても賑やかだ。


 灯りが並び、人々の声が聞こえる。


 美味しい食べ物も、優しい人たちも、たくさんいる。


 師匠が見てほしいと言っていた世界。


 その中には、あんな人もいるんだ。


「……師匠」


 私は小さく呟いた。


 世界には、綺麗なものもある。


 でも、嫌なものもある。


 それでも。


 私は、世界を見ていきたい。


 そして、もし。


 大切な人が傷つけられるのなら。


 ……私は、きっと。


 そう思いながら、私は窓を閉めた。


 明日も、街を歩こう。


 まだ、見ていないものがたくさんあるから。


 そして。


 あの貴族と、また会うことになるとは。


 このときの私は、まだ知らなかった。

今回も読んでいただきありがとうございます!


リリア「アリシアさん、あの貴族って嫌な人ですね!」


アリシア「……ああ。あまり関わらない方がいい」


リリア「でも、町の人たちや冒険者さんにあんなこと言うなんて……!」


アリシア「……リリア。落ち着きなさい」


リリア「……はーい!」


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